wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

日本弁護士連合会「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書」(2018年11月13日)を読む

 2018年11月13日配信(予定)のメルマガ金原No.3330を転載します。
 
日本弁護士連合会「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書」(2018年11月13日)を読む
 
 今臨時国会に上程されている問題法案の一つが「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」であることは、報道等で意識はしているものの、何しろ肝心の法律案を読んでいなかったり、現行の「出入国管理及び難民認定法」自体がどのような構造の法体系をなしているのかについての知識が十分でなかったりということが重なり、とても自ら何らかの発言ができる段階ではないという自覚だけはありました。
 
 今日(11月13日)たまたま、日本弁護士連合会が「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書」を公表しましたので、これを全文紹介することにしたのは、ひとえに私自身の勉強のためであり、意見書で言及されている文献をネット検索してリンクしたのも、その参考資料として参照しなければということからです。
 
 この日弁連の意見書自体、従来からこの分野について深く考えてきた人たちから見て、どのような評価になるのかよく分かりません。「改正法案は,外国人労働者の受入れが目的であることを正面から認め,制度構築を行っているものであり,その方向性は正しいと考える。」という前提も、私などは「そうなのかな?」と、どっちつかずの中途半端な状態でふらついています。
 
 以下、まず日弁連意見書全文(関連資料へのリンク付)をご紹介した上で、次に、法案自体を理解するために、「(法律案提出の)理由」と「法律案要綱」を全文引用し、「法律案」と「新旧対照条文」にリンクしておきます。
 そして、最後に、ネットで目に付いた論評や意見にリンクします。
 
 以上は、既に書いたように、私の勉強用のメモですが(全文引用する場合、必ず通読しますので)、皆さまのお役にも立つことがあればまことに幸いです。
 
日本弁護士連合会 2018年(平成30年)11月13日
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する意見書
(引用開始)
 政府は,本年6月15日,「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下「骨太の方針」という。)を閣議決定し,深刻な人手不足を背景に,「真に必要な分野に着目し,・・・外国人材の受入れを拡大するため,新たな在留資格を創設する」ほか,「外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む」こととした。これを受けて,11月2日,新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」を創設すること,新たに「出入国在留管理庁」を創設すること等を内容とする出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)が閣議決定され,第197回国会に上程された。
 改正法案は,外国人労働者の受入れが目的であることを正面から認め,制度構築を行っているものであり,その方向性は正しいと考える。しかし,改正法案については以下の問題点があるので,当連合会は,次のとおり意見を述べる。
 
第1 技能実習制度との関係
 技能実習制度は,名目上は日本の技術を国際的に移転させる国際貢献のための制度であるとされているものの,実態は非熟練労働者の受入れのための制度となっており,技能実習という目的のために,原則として職場移転の自由が認められず,不当な処遇や権利侵害を受けた労働者であっても帰国を避けるためにはこれを受忍するほかないという構造的問題を抱えている。このような技能実習制度は直ちに廃止した上で,非熟練労働者の受入れを前提とした在留資格を創設し,外国人を受け入れることについて,その是非,その範囲などを,外国人の人権にも配慮した上で,国会などの場で十分に検討するべきである。改正法案は,非熟練労働者を含む外国人労働者の新たな受入れ制度を創設するものであり,なおさら技能実習制度は直ちに廃止されるべきである(その際,既に現実に在留している
技能実習生が不利益を被らないような措置を採るべきである。)。いわんや新たな在留資格の対象職種に合わせて,技能実習制度の対象職種を拡大するような運用はすべきでない。
 
第2 職場移転の自由の保障
 前述のとおり技能実習制度では,原則として職場移転の自由が認められていない。
 この点,改正法案では,入国・在留を認めた分野の中での転職を認めることとされており,一定の評価に値する。ただし,職場移転の自由を実質的に確保し,保障するためには,ハローワーク等が特定技能所属機関(以下「受入れ機関」という。)としての条件を満たす同一分野の事業者のリストを公開し,転職相談を受けるなど,公的機関による転職支援を行うことが重要である。このことは,国内における悪質な紹介業者を排除するためにも必要である。
 
