2017年12月29日配信(予定)のメルマガ金原.No.3031を転載します。
いよいよ年末も押し詰まり、私のブログでも、恒例の「憲法をめぐる激動の〇〇〇〇年を和歌山の地から振り返る」の2017年版を大晦日に配信すべく、ぼちぼちと準備にとりかかっているところですが、この1年に何をやってきたかとあらためて振り返ってみると、上半期は「共謀罪」成立阻止の闘い、下半期は、途中衆議院の解散総選挙というハプニングをはさみつつ、5月3日の「安倍改憲メッセージ」に端を発した「安倍9条改憲NO!」の闘いであったと総括できそうです。
ということで、「自衛隊明記」によって9条がどうなってしまうかなど、予想される自民党改憲案の問題点を分かりやすく解説した手引きが、3000万人署名成功のために是非とも必要という問題意識から、今月緊急刊行された『ピンポイントでわかる自衛隊明文改憲の論点』(GENJINブックレット)をすぐに本ブログでご紹介しました。
幸い、編著者の1人である飯島滋明先生(名古屋学院大学教授)に斡旋いただき、出版社から直接取り寄せた20冊は、様々な団体の役員の方に購入いただき、完売目前です。是非、実際の署名活動のために役立てていただければと思っています。
実は、今日ご紹介するブックレット「解説 安倍改憲は許さん!」(立憲フォーラム、改憲問題対策法律家6団体連絡会)も、同様の問題意識をもって、上記『ピンポイントでわかる自衛隊明文改憲の論点』に先だって刊行されたものです。
ただ、私自身、法律家6団体の1つ、青年法律家協会の会員ではあるものの、このブックレットの存在に気がついたのはつい1週間ほど前のことでした。青年法律家協会弁護士学者合同部会のMLに、本部事務局からのお知らせが毎週1回定期的に流れてくるのですが、12月22日の「おしらせ」に掲載されていてようやく気がついたのです。もっとも、遡ってみると、12月1日付の「おしらせ」からずっと毎週載っていたのに気がついていなかっただけでした。青法協本部から会員宛の「お知らせ」メールに添付されたブックレット注文用の申込書から引用します。
(引用開始)
『[解説] 安倍改憲は許さん!』ブックレットの普及にご協力ください
安倍改憲NO!の市民の運動に役立ててもらうため、当部会も参加する改憲問題対策法律家6団体連絡会と、超党派の国会議員による議員連盟「立憲フォーラム」が共同してブックレットをつくりました。各地の憲法学習会などで幅広くご活用ください。
(主な内容)
第2章 安倍政治と立憲主義
第5章 総選挙後の改憲状況
2017 年11 月下旬発行
A5判36ページ
頒価100円(送料別途、ただし10 部以上は送料無料)
(引用終わり)
そして、青法協本部事務局からの「お知らせ」には、「先に作成したパンフレット版から大幅加筆しています。」とも書いてありましたので、「パンフレット版とは何だ?」と思い(「お知らせ」を遡っていけば分かるのでしょうが)、『[解説] 安倍改憲は許さん!』でネット検索してみたところ、法律家6団体の1つ、日本民主法律家協会のホームページに、「2017年10月発行」というPDFファイル(34頁)が掲載されているのが見つかり、どうやらこれが「先に作成したパンフレット版」らしいと分かりました。
たしかに、目次を読んでみると、11月下旬刊行のブックレット版とは微妙に違います。「10月版」の目次を引用してみます。
(引用開始)
目次
安倍9条改憲を打ち砕くため活用してください 立憲フォーラム事務局長 江崎 孝
Q&A
第2章 安倍政治と立憲主義
あとがき
資料1 衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望
(引用終わり)
この目次を一読するだけでも何となく推測がつきますが、さらに立憲フォーラム事務局長・江崎孝さん(参議院議員、12月25日に民進党を離党して26日に立憲民主党に入党)が書かれた「安倍9条改憲を打ち砕くため活用してください」(事実上の「はじめに」)を読めば、この「10月版」がどういう目的で作られたかがよく分かりますので、以下に引用します。
(引用開始)
安倍9条改憲を打ち砕くため活用してください
安倍さんが登場する前の自民党には、こんな認識を持った首相がいました。
「私の意見は非常に簡単なんで、わが国はどういう理由であれ、外国で武力行使をしてはならない」
「こんなにうまく運用されている憲法をどうして変えなければならないのか、理解できない」
こう語ったのは宮澤喜一元首相です。
しかし、海外派兵は絶対にしない、殺し、殺させない、という憲法の根本の精神が国民の間にしっかりと定着していること、周辺諸国が非戦のこの憲法をどれほど信頼しているかなど全く無視して、何が何でも憲法改正を行おう、と繰り返し試みてきたのがこの5年の安倍政権でした。
具体例をあげれば、発議の要件を下げようとした憲法96条の先行改憲の目論見と撤回、これまでの内閣が積み重ねてきた「集団自衛権の行使は憲法違反」という判断を閣議決定だけで覆し、国会内外の反対の意見を全く無視した安保法制(戦争法)の強行採決。そのほかにも秘密保護法、共謀罪など戦争ができる国内態勢の法整備を着々と進めてきました。
2017 年、いよいよ「明文改憲」に乗り出してきたのです。
今年の5月3日の憲法記念日に、自衛隊を憲法9条3項に明記するなどという改憲案を提示し、10月22日投票の今回の総選挙で自民党の選挙公約において、改憲を重点項目とし、「初めての改正を目指す」としています。
この5年の安倍政治と決着をつけるときがきました。
安倍による壊憲を許し、戦争のできる国にしてしまうのか。
私たちは立憲主義、民主主義を掲げて2013年4月に発足した超党派の議員連盟です。これまで法律家6団体と平和を脅かす諸問題に関して協議を続けてきました。昨年の夏の参議院選挙では「安倍改憲を許さないQ&A」を両者が協力して作成もしてきました。
とりあえずPDFにしてあります。
改憲をめぐる論戦に役立つことを願っています。ご活用ください。
2017 年 10 月 10 日
立憲フォーラム事務局長 江崎 孝
(引用終わり)
