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沖縄に「訳知り顔」で向かい合っていないか?~三上智恵さんから教えられたこと

 今晩(2016年3月10日)配信した「メルマガ金原No.2391」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
沖縄に「訳知り顔」で向かい合っていないか?~三上智恵さんから教えられたこと

 3月4日(金)、福岡高裁那覇支部において、国(国土交通大臣)と沖縄県(知事)との間において、代執行訴訟等についての「和解」が成立し、国が埋立工事を「中止」することになったことは、少なくともキャンプシュワブ・ゲート前で阻止行動を行っている人たちにとっては寝耳に水のことであったようです。
 その様子を伝える三上智恵さんによる動画とレポートが、マガジン9に掲載されました。
 
 
動画 サンシンの日に国が和解(10分34秒)


 私が三上さんのレポートを読んで、一番胸が痛かったのは以下の部分です。
 
(引用開始)
 
島の未来のために必死で基地建設を止めようとしてきたたくさんの方々の顔が走馬燈のように浮かぶ。移設先が辺野古と決まり、この海が暗雲に覆われていった1997年から19年、取材当初からずっとこのことで心が晴れたことがなかった。19年分の涙が、溢れて止まらない。思いもよらなかった「中止」という言葉の約束する世界は、まさに悲願の、誰にもこの海を奪われない解放と平穏。その先に、守り抜いた青い海が広がっている光景である。
 感慨に浸っている私たちに向かって、お願いだから簡単に、訳知り顔に「油断してはいけないよ」「選挙対策だ」「政府はきっと強行する」「ポーズだけで和解をする気なんてない」「これで終わると思ったら大間違いだ」などという言葉をすぐ投げかけないでもらいたい。国の作戦が失敗し、「中止」を含む和解にまで応じさせるほど、私たちは政府を追い込んだのだ。
 本土メディアどころか県内メディアもほとんど辺野古の抵抗を取り上げなかった時期もあった。それでも地道にずっとずっと抵抗してきたあの日々があったから、オール沖縄の闘いまで発展して国の横暴を止めさせているのだ。そんな力を沖縄県民とそれを支える全国のみなさんが持ち得たのだということをまずは祝福したい。嚙み締めたい。みんなと乾杯したい。ハグしたい。私が会社を辞めてまで止めたかったこと。アナウンサー人生もなげうってでも絶対に守らなければいけないと覚悟したこと。それはこの埋め立てなのだから。
 ジュゴンを追いかけて撮影し、アオサンゴを見つけて世に出し、歩くサンゴの特ダネに期待して奔走した私の大浦湾に対する尽きることのない張り詰めた想いは「埋め立て中止」と聞いただけでもう本当に瓦解するほどだ。いつか「白紙撤回」という言葉を勝ち取った時には、そのままあの世に行って先に行ったみんなに報告してしまうかもしれない。ずっとこの問題に向き合ってきた人にとっては、3月4日はそんな日になった。まずは読者のみなさんにも、現場と共に狂喜乱舞を味わって欲しい。
(引用終わり)
 
 3月4日と8日の私のメルマガ&ブログ(末尾にリンク)は、「訳知り顔」で書いたのではなかったのか?と問われれば、「そうではない」と胸を張って答えることは到底できそうもありません。
 三上さんの動画の中で、声をあげながら涙を拭う山城博治(やましろ・ひろじ)さんの姿に対して、心から「あめでとうございます」「ありがとうございました」と言うのが人としてまず当然なすべきことだと気がつきました。
 そのことに気付かせてくださった三上智恵さんに感謝しなければなりません。
 
 もちろん、三上さんにしても山城さんにしても、決して楽観も油断もしていないことは当然でしょう。それは、週明け早々の3月7日に行われた国土交通大臣による「是正指示」を踏まえ、「やはり「和解」などに応じたのではなく、不利な裁判を闘うより譲歩したように見せて次の裁判で沖縄を叩きのめす。本音はそこなのだろう。」と見切った上で、以下のように敷衍されていることからも明らかです。
 
(引用開始)
 そうであっても、である。今現在は和解によって「国が知事の権限を奪った措置を取り下げた」ことで沖縄県知事が埋め立てを撤回した、その状態に戻ったのだ。知事がダメだと言っている間、何人たりとも大浦湾のサンゴを潰したりはできないのだ。そう思うだけで、朝から空気はおいしい。
 やがてまた、「沖縄県知事が違法なのであって、国は好きに埋めて良いのだ」という結論が新たな裁判で導き出されてくるのかも知れないが、それまで最低でも半年はおいしい空気が吸える。当然のことながら、埋め立てはしなくても陸上の工事を姑息に進めることを前提に警戒は緩めない。毎日のゲート前行動も継続するし海の監視も継続、これまで通りである。抵抗運動が激しくブロックの搬入が難しいとみた政府は、基地内に生コンのプラントを作って中でコンクリート製造を開始しようとしている。それも警戒しなくてはならない。
(略)
 前半、私が喜び過ぎたから、三上さんがあんなに喜んでたからもう応援に行かなくて良いのかしら?と勘違いしないで欲しい。今こそ、みなさんの力が必要です。知事が認めていない工事ですよ!と大手を振って監視し、春に向かって輝きを増す大浦湾を満喫し、結束を固めて次に備える絶好の時期だ。安心して遊びに来て欲しい。そして連帯行動に、激励に現場に来て大いに賑やかして帰って欲しい。これから沖縄は一番美しい時期を迎えるのだから。
(引用終わり)
 
 沖縄を考える時にも、福島を考える時にも、それ以外の問題を考える時にも、「訳知り顔」で対象と向かい合っていないか?と自問することが必要ですね。いつもそれが出来るという自信はありませんが、意識的に努力しなければと自戒したいと思います。