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憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

日本ペンクラブ言論表現委員会シンポジウム「『憲法と表現の自由』の現在と未来」(2018年10月16日)動画のご紹介

 2018年10月17日配信(予定)のメルマガ金原No.3303を転載します。
 
日本ペンクラブ言論表現委員会シンポジウム「『憲法表現の自由』の現在と未来」(2018年10月16日)動画のご紹介
 
 仕事も一段落した夜、事務所のパソコンに向かいながら、「今日のブログで何を取り上げようか?」と考える時間は、「至福の時」ばかりであれば良いのですが、なかなかそうもいきません。
 何が困ると言って、素材が思いつかない時ほど困ることはありません。
 
 さて、今日(10月17日)、気になるニュースが少なくとも2つあります。どちらも、私にとっては、とても「悪い」ニュースですが、いずれこのブログで取り上げざるを得ないとは思うものの、今日のところは、やや材料不足なので、もう少し資料を集めた上で取り上げようと思います。
 
 その1つは、去る8月31日に沖縄県が行った公有水面埋立承認取消(撤回)の行政処分に対し、防衛省沖縄防衛局が、行政不服審査法に基づく審査請求と、処分が出るまで撤回の効果を止める執行停止を申し立てたことです(琉球新報辺野古承認撤回で国が対抗措置 不服請求、月内工事再開も」)。
 3年前の翁長知事による埋立承認取消(これは撤回ではなく正真正銘の取消)の際にもとられた手続で、何しろ、防衛省(の部局)が申し立てて国土交通大臣が審査するのですから、出来レースもいいいところであり、行政法研究者有志の声明では、沖縄防衛局が「私人」になりすました「国の一人芝居」にほかならないと強く批判していました。
 
 もう1つは、東京高等裁判所判事の岡口基一氏が、同高裁によって分限裁判を申し立てられ、最高裁で審理が続いていたところ、今日、「被申立人を戒告する。」との決定を受けたという、暗澹たる気持ちになるニュースです(岡口氏のFacebookより)。
 今晩8時から記者会見が行われるということですし、岡口氏が最高裁の決定書自体を公開予定ということなので、それらの内容を把握できた段階でご紹介しようと思います。
  
 ただ、私もブログでお願いしていた「裁判官にも「つぶやく自由」はある 裁判官の表現の自由の尊重を求める弁護士共同アピール」が、この事態をうけ、「アピール中止のお知らせ」を発表しましたので、これだけは引用させていただきます。
 
(引用開始)
<岡口裁判官への戒告処分の御報告とアピール中止のお知らせ>
 2018年10月17日,最高裁岡口基一裁判官に対し,分限裁判により戒告処分とする旨の決定を下しました。
 人権を守る「最後の砦」と言われる裁判所の,その頂点に立つ最高裁大法廷が,その「砦」を自ら打ち壊し,裁判官の表現の自由に配慮しない不当決定を下したことに,心からの強い憤りを感じます。
 残念ながら,本日をもって本アピールは中止せざるを得ませんが,短期間のうちに,多数の全国の弁護士が,岡口裁判官の「つぶやく自由」を守る為に声をあげることができたことは,私たちの誇りとするところです。
 私たち弁護士は,今後も,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする法律家として,全ての人々の人権を守るために,たたかい続けることでしょう。
 「砦」は傷つきましたが,必ず建て直されます。基本的人権のために闘う人がいる限り,そして,それを支える全国の弁護士がいる限り(発起人より)。
(引用終わり)
 
 ということで、重いテーマを2つも抱え込むことになりましたが、これは書かざるを得ないでしょう。
 
 それで、今日はどうしようか?ということなのですが、あまり時間もないということで、これから見る(つまりまだ見ていない)動画を(私にとっての)備忘録的に取り上げることにします。
 昨日(10月16日)夜、東京の 文京シビックホール(小ホール)で開催された日本ペンクラブ言論表現委員会シンポジウム「『憲法表現の自由』の現在と未来」の動画です。複数の動画がアップされていましたが、その内、第一部と第二部に2分割された「shusei ch1チャンネル」さんのものをご紹介します。
 構成は、第一部「私はこう考える『表現者にとっての表現の自由』」が5人の表現者によるリレートーク、第二部「座談会『憲法表現の自由の現在と未来』」が実質パネルディスカッションです。
 岡口裁判官は「表現者」とは言わないかもしれませんが、私たちみんなの「表現の自由」が脅かされているという危機感は、このシンポ登壇者や日本ペンクラブも、また、岡口分限裁判に感心を寄せる国民も、全ての人が共有する認識だろうと思います。
 何とか時間を都合して視聴したいと思います。
 
【全編動画】《第1部》私はこう考える「表現者にとっての表現の自由」[シンポジウム「憲法表現の自由」の現在と未来] 2018.10.16 @文京シビックホール(1時間20分)
冒頭~ 開会挨拶 滝田誠一郎氏(作家/日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)
6分~ 石田純一氏(俳優/日本ペンクラブ会員)
25分~ 古田大輔氏(Buzz Feed Japan 創刊編集長)
37分~ 古谷経衡氏(文筆家/日本ペンクラブ会員)
47分~ 望月衣塑子氏(東京新聞社会部記者)
1時間07分~ 有田芳生氏(参議院議員/ジャーナリスト)
 
【全編動画】《第2部》座談会「憲法表現の自由の現在と未来」[シンポジウム「憲法表現の自由」の現在と未来] 2018.10.16 @文京シビックホール(48分)
 
冒頭~ 第二部「座談会『憲法表現の自由の現在と未来』」
 有田芳生氏(参議院議員/ジャーナリスト)
 古田大輔氏(Buzz Feed Japan 創刊編集長)
 古谷経衡氏(文筆家/日本ペンクラブ会員)
 望月衣塑子氏(東京新聞社会部記者)
 進行=山田健太氏(専修大学教授/日本ペンクラブ専務理事)
43分~ 閉会挨拶 吉岡忍氏(作家/日本ペンクラブ会長)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/辺野古埋立承認撤回関連)
2018年7月27日
翁長雄志沖縄県知事が公有水面埋立承認の撤回に向けた意向を表明しました(2018年7月27日)
2018年9月1日
玉城デニー氏による沖縄県知事選挙への出馬表明(2018年8月29日)を視聴する(冒頭発言部分文字起こし)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/岡口基一裁判官分限裁判関連)
2018年10月2日
「裁判官にも「つぶやく自由」はある 裁判官の表現の自由の尊重を求める弁護士共同アピール」への賛同のお願い~弁護士限定ですが

自衛隊記念日観閲式での安倍内閣総理大臣による常軌を逸した訓示(2018年10月14日)~それを誰も止めないことが最大の国家的危機

 2018年10月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3302を転載します。
 
自衛隊記念日観閲式での安倍内閣総理大臣による常軌を逸した訓示(2018年10月14日)~それを誰も止めないことが最大の国家的危機
 
読売オンライン 2018年10月14日 19時33分
首相が観閲式で訓示、自衛隊明記の改憲に意欲
(抜粋引用開始)
 安倍首相は14日、陸上自衛隊朝霞訓練場(埼玉県新座市など)で行われた自衛隊観閲式で訓示した。首相は約4000人の自衛隊員を前に、「すべての自衛隊員が強い誇りをもって任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任を果たす」と述べ、自衛隊の根拠規定を明記する憲法改正に意欲をにじませた。(後略)
(引用終わり)
 
日本経済新聞 2018/10/14 13:05
首相、自衛隊憲法明記に意欲 観閲式で訓示
(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は14日、陸上自衛隊朝霞訓練場(埼玉県新座市など)で開いた観閲式で訓示した。「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは今を生きる政治家の責任だ。責任を果たす決意だ」と述べ、憲法9条に自衛隊の存在を明記する改憲案の実現に意欲を示した。(後略)
(引用終わり)
 
産経ニュース 2018.10.14 12:41
安倍首相「政治の責任果たす」 陸自観閲式で憲法改正に意欲
(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は14日、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区など)の朝霞訓練場で行われた自衛隊観閲式で訓示し、「すべての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任を果たしていく」と述べ、憲法9条自衛隊の存在を明記することへの決意を改めて示した。(後略)
(引用終わり)
 
毎日新聞 2018年10月14日 18時14分(最終更新 10月14日 18時39分)
首相 陸自観閲式で訓示 改憲へ意欲あらわ
(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は14日、陸上自衛隊の朝霞訓練場(東京都練馬区など)で行われた観閲式で訓示した。首相は「国民の9割は敬意を持って自衛隊を認めている。かつては厳しい目で見られたが、諸君自身の手で信頼を勝ち得た」と述べたうえで、「次は政治がその役割をしっかり果たさなければいけない」と表明。憲法9条への自衛隊明記に重ねて意欲を示した。(後略)
(引用終わり)
 
朝日新聞デジタル 2018年10月15日05時00分
自衛隊、誇り持てる環境を」 首相、改憲に意欲 観閲式
(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は14日、陸上自衛隊朝霞訓練場(埼玉県など)であった自衛隊観閲式に出席した。訓示で「すべての自衛隊員が強い誇りをもって任務をまっとうできる環境を整える」と述べ、改めて自衛隊を9条に明記する憲法改正への意欲をにじませた。(後略)
(引用終わり)
 
TBSニュース 2018年10月14日 14時53分
安倍首相、自衛隊観閲式で9条改正に改めて意欲
(抜粋引用開始)
 安倍総理は3年に1度行われる陸上自衛隊の観閲式に出席し、自衛隊員を前に、憲法9条自衛隊を明記する憲法改正に改めて意欲を示しました。
 「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える、これは今を生きる政治家の責任であります。私は、その責任をしっかり果たしていく決意です」(安倍首相)
 自衛隊の観閲式に出席した安倍総理はこのように述べ、憲法9条自衛隊を明記する憲法改正に改めて意欲を示しました。(後略)
(引用終わり)
 
 きりがないので引用はこれくらいで止めておきますが、いずれのメディアも異口同音に、安倍首相が改憲憲法改正、9条改正、自衛隊明記)に「意欲」という表現で訓示の内容を伝えています。
 
 各社が引用した部分を、首相官邸ホームページからあらためて引用しておきます(同サイトには動画もあります)。
 
平成30年10月14日
平成30年度自衛隊記念日観閲式 安倍内閣総理大臣訓示
(抜粋引用開始)
 今や、国民の9割は、敬意をもって、自衛隊を認めています。60年を超える歩みの中で、自衛隊の存在は、かつては、厳しい目で見られた時もありました。それでも、歯を食いしばり、ただひたすらに、その職務を全うしてきた。
 正に、諸君自身の手で、信頼を勝ち得たのであります。
 次は、政治がその役割をしっかり果たしていかなければならない。
 全ての自衛隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは、今を生きる政治家の責任であります。私はその責任をしっかり果たしていく決意です。
(引用終わり)
 
 安倍首相の言のとおりだとすれば、9割の国民が敬意をもって自衛隊を認めているというのですから、なぜ「今の自衛隊」(集団的自衛権の行使も一部認められた安保法制型自衛隊)をわざわざ憲法に明記する提案(発議)を行い、国民投票によって否決されるかもしれないというリスクを冒すのか、首相の立場に立ったとしても、とても合理的な説明をすることができません。
 早稲田大学の長谷部泰男教授がつとに指摘されているとおり、安倍首相やその取り巻きは、自衛隊を明記する改憲発議をすれば、国民投票で賛成が多数を占めるとしか考えていないようですが、否決されるという可能性も十分にある訳で、もしも改憲派国民投票で敗れたら、自衛隊は一体どうなるのでしょうか?
 もちろん、憲法改正国民投票の結果如何にかかわらず、自衛隊法やその関連法の効力に直接的な影響はありませんから、ただちに自衛隊の存在が法的にゆらぐことはありませんが、国民投票によって示された国民の意思は、「今の自衛隊」の正統性について、重大な疑義をもたらします。
 一体、9割の国民が認めている自衛隊とは何なのか?
 2014年7月1日閣議決定と2015年9月19日成立の安保法制によって変質する前の専守防衛自衛隊なのか?
 それとも、人道支援の名の下にインド洋やイラクに部隊派遣するようになる前の、海外派兵はしない自衛隊なのか?
 あるいは、武器・装備はそこそこで良いから、もっぱら国内・国外の災害救助に力を注いでくれる自衛隊なのか?
 いずれにせよ、国民投票自衛隊明記案が否決された場合の混乱(主として正統性をめぐる混乱)を、安倍首相がどう考えているのか(何も考えていないのか)、理解不能です。
 
 ただし、安倍首相の改憲への「意欲」を一斉に報じたマスメディアのほとんどが、首相の憲法尊重予後義務について触れていないのは納得しにくいところです。
 
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
 
 この点を明確に批判したのは、今回もやはり日本共産党でした。
 
志位和夫Twitter 6:26 PM - 14 Oct 2018
「『自衛隊の最悪の政治利用だ』共産 志位委員長が首相批判」
「政治的中立性が最も厳格に求められる実力組織での訓示で、持論の改憲の号令をかけるというのは、常軌を逸した危険で異常な行動だ。自衛隊の最悪の政治利用であり、憲法99条に違反する行動だ。許してはならない!」
 
日本共産党YouTubeチャンネル 志位委員長の会見 2018年10月14日(34分)
※各社からの質問は主に今後の野党共闘について集中していましたが、25分40秒~でNHKの記者からこの日行われた自衛隊観閲式での安倍首相訓示についての質問がなされました。26分~の志位委員長による発言を要約したものが上記tweetです。
 そんなに長いものではないので、以下に書き起こしておきます。
 
