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放送予告「記憶する歌~科学者が詠う三十一文字の世界~」(2018年8月26日@毎日放送・映像’18)~永田和宏氏「言葉の危機が時代の危機だ」

 2018年8月19日配信(予定)のメルマガ金原No.3244を転載します。
 
放送予告「記憶する歌~科学者が詠う三十一文字の世界~」(2018年8月26日@毎日放送・映像’18)~永田和宏氏「言葉の危機が時代の危機だ」
 
 京都産業大学教授、京都大学名誉教授の永田和宏氏といえば、著名な細胞生物学者であり、昨年、「世界のタンパク質研究をリードする国際組織「The Protein Society」から、2017年度の“Hans Neurath Award(ハンス・ノイラート科学賞)”を受賞」(京都産業大学ホームページより)されたということは、知っている方は知っているでしょうが、正直申し上げて、私は全然知りませんでした。
 
 同賞受賞を機に、朝日新聞が行ったインタビューがネット版で読めます。
 
朝日新聞デジタル 2017年9月6日22時17分
生命の営み担うたんぱく質研究 永田和宏
 
 永田先生は、長らく放送大学客員教授も務めておられたようですが、そもそも、自然科学分野の科目は受講対象として考えたことがなく、専任教員でさえ、すぐに名前が思い浮かぶのが天文学海部宣男先生(元教授)くらいですから、ましてや客員教授のお名前など全然知りませんでした。
 
 また、永田さんは、「宮中歌会始や朝日歌壇の選者を務めるなど歌人としても知られる」(前掲朝日新聞デジタル)ということですが、文学の中でも、短歌は私の得意科目ではなく、明治以降の歌人で、個人歌集を購入して読んだことがあるのは、与謝野晶子石川啄木くらいであり、ましてや現代歌人といわれても、名前も浮かんでこないありさまです。俵万智さんくらいは知ってますけど、買ったことがあるのは小説『トリアングル』だけですから。
 ということで、著名な歌人永田和宏氏の作品も、全然読んだことがないのは申し訳ない次第です。
 
 以上のとおり、2つの異なる分野で、非常に大きな業績を積み重ねてこられた方であるにもかかわらず、私とは全く無縁であった永田和宏さん(永田先生に限らず、そういう人はいくらでもいますが)のことを調べてみる気になったのは、毎日放送のドキュメンタリー映像’18の次回放送予定を目にしたからです。
 次回、8月26日(日)深夜に放送される番組の案内を引用します。
 
2018年8月27日(月)午前1時35分~
記憶する歌 ~科学者が詠う三十一文字の世界~
(番組案内から引用開始)
「50年前に作った歌を読み返すと、その時に感じた風のにおいまでリアルに感じなおすことができる」。そう語りかけるのは、京都に住む細胞生物学者の永田和宏さん。歌人でもある。京大生の頃から歌を詠む。妻は歌人河野裕子さん。夫婦で歌を詠んできたが、人生の伴侶、裕子さんを8年前に乳がんで失い、孤独感を深めていった。
 
あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない
 
その後、歌を支えに少しずつ落ち着きを取り戻してゆく永田さん。この春、自宅の庭では裕子さんのために植えた山桜が、初めて花を咲かせた。短歌は花鳥諷詠を詠うだけでなく、時事問題を扱う社会詠と呼ばれる歌もある。永田さんはいう。危機に遭遇して世に放たれた歌は、その後の歴史の濾過に耐えうるのだと。
永田さんにも変化が生じた。ここ数年、自らも社会の在り様を詠うようになった。ことばがいま危機を迎えている。ことばが意図的に無力化されている。国会での言葉の捻じ曲げ、言い換え、改ざん。全てがことばの問題につながり、ことばの意味の破壊だ、と危機感を募らせる。
 
不時着と言い換へられて海さむし言葉の危機が時代の危機だ
 
永田さんに初期の肺がんが見つかり、その摘出手術を受けることになった。31文字が記憶するその歌は、過去といま、そして未来へ結ばれてゆくという人生とことばの危機を詠う。
(引用終わり)
 
 毎日放送の番組案内が引用した一首が、社会詠として優れた作かはともかくとして、「言葉の危機が時代の危機だ」ということに異論のある人は少ないのでは、と私は思います。
 毎日放送を視聴できるエリアは限られているとは思いますが、是非、多くの方に視聴していただければと思います。