2019年1月10日配信(予定)のメルマガ金原.No.3388を転載します。
来る1月19日(土)午後1時30分から、和歌山県民文化会館大ホール(キャパ2,000!)において、県下10団体が結成した実行委員会の主催により、「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が行われることは、このブログでも2度にわたってお伝えしてきました。
2018年12月3日
2018年12月23日
本番まであと9日、そろそろ、先日(1月7日付)お送りしたプレス・リリースの効果が出てきたようで、まず今日(1月10日)の「わかやま新報」1面に以下のような記事が載りました。
(引用開始)
憲法9条に自衛隊を明記するなど安倍晋三首相が意欲を示す改憲に反対する市民団体などが企画する「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が19日午後1時半から、和歌山市小松原通の県民文化会館大ホールで開かれる。
安全保障法制の廃止や改憲反対の運動をしている県内10団体による実行委員会が主催。入場無料。
第1部は、紀の川市出身の落語家で「芸人9条の会」の桂文福さんによる相撲甚句、河内音頭、9条新作落語。第2部は憲法学者、弁護士で慶應義塾大学名誉教授の小林節さんの講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」。第3部は有田川町出身の津軽三味線奏者、三木久美夫さんらによる「ワカヤマピースバンド」のライブ演奏となっている。
申し込み不要。1・2部は手話通訳つき。ロビーでは紙芝居や絵本、折り紙など子どもが楽しめるブースも設ける。
問い合わせは事務局の金原法律事務所(℡073・427・0852)。
(引用終わり)
掲載していただいてまことにありがたいのですが、ただ1点、「三木久美夫さんらによる「ワカヤマピースバンド」のライブ演奏」とある部分は訂正を要します。
三木さんは、ご自身の率いる「龍絃会(りゅうげんかい)」の一員として津軽三味線の妙技を披露され、その後、「Wakayama Peace Band」(臨時結成の7人編成)によるライブ演奏が行われます。
けれども、ここ1年間(2018年1月10日~2019年1月5日)に発表されただけでも、全部で50本もあるのですから、これを分類するだけでも大変です。
そこで、「安倍壊憲」批判の観点から4つに論点を絞り、それにちょうど符合する小林先生のコラムを探すという、まことにささやかな方針に変更しました。
それでも、「その論点にはもっとふさわしい別の記事があるではないか」ということになりそうですが、力不足につき何卒ご寛恕いただければと思います。
要するに、来る1月19日のご講演の予習教材を提供しようという試みです。
首相にも改憲の提案権はある しかしその「内容」が悪い(2018/11/07)
(抜粋引用開始)
それに対して、護憲派の人士から、「首相が改憲を主張することは憲法尊重擁護義務(99条)に違反する」とか、「改憲の発議は国会の専権(96条)で、首相の提案は越権で三権分立に反する」といった批判が返ってくることが多い。
まず、憲法自体が96条で改憲を予定しその手続きを明記している。だから、改憲を主張すること自体は憲法を軽んじることにはならない。つまり、制定時の予測を超えた新しい時代状況の中で改憲を考えること自体は憲法が予定したことである。
(略)
(引用終わり)
【論点2 立憲的(護憲的)改憲論を今主張することの意味】
たとえ正論ではあっても…いま場違いな「立憲的改憲論」(2018/05/11)
(抜粋引用開始)
もう20年以上も前であるが、改憲提案などは夢物語であった頃に、私は、白紙の上に新しい憲法を書く感覚で改憲論を提案していた。その中で、9条については、あの「どうにでも読める」または「難解な」現行9条の文言が、結局、規範力を生まず、政府による恣意的な解釈・運用を許していると気づいた。そこで、もっと明確に、できること(専守防衛)とできないこと(海外派兵)が読み取れるように、9条の文言を明確に「改正」することを提案した。私は、それを「護憲的改憲」と呼んで最近まで一貫して主張してきた。
数年前に枝野幸男代議士(立憲民主党代表)が同様の立場を表明し、今井一氏(「国民投票」に詳しいジャーナリスト)などもその論陣に加わった。最近は、それと同じ観点を「立憲的改憲」と称して、伊勢崎賢治氏(東京外国語大教授)らが強く唱道している。
もちろん、それはひとつの正論である。だが、今の政治情勢の中で、その主張を続けることを、私は、「場違い」「時知らず」だと思うに至り、今は自らに禁じている。
だから今は、改憲派も護憲派も、向かい合って自説の正当性を論じ合っている場合ではない。安倍首相の改憲案の1点に焦点を合わせて、それが是であるか非であるか?について各自の立場を決め、国民投票に備えるべき時である。
(略)
(引用終わり)
安倍「改憲」の焦点はただ一つ 少数説で争う時ではない(2018/10/11)
(抜粋引用開始)
(略)
時間が限られているし、首相の意向は既に明らかになっている以上、近い将来に提案されてくる改憲案も分かり切っている。
つまり、「現行の9条1項2項およびその解釈(専守防衛の原則)を維持した上で、自衛隊とその権能を憲法に明記するもの」である。条文素案としては、「国の平和と独立を守り国及び国民の安全を保つために『必要な自衛の措置をとり』そのための実力組織として『自衛隊を保持する』」である。
しかし、これは嘘と矛盾に満ちている。
第1に、専守防衛を維持する……と言うが、既に、2015年の新安保法制(戦争法)で、わが国の「存立危機事態」か、わが国の安全保障に対する「重要影響事態」だと政府が認定した場合には海外派兵を解禁してしまっている。この矛盾をどう説明するのか?