(書き起こし開始)
質問 NHKのキタヤマです。昨日の委員長のご報告にもあった憲法改正について伺いたいんですけども、今日安倍総理大臣が自衛隊の観閲式の中で、あらためて、自衛隊員が誇りをもって任務を全うできる環境を整えることが、今を生きる政治家の責務だという風に発言してまして、憲法改正にあらためて意欲を示したんですけれども、委員長のご所見をあらためてお願いします。 
志位和夫氏 これはね、本当に常軌を逸した行動だと、強く批判したいと思います。それで、自衛隊というのは、政治的中立性が最も厳格に求められる実力組織です。その実力組織の観閲の場で、その最高司令官が憲法改定のいわば号令をかけると。これはね、自衛隊の、本当に最悪の政治利用ですよ。そして、憲法99条には、閣僚の憲法遵守、尊重義務が書いてある、憲法99条違反であることは明瞭です。総理大臣として訓示を言っている訳でしょ。自民党総裁だからっていう言い逃れは通用しませんよね。そういう場でね、改憲の事実上の宣言をする、これは本当に常軌を逸した暴走だと。ですから、中身の面でも大問題ですけどね、やり方の面で全く常軌を逸してるということを強く批判したいと思います。
(書き起こし終わり) 
 
 この短い応答の中で、「常軌を逸した」という表現が3回も繰り返されているところをみると、さすがの志位委員長も、安倍首相の度外れた暴走ぶりに、言葉を失ってしまったのかもしれません。
 
 ここまで読んできて、皆さんは、当然、9月3日に行われた第52回自衛隊高級幹部会同での安倍内閣総理大臣による訓示を思い出していただけましたよね?
 該当部分を首相官邸ホームページから引用しておきましょう。
 
平成30年9月3日
第52回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示
(抜粋引用開始)
 国民のために命をかける。これは全国25万人の自衛隊員一人一人が自分の家族に胸を張るべき気高き仕事であり、自分の子や孫たちにも誇るべき崇高な任務であります。
 幹部諸君。それにもかかわらず、長きにわたる諸君の自衛隊員としての歩みを振り返るとき、時には心無い批判にさらされたこともあったと思います。悔しい思いをしたこともあったかもしれない。自衛隊の最高指揮官、そして同じ時代を生きた政治家として、忸怩(じくじ)たる思いです。
 全ての自衛隊隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは、今を生きる政治家の責任であります。私はその責任をしっかり果たしていく決意です。
(引用終わり)
 
 それからわずか6週間足らずにして、今度ははるかに多くの自衛官を前にした観閲式での訓示です。もう、安倍首相の周辺にはもちろん、自民党の中にも、「いくらなんでも、これはまずいと思います。」と直言できる者が跡を絶ったということでしょう。
 実は、そのことが、この一連の安倍首相訓示の最大の問題なのではないかと思われます。
 
 なお、9月3日の訓示については、以下のリンク一覧「自衛隊員の服務宣誓関連」の末尾のブログをご参照願います。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/自衛隊員の服務宣誓関連)
2013年8月29日
自衛隊員等の「服務宣誓」と日本国憲法
2014年7月3日
今あらためて考える 自衛隊員の「服務宣誓」
2015年5月31日
もう一度問う 自衛隊員の「服務の宣誓」~宣誓をやり直さねばおかしい
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/立憲主義憲法尊重擁護義務)
2012年5月3日(2013年1月26日に再配信)
憲法記念日に考える(立憲主義ということ) 前編
2012年5月3日(2013年1月26日に再配信)
憲法記念日に考える(立憲主義ということ) 前編
2013年4月3日
日本国憲法「第10章 最高法規」を読む 前編
2013年4月3日
日本国憲法「第10章 最高法規」を読む 後編
2014年9月27日
地方議会の「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」は憲法尊重擁護義務に違反する
2017年2月18日
安倍内閣は「憲法99条は内閣総理大臣憲法改正を主張することを禁止する趣旨のものではない」と断定した
2018年9月5日
憲法尊重擁護義務を土足で踏みにじった安倍晋三内閣総理大臣の訓示(第52回自衛隊高級幹部会同にて)

白浜町議会(2018年9月6日)で使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを表明した井澗(いたに)誠町長の発言全文(書き起こし)

 2018年10月15日配信(予定)のメルマガ金原No.3301を転載します。
 
白浜町議会(2018年9月6日)で使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを表明した井澗(いたに)誠町長の発言全文(書き起こし)
 
 和歌山県白浜町における使用済み核燃料中間貯蔵施設建設問題については、これまでもこのブログでずっとフォローしてきましたが、先月開かれた白浜町議会平成30年第3回定例会(9月定例会)の第2日冒頭、提案説明のために登壇した井澗誠(いたに・まこと)町長が、議員からの質問に答えるというのではなく自ら、「白浜町は観光産業を中心に発展してきた。町の将来は観光産業の進展にかかっている」とした上で「町が目指すのは私のスローガンでもある『世界に誇れる観光リゾート白浜』の実現であり、豊かな自然環境や資源を後世に引き継ぐ責務が私にはある」とし、「将来的に(電力)事業者などから申し入れがあったとしても協議をする考えはない」と述べた(紀伊民報)と報じられました。
 
 私は、早速このことをブログで速報するとともに(白浜町の井澗(いたに)誠町長が使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを議会で表明(2018年9月6日)/2018年9月8日)、「なお、上記9月6日の井澗誠町長による表明が、会議録や動画でアップされましたら、あらためてブログでご紹介しようと思いますので、いましばらくお待ちください。」とお約束しました。
 
 このため、私は折に触れて、白浜町議会のホームページを確認し、9月定例会の会議録が公開されていないかと確認してみるのですが、9月20日に閉会してから3週間以上経ちましたが、まだ会議録は公開されていません。
 
 ただ、「平成30年第3回(9月)定例会録画映像」は現在配信中であるため(視聴のためには「Adobe社のAdobe Flash Player」が必要です)、その映像に基づき、私自身で文字起こしすることにしました。
 従って、文字遣いなどは私の判断で適宜行っていますし、聴き取り間違いの可能性もありますので、是非、ご自身で録画映像をご確認ください。
 
 井澗誠町長の中間貯蔵施設に関する発言は、9月4日に開会した白浜町議会9月定例会の第2日である9月6日(1日目は会期を決めただけなので、実質審議はこの日から)の冒頭、議案の提案理由の説明のために登壇した際、主題である提案説明に先立ち行われました。
 以下の録画映像の2分45秒から井澗町長の発言が始まりますが、使用済み核燃料中間貯蔵施設についての意向表明は14分22秒から15分45秒までの部分です。
 以下、当該部分のみ書き起こします。
 
白浜町議会録画配信 平成30年第3回(9月)定例会 
平成30年9月6日(第2日)挨拶、提案説明
(書き起こし開始)
井澗誠町長 議員各位ならびに町民の皆さまにご心配いただいております原子力発電所から発生した使用済み核燃料の中間貯蔵施設に関することにつきましては、これまでも国や事業者から何のコンタクトもない中ではございますが、受け入れる考えはないとの私の考えを申し上げてきたところでございます。しかしながら、その後も幾度か見解を問われ、その都度私の考えを申し上げてきましたが、まだまだ不安を感じておられる方々もいらっしゃるとお聞きしてございます。この際、私の真意を伝えていくのが責務であると考え、あらためて私の考えを申し上げます。
 古き時代から先人が築き上げてきた白浜町は、観光産業が中心となって発展してまいりました。白浜町の将来は、観光産業の進展にかかっていると考えてございます。白浜町の目指すところは、私の公約、スローガンでもある「世界に誇れる観光リゾート白浜」の実現であり、豊かな自然環境や資源を後世に引き継ぐ責務が私にはございます。使用済み核燃料の中間貯蔵施設につきましては、私の公約にも第二次白浜町長期総合計画にもございません。従いまして、以前から申し上げておりますように、受け入れることは考えておりませんし、仮に将来的に事業者等から申し入れがあったとしても、受入の協議を行う考えはありませんので、再度私の考えを申し上げる次第でございます。  
(書き起こし終わり)
 
 紀伊民報の記事で「「将来的に(電力)事業者などから申し入れがあったとしても協議をする考えはない」と述べた。」といういのは読んでいましたが、自分で書き起こしをしてみて、「ここまで明確に受入拒否の意向を表明していたのか」とあらためてその意義を確認しました。
 
 これまでの井澗誠町長のこの問題についての発言の推移を追いかけてきた者から見れば、今回の町長の発言中最も重要な部分は、この「仮に将来的に事業者等から申し入れがあったとしても、受入の協議を行う考えはありません。」であることは明らかでしょう。
 もちろん、世の中、とりわけ政治の世界では何が起こるか分かりませんから、油断することはできませんが、地元の白浜町や近隣自治体の住民の皆さんをはじめ、県内・県外の様々な団体が「温泉観光とパンダの町・白浜町を核のゴミの捨て場にしないよう」求めてきた運動の成果でしょう。
 
  以上、9月6日の白浜町議会における井澗誠町長による使用済み核燃料中間貯蔵施設についての意向表明(全文)をご紹介しました。
 

(追記)
 松浦雅代さんから、使用済み核燃料中間貯蔵施設問題についての報告会(10月20日/和歌山県田辺市脱原発わかやま)及び集会(10月28日/大阪市/避難計画を案ずる関西連絡会)のご案内がありましたので、以下にチラシ記載された概要を摘記してお知らせします。ご都合のつく方は是非ご参加ください。いずれも、脱原発わかやま代表の冷水喜久夫さんが和歌山の状況を報告される予定です。
 
脱原発わかやま」経過報告会
日時 2018年10月20日(土)13時30分~
会場 万呂コミュニティセンター
   (和歌山県田辺市中万呂46-3)
内容 
*白浜の中間貯蔵施設の経緯  報告 冷水喜久夫
*意見交流
脱原発わかやま」では、原子力発電所から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設に関する学習会をこれまで2回行ってきました。この一年、当該施設を巡って水面下の部分もありますが各地で様々な動きがありました。県内、白浜町でも町内に関電所有の土地があることで候補地となる可能性があり、中間貯蔵施設を造らせない為の地元住民団体も設立されました。
今回は、その経過報告を行います。皆さま、ぜひご参加いただき情報共有・意見交流の場としていただければと思います。
(連絡先)事務局 田中(070-1364-4093)

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10・28 核のゴミ捨て場「中間貯蔵」はいらない!関西集会
日時 2018年10月28日(日)13時30分~16時30分(開場:13時10分)
会場 ドーンセンター(大阪府男女共同参画・青少年センター) 5階 大会議室2
   (大阪市中央区大手前1丁目3-49)
   ※地下鉄谷町線京阪電車天満橋」下車 徒歩約5分(地下鉄は①番出口)
参加費 一般500円、大学生以下・避難者200円
ゲスト
●冷水喜久夫さん(核のゴミはいらん日置川の会事務局長/脱原発わかやま代表)
●東山幸弘さん(ふるさとを守る高浜・おおいの会)
主催 避難計画を案ずる関西連絡会
皆さまへ
 和歌山県白浜町日置川に使用済燃料の中間貯蔵施設をつくろうとするたくらみに対し、それに抵抗する動きが広がっています。7月29日に「核のゴミはいらん日置川の会」が結成され、8月に白浜町の他の地区でも会が結成されました。これまで「関電の話は聞く」と答弁していた白浜町長も、ついに9月議会の冒頭で、「申入れがあったとしても協議をする考えはない」と表明せざるを得ませんでした。
 10月28日の集会では日置川の会を結成した冷水さんに、日置川の過疎の実情や「子どもや孫を守るため」に会を結成したその思いなどを語っていただきます。
 関西電力は昨年11月に福井県知事の要請に応じて今年(2018年)中に、福井県外で中間貯蔵の候補地を公表すると約束しました。集会時点ではその期限までに2カ月を残すだけとなります。
 8月終盤になって、まず高浜町長がついでおおい町長が、原発敷地内に乾式貯蔵施設をつくる選択肢もあるとわざわざ表明しました。このような発言は撤回すべきです。
 この状況も含む福井県内の問題について、高浜町の東山さんに語っていただきます。その話の中から、福井県において直面している諸課題をくみ取り、議論を通じて運動の方向を見出していきましょう。関西での取り組みも交流します。
 この集会を通じて、和歌山・関西・福井の運動は連携を強め
●中間貯蔵施設を白浜にもどこにも造らせない強い意思を表明し、関電の動きをけん制しよう!
●関電の福井県知事への約束違反状態をつくりだし、まずは大飯原発の、さらに高浜原発美浜原発の運転をとめよう。核のゴミ・使用済燃料のこれ以上の発生をとめよう!
(避難計画を案ずる関西連絡会)
グリーン・アクション TEL:075-701-7223
美浜の会 TEL:06-6367-6580
原発なしで暮らしたい丹波の会 TEL:090-3862-2468
脱原発はりまアクション TEL:079-421-2853
原発防災を考える兵庫の会 TEL:080-5707-7908
※チラシPDF

f:id:wakaben6888:20181015180219j:plain

 

(弁護士・金原徹雄のブログから/白浜町・中間貯蔵施設関連)
2018年1月8日
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会」(2018年1月20日)のご案内
2018年2月3日
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!」(講師:小山英之美浜の会代表)が和歌山市でも開催されます(2/18あいあいセンター)
2018年2月4日
吉原毅氏を招いて/「原発ゼロ法案」と「核のゴミ」を考える~白浜に核のゴミ(中間貯蔵施設)は来るのか!?~(2/23田辺ビッグ・ユー)のご案内
2018年2月25日
白浜町長に県内8団体が要望書を提出~使用済核燃料の中間貯蔵施設は受け入れないとの意思の表明を求める(2018年2月23日)
2018年2月26日
パンダの町・白浜町関西電力の中間貯蔵施設を受け入れるのか?~白浜町議会2017年12月定例会会議録を読む
2018年4月17日
白浜町長への要望書「(略)白浜町を核のゴミの捨て場にしないよう使用済核燃料の「中間貯蔵施設」は受け入れないとの意思をあらかじめはっきりと表明してください」を読む http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51852204.html
2018年7月31日
「核のゴミはいらん日置川の会」が結成されました~松浦雅代さんからの報告
2018年9月8日
白浜町の井澗(いたに)誠町長が使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを議会で表明(2018年9月6日)

