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新外交イニシアティブ(ND)猿田佐世事務局長出版記念シンポジウム(2016/11/26)~白井聡氏、中島京子氏とともに~を視聴する

 今晩(2017年1月2日)配信した「メルマガ金原No.2679」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
新外交イニシアティブ(ND)猿田佐世事務局長出版記念シンポジウム(2016/11/26)~白井聡氏、中島京子氏とともに~を視聴する

 昨年11月26日に行われた新外交イニシアティブ(ND)主催の「新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発TPP、多様な声をワシントンへ」という、猿田佐世事務局長の新刊書籍(集英社)と同タイトルの出版記念シンポジウムの動画が、NPJによって早々とアップされていることに気は付いていたのですが、肝心の猿田さんの著書を読んでから紹介しようと考え、同書はすぐに入手はしたものの、なかなか読む時間がとれず、年を超してしまいました。
 今年の年末年始はどうも長期の休暇がとりにくい並びとなっており、実は猿田さんの本も完全には読み切っていないのですが、それを待っていたらいつのことになるか分かりませんので、とりあえずこの段階で動画をご紹介することにしました。
 NPJによる動画の紹介と併せ、NDホームページに掲載されたシンポジウムの開催案内を引用します。
 
新外交イニシアティブ(ND)猿田佐世事務局長 出版記念シンポジウム(2時間13分)

冒頭~ 開会 NDプロモーションビデオの上映
5分~ 基調講演 白井聡氏(京都精華大学人文学部専任講師)
53分~ 対談 中島京子氏(小説家)×猿田佐世氏(ND事務局長・弁護士)
2時間06分~ NDによる活動報告
 
開催案内から引用開始)
猿田佐世ND事務局長出版シンポジウム
「新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発TPP、多様な声をワシントンへ」
 ~過去・現在・そしてアメリカ大統領選挙を経て~ 白井聡中島京子/猿田佐世
 
■開催日時:
2016/11/26 Sat. 18:00開場
18:30~20:30
■会場:
星陵会館ホール
住所:東京都千代田区永田町2‐16‐2
 
ドナルド・トランプ氏がアメリカの次期大統領に選ばれました。
今後、日米関係はどうなるのか、日本の米国追随路線に変化があるのか。
11月26日に予定している猿田佐世ND事務局長の出版記念シンポジウムは、急遽、トランプ大統領就任後の日米関係に焦点を当てたものへと変更します。
ベストセラー『永続敗戦論』著者の白井聡氏、「創られたアメリカ像」に翻弄されることに警鐘を鳴らす直木賞作家の中島京子氏と猿田ND事務局長で、今後の日米関係について議論したいと思います。是非、ご参加ください。
 
■プログラム:
第一部:基調講演
白井聡 氏(京都精華大学人文学部専任講師)

第二部:対談
中島京子 氏(小説家)×猿田佐世 (ND事務局長・弁護士)


■登壇者プロフィール:
白井聡 氏(京都精華大学人文学部専任講師)
1977年、東京都生まれ。博士(社会学)、専攻は政治学・社会思想。日本学術振興会特別研究員などを経て現職。著書に『未完のレーニン─「力」の思想を読む』、『「戦後」の墓碑銘』、『戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ』など。『永続敗戦論─戦後日本の核心』で第4回いける本大賞、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。
 
中島京子 氏(小説家)
1964年、東京都生まれ。2003年『FUTON』で作家デビュー。2010年『小さいおうち』で直木賞、2014年『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞、2015年『かたづの!』で柴田錬三郎賞、同年『長いお別れ』で中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。最新作は『彼女に関する十二章』

猿田佐世(ND事務局長・弁護士)
1977年、東京都生まれ。2002年に日本にて弁護士登録。2008年にコロンビア大学ロースクールにて法学修士号を取得し、2009年にアメリカ・ニューヨーク州弁護士登録。2012年にアメリカン大学国際関係学部にて国際政治・国際紛争解決学修士号を取得。2013年にシンクタンク「新外交イニシアティブ」を設立。各外交・政治問題について米議会等で自らロビイングを行うほか、日本の国会議員地方公共団体等の訪米行動を実施。2015年6月の沖縄訪米団、2012年・14年の稲嶺進名護市長の訪米行動の企画・運営を担当。

※猿田ND事務局長は本年、白井氏、中島氏とそれぞれ雑誌で対談を行っています。下記よりご覧ください。
白井聡氏との対談
【季刊誌kotoba 2016年秋号(集英社発行)】
中島京子氏との対談
【月刊『本の窓』(小学館)5月号】
(引用終わり)
 