第3 送出し国におけるブローカーの排除
 技能実習制度では,技能実習生がブローカーに多額の渡航前費用や保証金,違約金等を支払わされることなどが横行していた。外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「技能実習法」という。)により一定の対応がなされたが,いまだ後を絶たない。このような問題を起こさないためにも,外国人労働者の募集と送出しを日本の出先機関(例えば,新たな独立行政法人等)又は送出し国の公的機関に担わせるべきである。公的機関による斡旋が困難な場合には,日本と送出し国の二国間協定により,高額の手数料や保証金を取ったり違約金を定めたりする民間仲介業者を排除するよう合意するべきであり,排除が不十分であるときは当該国からの受入れの停止も可能とすることを検討すべきである。
 
第4 受け入れた外国人に対する適切な支援 
 新たな在留資格制度は,受入れ企業から費用を受領する登録支援機関が,外国人材の適切な支援を行うこととしているが,同機関は登録制であり,一定の欠格事由や一定の体制の不備等の登録拒否事由がない限り登録が可能となっている。
 ところで,技能実習制度においては,「技能実習生の保護について重要な役割を果たすもの」(技能実習法5条2項)とされている監理団体が実習実施機関を監督・指導することとなっている。しかし,監理団体は,実習実施機関から費用を受領して運営されているという構造的な問題もあって適切な監督・指導等を行えず,むしろ監理団体が技能実習生に対する人権侵害を放置する例もあった。この点も技能実習法により一定の対応がなされたが,いまだ後を絶たない。新たな在留資格制度における登録支援機関についても,同様な問題が生じないよう,その担い手は公的機関や適切な人的物的資源を持つNGO等となるような制度として,その厳格な運用を行うべきである。
 支援の内容についても,「一号特定技能外国人支援計画」(改正法案2条の5第6項)において,日本語教育や社会生活上の教育などについて基準を設けるべきである。
 支援の内容は,「職業生活上の支援」を含むものとされるが,職場における処遇に関する相談や紛争処理を,受入れ機関が自ら行うことや,受入れ機関から費用を受領して受託する登録支援機関が行うことは不適切であり,これらの支援は,多言語による法律相談を,国,自治体等から委託を受けるなどして,弁護士会・弁護士が行ったり,労働基準監督署などが行ったりすることが必要である。
 このように,あらゆる支援を受入れ機関や登録支援機関に委ね丸投げするのではなく,国や自治体,NGO,弁護士会,法テラス等が連携して,支援の内容に応じて適切な仕組みを構築するべきである。
 
第5 家族の帯同
 自由権規約23条,児童の権利条約9条は家族が共に暮らす権利を保障している。また,ILO条約143号(未批准)13条は,移民労働者の家族の同居の促進を定めている。さらに,ヨーロッパでは,欧州人権条約8条は家族生活の尊重を規定している。アメリカの非熟練労働者受入れ制度(H-2A・H-2Bビザ)は家族の帯同を認めている。これに対して,政府は,技能実習修了者が特定技能1号で就労する場合,最長で10年という長期にわたり日本に滞在・就労することになるにもかかわらず,家族の帯同を認めないとしている。このような長期間の家族帯同禁止は,上記の国際条約の趣旨に沿わないものである。家族の帯同を認めないという方針は,家族と共に暮らすという人間の自然な在り方に反するものであり,看過できない。
 よって,特定技能 1号の場合でも,少なくとも一定期間以上滞在した者などについては,家族の帯同を認めるべきである。
 
第6 在留基準の透明性・客観性
 改正法案では,受入れの基準は,法務大臣がその案を作成して閣議決定した「基本方針」と,法務大臣が,所管する関係行政機関の長,国家公安委員会その他の大臣と共同して制定した「分野別運用方針」によって定められることとなっているが,特定技能1号の「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」,特定技能2号の「熟練した技能を要する業務」の認定などの具体的基準は示されていない。
 このような状況では,行政庁による恣意的な運用がなされるおそれがあるので,客観性・透明性のある基準を設けるべきである。
 