井上ともやすさんの『どこへ行くアメリカ』を聴く~「イットク フェス 2018!!」スピンオフ第2弾

 2018年10月14日配信(予定)のメルマガ金原No.3300を転載します。
 
井上ともやすさんの『どこへ行くアメリカ』を聴く~「イットク フェス 2018!!」スピンオフ第2弾
 
 先週の日曜日(10月7日)に国会周辺で行われた第2回「言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル」(イットク フェス 2018!!)の動画をあれこれ視聴したり、そこからスピンオフさせて、中川五郎さんの新しいバラッド『ピーター・ノーマンを知っているかい?』を堪能したりと、すっかり音楽づいたものですから、なおその余韻が今日のブログを書かせてくれました(スピンオフ第2弾です)。
 
 しばらく前に、中川五郎さんが書かれた「憲法9条『理想と現実』」という文章が、法学館憲法研究所WEBサイトの中の「アートな憲法ルーム」という新コーナーに掲載されているのに気がつき、そのコーナー自体をご紹介するブログを書いたことがありました(憲法と「アート」が交わるところ~法学館憲法研究所「アートな憲法ルーム」に注目を!/2018年8月30日)。
 
 その中川さんが「イットク フェス 2018!!」に出演されたという連想から、同じフェスに出演したアーティストで「アートな憲法ルーム」に登場している人がいるかもしれないと思いつき、調べてみました。
 やはり、1人おられました。「日本国憲法は平和というスピリットだ!」という文章を書かれている井上ともやすさん(シンガーソングライター)が、「イットク フェス 2018!!」に出演されていたのです。
 
 イットクフェスでの井上ともやすさんの演奏を撮影・公開してくれたのは「なにぬねノンちゃんねる」さんですが、このチャンネルは、志田陽子さん(武蔵野美術大学教授・憲法学)が、奈須りえさん(大田区議)、石岡真奈美さん(ジャズヴォーカリスト)という2人の同級生と共に行った「楽しく聴いて知るコンサート」の動画をアップしてくださったチャンネルで、その動画をブログでご紹介して以来(志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)が歌い、語る「楽しく聴いて知るコンサート」を視聴しましょう/2018年7月11日)、このチャンネルは定期的にチェックするようにしていたので、イットクフェスでの井上ともやすさんの演奏にも気がついたという訳です。
 
2018.10.7 イットクフェスにて 歌&演奏:井上ともやす(32分)
 
 イットクフェスではオリジナル曲を4曲演奏されていましたが、失礼な言い方ながら、実力十分とお見受けしました。
 ただ、私自身はこれまで全然存じ上げていなかったので、「アートな憲法ルーム」に掲載された井上さんのプロフィールを引用します。
 
(引用開始)
井上ともやす(いのうえ ともやす)さんのプロフィール
1967年生まれ。15歳の時に吉田拓郎に影響をうけギターを弾き歌い始める。
フォーク、ロックを基調にブルーグラスや沖縄音楽を融合したメッセージ色強い独自の音楽を展開している。
吉田拓郎のトリビュートライブも人気でソロやバンドスタイルで全国で演奏。
ソングライターとしても石野真子や沖縄の歌手宮良牧子などに曲を提供。
2010年10月 1stアルバム「平和の詩(うた)が聞こえる」リリース
2016年2月 2ndアルバム「アジアの瞳~Peaceful Eyes In Asia~」リリース
(引用終わり)
 
 ご自身のホームページはこちらです。
 
 その井上ともやすさんが「アートな憲法ルーム」に書かれた文章を読んでみましょう。
 
法学館憲法研究所 アートな憲法ルーム 2018年9月17日    
日本国憲法は平和というスピリットだ!  
井上ともやすさん(シンガーソングライター)    
(引用開始)
かつての僕は日本国憲法への認識が間違っていた。
憲法とは国民の代表である政治家達が考えて作られる法律のようなものなんだ、と思い込んでいた。
その間違いを気づかされ、尚且つ憲法の理念を含めその素晴らしさに胸打たれたのが伊藤真さんの講演を聞いた時だった。
まさに目からウロコ!そう、憲法は権力が暴走しないように国民を守る砦のようなもので、それは今までの不幸な時代を踏まえ、「平和を希求する人類の理念」を表した宝物のようなものだった!
(略)
だがこの国の人間はそういうのに興味ない人間は一生興味なく終えそうな雰囲気がする。
毎年東京で行われる「憲法フォークジャンボリー」に出演しているが、大体同じ出演者、同じお客さんでやってるのでは?とマイナスに考える時がある。
もっと色んな世代、色んな人間達が参加するイベントであってほしい。
(引用終わり)
 
 ここにも1人、伊藤真弁護士の講演によって「目からウロコが落ちた」人がいたんだと感銘を受けました。
 立憲主義について一応知っていたつもりの(それで司法試験にも合格した)私のような弁護士でも、伊藤先生の講演を聴いて「目からウロコ」状態になった者は、実は何人もいるんですよ。
 また、「大体同じ出演者、同じお客さんでやってるのでは?とマイナスに考える時がある。」に、「うん、うん」とうなずく人もまた多かろうと思いますよね。私など、最近は「それはそれで仕方がない」とやや開き直り気味であったりするものの、「もっと色んな世代、色んな人間達が参加するイベント」をどうやって構想するか?実はこれが一番難しい。
 
 そして、井上さんは、伊藤真弁護士によって開かれた目で日本国憲法を「平和」という視点で読み解いていきます。
 
(引用開始)
僕はあくまで歌を通して憲法が顕す「平和への祈念」を伝えていきたいという人間で、難しい憲法論議は苦手です。
でも難しそうと思われがちな憲法は実はシンプルな「平和」という精神に基づいているのであって、そこを感じて憲法を読んでみれば全て合点が行く気がする。
よく9条を変えないという事は「丸腰で戦争をする」ようなものだ、と主張する人がいる。
それは「戦争をする」事を前提にした意見だ。
何故に人は弱いのだろう・・と思う。
「平和」をイメージするより「戦争」をイメージしやすいという事だ。
「平和」は輪郭がぼやけていて「戦争」はくっきりと形が見えるのだろうか?
今こそあらゆる人類が「平和」を形作る民になってほしい!と強く思う。
戦争イメージ人間からは馬鹿にされるのは分かってるが、月にまで行けた人類が戦争を放棄する事が出来ないなんてそれこそ馬鹿げているとは思わないか!
それに丸腰で攻め込まれて殺されるとしても、殺しに行くよりはましだ!と思う。
そもそも殺そうとしてない人間を殺そうと思うのだろうか?
そんな思いを憲法が代弁してくれてるような気がする。
だから憲法を守る事に歌を通して尽力したい!
(引用終わり)
 
 最後に、イットクフェスでも謳われた『どこへ行くアメリカ』(詞・曲 井上ともやす)の全歌詞が掲載されるとともに、そのプロモーションビデオ(全曲版)が紹介されており、視聴してみると、歌詞の英訳が画面に表示されていました。
 井上さんは、この曲について、「この歌は2001年9月11日アメリ同時多発テロの衝撃が基になってます。特に貿易センタービルが崩れ落ちる映像をテレビで見た時、オウムの地下鉄サリン事件以来の暗い衝撃と「人間はもう駄目なのでは?」というような狂気じみた失望感に苛まれました。それから3年、心に燻るアメリカへの思いや戦争というイメージを吐き出したくて、ノートに10ページほど言葉を書き散らしました。それを4ページほどに編集して作曲したのがこの歌です。」と説明されています。
 
 吉田拓郎トリビュートライブも人気、ということからの連想ですが、この曲を聴くと、吉田拓郎がまだ「よしだたくろう」と表記されていた頃の、「イメージの詩」や「準ちゃんが吉田拓郎に与えた偉大なる影響」などを思い出すなあ。直接「平和」を歌った曲ではなかったけれど。
 
  何はともあれ、充実したPVだと思います。
 是非多くの方が鑑賞されますように。
 
どこへ行くアメリカ/井上ともやす 
Where you going,America/Tomoyasu Inoue(12分34秒)

「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」(デモクラシータイムス【新沖縄通信 別冊】)を保存し視聴して欲しい

 2018年10月13日配信(予定)のメルマガ金原No.3299を転載します。
 
「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」(デモクラシータイムス【新沖縄通信 別冊】)を保存し視聴して欲しい
 
 8月8日に翁長雄志(おなが・たけし)知事が急逝されたことにともなう沖縄県知事選挙も、9月30日の投開票の結果、翁長知事の後継候補、玉城デニー氏が当選しました。
 これを承け、デモクラシータイムスが、同社のYouTubeチャンネルにおいて、「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」という約30分の動画を編集して公開しました。
 収録されているのは、以下の3つの集会における翁長雄志さん、菅原文太(すがわら・ぶんた)さん、翁長樹子(おなが・みきこ)さんによる感動的なスピーチです。
 はじめは、沖縄県知事就任から約半年後の2015年5月17日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」における翁長知事による挨拶です。そこでは、70年前から始まった米軍占領下の沖縄の歴史が回顧され、沖縄県民の負託を背景として、日本の政治の堕落を痛烈に批判する翁長氏の姿勢に瞠目させられます。今回、動画をご紹介するにあたり、あらたに書き起こしを試みました。
 残る2つのスピーチは、4年前と今年の2回の沖縄知事選挙に際しての、歴史に残る応援演説です。まず、2014年11月1日、沖縄セルラースタジアム那覇において行われた「オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会」での菅原文太さんのスピーチは、それからわずか4週間も経たずに逝去されたこともあって、多くの国民にとって忘れ難いものとなりました。スピーチ直後にブログで書き起こしをしていましたので、以下に再録します。
 もう1つは、翁長知事急逝にともなう今年9月の沖縄県知事選挙において、翁長知事の遺志を継いで立候補した玉城デニー候補を応援するため、翁長知事の夫人・樹子さんが一度だけ登壇した、2018年9月22日「玉城デニー うまんちゅ大集会」(那覇市新都心公園中央広場)でのスピーチで、私は、これもブログで書き起こしを紹介していますので、以下に再録します。
 最後の翁長雄志知事による挨拶は、2016年6月19日に那覇市奥武山公園運動競技場で行われた「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」でのものですが、最後のウチナーグチでの結びの言葉だけが採用されています。
 
 この編集動画をアップするに際し、デモクラシータイムスが添えた言葉を引用します。
 
(引用開始)
翁長雄志さんの県民葬が終わった。
翁長さんのことばには魂があった。
腹の底から湧き上がる気持ちが率直で飾り気のないことばとなってほとばしっていた。
そして、そのことばと響きあった知事選の決起集会での菅原文太さんの演説も、玉城さんを応援する翁長樹子さんの挨拶も、聞くもののこころに深くしみ込んだ。
翁長さんを追悼し、この機会に4つのメッセージを再録した。
(引用終わり)
 
 以上に私から付け加えることはあまりないのですが、3人の皆さん(内2人は既に故人となっている)の言葉がどうしてこんなに私たちの胸を打つのか、その人の生き方や思いは、その人の発する言葉に如実にあらわれるからこそなのだろうと、書き起こしをしながら考えていました。
 
 是非1人でも多くの方にこの動画を保存し、折に触れて繰り返し視聴して欲しいと思います。それは、沖縄問題のみならず、自らの生き方を考える上で、とても大切な指針を与えてくれると思うからです。そして、その際、以下の書き起こしが少しでもお役に立てればと願っています。
 
デモクラシータイムス「翁長さんと魂のことば~翁長雄志さん菅原文太さん翁長樹子さん」
(29分44秒)
 
