2018年11月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3328を転載します。
「立憲野党」という呼称は、単に「野党共闘」というような表現をとると、日本維新の会も一応野党は野党だし、弱小極右政党もあったりして紛らわしいから、ということで、「市民と野党の共闘」をスローガンとして掲げる人々の間で使われ始めたということであったと思います。
あの時の「希望の党」騒動が一体どう総括されたのか?その最高責任者である前原誠司元民進党代表が今でも所属する国民民主党に是非聞いてみたいという気がするのですが、来年の夏には参議院選挙を控え、改憲発議に意欲を燃やす安倍首相は、国民投票と参院選の同時投票を狙っているのではないか?との観測もある中、ことさら対立をあぶり出すわけにもいかず、国民民主党を何とか「立憲野党」の陣営に迎え入れることが焦眉の急であると、市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)は考えたのでしょう。
去る11月6日に、国民民主党と市民連合との初めての正式会合が行われました。国民民主党からは玉木雄一郎代表、平野博文幹事長らが、市民連合からは呼びかけ人の山口二郎氏(法政大学教授)らが出席したとのことです。
その内容は、以下に全文を引用しますのでお読みいただくとして、市民連合としての問題意識は以下の文章に明確に表れています。
「目下、私たちにとっての喫緊の課題は、安倍政権がなりふり構わず狙いつづける改憲発議を阻止することです。そのためにはより大きな市民と立憲野党の共闘を国会の内外で構築することが不可欠です。」(「国民民主党との意見交換について」より)
時あたかも、市民連合との会合が行われた11月6日の夜、当初予定されていた自民党幹部との会食への出席を、玉木雄一郎代表と平野博文幹事長が土壇場でキャンセルし、このため自民党も二階幹事長が出席をとりやめたことがニュースで報じられていました。
2018年11月7日 0時24分 日テレNEWS24
自民と国民民主の幹部が会談 波紋広げるか
自民党の思惑は誰の目にも明らかですが、国民民主党は本当にどうする気なのでしょうか。参議院1人区での候補者調整を共産党との間でやろうとすれば、(全国あるいは各地の)市民連合が仲介する以外に現実的な方策はないと思いますけどね。
これで、各地における「市民と野党の共闘」の構築もやりやすくなった、ということであればさらに良いのですが。
それでは、11月9日に市民連合が公表した2つの文章を全文引用します。
国民民主党との意見交換について 2018年11月9日
(引用開始)
11月6日国民民主党本部にて、市民連合は、国民民主党の玉木雄一郎代表と平野博文幹事長と意見交換を行いました。これは、国民民主党と市民連合の間で、安倍政権下での改憲発議の阻止、安保法制の廃止、立憲主義の回復といった基本的な方向性をきちんと共有できるのかを確認するために行われたものです。
国民民主党は2018年5月に発足しましたが、当初は市民連合からの公式な意見交換の呼びかけに応じていませんでした。ただ9月初旬に玉木新体制が誕生してからは、同月13日の市民連合主催の街頭宣伝に平野幹事長が登壇するなど、国民民主党は市民や他の野党との協力に対して、積極的な姿勢を示してきました。先の沖縄県知事選挙においても、国民民主党は他の立憲野党とともに玉城デニー候補を支援し勝利に貢献しました。日米地位協定の見直しについても、玉木代表自ら積極的な発信を繰り返しています。
そのような中で、今回改めて、立憲主義の擁護、安保法制の廃止、9条改悪の阻止、個人の尊厳を擁護する政治の実現という大原則の共有を確認するべく、公式には初めて意見交換の場が設けられ、市民連合が提示した確認文書をもとに議論を行い、市民連合と国民民主党の間で、以下の内容について合意をしました。
その際、国民民主党の玉木代表は、市民連合による政策要望の基本的方向性に同意した上で、国家権力を拡大する方向での改憲はありえないとして、安倍政権の目指す改憲に明確に反対することを言明しました。また、安保法制についても、関連する具体的な法制における違憲部分を白紙にするために取り組む姿勢を示しました。
目下、私たちにとっての喫緊の課題は、安倍政権がなりふり構わず狙いつづける改憲発議を阻止することです。そのためにはより大きな市民と立憲野党の共闘を国会の内外で構築することが不可欠です。自民党が、民意の支持なき改憲発議を正当化することを狙って、野党の共闘を切り崩す機会を窺っていることは、国民民主党の幹部数名と会食を行ったことにも明らかです。改憲発議を阻止するには、野党が分断されるようなことがあってはなりません。
市民連合としては、今回の意見交換を踏まえ、改憲発議の阻止、安保法制の廃止、立憲主義の回復、そして個人の尊厳を擁護する政治の実現のために、これまで立憲民主党、日本共産党、社会民主党、自由党、無所属の会からなる立憲野党と市民連合が行ってきた意見交換の枠組みへの国民民主党の参加を求め、ひきつづき幅広い市民と立憲野党の協力を模索する方針です。
(引用終わり)
(引用開始)
国民民主党が結党されて以来、同党の政策、路線を注視してきましたが、9月の代表選挙を経て、玉木雄一郎代表が来年の参議院選挙に向けて野党協力への積極的な姿勢を明らかにしていることは高く評価したいと考えます。また、玉木代表が安倍首相の進める9条改憲に対して明確に反対していることについても、心より賛意を表したいと考えます。
市民連合は、昨年9月の衆議院解散の直前に、当時の民進党、共産党、自由党、社会民主党と野党協力に当たって目指すべき政策について協議を重ねていました。その後、民進党候補者の希望の党からの出馬、立憲民主党の結成という混乱の中で、昨年10月7日に改めて、立憲民主党、共産党、社会民主党に9月までの検討を土台とした政策要望を出し、各党はこれを了解しました。この要望書は、これからも野党協力の中で共有すべき政策の柱になると考えています。
国民民主党の所属議員には民進党出身者が多く、市民連合と当時の民進党が共有しようとしていた政策についても共有して頂けると考え、同党と協議を行いました。同党もこの要望書の基本的方向性に賛成していただき、今日的問題を加えてこれを更新することで合意しました。
以後、市民連合は国民民主党とも野党協力の協議を進め、来年の参議院選挙において、憲法改悪勢力の3分の2の打破、立憲主義の擁護、国民本位の経済社会政策への転換という課題を実現するために、幅広い野党協力を追求していきたいと考えます。
2018年11月6日
(引用終わり)
なお、市民連合は、昨日(11月10日)午後2時から、渋谷駅ハチ公前広場において、
街頭集会「改憲よりもあたりまえの政治を」を開催しましたので、「Makabe Takashi」さんによる動画でご紹介しておきます。
なお、政党代表からのスピーチが、立憲民主党、日本共産党、社会民主党の3党だけなのは、前から決まっていたことだから、ということではあると思うのですが、仮に国民民主党から誰か来たとしても、この3党の人たちほど歯切れの良い話が出来たかどうか、ということはあるでしょうけどね。
13分~ 村田マユコさん(安保関連法に反対するママの会@ちば)
21分~ 政党代表登壇
56分~ 谷虹陽さん(大学生)
1時間02分~ 馬場ゆきのさん(大学生)
1時間17分~ アピール