そして、総選挙が終わり、改憲派と目される政党・議員の議席が、相変わらず衆参両院の2/3超を保持し続けるという状況から、「安倍改憲は許さん!」運動の重要性がますます高まったということで、改憲問題対策法律家6団体連絡会は、去る11月29日に院内集会を開いてアピールを発表したのですが、この院内集会に向けて、上記「10月版」に加筆訂正したブックレット「[解説] 安倍改憲は許さん!」を発行することになったということのようです。
ちなみに、清水雅彦先生(日本体育大学教授)のブログによると、新たにブックレット版に追加された「第5章 総選挙後の改憲状況」は、清水先生が執筆を担当された模様です(拙稿紹介~『[解説] 安倍改憲は許さん!』/2017年11月30日)。
清水先生のブログでは、このブックレットの入手方法(立憲フォーラムへの注文)も書かれています。
このブックレット『[解説] 安倍改憲は許さん!』は、様々な論点を、分かりやすいQ&A方式で解説しています(「10月版」がそうですから、ブックレット版もそうでしょう)。
最後に、11月29日に開催した院内集会において、改憲問題対策法律家6団体連絡会が発表したアピールをご紹介しておきます。
(引用開始)
安倍晋三内閣は、野党による憲法に基づく再三にわたる臨時国会開催要求を無視しながら森友・加計問題をはじめとする疑惑隠しをはかって、9月28日、臨時国会冒頭の衆議院解散という憲法破壊の暴挙にでました。憲法と日本の針路に大きな影響を与える10月22日の総選挙では、自由民主党は284議席を獲得し、公明党、希望の党、日本維新の会など、改憲勢力が約8割となった一方、安倍改憲に反対する側は、野党分断の攻撃を乗り越え、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、無所属を合わせて約90議席を獲得しました。これは、市民連合など国会外の運動と結んで憲法を守ろうという勢力が力強く結束していくという姿を国民の前に示したものです。
衆院選後の動きは、改憲諸党のなかでも公明党が9条改憲には消極的な態度を示し、維新の会が教育無償化に重点を置き、また希望の党の中でも改憲や安保法制への態度をめぐって意見が分かれるなど、安倍改憲反対の国会勢力と市民の共同に対する警戒心がうかがわれます。それでも改憲勢力の本命はあくまで9条改憲です。しかも安倍首相は「スケジュールありきではない」といいながら、多数の議席を背景に、あくまで2018年通常国会での改憲発議、秋の国民投票実施をねらっています。
私たち改憲問題対策法律家6団体連絡会は、本日、「安倍改憲は許さん!」院内集会を開催し、憲法9条の意義や自衛隊の性格を根本から変えてしまう「9条に自衛隊を明記する」改憲案の本質と危険性、教育無償化・緊急事態条項・参議院選挙での「合区」解消のための改憲案の問題性、改憲手続法(国民投票法)の問題点と危険性について学び合い、この問題をひろく国民に伝えていくことを確認しました。このたび立憲フォーラムと共同で上梓した「安倍改憲は許さん」のブックレットを大いに活用、普及して、安倍改憲NOの国民世論を大いに盛り上げていきましょう。
改憲問題対策法律家6団体連絡会も参加している「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提起した3000万人署名の取り組みは、いまこそ緊急性を増しています。2018年通常国会での9条改憲発議を阻むために、全国の草の根で、全力で3000万署名に取り組みを強め、改憲勢力が改憲を発議できない状況を作り出そうではありませんか。こうした幅の広い声を結集することで、それによって、万一発議が強行された場合にも国民投票でそれを否決する力をつくることができます。3000万署名の運動を全国津々浦々に広めるために、法律家として力を尽くすことをここに表明します。
2017年11月29日
自由法曹団 団長 船 尾 徹
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 北 村 栄
日本国際法律家協会 会長 大 熊 政 一
日本反核法律家協会 会長 佐々木 猛 也
日本民主法律家協会 理事長 右 崎 正 博
(引用終わり)
(弁護士・金原徹雄のブログから/安倍改憲メッセージ関連)
2017年5月24日
2017年6月16日
2017年6月22日
2017年6月27日
2017年6月30日
立憲デモクラシーの会「安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明」(6/26)を読む
2017年7月9日
2017年7月12日
2017年7月18日
2017年7月20日
書き起こしで読む立憲デモクラシーの会「安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明」発表記者会見(6/26)
2017年7月26日
2017年7月31日
2017年8月2日
2017年8月9日
2017年8月23日
2017年9月5日
2017年9月9日
「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」9.8 キック・オフ集会大成功~3000万人署名活動スタート!
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2017年10月11日
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憲法(特に9条)についての各党「公約」比較~とても分かりやすくなっていた
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地域からの結集を!~「9条改憲NO!全国市民アクション・国立」の「キックオフ集会inくにたち」を視聴する
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2017年11月27日
安倍改憲NO!のために~3000万人署名に向けての地域・職場でのキックオフ集会・ミニ講演用レジュメ
2017年12月18日