第7 雇用形態
 改正法案に先立って政府が発表した政府基本方針(骨子案)は,雇用形態に関して,原則として直接雇用であることとしながら,分野の特性に応じて派遣形態も可能としている。しかし,派遣労働は低賃金・不安定雇用を固定化するものであり,専門職以外にはこれを認めるべきではない(当連合会の2010年(平成22年)2月19日付け「労働者派遣法の今国会での抜本的改正を求める意見書」など)。専門職とはいえない,特定技能の在留資格の労働者についても,派遣形態は認めるべきではない。
 
第8 共生のための施策の位置付け
 外国人労働者を正面から受け入れることとなる今こそ,外国にルーツを持つ人々の権利を守り,差別を解消して社会での共生を実現する共生政策は国の責務である。骨太の方針においても,「法務省が総合調整機能を持って・・・関係省庁,地方自治体等との連携を強化する。・・・外国人の受入れ環境の整備を通じ,・・・外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく」としていた。しかし,改正法案においては,外国にルーツを持つ人々と共生できる社会の実現という点は触れられていない。法律において共生政策の実施を国の責務として明確に位置付け,財政的な手当てをすることが必要である。
 このような国や自治体の体制を整備するためには,共生政策のための基本法(仮称「多文化共生法」)を制定することが喫緊の課題となる。
 また,新たに設置する庁の任務として共生政策の実施,総合調整機能を明記するべきである。
 
第9 国際人権基準に適合した出入国在留管理行政の実現
 骨太の方針を受けて本年7月24日に外国人の受入れ・共生に関する関係閣僚会議に提示された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)」では,「不法滞在者等への対策強化」などの新たな在留管理体制の構築が検討されている。これに対して,出入国に関係する退去強制手続について,人権上の要請に基づく改正は予定されていない。しかし,出入国管理における身体拘束制度は,収容の必要性や相当性に関する要件や期限を設けないものとなっており,国際的な基準に適合しているとは言えない(当連合会の2014年(平成26年)9月18日付け「出入国管理における身体拘束制度の改善のための意見書」)。現に,東日本入国管理センターでは,1年以上の被収容者が7割以上を占め,3年以上収容されている者も10名以上いる(2018年7月31日現在)。また,在留特別許可の基準も,国際人権法上の要請を満たすことを明示していない(当連合会の2010年(平成22年)11月17日付け「在留特別許可のあり方への提言」)。
 本改正案によって新たな在留資格で外国人を受け入れるに当たっては,国際人権基準に適合した出入国管理行政を実現すべきである。
                                                                             以上
(引用終わり)
 
※参考資料の紹介
前文
〇経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~(平成30年6月15日閣議決定
第1 技能実習制度との関係
第2 職場移転の自由の保障
第3 送出し国におけるブローカーの排除
第4 受け入れた外国人に対する適切な支援 
〇外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)
第5 家族の帯同
〇市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)
〇ILO条約143号~劣悪な条件の下にある移住並びに移民労働者の機会及び待遇の均等の促進に関する条約(第143号)
〇人権及び基本的自由の保護のための条約(ヨーロッパ人権条約)
第7 雇用形態
〇労働者派遣法の今国会での抜本的改正を求める意見書(日本弁護士連合会2010年2月19日付)
第9 国際人権基準に適合した出入国在留管理行政の実現
〇外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)(平成30年7月24日外国人の受入れ・共生に関する関係閣僚会議)
出入国管理における身体拘束制度の改善のための意見書(日本弁護士連合会2014年9月18日付)
〇在留特別許可のあり方への提言(日本弁護士連合会2010年11月17日付)
 
 以下には、政府が提出した法律案についての資料をご紹介します。法務省ホームページから閲覧できます。
 
理由(法律案提出の)
(引用開始)
 人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受入れを図るため、当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格に係る制度を設け、その運用に関する基本方針及び分野別運用方針の策定、当該外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約並びに当該機関が当該外国人に対して行う支援等に関する規定を整備するほか、外国人の出入国及び在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進するため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設する必要がある。これが、この法律案を提
出する理由である。
(引用終わり)
 