0分50秒~ 翁長雄志氏
2015年5月17日「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」にて
(書き起こし開始)
(冒頭ウチナーグチでの挨拶部分は省略)
 新辺野古基地を作らせないということで、ご結集いただいた皆さん。こちらの方、見えないと思いますが、外野席もいっぱいであります。3万人を超えてですね、4万、5万と、多くの県民が集まってると思っております。
ウチナーグチの部分省略)
 私は、多くの県民の負託を受けた知事として、県の有するあらゆる手法を用いて、辺野古に新基地は作らせない、この公約実現に向けて、全力で取り組んでいくことを、今皆さま方にあらためて決意をいたします。(拍手)
 先月、私は安倍総理、管官房長官と会談させていただきました。お二人との会談内容を国民の皆さまが注目することになり、ほとんどの中央メディアの世論調査で、平均して10%ほどの国民が反対との意思表示を(注:賛成よりも)多くやっていただきました。本土と沖縄の理解が深まったことに、大変意を強くいたしております。
 さらに、辺野古基金においても、本土からの支援が、先ほど来ありますように、多く寄せられていると聞いており、心強い限りであり、ともどもにこの沖縄から日本を変えていきたい、こう決意をしているところであります。
 しかし私が、沖縄県の民意を伝えたにもかかわらず、日米首脳会談の共同会見において、安倍総理が「普天間飛行場の危険性を、辺野古建設によって1日も早く除去する」と発言をされました。私は、強い憤りを感じております。安倍総理は「日本を取り戻す」と言っておられますが、私からすると、この「日本を取り戻す」中に、「沖縄」が入ってるのかと強く申し上げたいと思います。(拍手)
 「戦後レジームからの脱却」とよく言っておりますが、沖縄に関しては、戦後レジームの死守をしている、私はこう思っております。沖縄の基地問題(の解決)なくして、「日本を取り戻す」ことはできません。(「そうだ」の声と拍手)
 日本の安全保障は、日本国民全体で負担をする気構えがなければ、沖縄一県にほとんど負担をさせておいて、日本の国を守ると言っても、仮想敵国から日本の覚悟のほどが見透かされ、抑止力から言っても、私はどうだろうかなと思っている訳であります。
 特に沖縄から見ると、日本が独立をし、沖縄が切り離されたサンフランシスコ講和条約の祝賀式典で万歳三唱をする姿を見ると、また同じ歴史が繰り返されることがないだろうかと、あるいはまた、ミサイル数発で沖縄が沈むことはないだろうか。将来の子や孫が、また捨て石として犠牲にならないか、沖縄に責任を持つべき責任者として、しっかりと見極めていかなければなりません。(拍手)
 そして、これは強調しておかなければなりません。政府は、普天間基地の危険性の除去がこの問題の原点だと言っておりますが、沖縄から言わせると、さらなる原点は、普天間基地が戦後米軍に強制接収されたことであります。(「そうだ」の声と拍手)何回も確認をいたします。沖縄は、自ら基地を提供したことは一度もございません。(大きな拍手)普天間飛行場もそれ以外の基地も、戦後県民が収容所に収容されている間に接収をされ、また、居住場所等をはじめ、銃剣とブルドーザーで強制接収をされ、基地建設がなされた訳であります。自ら土地を奪っておきながら、普天間飛行場が老朽化したから、世界一危険だから、辺野古が唯一の解決策だ、沖縄が負担しろ、嫌なら沖縄が代替案を出せ、こういう風に言っておりますが、こんなことが皆さん許されるでしょうか。(「許されない」「NO!NO!」の声と拍手)
 私は、このことを、日本の政治の堕落だと言っている訳であります。(拍手)自国民に自由と人権、民主主義という価値観を保障できない国が、世界の国々と価値観を共有できるでしょうか。(「できない」の声と拍手)
 日米安保体制、日米同盟というものは、私はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるものであって欲しいと思っております。一方、「2+2」共同発表には、世界一危険だと指摘されている普天間飛行場の5年以内運用停止が明示されておりません。普天間飛行場の5年以内も運用停止について、前知事は県民に対し、一国の総理及び官房長官を含め、きっかりと言っている、それが最高の担保であると説明をしておりました。5年以内運用停止は、前知事が埋立承認にいたった大きな柱であります。しかし、米国側からは、日米首脳会談でも言及することはありませんでした。5年以内運用停止は、辺野古埋立承認を得るための話のご馳走、ハナシクワッチ、空手形であったのではないかと私は危惧しております。
 今日までの70年間の歴史、いつも困難の壁があるときには、必ず話のご馳走、ハナシクワッチを、ウチナワ(沖縄)県民にも国民にも聞かして、そしてそれを乗り越えたら知らんぷりと、これが70年の沖縄基地問題の実態でございます。(「そうだ」の声と拍手)
 私は、安倍総理におききしました。「ラムズフェスド元国防長官が、13年前、『普天間基地は世界一危険な基地だ』と発言し、管官房長官もそのことを再三再四言う中で、辺野古が唯一の解決策だと言っております。辺野古基地ができない場合、本当に世界一危険な普天間基地は固定されるのでしょうか?」こう総理にききました。そしたら、返事がありませんでした。しかし、私は、自由と人権と民主主義の価値観を共有する国々との連帯を目指す日米同盟が、そんなことはできないと思っております。新辺野古基地の建設を阻止することが、普天間基地を唯一解決する政策であります。(「そうだ」の声と拍手)
 中谷防衛大臣との対談では、今日の中国の脅威を説明し、数字をあげ、新辺野古基地が唯一の解決策だと話をしておりました。いかに現在が危機的な状況であるか、自衛隊の増強も必要だ、沖縄がいかに安全保障にとって重要か、得々と説明をしておりました。
 しかし、考えてみますと、沖縄のこの70年間、とんでもございません。冷戦構造時代、あのときも大変です。今も危機があると言っておりますけども、あの積極的平和主義の中でですね、私たちは今、積極的平和主義の名の下に、中東まで視野に入れながら、これから日米同盟が動くということを考えますと、沖縄はいつまでこの世界の情勢に、自らを投げ捨てなければいけないのか、私はこれについてしっかりと対処していきたいと思っております。(拍手)
 そして、安倍総理が、2つ私に、前に進んでいることを話しておりました。1つは、嘉手納以南の(返還の)着実とした(な?)進展、それからもう1つは、オスプレイは全国に配備してありますよ、もう少しずつ良くなっていますよ、という話でありました。こういう話を聞くと、本土の方々はですね、なかなかやるじゃないかと、少し前に進んだんだなあと思っておると思います。しかし、私は総理に申し上げました。総理が仰るように、普天間基地が新辺野古基地に移り、そして嘉手納以南が廃止された場合に、一体全体、何%基地が減るんですか?これは、73.8%が73.1%、たったの0.7%しか減らないんです、皆さん。なんでかというと、全部県内移設だからであります。外に持ってく話じゃ全くないんです。これが、本土の方々には分かっていない。嘉手納以南をみんな返すぞと、こういうことで分かっていない。
 それから、オスプレイ。あの森本防衛大臣が、こう仰ってました。5年前、自分の著書の中で、平成22年に12機、平成23年に12機、その2~3年前にですよ、著書の中で、沖縄にオスプレイが配備されるだろうと書いてあります。見事に的中をしております。そして、その中に何が書いてあったかと言いますと、あの新辺野古基地は、オスプレイを100機以上持ってくるために設計をされている。これから全てオスプレイは向こう(辺野古)に置かれるんだということが、あの森本さんの著書の中に書いてあるんです。ですから今本土で飛んでいるオスプレイも、一定程度が過ぎたら、みんな沖縄に戻ってくるんです。これが私が日本の政治の堕落だということを申し上げている訳でございます。(拍手)
 どうか、日本の国が、独立は神話だと言われないように、安倍総理、頑張ってください!
 ウチナーンチュ(以下書き起こし不能)。(拍手)
(書き起こし終わり)
 
12分50秒~ 菅原文太
2014年11月1日「オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会」にて
(書き起こし開始)
 こんにちは。沖縄は、何度来ても気持ちがいいね。(拍手)
 カートに乗って、楽をさしてもらったけど、80過ぎたんで、さっきの2人みたいに走れないよ。(笑いと拍手)30年前なら、あの倍くらいのスピードで走ったけどね。(笑いと拍手)
 今日は、自分から立候補して、ピッチャー交代、知事交代、ということで押し掛けてきました。(拍手)
 プロでない私が言うんだから、あてになるのかならないのかは分かりませんけど、政治の役割はふたつあります。ひとつは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。(拍手)
 もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと!(大きな拍手)
 私が小学校の頃、戦国(軍国)少年でした。小学校、なんでゲートルを巻いて、戦闘帽を被って、竹槍持たされたのか、今振り返ると、本当に笑止千万です。もう二度と、ああいう経験は子どもたちに、子どもたちだけじゃない、大学生も雨のなかを、大勢の将来大事な大学生が戦地へ運ばれて、半数が帰ってこなかった。
 今の政府と、本土の政府ですよ、仲井眞知事は、まさに戦争が起きること、戦争をすることを前提に、沖縄を考えていた。
 前知事は、今、最も危険な政権と手を結んだ。(拍手)沖縄の人々を裏切り、公約を反故にして、辺野古を売り渡した。(そうだ!の声と拍手)
 古い映画だけど、『仁義なき戦い』に、(拍手)その流れに言うと、『仁義なき戦い』の裏切り者の山守(やまもり)、覚えてらっしゃらない方もいるかな?(覚えてるよー!の声)憶えてるかー(拍手)。映画の最後で、「山守さん、弾はまだ残っとるがよ。一発残っとるがよ。」というセリフをぶつけた。その伝でいくと、「仲井眞さん、弾はまだ一発残っとるがよ。」(大きな拍手)と、ぶつけてやりたい。(拍手)
 沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も空気も風も、すべて国家のものではありません。(大きな拍手)そこに住んでいる人たちのものです。(拍手)辺野古もしかり!勝手に他国へ売り飛ばさないでくれ。(大きな拍手)
 まあそうは言っても、アメリカにも、良心厚い人々はいます。中国にもいる。韓国にもいる。(拍手)その良心ある人々は、国が違え、同じ人間だ。(拍手)みな、手を結び合おうよ。(拍手)
 翁長さんは、きっと、そのことを、実行してくれると信じてる。(大きな拍手)
 今日来てるみなさんも、そのことを、肝に銘じて実行してください。(拍手)
 それができない人は、沖縄から、日本から、去ってもらおう。(大きな拍手)
 はなはだ短いけど、終わり(拍手)
(引用終わり)
※弁護士・金原徹雄のブログ「菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ」(2014年11月3日)に掲載しました。
 他に、「菅原文太さんのメッセージと奥様のコメントを全ての日本人に届けたい」(2014年12月1日)、「追悼・翁長雄志知事~(再配信)菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ」(2018年8月9日)などに再録しました。
 
23分58秒~ 翁長樹子氏
2018年9月22日「玉城デニーうまんちゅ大集会」にて
(書き起こし開始)
 泣かずにしゃべれる自信がありません。翁長雄志の家内の樹子でございます。
 本当にたくさんの方に支えていただいて必死に頑張ったんですけど、8月8日に急逝いたしまして、ひと月半になります。
 正直、翁長が亡くなって、頭の中では理解しているつもりなのに、心がなかなか追いつきません。洗濯物を畳んでいるだとか、ご飯を出しているときに突然、「あっそうだパパ」って顔をあげちゃうんですよね。そしたら遺影の翁長がいつも笑っているの。「ばかだなあ君は」って言って。
 翁長が恋しいです。あの笑顔がもう一度見たい。あの笑い声がもう一度聞きたい。でもかなわないから。
 この選挙は正直言って翁長がいつも言ってたように、みんな同じウチナーンチュだから、みんな一生懸命考えてみんなが出した結論はもうそういうことなんだということで、私は今回、本当は静かに皆さん県民の一人ひとりの方が出す結論を待とうと思ってました。ところが、日本政府の方のなさることがあまりにもひどいから。たった140万の、1%しかない沖縄県民に、オールジャパンと称して政府の権力を全て行使して、私たち沖縄県民を、まるで愚弄するように押しつぶそうとする。民意を押しつぶそうとする。何なんですか、これは。
 こんなふうに出てくるというのは正直、とても躊躇がありました。でももう、何だか翁長が、「もうしようがないな、もうみんなで頑張らないといけないから君も一緒になって頑張っておいで」と言ってくれたような気がして、今日はこの場に立っております。(拍手)
 この沖縄は翁長が心の底から愛して、140万県民を本当に命がけで守ろうとした沖縄です。県民の心に1ミリも寄り添おうとしない、なさらない。相手の方に悪いけど、申し訳ないけど、私は譲りたくはありません。(拍手)
 いまデニーさんの話を聞いて、よかった、うちの人の心をデニーさんが継いでくれるんだと思ったら、涙がとまりません。(拍手)
 残り1週間です。簡単には勝てない。それでも簡単には負けない。翁長が信じてた、私たちウチナーンチュの心の中をすべてさらけ出してでも、マグマを噴き出させてでも、必ず勝利を勝ち取りましょう、みなさん。(拍手)頑張りましょうね、ぬちかじり(注:命のかぎり)、ぬちかじりですよ。頑張りましょうね。よろしくお願いします。(拍手)
(書き起こし終了)
※弁護士・金原徹雄のブログ「沖縄県知事選挙投票日を前に「玉城デニー うまんちゅ大集会」(2018年9月22日)をあらためて視聴する~付・翁長樹子さんスピーチ書き起こし」(2018年9月28日)に掲載しました。
 
28分55秒~ 翁長雄志氏
2016年6月19日「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」にて(結びの部分)
(書き起こし(画像の字幕を転記)開始)
グスーヨー マケテーナイビランドー
(みなさん、負けてはいられない)
ワッターウチナーンチュヌ
(私たちウチナーンチュは)
クワッウマガ マムティイチャビラ
(子や孫を守るために)
チバラヤナーサイ
(頑張ろう!)
(書き起こし終了)
 
(参考動画)
戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会(1時間40分)
※翁長知事の挨拶は1時間10分~です。
 
オナガ雄志うまんちゅ1万人大集会(総集編)
菅原文太さんのスピーチは21分~ですが、抜粋なので、全編動画を以下に掲げます。
菅原文太氏のスペシャルゲストあいさつ(11分)
 
玉城デニーうまんちゅ大集会【沖縄県知事選挙】(1時間15分)
※翁長樹子さんのスピーチは1時間04分~です。
 
6.19元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会@奥武山陸上競技場(39分)
※翁長知事の挨拶は25分~です。

「第10回 伊都・橋本9条まつり」(2018年10月21日@かつらぎ体育センター)のご案内

 2018年10月12日配信(予定)のメルマガ金原No.3298を転載します。
 
「第10回 伊都・橋本9条まつり」(2018年10月21日@かつらぎ体育センター)のご案内
 
 和歌山県下では、憲法9条を守る運動に関わっている諸団体が、年に一度集まって、「9条まつり」といった名称で楽しいイベントを開催している地域がいくつかあるようです。
 私自身、田辺・西牟婁地区で開催される「紀南ピースフェスタ~つながる命のために~」には何度か参加したことがありますが、紀北方面での「9条まつり」には、かけ違ってなかなか参加する機会がありませんでした(和歌山市ではそのような企画はまずないので)。
 それが、2016年11月20日、「第12回 那賀9条まつり」(於:那賀スポーツレクリエーションセンター)で「15分ほど緊急事態条項についてスピーチして欲しい」と頼まれたのを機に、初めてこの種の「9条まつり」に参加したのでした(第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」/2016年11月20日)。
 
 あれから2年、当日のうちに自分で書いたブログを読み返してみると、美味しい野菜の即売所や模擬店などが連なる会場の雰囲気がなつかしく思い出されるとともに、「「何を話したかなあ」と思い返しながら、「これも話せば良かった」という部分を補充したりした事後的「スピーチ用原稿」」に、「結構まとまっている」と我ながら感心(?)したりします。
 
 そして、今年の10月21日(日)には、那賀よりもさらに東の「第10回 伊都・橋本9条まつり」(於:かつらぎ体育センター)で話をして欲しいと頼まれており、時期が時期ですから、当然「安倍9条改憲」がテーマにならざるを得ません。
 しかも、2年前の那賀では15分だったものが、今度の伊都・橋本では50分と言われています。楽しい音楽や踊り、それに模擬店や空くじなしの抽選会を目当てに来場される善男善女を相手に、「これからの9条改憲NO!の闘い」(主催者から指定された演題)について50分も話し続けて、聴いてくれる人がいるのだろうか?という疑念が強く頭を去来することは事実です。
 会場が、那賀とは異なり、かつらぎ体育センターというのですから多分屋内なのでしょう。だとすれば、まあ何人かは聴いてくれる人がいるかもしれないと期待して会場入りしようと思います。
 
