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市民連合「2019年頭所感」を読む

 2019年1月9日配信(予定)のメルマガ金原.No.3387を転載します。
 
市民連合「2019年頭所感」を読む
 
 「年頭所感」という言葉に接してまず私の脳裏に浮かぶのは、4年前に自分自身が書いた以下のブログです。
 
2015年1月1日
3人の年頭所感を読んで2015年の日本を思う~今上陛下、安倍首相、内田樹
 
 自分で読み返して言うのも何ですが、元旦早々、我ながらよく気合いを入れて書いたものだと感心します。
 そのように気合いが入る大きな要因であった今上陛下(明仁天皇)の、即位依頼ずっと発表され続けていた「天皇陛下のご感想(新年に当たり)」も、平成28年(2016年)元日が最後となりました。
 以来、「年頭所感」読み比べの意欲もなくなり、私のブログに「年頭所感」の話題が登場することもなくなったという次第です。
 
 それが、1月も9日になってから「年頭所感」を取り上げるというのは、たまたま市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)のホームページを閲覧したところ、トップページのNewsの冒頭に、「2019年頭所感」というのが載っていたからです。天皇でも首相でもなく、市民団体が「所感」というのも語感的にどうなのか?と思わないでもありませんが、「年頭声明」でもおかしいし、「年頭談話」というのも何だかなあ、ということで、「年頭所感」に落ち着いたのかもしれません。
 
 内容は、以下に全文引用しますので、是非お読み戴きたいのですが、いよいよ夏には参院選を控える2019年を迎え、野党共闘の重要性をいま一度確認し、全国の志を共有する人々に発信する必要があると、市民連合の呼びかけ人の皆さんは考えられたのでしょう。
 
 従って、以下の「年頭所感」の最も重要な部分は多分ここでしょう。
 
「それでも市民連合が、国民民主党を含めた立憲野党の本格的な選挙協力をめざす理由は以下の通りです。(1)安倍政権下での改憲発議への反対、違憲の安保法制の廃止、立憲主義の回復など共闘の大原則についての一致が、玉木代表や平野幹事長と確認できたこと、(2)旧民主党民進党議員として特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など一貫してともに反対をしてきた実績があること、(3)オール沖縄の成功が示すように、穏健保守層までウイングを広げた野党共闘が勝利には不可欠であること、(4)一緒に組めるはずの政治勢力を排除することは、改憲発議に協力する政権補完勢力をつくり、参議院選挙での候補者乱立と共倒れを招くことにほかならないこと、などです。」
 
 時あたかも、私の地元和歌山でも、参院選に向けて大きな動きがありました。
 
わかやま新報 19年01月09日 06時59分
夏の参院選出馬表明 元弁護士会長の藤井氏
(引用開始)
今夏に行われる参院選和歌山選挙区(改選数1)に、元和歌山弁護士会会長の藤井幹雄氏(58)が無所属で立候補することを正式に表明し、7日に和歌山県和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で記者会見した。安倍政権を「憲法そのものを破壊し、わが国を再び戦争へと導こうとしている」と厳しく批判し、対決姿勢を鮮明にした。
 
藤井氏はかつらぎ町出身。1985年に東京大学法学部を卒業後、司法試験に合格。95年に和歌山弁護士会に登録し、2016年度には会長を務めた。9条ネットわかやまの世話人代表も務め、98年に発生した毒物カレー事件では林真須美死刑囚の一、二審の弁護を担当した。
 
藤井氏には、擁立を主導した連合和歌山が同日の執行委員会で推薦を決め、国民民主党も推薦を発表。立憲民主党社民党の各県組織は推薦に向けて党本部と調整している。
 
藤井氏は記者会見で、安倍政権について「強行採決を繰り返し、議論のないまま自衛隊憲法9条に明記するという改憲案を打ち出し、憲法を私物化している」と述べ、「厳しい戦いになるが、精いっぱい頑張りたい。県民の中には『このままでいいのか?』と思う人もいるはず。そんな人の選択肢になれたら。政治の暴走を止めるために今戦わなくてはいけない」と決意を示した。
 
同選挙区には、自民党現職で経済産業大臣世耕弘成氏(56)、共産党新人の前久氏(62)が立候補を表明しており、藤井氏を「野党統一候補」とできるのかが一つの焦点となるが、連合和歌山の池田祐輔会長は共産党との共闘について、「政党としては難しい」と否定的な見解を示している。
(引用終わり)
 