第2に、これまでは「必要・最小限」の自衛措置なら合憲だとしてきたものを、ここで「最小限」という条件を外してしまいながら、「これまでの解釈を維持している」とは言えないはずで、ここに大きな嘘がある。
第3に、「戦力の不保持」と「交戦権の不行使」を明記した2項の下で海外派兵はできないとしてきた政府解釈の下で海外派兵を解禁した2014年の解釈変更に加え、新たに、「必要な自衛措置は(何でも)できる」という3項が加えられた場合には、『新法(3項)は旧法(2項)を改廃する』という法の一般原則に従って2項は自動的に失効するはずである。となると、「今までと何も変わらない」と度々強調してきた首相の言葉は明白な嘘以外の何ものでもない。
そして、普通の軍事大国となって米軍の友軍としてわが国の自衛隊が世界に出動することの是非が問われることになる。実は、この一点の賛否だけが問われているのである。
(引用終わり)
【論点4 安倍壊憲を阻止するために~真の野党共闘の必要性】
(抜粋引用開始)
まず、元参院自民党議員会長・村上正邦氏は「野党は……『共産党とは組めない』とか内輪もめばかりしていますが、本気で政権交代を目指しているならば、そんな甘っちょろいことは言えないはずですよ」と語っている。
さらに、経済学者の植草一秀氏は「1人しか当選者が出ない選挙で、反自公陣営が複数候補を擁立すれば自公が勝利するのは当たり前だ。『共産党とは共闘しない』とする勢力は『隠れ自公応援団』である疑いが濃厚なのだ」とまで断言している。
確かに、1選挙区で1人しか当選できない「小選挙区制」(知事選、衆院小選挙区、参院地方区等)において、常に自公共同推薦候補が立っている以上、野党側は1人の野党統一候補に絞れない限り、もとより勝ち目はない。
(略)
(引用終わり)
(抜粋引用開始)
(略)
今の選挙制度の立法趣旨は、2大グループの対決を前提に、まず、相対的多数派に絶対的多数の議席を与え、激動の時代に政策の決定・執行を迅速化することにある。加えて、「絶対的権力は絶対に堕落する」という歴史の教訓に学び、政権交代(つまり権力の大掃除)が起こりやすい制度でもある。つまり、民意がわずかに移動しただけで簡単に政変が起きる制度である。このメカニズムは、参院選1人区でねじれ国会を実現する場合も全く同じである。
今、安倍長期政権の下で、権力の一元化と私物化が露骨に進行している。それに対して、国民の中の2割ほどの熱烈な「信者」のごとき政権支持者は別にして、国民の多数がしらけ、政治に倦んでいることは各種世論調査で明らかである。
過去の国政選挙でも、与野党それぞれの合計得票はいずれも40%台で大差はない。しかし、野党が分裂しているために、上述のような選挙制度に助けられて、自・公与党は、40%台の得票で70%台の議席を得て、絶対的権力を享受してきた。
そこで「野党共闘」を提案すると、必ず「政策の一致が必要だ」という声が上がってくる。しかし、社会が複雑になり財政が逼迫した現状において、与党内においても初めから政策が一致していることなどない。政策は、議会での討論を経て詰めていくものである。
その点で、「人心一新」が総選挙の際の統一方針になることを忘れないでほしい。「もうこの政権の顔触れには飽き飽きした」という民意も正当な民意である。
だから、野党は、「人心一新」で選挙共闘を組み、まずは政権交代を図るべきである。
(引用終わり)
最後に、これまでも何度かご紹介していますが、最後に、2018年3月19日、「安倍政治を終わらせよう!3.19院内集会」(主催:戦争をさせない1000人委員会、立憲フォーラム)での小林節先生のミニ講演の動画をご紹介しておきます。
(弁護士・金原徹雄のブログから/小林節氏関連)
2013年5月13日
小林節氏らの「96条“改正”絶対阻止」の主張に連帯するために
2013年5月27日
小林節教授の「立憲フォーラム」勉強会での講演
2013年6月9日
2013年7月3日
2013年7月13日
この7年間、私たちは何をしていたのか?~「小林節さんに聞いた」(2006年/マガジン9条)を読んで~
2013年7月31日
2013年12月20日
2014年4月15日
2014年9月7日
2014年9月13日
2015年5月2日
2015年6月7日
2015年6月16日
2015年9月17日
2015年9月27日
2015年10月12日
今こそ「運動としての学習会」が必要だ
2015年10月16日
2015年12月2日
2016年1月20日
小林節(ブシ)で貰った元気の使い道~「さぁ、安倍政治を終らそう 1・19集会」を視聴して
2016年3月22日
2016年4月14日
2016年5月14日
2018年12月23日