 実は、今日、主催者からチラシとプログラムが届きましたので、以下にその内容を転記してご紹介しようと思います。
 
(チラシ・プログラムから引用開始)
第10回 伊都・橋本9条まつり
憲法9条でゆるぎない平和を
 
2018年10月21日(日)午前11時~午後3時30分まで
かつらぎ体育センター
 和歌山県伊都郡かつらぎ町丁ノ町2530-140
 
[お楽しみ抽選会]
空くじなし
豪華景品あり
 
[ステージ]
真田ちゃいるど
和太鼓演奏
レッツ・ダンス
日本舞踊
9条コーラス
チェルリコーラス
グリーン・ウインド・アンサンブル
銭太鼓
など
 
[ブース]
野菜即売
バザー
煎餅
パン
揚げ物
ホットコーヒー
柿の葉寿司
焼き餅
おでん
おにぎり
 
主催 憲法9条を守る伊都・橋本連絡会 ☎0736-32-0372(伊都教育会館内)
 
プログラム
11時00分~ 開会挨拶
11時10分~ やっちょん踊り(真田ちゃいるど)
11時30分~ 和太鼓演奏(きのかわ支援学校)
11時50分~ レッツ・ダンス(橋本高校新体操バトン部)
12時10分~ 日本舞踊(つくしの会)
12時30分~ 昼食休憩
12時50分~ 「これからの9条改憲NO!の闘い」(金原徹雄弁護士)
13時40分~ 9条コーラス(はしもと9条の会)
14時00分~ コーラス(チェルリコーラス(妙寺))
14時20分~ 吹奏楽(グリーン・ウインド・アンサンブル)
14時40分~ 銭太鼓(新婦人の会)
15時00分~ お楽しみ抽選会(9条連絡会)
15時20分~ 閉会挨拶
(引用終わり)

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 2年前の「那賀9条まつり」では、私の出番はビンゴ大会や昼食休憩の前であったのでまだしも、今回は20分の昼食休憩の直後か、まだみんな昼食中ではないだろうか?などと、あれこれ心配してもはじまりません。はなはだ不満足なものですが、「3頁のレジュメ+5頁の資料」を今日中に主催者に送信しますので、多分、これは持って帰ってもらえると思います。レジュメ部分はさておき、資料には、自民党改憲4項目の「条文イメージ(たたき台素案)」全文の他、関連条文(憲法、国会法、改憲手続法)抜粋、衆参両院会派別議員数一覧(両議院の2/3を知ってもらうため)などを厳選して掲載していますので、きっとお役に立つと思います。その資料を貰うためだけにでも、当日、かつらぎ体育センターに来ていただく価値はあります。もちろん、空くじなし・豪華景品付きの「お楽しみ抽選会」もありますしね。もっとも、抽選会がある午後3時まで会場にいるか、最後まで残っている人に抽選会No.が印字されたプログラムを託す必要があるようですが。
 
 10月21日(日)に是非「かつらぎ体育センター」でお会いしましょう!

安田浩一さんの「差別と『笑い』」を読み心から同意する~来週は和歌山市で講演とトークイベントに出演(2018年10月16日)

 2018年10月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3297を転載します。
 
安田浩一さんの「差別と『笑い』」を読み心から同意する~来週は和歌山市で講演とトークイベントに出演(2018年10月16日)
 
 今日は、調べたいことがあって、「法学館憲法研究所」のWEBサイトを閲覧したのですが、たまたま「今週の一言」コーナーに、ジャーナリストの安田浩一さんの文章が掲載されていることに気がつきました。
 実は、今朝、Facebookに流れる情報の中で、安田浩一さんが10月16日(火)に和歌山市でお話されるという企画の案内を、しかも午後と夜の2つの企画についての案内を立て続けに読んだばかりだったので、偶然にしても驚きました。
 こうなれば、「3つまとめてブログでご紹介しようかな」と思いながら「今週の一言」を読み始めたのですが、読み進めるうちに、何度も「そのとおりだ」と胸のうちで賛同の言葉をつぶやいていました。
 その文章のタイトルは「「差別と『笑い』」です。外国人労働者の人権やネット差別の問題を追及してきた安田さんならではの視点から、差別の現場で普遍的に見られる「笑い」に焦点を当てています。正直、全ての言葉に同感しながら、胸が苦しくなってきます。
 それは、このように「笑い」と共に差別をまきちしながら、自らの尊厳も貶めている人たちと、対話するための言葉なども持ち得るのだろうか?という絶望的な疑問にとらわれたからでしょう。
 一部引用してご紹介しますが、是非ともリンク先で全文を熟読玩味してくださるようにお願いします。 
 
(抜粋引用開始)
法学館憲法研究所 今週の一言 2018年10月8日
差別と「笑い」  安田浩一さん(ジャーナリスト)
 
 背中の筋肉が強張った。怒りでからだが小さく震えた。保守的な視点で社会問題を扱うネットの情報番組を偶然、目にしたときのことだ。画面の中で、出席者たちが口を開けて大笑いしていた。いずれも世間的には"識者"と呼ばれる者たちだ。
 彼ら、彼女らはジャーナリスト・山口敬之氏からの準強姦被害を訴えた伊藤詩織さんを"ネタ"に盛り上がっていた。「枕営業」「出世のために言い寄ってくる」。そうした言葉で伊藤さんを批判するだけでなく、腹を抱えて笑う。
 スタジオには酒瓶が並べられていた。酒を飲みながらトークを交わすのがこの番組のスタイルなのだろう。そこではひとりの女性が受けた深刻な性被害も、場を盛り上げるための肴でしかない。グラスを片手にゲラゲラ。"事件"のおかげで有名になったのだから「枕営業は成功したんだよ」とゲラゲラ。
 なるほど、これが"保守"の姿なのだろう。人を見下し、突き放す。小ばかにして笑いのネタとする。醜悪極まりない光景に吐き気がした。いったい、何がそんなにおかしいのか。被害当事者を侮辱することが、そこまで面白いのか。ここでは「笑い」は暴力だ。人間を傷つけ、貶め、嘲るためだけに笑っている。ただただ、おぞましい。
(略)
 思えば、臆面もなく差別を振りまく右派・保守派は、いつも笑っている。取材現場で、このような「笑い」を幾度となく視界に収めてきた。
 いまなお定期的におこなわれているヘイトデモ(在日差別を扇動するためのデモ行進)もその典型だ。「死ね」「出ていけ」とあらん限りの罵倒を、差別と偏見に満ちた言葉を在日コリアンにぶつけながら、彼らはいつも笑っている。つい最近も都内でおこなわれたヘイトデモで、参加者は抗議する人々に向けてピースサインで応じていた。ヘラヘラと笑いながら高揚していた。隊列に加わる者たちは、人間の尊厳というものに何の関心も払わない。「笑い」は差別の道具として機能する。自身の尊厳すら奪っている。そう、参加者にとって他者を差別するのは単なる娯楽だ。
 沖縄で基地問題を取材しているときも同じだった。辺野古(名護市)では、米軍の新基地建設に反対して座り込む人々がいる。その多くは高齢者だ。そこに、差別主義者や右翼が押し掛ける。「じじい、ばばあ」と高齢者をバカにする者がいた。「年寄りばかりで臭いんだよ!」と、マイクでがなり立てる者がいた。「どうせオマエら、朝鮮人なんだろう」と怒鳴る者がいた。
 そのたびに"襲撃者"たちの間から笑い声が沸き上がる。黙って耐える高齢者を指さしながら「言い返せないのかよ」と言っては、また笑う。
 同様に「笑い」という暴力で沖縄の基地問題を「番組」として作りあげたのは、MX テレビなどが放映した『ニュース女子』だった。
 同番組では、座り込みする高齢者を「シルバー部隊」と揶揄し、「日当もらっている」「在日が関係している」「中国の影響を受けている」とデマを飛ばしながら、スタジオ出演者はやはり笑っていた。
 新基地建設に反対するために座り込みを続けているひとりが、私に訴えた。「デマを流していることが許せない。ろくに取材もしていないことが許せない。でも、何よりも許せないと思ったのは、地元の年寄りを笑いものにしていることです」
(略)
 右派、保守派を自称する人々に問いたい。なぜいつも、見下した笑いで人を貶めるのか。なぜいつも、口元をだらしなく緩めているのか。マイノリティも、沖縄も、笑われるために存在しているのではない。差別者の娯楽のために存在しているわけでもない。
 気に入らない者を発見し、そして叩いて吊るす──いま、日本社会ではこうした回路が幅を利かせている。ネットの影響も大きいことは間違いないだろう。
 だが、差別はいまに始まったものではない。路上で「死ね、殺せ」とはしゃぎまわる隊列を見るようになったのは今世紀に入ってからだが、日本社会はいまから95年前、関東大震災の混乱に乗じて、実際に朝鮮人を「殺し」てきた。朝鮮人である、という理由だけで殺戮をおこなってきたのだ。
 差別はリニューアルを重ね、いまという時代に到達しただけである。けっして新しい問題ではない。だからこそ、強い態度と覚悟で言い続けなければならない。差別や偏見を許してたまるか。弛緩しきった「笑い」で社会を壊すな。地域を壊すな。人間を壊すな。
(引用終わり)
 
 それでは、10月16日(火)の和歌山での2つの企画をご紹介します。
 午後の講演(和歌山市人権講座)も、夜のトークイベント(あの「本屋プラグ」で!)も、平日の企画ではありますが、とても興味深いですね。
 ご都合のつく方は是非参加されてはいかがでしょうか。
 
 まず最初は、午後に行われる「2018年度 和歌山市人権講座」です。以前なら、多分私の自宅にチラシが送られてきていたと思いますが、今年の6月で人権擁護委員の任期が満了したため、今日初めて、Facebook友達の松永久視子さんの投稿で知りました。
 主催する、和歌山市ホームページから開催案内を引用します。
 
(引用開始)
2018年度和歌山市人権講座
テーマ「日本のヘイトスピーチの現状」
 
参加無料(先着順・定員600人)
手話通訳、要約筆記有り
 
開催日 平成30年10月16日(火曜日)
開催時間 午後2時から午後3時30分まで
開催場所 和歌山市民会館 小ホール
 
講師 安田(やすだ)浩一(こういち)氏 〈ジャーナリスト〉
<プロフィール>
1964年生まれ。『週刊宝石』(光文社)、『サンデー毎日』(毎日新聞社)記者などを経て2001年よりフリーに。事件、人権、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。著書に『「右翼」の戦後史』(講談社)『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社)、『ヘイトスピーチ』(文藝春秋)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)など多数。
2011年、外国人労働者に関する一連の取材活動で貧困ジャーナリズム大賞受賞。
2012年『ネットと愛国』(講談社)で日本ジャーナリスト会議賞、講談社ノンフィクション賞を受賞。
2015年『G2』(講談社)掲載記事の『外国人隷属労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞。
 
問い合わせ
 和歌山市 人権同和施策課 電話 073‐435‐1058
 和歌山市教育委員会 生涯学習課 電話 073‐435‐1138
(引用終わり)
 
 そして、同じ16日(火)の午後7時半から、「新潮45」差別特集に抗議して、新潮社の出版物の取扱を中止したことで注目を集めた「本屋プラグ」において、安田浩一さんを招いてのトークライブが開かれます。
 「本屋プラグ」ホームページから引用します。
 
(引用開始)
本屋プラグトークイベント『2018年のジャーナリズム』
【ゲスト】安田浩一さん
【聞き手】嶋田詔太(本屋プラグ)
大宅壮一ノンフィクション賞をはじめ、その著作が多くの賞を受賞されている、ジャーナリストの安田浩一さんをお招きしてのトークイベントです。
 
本屋プラグが今、安田さんに尋ねてみたいこと。
インターネットを通じて、大手の新聞やテレビに限らず、誰もが情報の発信者=メディアとして影響力をもつことのできる時代。偏向やフェイク、ヘイトいった形容が、報道・評論等について回るようになった社会の中で、ジャーナリストを名乗り、仕事とすることは、一体どのような意味を持つのでしょうか。
ジャーナリストという仕事の実情から、近年、安田さんが主要なフィールドにされている人権問題の現場で、今、何が起きているのか(本屋プラグもその話題の一部となった新潮45の問題まで)、幅広くお話を伺いたいと思います。
 
【ゲストプロフィール】
安田 浩一(やすだ こういち)
1964 年生まれ。『週刊宝石』(光文社)、『サンデー毎日』(毎日新聞社)記者などを経て 2001 年よりフリーに。事件、人権、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。著書 に『「右翼」の戦後史』(講談社)『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社)、『ヘイト スピーチ』(文藝春秋)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)な ど多数。 2011 年、外国人労働者に関する一連の取材活動で貧困ジャーナリズム大賞受賞。 2012 年『ネットと愛国』(講談社)で日本ジャーナリスト会議賞、講談社ノンフィクショ ン賞を受賞。 2015 年『G2』(講談社)掲載記事の『外国人隷属労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞 (雑誌部門)受賞。
 
【日時】2018年10月16日(火)OPEN:19:00 START:19:30
【参加費】¥1000+1ドリンクオーダー
【会場】本屋プラグ(和歌山市万町4)
※専用駐車場はありません。近隣のコインパーキングをご利用ください。
【定員】20名程度
【お申込】このページの参加ボタンを押すか、メッセージ・メール・電話・店頭で受け付けております。
 TEL/FAX 073-488-4775
 メール books.plug@gmail.com
 本屋プラグ(和歌山市万町4)※ぶらくり丁商店街入口を西に200m
(引用終わり)

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(弁護士・金原徹雄のブログから/安田浩一さん関連)
2017年5月19日
安田浩一さん講演「沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか」(たんぽぽ舎)を視聴する

中川五郎さんの『ピーター・ノーマンを知っているかい?』を聴いて考える~自分もピーターになれるだろうか?

 2018年10月10日配信(予定)のメルマガ金原No.3296を転載します。
 
中川五郎さんの『ピーター・ノーマンを知っているかい?』を聴いて考える~自分もピーターになれるだろうか?
 