 1987年の4月はじめ、当時は2年間の修習の最初に司法修習生としての辞令を配属先の地方裁判所で受け取ることになっており、和歌山では、その辞令交付式の前日に、1年先輩の司法修習生から歓迎会を開いてもらう慣例になっていて、その歓迎会の席上で、私は藤井さんと(6人しかいない和歌山修習の同期生として)初めて会ったのでした。
 それから、あっという間に32年近くが経ってしまいました。
 1989年4月の弁護士登録時に、私は和歌山弁護士会に、藤井さんは沖縄弁護士会に入会することになりましたが、夏になると、藤井さんをコンダクターとした和歌山修習同期会沖縄ツアーを満喫したりという関係が続くうちに、1995年に藤井さんは郷里の和歌山弁護士会に登録換えし、今に至るという訳です。
 この他、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」や「9条ネットわかやま」での活動など、語り出せばきりがありません。
 そのような個人的な感慨とは別に、今回の藤井さんの決断は、以下の市民連合の「年頭所感」と基本的な問題意識を共有した末のものであったと私は確信します。
 
 上の新聞報道にもあるとおり、日本共産党からは、前ひさしさんが立候補を表明しており、野党系の2人の候補者の間の調整という微妙な問題があるので、今のところこれ以上は述べません。
 ただ、私個人としては、市民連合「2019年頭所感」に賛意を示したいと思っています。
 
 それでは、市民連合が今年の元旦に発表した「2019年頭所感」をお読みください。
 
(引用開始)
January 01 2019
2019年頭所感
 
公文書改竄、虚偽答弁、隠蔽工作、データ捏造など前代未聞の蛮行が政府により繰り返された2018年、主権者たる国民の代表が会する国会がこれほどまでにないがしろにされたことはありませんでした。また、女性に対する許しがたいセクシュアル・ハラスメントや性暴力、医大・医学部入試におけるあからさまな女性差別、旧優生保護法に基づく強制不妊手術や国・地方自治体における雇用水増しなどで明るみに出た障がい者差別、入国管理局による非人道的な長期収容や著しい人権侵害が横行する外国人研修生・技能実習生制度の実態が浮き彫りにした外国人差別、「生産性がない」というヘイト発言など右派政治家やメディアによるLGBT差別、そして辺野古での土砂投入に象徴される沖縄差別など、今日もなお日本の政治、社会、経済にはびこるさまざまな差別が一気に白日の下にさらされた年でもありました。
 
2019年はいったいどのような年になるのでしょうか。
 
春の統一地方選挙と沖縄・大阪衆院補選から夏の参議院選挙へとつづく2019年は重要な「選挙イヤー」にあたり、主権者自らがこのような政治のあり方に終止符を打つチャンスと言えます。しかし、追い詰められるたびになりふりかまわぬ強行突破を繰り返してきた安倍政権は、解散権をまた濫用して衆参同日選を仕掛けてくる可能性をちらつかせており、さらに憲法破壊の総仕上げとして改憲発議を強行する姿勢を崩していません。私たちは、2019年、大きな正念場を迎えることになります。
 
自民党は、2012年12月に政権復帰を遂げて以来、2014年12月、2017年10月と衆議院選挙において公明党と合わせて3分の2を超える議席を得る圧勝をつづけてきましたが、実は、2009年8月に民主党に惨敗し下野した際に獲得した得票数に一度たりとも達していません。安倍自民党の言いなりとなってしまった公明党も、近年得票数を減らしつづけています。それでも自公連立与党が圧勝をつづけるのは、衆議院における小選挙区参議院の地方一人区などで野党候補が共倒れを繰り返し、また、野党の分裂により有効な選択肢(オルタナティブ)を失ったと考える有権者の多くが政治をあきらめ棄権するようになってしまったからです。
 
私たち市民連合は、2015年12月以来、誰もが尊厳ある暮らしをおくることができる「あたりまえの政治」を取り戻すため、全国各地の市民の皆さんと連携し、野党の共闘態勢を構築することを目指してきました。2016年7月の参議院選挙では、32の一人区すべてで野党統一候補の擁立が実現し、11選挙区において勝利をおさめるなど、これまで一定の成果をあげることができました。しかし、2017年10月の衆議院選挙では、希望の党への合流をめぐり民進党が分裂し、またしても野党の分断が自公連立与党を利する結果をもたらしてしまいました。
 
野党がバラバラに戦った2013年7月の参議院選挙では、31あった一人区のうち29議席までも自民党に取られています。これらの議席が改選となる2019年、野党共闘の成否で選挙結果とその後の政治状況は大きく変わってきます。野党間の政策合意と候補者調整を進め、改憲発議に必要な3分の2の議席を大きく割り込ませることができれば、安倍政権を退陣に追い込むことも十分可能です。他方、野党候補が乱立するようなことになれば、政権の延命を許すばかりか、改憲への動きが加速する事態につながりかねません。言い換えれば、自公連立与党にとって、野党の分断と投票率の低迷こそが政権存続のカギを握っているのです。
 
