2017年12月18日配信(予定)のメルマガ金原.No.3020を転載します。
私が所属する「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が、去る11月21日(火)、和歌山市あいあいセンター6階ホールにおいて開催したリレートーク「自民党改憲4項目の検証」については、翌日、ブログでご紹介したところです(リレートーク「自民党・改憲4項目の検証」(憲法9条を守る和歌山弁護士の会)報告~動画とレジュメで振り返る)。
リレートークの構成を再掲します。
第2トーク 緊急事態条項
以上のとおり、自民党が10月に行われた衆議院議員総選挙で「初めての憲法改正を目指します」と公約で明言した4項目、「自衛隊の明記」、「教育の無償化・充実強化」、「緊急事態対応」、「参議院の合区解消」の解説に、今後の運動論を付け加えるという構成にしました(私が企画担当でした)。
4人の弁士には、準備にご苦労をおかけしましたが、何が困ると言って、自民党の公約集を読んでも具体的なことはほとんど書いておらず、そもそもどんな改憲案が出てくるのかよく分からないのですから、そんな中で「改憲4項目」を「批判的に検証」するというのは思いの他大変だったと思います。
実は、今日ご紹介するGENJINブックレット『ピンポイントでわかる自衛隊明文改憲の論点』(発行:現代人文社/発売:大学図書/900円+税)の刊行が予告されたのは、リレートークの準備をしていた時期であり、私は早速AMAZONで予約したのですが、12月刊行予定ということで、当然のことながらリレートークの間には合いませんでした(今日到着しました)。
その内容を知っていただくために、目次と編者・執筆者プロフィール(抄)をご紹介します。
(引用開始)
目次
はじめに 目の前にある改憲について、一人ひとりが主体的に考えていくとき………清末愛砂
刊行によせて 自衛隊の9条明記は、日本が〈戦争する国〉になることを意味する………伊藤 真
第1部 自衛隊の9条明記の狙い………飯島滋明・清末愛砂・池田賢太
安倍首相の〈自衛隊の9条明記〉発言(飯島滋明)
Q2 私たちの生活にどんな影響が出るのでしょうか?(飯島滋明)
Q3 自衛隊明記は9条3項、あるいは9条の2の追加だけですむのでしょうか?(飯島滋明)
Q6 国を守るための予算が優先されるのは当然ではないですか?(池田賢太)
Q7 自衛隊明記は軍事研究と関係がありますか?(清末愛砂)
第2部 その他の〈明文改憲〉で何が変わるのか
1 あきらめていない緊急事態条項………榎澤幸広
Q2 大規模災害が生じたら対処できるのですか?
Q3 議員任期の延長のみに限定するって不思議ではないですか?
2 唐突な高等教育の無償化………渡邊弘
Q1 高等教育の無償化は、憲法を改正しなければ実現しないのでしょうか?
Q2 教育費用について、政府はどのような政策を行ってきたのでしょうか?
Q3 教育の無償化は教育内容の統制につながりませんか?
3 参議院議員選挙「合区」解消ってなんだ………石川裕一郎
Q1 そもそも「合区」とは何ですか?
Q2 「国会議員は地域の代表」ではないのですか?
Q3 国会に「地域の代表」は必要ではないのですか?
4 家族の助け合い明文化………清末愛砂
Q1 今の憲法には家族に関する規定はないのですか?
Q2 憲法に家族の助け合いを明文化するとどうなりますか?
Q3 憲法24条には他にどんな価値がありますか?
5〈新しい権利〉を加えることは必要か………岩本一郎
Q1 憲法を改正しなければ、新しい人権は保障されないのでしょうか?
Q2 今の憲法では、環境権が人権として保障されていないのでしょうか?
Q3 知る権利を拡充するために、憲法への明記は必要なのでしょうか?
第3部 憲法を守り育てるために
1 国民投票法にも問題アリ!………池田賢太
3 沖縄と明文改憲/軍事力によらない平和が今も求められる………髙良沙哉
おわりに………髙良沙哉
編者・執筆者プロフィール(五十音順) (抄/主な著作は省略) *印は編者
飯島滋明(いいじま・しげあき)*
池田賢太(いけだ・けんた)*
石川裕一郎(いしかわ・ゆういちろう)
岩本一郎(いわもと・いちろう)
榎澤幸広(えのさわ・ゆきひろ)
清末愛砂(きよすえ・あいさ)*
高良沙哉(たから・さちか)*
渡邊 弘(わたなべ・ひろし)
(引用終わり)
このブログを読んでくださる方の中には、「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名)に取り組んでいる方もおられると思いますが、このブックレットは、そのような方々にこそ手にとっていただきたいと思います。
上に引用した詳細目次を読まれれば分かると思いますが、署名活動の中で必ずぶつかる反応(「北朝鮮のミサイルに対抗するために憲法改正が必要」とか「大規模災害に対処するために緊急事態条項が必要」など)についても、分かりやすく説得するための材料が提供されています。もっとも、こんな説得など受け付けない人も多いだろうと思いますが、それでも、署名活動に取り組む人たちが自信をもって署名をお願いできるようになることはとても大事なことです。
もちろん、学習会の講師を頼まれた弁護士の参考書としても、大いに役立つと思います。
最後にあと2点ほど、本書から紹介しておきます。
(引用開始)
(略)
皆さんも自衛隊の車両が走っているのを見るとわかると思いますが、大抵、曹士隊員が乗った大型トラックが先頭を走り、幹部が乗った小型車(パジェロ)が最後に走ります。これは曹士隊員を盾にして幹部が生き残れるようにしているのです。徴兵すれば、これがスライドして徴兵された者を捨て石にして、権力者が生き残るのが戦争のセオリーです。
(引用終わり)
あと1つは、何冊かコラム的に紹介されている「オススメの一冊」の内、飯島滋明さんが書いてくださっているのが『私たちは戦争を許さない 安保法制の憲法違反を訴える』(岩波書店、2017年)です。引用します。
(引用開始)
広島や長崎のヒバクシャ、戦争で親を失った人など、アジア・太平洋戦争(1931年~1945年)で大変な苦痛を体験された人々にとっては、日本国憲法の徹底した「平和主義」は「将来の希望」でした。海外の戦争に参加させられたり、テロの対象にならなかったのは憲法の平和主義の恩恵であると考える自衛官やパイロット、船員もいます。しかし安倍自公政権は、世界中での自衛隊の武力行使を可能にする「安保法制」を成立させました。自衛隊を憲法に明記する憲法改正は、「安保法制」を憲法的に認めることになります。それが良いのかどうか、戦争体験者や安保法制により生命や身体が危険に晒されると強い危機感をもつ人々の思いもふまえて考えてください。(飯島滋明)
(引用終わり)
(弁護士・金原徹雄のブログから/安倍改憲メッセージ関連)
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