 今日は、昨日お届けした「第2回「言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル」(イットク フェス 2018!!)を視聴する」からのスピンオフです。
 第2回イットクフェスに出演された101組のミュージシャンのうち、私が生の演奏に接したことがあるのは中川五郎さんだけでした。
 1970年に高校に入学した私は、中学生・高校生という多感な時代に、どっぷりと関西フォークに浸った世代であり、何を大切と考え、自分をどう律すべきかという価値観についても、中川五郎さんの今に至る変わらぬ姿勢にとても共鳴します。
 
 その中川さんが、10月7日(日)に国会正門前で歌ったのが『ピーター・ノーマンを知っているかい?』です。
 
中川五郎氏 ライブ 第2回『イットク・フェス(言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル)』[4/4]2018.10.7 ‬@国会正門前(25分54秒)
 
 迫力満点の素晴らしい演奏ですが、ただ残念ながら、曲の冒頭部分が収録されていません。そこで、全曲については、今年の7月16日に学芸大学駅「チェロキー・タバーン」で収録された26分を超える演奏がありますので、是非これを聴いてください。その上で、イットクフェスでの演奏をあらためて聴いてもらえると、中川五郎さんがあえて国会前で歌う曲として、この長大な『ピーター・ノーマンを知っているかい?』を選んだ思いが、身にしみて理解できるだろうと思います。
 なお、7月16日の演奏は、多田葉子さん(サクソフォーン)と熊坂路得子さん(アコーディオン)とのセッションとなっており、より演奏が盛り上がっています。
 
ピーター・ノーマンを知ってるかい(26分54秒)
 
 1968年10月のメキシコ・オリンピック、陸上男子200mの表彰台上において、金メダルと銅メダルを獲った2人の米国の黒人選手が、手を高く突き上げて行ったブラックパワー・サリュートについては、少なくとも私たちより上の世代の人にとっては、同時代の印象的な出来事(私は中学2年生でした)として、その映像と共に記憶しておられるのではないでしょうか。
 しかし、中川さんのバラッドの主人公は、この2人(トミー・スミスとジョン・カーロス)ではありません。拳は突き上げなかったものの、2人と同じ「人権を求めるオリンピック・プロジェクト」のバッヂを胸に付け、2人への連帯を表明したオーストラリアの白人アスリート、メキシコの表彰台上の行為によって、ある意味、トミーとジョンの2人よりもはるかに過酷な後半生を送らざるを得なかったピーター・ノーマンが主人公なのです。
 
 以下に、この長大なバラッドの歌詞を、冒頭から表彰台での3人の振る舞いを語るまで、そして、終幕の部分に限定して書き起こしてみました(7月16日版の演奏に基づいています)。
 書き起こしを省略した部分では、主にピーターの帰国後の悲劇が語られる(歌われる)のですが、この部分は、是非演奏(7月16日版でも10月7日版でも)にじっくりと耳を傾けてください。
 
(書き起こし開始)
『ピーター・ノーマンを知っているかい?』 作詞・作曲:中川五郎
 
ピーター・ノーマンを知ってるかい?
オーストラリアの白人アスリート
 
1968年10月 メキシコシティ・オリンピック
男子200メートル競争で銀メダルをとった
 
彼の話を聴いておくれ
 
金メダルは世界新記録 トミー・スミス
銅メダルは ジョン・カーロス
 
共にアメリカの黒人アスリート
当時彼らの国アメリカでは 人々の声が沸き起こっていた
人種差別撤廃 ベトナム戦争反対
人種差別撤廃 ベトナム戦争反対
 
決勝レースが終わったすぐあとで
トミーとジョンがピーターに尋ねた
 
「君は人権を信じているかい?」
「信じている」と答えたピーターに二人は次の質問
「君は神を信じているかい?」
「強く信じている」と答えたピーターに
二人は表彰式であることをやると伝えた
それは 黒人差別に抗議して
握りしめた拳を 天高く突き上げる ブラックパワー・サリュート
アメリカの国歌が流れ 国旗が掲げられる時にやるんだ」
 
「僕も君たちと一緒に立つ」とピーターは言った
彼の目に恐れはなく ただ愛に満ちていた
 
ピーターは二人が付けていた胸のバッヂに目をやった
それは 人権を求めるオリンピック・プロジェクト のバッヂ
愛と平等を求める大きなシンボル
 
「君たちの信じていることを僕も信じているよ」
そう言ってピーターは トミーとジョンに尋ねた
「そのバッヂ 僕の分もあるかい?
それを付ければ 僕も人権運動を支持していると 証明できる」
 
それはオーストラリアの白人にとっては とても危険なストーリー
 
余分なバッヂは手許にはなく ピーターは他のアメリカ選手から
バッヂを借りて胸に付けた
 
ピーターに言われてトミーとジョンは 1つしかない手袋を分け合った
そして アメリカの黒人の貧困を訴えるため
靴は履かずに 手に持って 表彰台に向かった
黒人のプライドを示す 黒いスカーフを 
トミー・スミスは 巻いていた
リンチで殺された黒人たちに祈りを捧げるロザリオを  
ジョン・カーロスは 身に付けてた
 
そして アメリカの国歌が流れ 星条旗が掲げられる時に
表彰台の上で トミーとジョンの二人は
握りしめた拳を 天高く突き上げた
拳をかかげなかったものの ピーターは
まっすぐ前を 見すえていた
その胸には 人権を求めるオリンピック・プロジェクト のバッヂ
銀メダルより重い 愛と平等のバッヂ
 
アメリカのオリンピック・チームの代表は こう言った
「ブラックパワー・サリュートをしたトミーとジョンの二人は 
生涯にわたって 大きな償いをすることになるだろう」
そのとおり 二人はアメリカのスポーツ界から 永久追放になり
メディアの攻撃や 殺人の脅迫にさらされた
 
自分の国 オーストラリアに帰った
銀メダリストのピーターはどうなった?
 
(7分36秒~18分04秒まで 書き起こし省略)
 
ピーター・ノーマンを知ってるかい?
1968年 メキシコシティ・オリンピックの銀メダリスト
アメリカの 2人の黒人アスリートが
表彰台で ブラックパワー・サリュート をした時
彼も胸に 人権を求めるバッヂを付けて 一緒に表彰台に立っていた
 
「彼は私たちの同士だった」と トミーとジョンが言う
胸にバッヂを付けて 表彰台に立ったピーター・ノーマン
自分の国から ひどい仕打ちを受けても
たった一人で 立ち向かった
信念を曲げることなく 自由と平等のために
たった一人で 闘い続けたアスリート
彼は今も オーストラリアの200メートル競走の チャンピオン!
 
あれから50年の歳月が流れた
今の世界は 自由で平等なのか
あなたの周りで 差別が行われてはいないか
あなたの周りで 人権が脅かされてはいないか
一つの国や民族が 排斥されてはいないか
醜い 醜い ヘイトスピーチが 聞こえてはこないか
 
たった一人 あなたは 立ち向かう
自由と平等 人権のために
でも あなたの周りを 見回してごらん
あなたは 決して 一人ではない
 
あなたの側には ピーター・ノーマン
あなたのピーター・ノーマンがいる
あなたの側には ピーター・ノーマン
あなたのピーター・ノーマンがいる
あなたの側には ピーター・ノーマン
あなたのピーター・ノーマンがいる
あなたの側には ピーター・ノーマン
あなたのピーター・ノーマンがいる
あなたの側には ピーター・ノーマン
たくさんのピーター・ノーマンがいる 
あなたの側には ピーター・ノーマン
あなたのピーター・ノーマンがいる
 
ピーター・ノーマンを知ってるかい?
ピーター・ノーマンを知ってるかい?
ピーター・ノーマンを知ってるかい?
ピーター・ノーマンを知ってるかい?
(書き起こし終わり)
 
 なお、歌詞の書き起こしでは「知ってるかい?」としながら、タイトルを『ピーター・ノーマンを知っているかい?』と表記しているのは、中川五郎さん自身が、ご自分のFacebookで『ピーター・ノーマンを知っているかい?』と書かれているのに従ったものです。
 
 全曲を聴くのに30分近く要しますが、このブログを通じて、1人でも多くの方が『ピーター・ノーマンを知っているかい?』のことを知り、全曲に耳を傾けてくださることを念じて取り上げました。
 中川さんは、「あなたの側には ピーター・ノーマン あなたのピーター・ノーマンがいる」と繰り返し歌います。そして、その意味を考え抜いていけば、それは「あなた自身がピーター・ノーマンなのだ」ということでもあるはずなのです。
 はたして、私はピーター・ノーマンになれるだろうか?
  
 最後に、週刊金曜日の2018年6月15日号に小室等さんが書かれた、このバラッドを紹介するための文章にリンクしておきます。
 
小室 等 『ピーター・ノーマン2』
(抜粋引用開始)
「ピーター・ノーマンを知っているかい?」の二三番最終章はこう締めくくられている。
〈あれから50年の歳月が流れた 今の世界は自由で平等なのか? あなたのまわりで差別が行われたり 人権が奪われたりしていないか? ひとつの国や民族を排斥したり 酷いヘイト・スピーチが聞こえてこないか? たったひとりで立ち向かうあなた 自由と平等、人権のために でもあなたのまわりを見回してごらん あなたは決してひとりではない あなたのそばにはピーター・ノーマン あなたのピーター・ノーマンがいる〉
これが、この歌で五郎ちゃんが言いたかったことだ。等身大の五郎ちゃんが、等身大のあなたに向かって歌い、社会にプロテストする。ガチガチの真面目人間からはほど遠く、酒飲みで、スケベで、どこにでもいそうな、偉大な中川五郎中川五郎は、日本で今一番のバラッドシンガーだ。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/中川五郎さん関連)
2012年8月22日(2013年2月11日に再配信)
中川五郎さんの新しい“We Sall Oercome”=『大きな壁が崩れる』
2012年9月25日(2013年2月3日に再配信)
『一台のリヤカーが立ち向かう』~彼は3.11前から3.11後を歌っていた~
2015年1月2日
中川五郎さんは問いかける~“ああ どうすれば男の耳を傾けさせられるのか”
2016年5月7日
小林節さんGWも駆け回る~5/14は和歌山市民会館大ホール(付・5/7岡山弁護士会のイベントは凄かった~中川五郎さんの“新曲”にも注目!)
2016年5月8日
中川五郎さんの新曲“Sports for tomorrow”をじっくりと聴く
2017年6月12日
4年目に入った「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」&予告「第4回 くまの平和の風コンサート(中川五郎ライブ!)」(7/30)
2017年9月6日
中川五郎さんの『トーキング烏山神社の椎ノ木ブルース』を聴き、変わろうとしないこの国の人たちを思う
2018年8月30日
憲法と「アート」が交わるところ~法学館憲法研究所「アートな憲法ルーム」に注目を!

第2回「言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル」(イットク フェス 2018!!)を視聴する

 2018年10月9日配信(予定)のメルマガ金原No.3295を転載します。
 
第2回「言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル」(イットク フェス 2018!!)を視聴する
 
 昨年9月24日に初めて開催された「言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル」(略称「イットク・フェス!!」)については、様々な動画をご紹介することを主眼とするブログを書きました(「イットク フェス!!」(2017年9月24日)~みんなが自由に楽しむことが、自由を奪おうとするヤツラへの最大の抵抗!/2017年9月25日)。
 
 その「イットク フェス!!」が今年も10月7日(日)に国会周辺に帰ってきました。
 公式サイトを少し覗いただけでも、「咆哮ステージ」「轟音ステージ」「烈火ステージ」「疾風ステージ」「怒濤ステージ」「雷鳴ステージ」などの他、「うたう茱萸坂ステージ」「カルチャーヤード」「もの言うサンビスタの広場」などのページがにぎにぎしく告知されており、これが朝11時から夜の8時まで続くのかと思うだけでも、くらくらしてきそうです。
 
 これをどうブログでご紹介したものかと呆然としますが、何はともあれ、普通の企画で言うところの開催趣旨にあたる文章がありましたので、まずこれをご紹介します。
 
第2回イットク フェス'18 反抗声明(^o^)v!
(引用開始)
平成の治安維持法と呼ばれる特定秘密保護法、盗聴法、そして共謀罪の全てが、2017年7月11日より施行されていますが、表現の自由を奪おうとする権力の横暴は、やはり酷くなっている気がします。
昨年9月24日(日)の第1回イットク フェスでの警察による嫌がらせ、今年1月28日の東京渋谷のクラブ「青山蜂」のダンス禁止法改め、改正風営法の特定遊興飲食店の無許可営業による摘発…その後も六本木のショットバーへの警察の立ち入りなど、このままではエスカレートしていきそうです。
DJブースも無い六本木のバーの場合、客が許可なく音楽に合わせて身体を揺すった…そんな理由を警察は持ち出し、経営者を呼び出したということです。
当たり前ですが、誰にでも、自由に音楽を楽しみ、踊る権利はあります。国会前でロックフェスをやることは、この国の表現の自由を守るアーティストによる大きな主張になると思います。
ロックンロールは、窮屈な世界への反抗として産まれた音楽だと思っています。
消されそうな個人の叫びを歌うのがロックンロールだと思っています。この国の政府が個人の叫びを消したいなら、もっと大音量で叫ぼうじゃないですか。
プロアマ問わず、ミュージシャンが、普段ライブハウスで演ってることを国会を囲んで、フェスを演ります。別に政権批判をしたり、政治的な曲ばかりでなくとも、自分の自由を歌うことこそが、民主主義を守るメッセージだと思います。
普段ライブハウスで本気のパフォーマンスを演っているアーティストが大勢参加します。
イットク フェスを成功させることに協力することで、あなたも、あなたの自由を守りませんか?
(引用終わり)
 
 そして、出演者の皆さんですが、あまりに多くて、しかも事前予告通りに出演されたのかどうかの確認も大変だし、あきらめました。興味のある方は公式サイトでご確認ください。
 
 前回に引き続き、演奏の模様を撮影・公開してくれている動画(目に付いたものだけですが)を紹介しようと思いますが、その前に、このフェスの模様を伝えた東京新聞の記事を読んでおきましょう。
 