 2時間を超える動画にいきなりチャレンジするのは少ししんどいと思いますので、上記開催案内の末尾で紹介されている猿田さんと白井聡さん及び中島京子さんとの各対談に、流し読みでよいのでざっと目を通された上で動画を視聴されることをお勧めします。
 それから、「シンポジウムは、急遽、トランプ大統領就任後の日米関係に焦点を当てたものへと変更します。」とあるのは、第2部の対談においてよりはっきりと意識されているかなと思います。基調講演は、さすがに当初の予定をそう簡単に方向転換できないでしょう。
 
 なお、本シンポの動画を視聴して、日米関係というこの悩ましい対象を考える上で、白井聡さんの『永続敗戦論』と猿田佐世さんの今回の新刊は、まさに「対」として読み込むべきかもしれないと思いました。この2著をじっくり読み比べた上で(そういえば『永続敗戦論』は文庫になりました)、またメルマガ(ブログ)で取り上げられればいいなと思いました。
 
 ところで、猿田さんの新刊を読んで(まだ読み終わっていませんが)、猿田さんがワシントンのアメリカン大学大学院に留学中、教員(准教授)1人、学生13人による沖縄スタディツアーを企画し、大学の承認を得て2010年12月に沖縄に行った経緯を詳しく知ったのは有益でした(このツアーに猿田さんが関与されていたことは何かの機会に知りましたが)。この時の経験が、猿田さんのその後の活動の原点の1つであることがよく分かります。
 そのスタディーツアーに先立つ事前準備として、学生たちが国務省の日本部長、ケビン・メア氏からレクチャーを受けた際に飛び出した「沖縄の人はゴーヤも作れないなまけもの」「沖縄は基地を使って東京から金をもらうゆすりの名人」などという発言を、その後学生がメディアにリークし、メア氏が更迭される騒ぎになったことを記憶している方もおられるでしょう。
 日本のメディアがこの問題を取り上げたのは、たしか2011年3月、3.11の直前だったと記憶します。私も思わず頭に来て、入手したメア発言の英語原文(アメリカン大学学生の再現メモ)から「部分訳」して、9条ネットわかやまMLに投稿したくらいです。当時使っていたパソコンが壊れてしまい、自分の「翻訳」が呼び出せないのは残念ですが、代わりに「ピープルズ・プラン研究所」サイトに掲載された翻訳から、私が最も注目した末尾の部分を引用します(このサイトから原文も閲覧できます)。私は、それまで、これほど率直な憲法9条擁護論を聞いたことがありませんでした。
 
(抜粋引用開始)
 私は、日本国憲法9条は改定されるべきだと思っていない。そもそも改定は起こりそうにない。日本の憲法が改定されることは米国にとってよくないことだろう。なぜなら、そうなれば日本は米軍を必要としなくなるだろうから。日本の憲法が改定されることがあれば、米国は米国の利益を増進するため日本の土地を使うことができなくなるだろう。日本政府が現在支払っている接受国支援は米国のためになる。われわれは、日本できわめて有利な取引をしてきたのだ。
(引用終わり)
 
 最後にもう1つ、新外交イニシアティブが力を入れている「日米原子力エネルギープロジェクト」の章から、特に注目した箇所を引用します(160・161頁)。沖縄プロジェクトと並び、このプロジェクトにも注目していかねばと思います。
 
(抜粋引用開始)
 アメリカでは、原発には積極という人たちでも、使用済み核燃料の再処理には多くの人が反対している。NEI(Nuclear Energy Institute 原子力エネルギー協会)ですら直接処分した方がいいという立場であり、再処理は勧めていない。
 「原子力は安全保障の問題だ」という意識が日本に比べて格段に強く、アメリカの核不拡散の専門家は口をそろえて日本の再処理政策を問題視する。現職のアメリカ政府高官も、日本のプルトニウム蓄積に連続して懸念を示している。
 日本に伝えられる時、こうしたアメリカの声がどこかに置き去りにされてしまっている。なぜなのか。
 日本側が自らの声をワシントンを使って拡大するだけでなく、ワシントンで発声されている「アメリカの声」も、実は日本が選択しているのではないか。「日本」側が届いてほしくないと思う声は届けていないのではないか。日本に都合のいい声だけを日本に届けているのではないか。そんな疑念がますます深まった。
(引用終わり)
 
 


(参考動画)
NDプロモーションビデオ(2分22秒)

'16/01/26 猿田佐世講演会【外交のしくみを紐解く -安保・原発TPP・沖縄基地と日米関係の実像-】(2時間03分)

「平和をどうつくるのか」君島東彦・白井聡 その1/3 2016年6月18日(48分)

「平和をどうつくるのか」君島東彦・白井聡 その2/3(38分)

「平和をどうつくるのか」君島東彦・白井聡 その3/3(1時間01分)