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案要綱
(引用開始)
第一 出入国管理及び難民認定法の一部改正
一 目的に関する規定の整備
 法の目的に、本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図ることを追加すること。(第一条関係)
二 出入国在留管理庁長官の権限に関する規定の整備
 出入国在留管理庁の設置に伴い、主任審査官の指定等は、出入国在留管理庁長官が行うこととする等所要の規定の整備を行うこと。(第二条、第九条、第九条の二、第十四条の二、第十七条、第十九条から第十九条の四、第十九条の六から第十九条の十三、第十九条の十五から第十九条の十七、第十九条の三十六から第二十条、第二十二条、第二十二条の四、第二十三条、第二十六条、第四十一条、第五十条、第五十二条、第五十五条、第五十九条の二、第六十一条の二の二、第六十一条の二の七、第六十一条の二の十二、第六十一条の二の十三、第六十一条の八から第六十一条の九関係)
三 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針等に関する規定の整備
1 政府は、特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないものとすること。(第二条の三関係)
2 法務大臣は、基本方針にのっとり、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野を所管する関係行政機関の長並びに国家公安委員会外務大臣及び厚生労働大臣と共同して、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、当該産業上の分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(以下「分野別運用方針」という。)を定めなければならないものとすること。(第二条の四関係)
四 特定技能雇用契約等に関する規定の整備
1 別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号又は第二号に掲げる活動を行おうとする外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約(以下「特定技能雇用契約」という。)は、次に掲げる事項が適切に定められているものとして法務省令で定める基準に適合するものでなければならないものとすること。(第二条の五第一項、第二項関係
⑴ 特定技能雇用契約に基づいて当該外国人が行う当該活動の内容及びこれに対する報酬その他の雇用関係に関する事項
⑵ ⑴に掲げるもののほか、特定技能雇用契約の期間が満了した外国人の出国を確保するための措置その他当該外国人の適正な在留に資するために必要な事項
2 特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関は、次に掲げる事項が確保されるものとして法務省令で定める基準に適合するものでなければならないものとすること。(第二条の五第三項、第四項関係)
⑴ 所要の基準に適合する特定技能雇用契約(以下「適合特定技能雇用契約」という。)の適正な履行
⑵ この法律の規定に適合する一号特定技能外国人支援計画(以下「適合一号特定技能外国人支援計画」という。)の適正な実施
3 特定技能雇用契約の相手方である本邦の公私の機関(以下「特定技能所属機関」という。)が契約により九の登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合には、当該特定技能所属機関は、2(⑵に係る部分に限る。)に適合するものとみなすこと。(第二条の五第五項関係)
4 別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする本邦の公私の機関は、法務省令で定めるところにより、当該機関が当該外国人に対して行う、同号に掲げる活動を行おうとする外国人が当該活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援(以下「一号特定技能外国人支援」という。)の実施に関する計画(以下「一号特定技能外国人支援計画」という。)を作成しなければならないものとすること。(第二条の五第六項、第七項関係)
5 一号特定技能外国人支援計画は、法務省令で定める基準に適合するものでなければならないものとすること。(第二条の五第八項関係)
6 法務大臣は、1、2、4及び5の法務省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとすること。(第二条の五第九項関係)
五 上陸の手続に関する規定の整備
1 入国審査官は、別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人から上陸の申請があったときは、当該外国人については、一号特定技能外国人支援計画がこの法律の規定に適合するものであることも審査しなければならないものとすること。(第七条第一項第二号関係)
2 別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号又は第二号に掲げる活動を行おうとする外国人は、第七条第一項第二号に掲げる条件に適合していることの立証については、在留資格認定証明書をもってしなければならないものとすること。(第七条第二項関係
3 特定産業分野(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に規定する特定産業分野をいう。以下同じ。)を所管する関係行政機関の長は、当該特定産業分野に係る分野別運用方針に基づき、当該特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に対し、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとることを求めるものとし、法務大臣は、この求めがあったときは、分野別運用方針に基づき、一時的に在留資格認定証明書の交付の停止の措置をとるものとすること。(第七条の二第三項、第四項関係)
4 法務大臣は、3の措置がとられた後、在留資格認定証明書の交付の再開の措置をとることができるものとすること。(第七条の二第五項関係)
六 届出に関する規定の整備
1 中長期在留者であって、特定技能の在留資格をもって本邦に在留する者は、契約の相手方である本邦の公私の機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結が生じたときは、当該事由が生じた日から十四日以内に、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければならないものとすること。(第十九条の十六第二号関係)