東京新聞 2018年10月8日 朝刊
自由の爆音 国会包囲 憲法、平和、民主主義…100組路上ライブイベント
(抜粋引用開始)
 ライブ会場は国会周辺。合言葉は「言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!」。日ごろライブハウスなどで活動するミュージシャンたちが七日、国会議事堂周辺で政治、社会問題を歌にした「イットクフェス」を開いた。国会を取り囲むように八カ所に分かれたステージで九時間にわたり、ロックやフォークのリズムに乗せた熱い思いを伝えた。 (蜘手美鶴)
 「政治を変えよう、あいつら変えよう」
 普段は静かな国会周辺に、ドラムやギターの爆音に乗せた歌声が響く。ボーカルの浦辺力さん(53)=東京都渋谷区=ら五人組のバンド「24代目★選挙関心委員会」の「選挙行く?音頭」だ。政治に不満を持っても、選挙で一票投じなければ変わらないというメッセージ。集まった人たちはリズムを取りながら歓声を上げた。
 イットクフェスは、「自分の歌を自由に歌うことこそが、民主主義を守る」との思いから浦辺さんが企画した。初めて開催した昨年は、浦辺さんが音楽仲間に呼びかけて七十六組が参加したが、今回は「今年もやりたい」と自ら希望する声が多く、当日の飛び入りもあり百一組が集まった。
 「今の政治や社会に、みんなモヤモヤした不満がある。だからこれだけ集まってくれた」。そう話す浦辺さんは紫の法被にふんどし姿で、平和主義をうたった憲法前文をラップでまくしたてた。
(略)
 人通りがほとんどない日曜日の国会周辺。観客は決して多くはない。警備をする警察官の方が多いときもあり、演奏者が「警察官の皆さんもお疲れさま」と声を掛けることも。それでも演奏と一緒に踊りだす観客もいれば、信号待ちで車からじっと見つめているドライバーもいた。
(略)
(引用終わり)  

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 それでは、101組の出演者のうちのほんの一部でしょうが、私の目に付いた「イットク フェス 2018!!」の動画をご紹介します。
 
【ken23quチャンネル】
2018.10.07 第2回哮ステージ(19分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 24代目★選挙関心委員会@轟音ステージ(23分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 藤原歩@疾風ステージ(26分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 ポコンチ斉藤@疾風ステージ(32分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 トロ@疾風ステージ(29分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 久貝巧@疾風ステージ(25分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 かじこ@疾風ステージ(30分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 松浦健太@疾風ステージ(31分)
2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 ジョニーH@疾風ステージ(29分)
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2018.10.07 第2回 イットク フェス 2018 FUCKER@疾風ステージ(30分)
 
【The Riverチャンネル】
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: PEACE WINDS【1/11】(5分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: 高井つよしクィンテット【2/11】(4分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: 稲葉 光 指揮によるバテリア (サンバ打楽器) による大セッション ①【3/11】(16分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: The Super Heavy Stoners【4/11】(28分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: THE NAOKQI DOODAH'S DADAPHONICS feat. 火炎瓶テツ, MOOFIRE【5/11】(15分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: NAO LION & The Redemptions【6/11】(10分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: 稲葉 光 指揮によるバテリア (サンバ打楽器) による大セッション ②【7/11】(2分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: つるかめ兄弟【8/11】(13分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: SLANG BOOGIE【9/11】(10分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: 稲葉 光 指揮によるバテリア (サンバ打楽器) による大セッション ③【10/11】(18分)
2018.10.07「イットク・フェス 2018」: ジョニーH【11/11】(25分)
 
【shusei ch1チャンネル】
THE TOKYO BLUE MOUNTAINS ライブ 第2回『イットク・フェス(言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル)』[1/4]2018.10.7 ‬@国会正門前(47分)
高山佳奈子氏(京都大学教授) スピーチ&憲法ビンゴ 第2回『イットク・フェス(言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル)』[2/4]2018.10.7 ‬@国会正門(22分)
RANKIN TAXI(ランキン・タクシー)氏 ライブ 第2回『イットク・フェス(言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル)』[3/4]2018.10.7 ‬@国会正門前(1時間03分)
中川五郎氏 ライブ 第2回『イットク・フェス(言っとくけど、俺の自由はヤツラにゃやらねえ!ロック・フェスティバル)』[4/4]2018.10.7 ‬@国会正門前(25分)
※『風に吹かれて』の前に中川五郎さんが歌った曲は『ピーター・ノーマンを知っているかい?』です。残念ながら、曲の途中からの収録のようです。でも、すごい迫力でしょう?1968年のメキシコ・オリンピック、陸上男子200mの表彰式において、金メダルをとったトミー・スミスと銅メダルのジョン・カーロスという2人の米国の黒人選手が、差別に抗議するため、国歌が流れる間、腕を突き上げていたその光景を、写真でご覧になった方も多いでしょう。そして、ピーター・ノーマンはその時に銀メダルを獲得したオーストラリアの白人選手だったのですが、「人権を求めるオリンピック・プロジェクト」のバッジを他の米国選手から借りて胸に付け、トミーやジョン、それに全ての差別に反対する人々と同じ立場に立つことを身をもって示した人物ですが、2人の黒人選手の陰に隠れ、少なくとも日本では、思い出す人もあまりいなかったでしょう(私も中川さんの歌で初めて知りました)。まだまだ白豪主義が色濃かったオーストラリアで待ち受けていたピーター・ノーマンのそれからの人生は過酷なものであったといいます。
 あえて、中川五郎さんが、ピーター・ノーマンを主人公にした長大な歌(言葉の正しい意味でのバラッドでしょう)を作り、歌っていることは、とても意義深いことだと思います。
 なお、週刊金曜日に、小室等さんがこの曲を紹介した文章が掲載されていますので、是非お読みください(「ピーター・ノーマン2」小室等/2018年6月15日号)。「中川五郎は、日本で今一番のバラッドシンガーだ。」と書かれています。同感です。
 ところで、ここまで読めば『ピーター・ノーマンを知っているかい?』の全曲を聴きたいですよね?ありました。今年の7月16日に収録された26分54秒の動画が。是非堪能してください。
ピーター・ノーマンを知っているかい(26分54秒) 
 
【UPLANチャンネル】
20181007 UPLAN イットク フェス 2018!!13時~16時半まで周遊(2時間22分)
 
【keitarouちゃんねる】
2018イットクフェス記者会見(3時間20分)

ファクトチェック:芦部信喜教授は東京大学で「立憲主義」を教えなかったのか?~  『国家と法Ⅰ 憲法』(放送大学印刷教材)から検証する

 2018年10月8日配信(予定)のメルマガ金原No.3294を転載します。
 
ファクトチェック:芦部信喜教授は東京大学で「立憲主義」を教えなかったのか?~  『国家と法Ⅰ 憲法』(放送大学印刷教材)から検証する
 
 「ファクトチェック (fact checking)」という言葉がいつ頃から一般的に使われるようになったのか、詳しくは承知していませんが、候補者に対する悪質なデマが飛び交った先の沖縄県知事選挙に際し、地元紙・琉球新報が選挙期間中に行ったファクトチェック報道は非常に関心を呼びました。
 
琉球新報 2018年10月4日 10:28
沖縄県知事選ファクトチェック 有権者へ正しい情報を 困難伴うネットデマ検証
(抜粋引用開始)
 9月30日に投開票された沖縄県知事選の選挙報道の中で琉球新報は、それまで実施していなかった、デマやうそ、フェイク(偽)情報を検証する「ファクトチェック―フェイク(偽)監視」の記事を随時掲載した。スマートフォンの普及に伴いネット上の情報に頼る人が増える中、有権者に正しい情報を発信したいとの取材班の思いから本企画は始まった。企画はネット上でも反響があり、毎日新聞が同企画を取り上げるなど複数の新聞社も関心を寄せている。今後も選挙報道で活用されるべき手法と考えるが、事実かどうかの検証の困難さなど課題にも直面した。ファクトチェック企画を振り返る。(滝本匠知事選取材班キャップ)
(引用終わり)
 
 以上の琉球新報の姿勢には及びもつきませんが、私も、まことにささやかながら、インターネットを利用した情報発信をしようとする以上、「ファクトチェック」を心掛ける重要性は常に意識しなければと思っています。
 
 というような前置きの後で書くにしては、今回の「芦部信喜(あしべ・のぶよし)教授は東京大学立憲主義を教えなかったのか?」というテーマは、いささか旧聞過ぎますし、個人的な関心に偏り過ぎてはいるのですが、思いついた時に書いておかないと時期を逸しますので、お付き合いいただければ幸いです。
 
 そもそも、なぜ「芦部信喜教授は東京大学立憲主義を教えなかったのか?」というようなことがファクトチェックの対象になるのかと言えば、まず、2012年4月27日に公表された自民党日本国憲法改正草案」を想起しなければなりません。
 
日本国憲法改正草案(全文)
日本国憲法改正草案Q&A(増補版)
 
 そして、自民党憲法改正推進本部の中に設置された起草委員会の事務局長であった礒崎陽輔(いそざき・ようすけ)参議院議員が、同年5月27日夜から翌28日早朝にかけて、以下のようなtweet を発信して物議をかもしたのです。
 
(引用開始)
10:47 PM - 27 May 2012
時々、憲法改正草案に対して、「立憲主義」を理解していないという意味不明の批判を頂きます。この言葉は、Wikipediaにも載っていますが、学生時代の憲法講義では聴いたこ
とがありません。昔からある学説なのでしょうか。
10:50 PM - 27 May 2012
確かに、「憲法は、国家権力の抑制を定め、国民の人権を守るものだ。」とよく言われます。立憲主義とは、このことでしょうか。それは否定しませんが、それは憲法の重要な側面を規定した言い方であり、憲法を問われれば、「国家の基本法」というのが正解でしょう。
11:51 PM - 27 May 2012
立憲主義」、Wickpediaでは、樋口陽一先生の著書が引用されています。私は、芦部信喜先生に憲法を習いましたが、そんな言葉は聞いたことがありません。いつからの学説でしょうか?
5:32 AM - 28 May 2012
我々が憲法の教科書に使ったのは、有斐閣法律学全集で、清宮四郎先生と宮澤俊義先生のもの。ありませんね。佐藤功先生の「日本国憲法概説」を見ていますが、「立憲主義」は、ないようです。法制局に聞くと、京都大学佐藤幸治先生が広めたのではないかと。それならば、80年代後半以降でしょう。
(引用終わり)
 
 6年前、この東京大学法学部出身の元自治官僚によるtwitter発言を読んだ私は、頭にきて、「立憲主義」を聴いたことがないという参議院憲法審査会委員」という文章を書き、当時まだブログはやっていなかったので、200人くらいの知人に送っていた「メルマガ金原No.961」として発信しました(本ブログ末尾に再掲します)。
 その記事を書く際にも、一応の「裏取り」はしましたし、「(「立憲主義」という言葉を聴いたことがなかったのか否かについて)知らなかったとすれば度し難い「無知」ですし、一応字面(じづら)だけは知っていたが、自民党案を批判する者を揶揄したつもりであったとすれば、「厚顔無恥」の極みです。」という結論については変更の必要を認めません。
 
 ただ、「私は、芦部信喜先生に憲法を習いましたが、そんな言葉は聞いたことがありません。」については、裏付けをもって、これが「フェイク」「でまかせ」だと指摘することができませんでした。
 
 礒崎陽輔議員は、昭和57年(1982年)東大法学部卒業であり、芦部信喜(あしべのぶよし)教授は、その2年後の昭和59年(1984年)に東大を定年退官されていますので、たしかに、芦部教授の憲法の講義を受講していても不思議はありません。
 従って、ことの真偽は、礒崎議員と同時期に東大法学部に在籍し、芦部教授の講義を受講した人に証言してもらうのが一番なのですが、何を言うにも30数年も前のことですしね。
 
 私の6歳年下の友人の弁護士(昭和54年東大入学だったと思う)は、芦部教授の退官前に講義を聴けたはずですが(受講したかどうかは未確認)、礒崎議員の発言を知って呆れていました。
 とはいえ、これだけではファクトチェックとしては弱いので、芦部教授自身が書かれた文章によって、礒崎議員による「私は、芦部信喜先生に憲法を習いましたが、そんな言葉は聞いたことがありません。」に反駁を加えることができないかと考えていました。
 ところが、残念なことに、芦部教授は、東大を退官されるまで、憲法の教科書(概説書)を書かれず、わずかに、講義録(学生によって筆記されたものがまとめられたものでしょうか)のプリントが東京大学出版会から販売されているだけだったらしいのです(先日の立憲デモクラシー講座第Ⅲ期第7回で、石川健治教授がそのように話されていました)。
 そして、初めて芦部教授名義の憲法の教科書が世に出たのは、芦部先生が東大を定年退官された翌年(1985年)4月、学生を受け入れ、放送授業を開始した放送大学客員教授として、「国家と法Ⅰ 憲法」を担当されることになり、その印刷教材(テキスト)が出版された時(同年3月)でした。
 
放送大学教材『国家と法Ⅰ 憲法』 著者:芦部信喜
昭和60年3月20日第一刷 発行
発行所 財団法人放送大学教育振興会
市販用発売所 日本放送出版協会
 
 しかし、芦部教授自身が一から印刷教材を書いているような時間がなかったため、弟子の力を借りることになりました。その間の経緯は、同印刷教材の「まえがき」で、以下のように説明されています。
 
(引用開始)
 本書の執筆に当たって筑波大学助教授(注:現早稲田大学教授)の戸波江二君に手伝って頂いた。戸波君が私の大学における講義録を基にして書いた原稿を自由に補正して使うことを承認して下さったおかげで、不完全ながら初期の方針通りにまとめることができた。構成や内容についての全責任が私にあることは言うまでもない。戸波君の協力に感謝の意を表したい。
(引用終わり)
 
 この『国家と法Ⅰ 憲法』が、さらに、後に岩波書店から刊行された概説書『憲法』のベースとなったことはよく知られていることと思います。
 
 以上のような経緯で刊行された『国家と法Ⅰ 憲法』は、東大での講義録が手に入らない間は、最も東大における芦部教授の憲法講義の内容を伝えてくれる資料と言って差し支えないのではと思います。
 