また、現在すでに連立与党や維新などの改憲勢力が衆参両院で3分の2を有していると言っても、安倍改憲を成し遂げるためには単に発議を強行するだけではなく、国民投票過半数の賛成を確保しなくてはならず、そのために野党の一部を取り込み、大義も民意もない改憲発議に見せかけの正当性を付与することを狙っています。だからこそ、安倍政権は国民民主党への働きかけを強めるなど、野党の分断を執拗に画策しています。
 
安倍政権の打倒と安倍改憲の阻止を目指す私たち市民連合は、立憲民主党日本共産党社会民主党自由党無所属の会と意見交換や政策協議を重ねると同時に、立憲主義の擁護、安保法制の廃止、9条改悪の阻止、個人の尊厳を擁護する政治の実現という大原則の共有を前提に、国民民主党とも連携の可能性を模索してきました。これら立憲野党5党1会派は、働き方改革入管法改正案などの重要法案を巡って国会でも共闘を進め、2018年9月に行われた沖縄県知事選挙においてともに玉城デニー候補を支援しそれぞれ勝利に貢献してきました。
 
こうしたなか、11月6日市民連合は国民民主党玉木雄一郎代表と平野博文幹事長と意見交換を行い、安倍政権下での改憲発議の阻止、違憲の安保法制の廃止、立憲主義の回復といった基本的な方向性の共有を確認し、11月16日の「立憲野党と市民連合意見交換会」には平野幹事長と小宮山泰子衆議院議員が国民民主党から初めて参加し、11月26日のシンポジウムにも立憲野党5党1会派の幹事長・書記局長が一堂に会し「安倍政権にかわる新しい選択肢」を主題に議論を深めました。政策合意の更新や候補者調整など喫緊の課題はまだ山積みですが、市民連合は、分断を乗り越え、旧無所属の会や国民民主党を含めた大きく力強い共闘態勢によって「選挙イヤー」における立憲勢力の躍進をめざす方針です。
 
希望の党の流れをくむ国民民主党を共闘の枠組みに入れるべきではない、という声も市民連合に少なからず寄せられています。2017年10月の衆議院選挙の際、市民連合希望の党との共闘は行いませんでしたので、国民民主党との連携について疑問や批判が呈されるのは無理からぬことと私たちも承知しています。
 
それでも市民連合が、国民民主党を含めた立憲野党の本格的な選挙協力をめざす理由は以下の通りです。(1)安倍政権下での改憲発議への反対、違憲の安保法制の廃止、立憲主義の回復など共闘の大原則についての一致が、玉木代表や平野幹事長と確認できたこと、(2)旧民主党民進党議員として特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など一貫してともに反対をしてきた実績があること、(3)オール沖縄の成功が示すように、穏健保守層までウイングを広げた野党共闘が勝利には不可欠であること、(4)一緒に組めるはずの政治勢力を排除することは、改憲発議に協力する政権補完勢力をつくり、参議院選挙での候補者乱立と共倒れを招くことにほかならないこと、などです。
 
理屈はどうであれわかりにくい共闘は有権者のさらなる離反を招くだけ、というご批判はとりわけ深刻に受け止めざるを得ない、と私たちも考えています。そもそも複数政党間の共闘は、政党合併ではない以上、小さいとは言えない違いが残らざるを得ず、相互不信を完全に解消することも困難かもしれません。しかし、「安倍一色」に染まる連立与党に対して、意見の多様性を互いに尊重し、話し合いを通じて合意点を探っていく政治手法は、立憲野党の強みでもあるはずです。立憲主義の回復、安保法制の廃止、安倍改憲の阻止などの一致点を土台に、誰もが自分らしく暮らせる社会や経済をつくるための政策を今後どれだけ具体的に構想し、発信していくことができるか、そうして、政治をあきらめてしまった有権者たちを今一度呼び戻すことができるかが私たちに問われていると考えます。
 
2019年、差別のない「あたりまえの政治」をつくるために、市民連合は、市民と立憲野党の大きく力強い共闘を呼びかけます。
 
2019年1月1日
 
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
(引用終わり)
 
(付録)
通販生活の意見広告「9条球場」(50秒)
通販生活 Published on Dec 31, 2018
日本民間放送連盟の「憲法改正国民投票のテレビCM量に関しては一切、自主規制しません」という理事会決議がとても気になります。
国民投票のテレビCMはイギリスやフランスのように「有料CM禁止」が公平でしょう。
今だって「意見広告」はどの局も禁止ですし。」