2 特定技能所属機関は、次の⑴から⑷までのいずれかに該当するときは、法務省令で定めるところにより、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければならないものとすること。(第十九条の十八第一項関係)
⑴ 特定技能雇用契約の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、若しくは特定技能雇用契約が終了したとき、又は新たな特定技能雇用契約の締結をしたとき。
⑵ 一号特定技能外国人支援計画の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき。
⑶ 四の3の契約の締結若しくは変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、又は当該契約が終了したとき。
⑷ ⑴から⑶までに掲げるもののほか、法務省令で定める場合に該当するとき。
3 特定技能所属機関は、2の届出をする場合を除くほか、法務省令で定めるところにより、出入国在留管理庁長官に対し、次に掲げる事項を届け出なければならないものとすること。(第十九条の十八第二項関係
⑴ 受け入れている特定技能外国人(特定技能の在留資格をもって本邦に在留する外国人をいう。以下同じ。)の氏名及びその活動の内容その他の法務省令で定める事項
⑵ 適合一号特定技能外国人支援計画を作成した場合には、その実施の状況(契約により九の登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託したときを除く。)
⑶ ⑴及び⑵に掲げるもののほか、特定技能外国人の在留管理に必要なものとして法務省令で定める事項
七 特定技能所属機関に対する指導及び助言等に関する規定の整備
1 特定技能所属機関に対する指導及び助言
 出入国在留管理庁長官は、次に掲げる事項を確保するために必要があると認めるときは、特定技能所属機関に対し、必要な指導及び助言を行うことができるものとすること。(第十九条の十九関係)
⑴ 特定技能雇用契約が所要の基準に適合すること。
⑵ 適合特定技能雇用契約の適正な履行
⑶ 一号特定技能外国人支援計画がこの法律の規定に適合すること。
⑷ 適合一号特定技能外国人支援計画の適正な実施
⑸ 特定技能所属機関による特定技能外国人の受入れが出入国又は労働に関する法令に適合すること。
2 報告徴収等
 出入国在留管理庁長官は、1に掲げる事項を確保するために必要な限度において、特定技能所属機関若しくはその役職員に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、若しくは出頭を求め、又は入国審査官若しくは入国警備官に質問若しくは立入検査をさせることができるものとすること。(第十九条の二十第一項関係)
3 改善命令等
 出入国在留管理庁長官は、1に掲げる事項が確保されていないと認めるときは、特定技能所属機関に対し、期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。(第十九条の二十一第一項関係)
八 特定技能所属機関による一号特定技能外国人支援等に関する規定の整備
 特定技能所属機関は、適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、一号特定技能外国人支援を行わなければならないものとすること。(第十九条の二十二第一項関係)
九 登録支援機関に関する規定の整備
1 登録支援機関の登録
 契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下「支援業務」という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができるものとすること。(第十九条の二十三第一項関係)
2 登録の実施
 出入国在留管理庁長官は、登録の申請があったときは、登録を拒否する場合を除き、登録支援機関登録簿に登録しなければならないものとすること。(第十九条の二十五第一項関係)
3 登録の拒否
 出入国在留管理庁長官は、登録を受けようとする者が登録拒否事由に該当するときなど一定の事由に該当するときは、その登録を拒否しなければならないものとすること。(第十九条の二十六第一項関係)
4 支援業務の実施等
⑴ 1の登録を受けた者(以下「登録支援機関」という。)は、委託に係る適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、支援業務を行わなければならないものとすること。(第十九条の三十第一項関係)
⑵ 登録支援機関は、法務省令で定めるところにより、支援業務の実施状況その他法務省令で定める
事項を出入国在留管理庁長官に届け出なければならないものとすること。(第十九条の三十第二項関係
5 登録の取消し
 出入国在留管理庁長官は、登録支援機関が登録取消事由に該当するときは、その登録を取り消すことができるものとすること。(第十九条の三十二第一項関係)
6 その他
 登録の申請、変更の届出、支援業務の休廃止の届出、登録支援機関に対する指導及び助言、登録の抹消、報告又は資料の提出等について所要の規定を設けること。(第十九条の二十四、第十九条の二十七から第十九条の二十九、第十九条の三十一、第十九条の三十三、第十九条の三十四関係)
十 在留資格の変更に関する規定の整備
 特定技能の在留資格を有する者については、在留資格の変更に、法務大臣が指定する本邦の公私の機関又は特定産業分野の変更を含むものとすること。(第二十条第一項関係)
十一 関係行政機関との関係に関する規定の整備
 出入国在留管理庁長官又は入国者収容所長等は、出入国及び在留の管理並びに難民の認定に関する事務の遂行に当たり、当該事務の遂行が他の行政機関の事務に関連する場合には、関係行政機関と情報交換を行うことにより緊密に連絡し、及び協力して行うものとすること。(第六十一条の七の七関係)
十二 罰則等の整備
 この法律の規定に違反した者について、所要の罰則規定等を設けること。(第七十一条の三、第七十一条の四、第七十六条の二、第七十七条の二関係)
十三 別表第一の整備
1 特定技能の項を加え、特定技能の在留資格をもって在留する外国人が本邦において行うことができる活動として次に掲げる活動を定めること。(別表第一の二の表の特定技能の項関係)
「一 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
二 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動」
2 家族滞在の在留資格をもって在留する外国人が本邦において行うことができる活動として、別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第二号の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動を追加すること。(別表第一の四の表の家族滞在の項の下欄関係)
十四 その他所要の改正を行うこと。
 