 そこで、同書で「立憲主義」がどのように取り扱われているかというと、まず「まえがき」でその重要性が力説されています。
 
(引用開始)
それに、憲法は国家権力を制限する法、制限することによって人権を保障する法、であるところに本質があるので、憲法を勉強する場合、そういう観点から憲法の意味とその現代における問題状況を検討したり、あるいは、国家権力の濫用から憲法を擁護していくための制度的装置やその理論構成のあり方を探求したりすることに、重点を置く必要があると私は考えるが、それは、中学・高校で社会科や政治経済によく親しんだ者にとっても、かなり取りつきにくさを感ずる分野である。それらの点に関する本書の解説の不十分ないし不完全な箇所は、できるかぎり講義で補充していくよう心掛けるが、それにも限度があるので、巻末に掲げた参考文献を参考として、各自最も適当だと考える方法により、足らざるところを補うようにして頂きたいと思う。
(引用終わり)
 
 放送大学の放送授業が45分講義全15回で構成されていることに対応し、本書は全15章構成となっていますが、その第1章(放送授業で言えば第1回)は、そのタイトルからして「憲法立憲主義」とうたわれています。
 
(目次から引用開始)
 1 国家と法
 2 憲法の意味
 3 憲法の分類
 4 憲法規範の特質
 5 立憲主義と現代国家-法の支配
2 日本憲法
3 国民主権の原理
4 平和主義の原理
5 基本的人権の原理
6 基本的人権の限界
7 包括的基本権と法の下の平等
8 自由権(1)-内心の自由
9 自由権(2)-表現の自由
10 自由権(3)-経済的自由・人身の自由
11 参政権社会権
12 統治の機構(1)-国会
13 統治の機構(2)-内閣
14 統治の機構(3)-裁判所
15 憲法の保障
 1 憲法保障の諸類型
 2 違憲審査制
 3 憲法改正の手続と限界
(引用終わり)

f:id:wakaben6888:20181008143301j:plain

 
 以上の「1-2 憲法の意味」から、一部引用しておきます。これは、本書本文の2頁~3頁の部分です。
 
(引用開始)
形式的意味の憲法と実質的意味の憲法
 「憲法」の概念は多義的であるが、重要なものとして三つをあげることができる。
 第一は、憲法という名前で呼ばれる成文の法典(憲法典)を意味する場合である。これは形式的意味の憲法と呼ばれる。たとえば、現代日本においては「日本国憲法」がそれにあたる。この意味の憲法は、その内容がどのようなものであるかには関わらない。
 第二は、ある特定の内容をもった法を憲法と呼ぶ場合である。成文であると不文であるとを問わない。これは実質的意味の憲法と呼ばれる。この実質的意味の憲法には二つのものがある。一つは、国家の統治の基本を定めた法としての憲法であり、それは通常「固有の意味の憲法」と呼ばれる。国家は、いかなる社会・経済構造をとる場合でも、必ず政治権力とそれを行使する機関が存在しなければならないが、この機関、権力の組織と作用および相互の関係を規律する規範が、固有の意味の憲法である。この意味の憲法はいかなる時代のいかなる国家にも存在する。
立憲的意味の憲法
 実質的意味の憲法の第二は、自由主義に基づいて定められた国家の基礎法である。これは、一般に「立憲的意味の憲法」あるいは「近代的意味の憲法」と言われる。18世紀末の近代市民革命期に主張された。専断的な権力を制限して広く国民の権利を保障するという立憲主義の思想に基づく憲法である。その趣旨は、「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法をもつものではない」と規定する有名な1789年フランス人権宣言16条に示されている。この意味の憲法は、固有の意味の憲法とは異なり、歴史的な観念であり、その最も重要なねらいは、政治権力の組織化というよりも人権保障にある。
 以上三つの憲法の観念のうち、憲法の最もすぐれた特徴は、その立憲的意味にあると考えるべきである。したがって、憲法学の対象とする憲法とは、近代にいたって一定の政治的理念に基づいて制定された憲法であり、国家権力を制限して国民の自由を守ることを目的とする憲法である。そのような立憲的意味の憲法の特色を次に要説する。
(引用終わり)
 
 引用はもうこれくらいにしておきますが、「まえがき」から「1-2 憲法の意味」の一部まで、中表紙や目次部分を含めても、全195頁の本の11頁までしか要していません。
 冒頭の重要な部分において、これだけ「立憲主義」の重要性を強調されている芦部教授が、東大の講義で「立憲主義」に触れないなどということはあり得ないでしょう。 
 おそらく、礒崎陽輔氏は、芦部教授の「憲法」の講義の最も重要な部分をさぼったか、仮に聴講したとしてもずっと寝ていたのでしょう。おまけに、講義録も入手しなかったか、入手しても読んでいなかったか、といったころだろうと思います。
 立憲主義を身に付けていなくても、国家公務員試験に合格する妨げとはならなかったようですが、そういえば、和歌山1区選出の岸本周平衆議院議員(国民民主党)は、礒崎議員より1歳年上で、東大法学部から大蔵省入りした元官僚ですが、「立憲主義くらいは大学で学んだ」と言っておられたと記憶します(それはそうだ)。
 
 以上が、6年前の礒崎陽輔参議院議員による「私は、芦部信喜先生に憲法を習いましたが、そんな言葉(注:「立憲主義」)は聞いたことがありません。」というtwitterによる発言についての私なりのファクトチェックです。
 あとは、芦部先生の東大での講義録そのものを入手し、実際に東大で芦部先生の講義を受講された方の証言などを集めれば完璧ですが、まあ、そこまでやる必要もないでしょう。
 
 正直、ここまでのファクトチェックを一々やっているだけの時間も労力もありませんが、ネットで情報発信する以上、一応の「裏取り」は必須であることは肝に銘じていきたいと思います。
 
 余談ですが、以上のような興味につられて、放送大学がスタートした当初の印刷教材(テキスト)の1つである『国家と法Ⅰ 憲法』を入手(もちろん古本です)して通読する機会を得、非常に充実した内容で感銘を受けました。実は、平成30年度第2学期で、私の放送大学学生としての在籍期限が切れることになっており、最後に残してあった必修単位を取得して卒業するつもりなのですが、再入学、どうしようかな?
 

2012年5月30日に発信した「メルマガ金原No.961」(その後、2013年2月16日に「弁護士・金原徹雄のブログ」に転載)を再配信します。
 
立憲主義」を聴いたことがないという参議院憲法審査会委員
 
 今日の昼休みに事務所でコーヒーを飲みながらパソコンを立ち上げたところ、Afternoon
Cafe というブログに、「警報:ガチで『立憲主義って、聞いたこと無い』という自民党国会議員が憲法審査会委員をつとめている!!」という扇情的なタイトルの記事が掲載されているのに目がとまりました。
 
 このブログでやり玉に挙げられている自民党国会議員というのは、礒崎陽輔‏(いそざきようすけ)参議院議員であり、その問題発言(tweet)は以下のとおりです。
(引用開始)
時々、憲法改正草案に対して、「立憲主義」を理解していないという意味不明の批判を頂きます。この言葉は、Wikipediaにも載っていますが、学生時代の憲法講義では聴いたことがありません。昔からある学説なのでしょうか。
10:47 PM - 27 5月
(引用終わり)
 
 Afternoon Cafe の管理人は、以下のように憤っているのですが・・・。
(抜粋引用開始)
思わず、4月1日じゃないよね!?ってカレンダー見てしまった。
立憲主義って昔からある学説ですかって、あーた、学説とかいうレベルの話じゃないでしょ。
それ、国民主権ってなに?とか
法の支配、法治国家ってなに?とか
民主主義ってなに?とかいうレベルの話ですよ!
こんなひとが憲法審査会委員って信じられません。
どうりで立憲主義を完全にぶち壊した文言のめちゃめちゃな改正案になってるわけです。
以前からずっと、自民党憲法改正案は立憲主義を理解していないと書いては来ましたが、まさか、まさか、本当に知らなかったとは・・・世も末です。
いやいやいやいや、そんなはずはない知らないはずはない、たちの悪い冗談ですよね、礒崎さん?
と思い直して続きのツイート読んでみたら・・・本当に知らなかったみたい・・・orz
学生時代の憲法講義では聴いたことないってマジあり得ません。
学生時代に英文学部に所属してたけど、シェイクスピアなんて聞いたことがない、といってるに等しいですよ、これ。
(引用終わり)
 
 さて、これだけご紹介しただけでは、やはり十分な情報提供とは言えないでしょう。
 ということで、少し裏を取ってみることにしました。
 
裏付1:礒崎陽輔参議院議の経歴調査
 ご本人の公式サイトに掲載されたプロフィール
 全部コピーして貼り付ける必要もないでしょうが、注目すべき箇所のみ抜粋します。
   経歴
   昭和32年10月 大分市上野に生まれる
      51年 3月 大分県立大分舞鶴高等学校卒業(23回生)
      57年 3月 東京大学法学部卒業
      57年 4月 旧自治省に入省
              以下略
      62年 4月 和歌山市企画部次長、財政部長
              以下略
   平成18年 7月 総務省大臣官房参事官を最後に退職
      19年 7月 第21回参議院議員通常選挙・大分選挙区で当選
   現職
    参議院
     予算委員会理事
     総務委員会委員
     憲法審査会委員
    自由民主党
     憲法改正推進本部事務局次長・起草委員会事務局長
     他の党務は略
 
裏付2:Wikipediaに掲載された「立憲主義」の説明
(抜粋引用開始)
立憲主義(Constitutionalism)は、多義的な概念であるが、国家の統治を、憲法に基づき行う原理、ないし、憲法によって権力の行使を拘束・制限し、統治機構の構成と権限を定めて、権利・自由の保障を図る原理をいう。
古典的立憲主義
 省略
近代的立憲主義
(前略)
近代的立憲主義は、このような絶対君主の有する主権を制限し、個人の権利・自由を保護しようとする動きの中で生まれたのである。そこでは、憲法は、権力を制限し、国民の権利・自由を擁護することを目的とするものとされ、このような内容を持つ憲法を、特に立憲的意味の憲法(近代的意味の憲法)という。フランス人権宣言16条には「権利の保障が確保されることなく、権力分立が定められていないすべての社会は、憲法をもつものではない」とあるが、ここにいう「憲法」や、19世紀に各国で定められた自由主義憲法こそ、立憲的意味の憲法である。個人の人権の保障と権力分立は、その重要な要素であ
る。
(後略)
外見的立憲主義
 省略
近代的立憲主義の現代的変容
 省略
(引用終わり)
 
裏付3:Afternoon Cafe の該当記事へのコメントの参照
 様々なコメントの書き込みがあってこれも参考になります。
 特に、慶応義塾大学の小林節(こばやしせつ)教授が「マガジン9条」のインタビューに答えた記事は是非一読したいですね(かなり前のものですが)。
 
裏付4:礒崎陽輔‏議員の tweet の続きを検証する
 字数制限のあるtwitterでは、1つのテーマを論じる場合には、いくつかのtweetが連なることが多いので、Afternoon Cafe が引用するtweetの続きがあるのではないかと思い、ご本人のtwitterに当たってみようと思ったのですが、既に同じことを考えてまとめてく
れていた人がいたので引用します(やや手抜きですが)。
(引用開始)
10:47 PM - 27 May 2012
時々、憲法改正草案に対して、「立憲主義」を理解していないという意味不明の批判を頂きます。この言葉は、Wikipediaにも載っていますが、学生時代の憲法講義では聴いたことがありません。昔からある学説なのでしょうか。
10:50 PM - 27 May 2012
確かに、「憲法は、国家権力の抑制を定め、国民の人権を守るものだ。」とよく言われます。立憲主義とは、このことでしょうか。それは否定しませんが、それは憲法の重要な側面を規定した言い方であり、憲法を問われれば、「国家の基本法」というのが正解でしょう。
11:51 PM - 27 May 2012
立憲主義」、Wickpediaでは、樋口陽一先生の著書が引用されています。私は、芦部信喜先生に憲法を習いましたが、そんな言葉は聞いたことがありません。いつからの学説でしょうか?
5:32 AM - 28 May 2012
我々が憲法の教科書に使ったのは、有斐閣法律学全集で、清宮四郎先生と宮澤俊義先生のもの。ありませんね。佐藤功先生の「日本国憲法概説」を見ていますが、「立憲主義」は、ないようです。法制局に聞くと、京都大学佐藤幸治先生が広めたのではないかと。それならば、80年代後半以降でしょう。
(引用終わり)
 
 とりあえず裏を取る作業はこんなところでいいでしょう。
 そこで、私の意見ですが、基本的にこの元自治官僚は人格に問題があると思います。
 こういう元学生に「芦部信喜先生に憲法を習いましたが、そんな言葉は聞いたことがありません」と言われては、芦部信喜(あしべのぶよし)先生も浮かばれないでしょう。
 もっとも、案外、東大法学部から官僚を目指すような学生にロクな者はいないと達観しておられたかもしれませんが。
 1999年に逝去された芦部先生は、2005年「自民党・新憲法草案」や2012年自民党日本国憲法改正草案」を目にされることはなかった訳ですが、もしも先生が長命を保たれていれば、必ずや自民党案の「非」を指摘されていたことでしょう。
 私自身は、東京で司法試験の受験勉強をしていた当時、中央大学主催の講演会で一度芦部先生の講演を伺ったことがあるだけなのですが、たんたんとした語り口の中にも、深い学識がにじみ出ており、深い感銘を受けたものでした。
※後注 「中央大学」ではなく、「中央大学真法会」主催の講演会だったと思いますので訂正します。
 
 さて、礒崎陽輔議員が本当に「立憲主義」という言葉を聴いたことがなかったのか否か?ということですが、ここまで調べてくると、「どっちでも同じだ」というのが私の結論です。
 知らなかったとすれば度し難い「無知」ですし、一応字面(じづら)だけは知っていたが、自民党案を批判する者を揶揄したつもりであったとすれば、「厚顔無恥」の極みです。
 状況証拠から見れば、どちらかと言えば後者の可能性の方が高いでしょうが。
 
 5月3日の憲法記念日に、メルマガNo.929で「憲法記念日に考える(立憲主義ということ)」という文章を書いた私としては、なおざりに出来ない話題であったため、つい力が入ってしまいました。
 
 以前にも書きましたが、「原発の危機」「放射能の危機」と「憲法の危機」は通底しているということをあらためて実感しています。