第二 法務省設置法の一部改正
一 法務省の任務のうち出入国の公正な管理に係る部分を「出入国及び外国人の在留の公正な管理」に改めることとすること。(第三条関係)
二 法務省の外局として出入国在留管理庁を置き、同庁の長を出入国在留管理庁長官とすること。(第二十六条、第二十七条関係)
三 出入国在留管理庁の任務を次のとおり定めること。(第二十八条関係)
1 出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ること。
2 1のほか、1の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること。
3 2の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとすること。
四 出入国在留管理庁の所掌事務を定めること。(第二十九条関係)
五 法務省に施設等機関として置かれている入国者収容所を出入国在留管理庁の施設等機関として置くこととすること。(第八条、第十三条、第三十条関係)
六 法務省に地方支分部局として置かれている地方入国管理局を地方出入国在留管理局とし、出入国在留管理庁の地方支分部局として置くこととすること。(第十五条、第二十一条から第二十三条、第三十一条から第三十三条関係)
七 その他所要の改正を行うこと。
 
第三 附則
一 この法律の施行期日、経過措置等について定めること。(附則第一条から第五条関係)二 関係法律について所要の改正を行うこと。(附則第六条から第十六条関係)
三 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、特定技能の在留資格に係る制度の在り方について、関係地方公共団体、関係事業者、地域住民その他の関係者の意見を踏まえて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。(附則第十七条関係)
(引用終わり)
 
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案
 
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(案)新旧対照条文
 
 最後に、同法案についての論説記事や意見の中で目に付いたものをご紹介しておきます。
 
HUFFPOST 2018年11月06日 10時01分 JST 更新 2018年11月06日 10時12分
不安だらけの「入管法改正案」と新在留資格の創設
橋本直子(ロンドン大学高等研究院難民法イニシアチブ リサーチ・アフィリエイト
 
難民支援協会「出入国管理及び難民認定法等の改正に関する、難民支援協会の見解」
 
NPO 法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』改定案の骨子」に対する意見-今こそ、包括的な移民政策を!-」