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再生可能エネルギー固定価格買取制度と「オフグリッド」生活

 今晩(2013年2月24日)配信した「メルマガ金原No.1274」を転載します。
 
再生可能エネルギー固定価格買取制度と「オフグリッド」生活
 
 これから書くことは、全く基礎知識の不足した素人の「ヨタ話」のレベルかもしれないという自覚がありますので、そのつもりでお読みいただければと思います。
 
 我が国でも、2012年7月から、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートしました。
 根拠法は、菅直人氏が総理の首と引換に(?)成立させたとも言われる「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成二十三年八月三十日法律第百八号)です。
 
 制度の概要については、「政府広報」では以下のように説明されています。
 
 また、経済産業省資源エネルギー庁サイトの中に「なっとく!再生可能エネルギー」という特設コーナーが設けられています。
 
 上記コーナーの中の「買取価格・期間等(平成24年度)」によると、例えば、「太陽光10kw以上」の場合、「調達価格42円/kw」、「調達期間20年間」となっていますので、「接続の検討にあたり不可欠な設備の仕様、設置場所及び接続箇所に関する情報がすべてそろっている接続契約の申込みの書面を電気事業者が受
領した時」または「経済産業大臣の設備認定を受けた時」のいずれか遅い方の時期が平成24年度中であれば、上記の価格(42円/kw)で20年間、電気事業者に電気を販売できることが保障されます。
 つまり、法律によって電気事業者に、法定の価格で法定の期間、再生可能エネルギー由来の電気の買取を義務付け(そのための費用をまかなうため、一定額が賦課金という形で電気料金に上積みされますが)、これにより、再生可能エネルギーへの投資を誘引し、普及を促進しようという政策です。
 もっとも、この買取価格については、原則として毎年度見直されることになっており、調達価格等算定委員会(植田和弘委員長)で検討されています。
 直近の2013年2月19日に開催された第9回委員会の模様がユースト中継されています。
 当日の配付資料はこちらからダウンロードできます。
 
 以上の固定価格買取制度が、再生可能エネルギー普及のための普遍的政策として諸外国でも広く採用されており、我が国にとっても重要な政策であることに異論をはさむつもりはありません。
 
 ただ、私がこの固定価格買取制度に対して若干の「違和感」を持ち続けている理由を書いてみたいと思います。
 
 資源エネルギー庁が、固定価格買取制度を広報するために作成したリーフレッの6頁に「固定価格買取制度の基本的な仕組み」が図示されています。
 つまり、再生可能エネルギーによって発電した事業者や個人は、電気を「電力社」(電気事業者)に販売し、電力会社はそれを「電力をご利用の皆様」に販することを「当然の前提」としているのです。
 「当たり前ではないか」と思われるでしょうか?たしかに、今は「当たり前」だと思いますが、それでは、5年先も「当たり前」でしょうか?10年先でも「当たり前」でしょうか?5年、10年くらいでは、やはり大半の人は、従来通り「電力会社」から電気を購入しているかもしれませんが、それでは20年先でも、電気は電力会社から送電されて購入するものなのでしょうか?それとは異なった未来はあり得ないのでしょうか
 
 事業所、工場に自家発電が普及していることは周知のことと思います。「エネルギー白書2011」によれば、「2009年度の大口需要(産業用)全体の自家発比率は約27%となりました。自家発の比率を業種別にみると、製造業で最も自家発の比率が高かったのは、石油・石炭製品製造で81%、以下、紙・パルプ63%、化学51%、鉄鋼34%、窯業・土石27%と続きました」とあります。
 
 問題は個人の住宅やオフィスです。
 私は、県庁所在地(中核市)の和歌山市に住んでいますが、それでも都市ガス(大阪ガス)の供給は受けておらず、地元のプロパンガス屋さんと契約し、定期的にガスボンベを交換しに来てもらっています。
 さすがに、自宅でプロパンガスを製造するのは無理でしょうが、長大な都市ガス配管設備など近くに来ていなくても、別段不自由はしていません。
 
 これに対し、電気は自宅でも造れるのですから、ガスよりよほど各家庭が自立できる条件が備わっているように思います。
 もちろん、太陽光発電にせよ、燃料電池発電にせよ、エネルギー変換効率の飛躍的向上をもたらす技術的イノベーションやさらなるコスト低減が望まれますし、蓄電能力の向上も是非必要でしょう。それらを前提として、電力会社に頼らない生活こそ、目指すべき将来像ではないのか?というのが、私が固定価格買取制度に抱く「違和感」の根本的な理由なのです。
 
 つまり、20年先までの固定価格での買取を保障する(そのための財源として賦課金が電気料金に上乗せされる)ということは、裏を返せば、再生可能エネルギ由来の電気を「購入」し、利用者に「販売」する主体としての「電力会社」(発送電が分離されたあかつきには「送電会社」ですかね)の存続を「保障」していとも言えるではないか?というのが私の印象です。
 
 もしも、あなたが経済産業省の官僚や電力会社の幹部社員であったらどう考えるでしょうか?
 原子力発電所の新設や再稼働にしがみつきますか?それとも「原発に未来はない」と見切りをつけ、再生可能エネルギーに関わって、将来の自らの地位を保障する政策の実現を目指しますか?
 退任間近であれば格別、まだ先の長い中堅・若手であれば、きっと後者のように考えると思うのですが、どうでしょうか?
 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が比較的スムースに国会を通過した背景には、そのような事情があったのではないかと私は推測しているのです(勘繰りと言われてもやむを得ませんが)。
 
 ・・・というようなことを常々考えていたところ、最近、岡山県に転居された田中優さんの無料メルマガの文章を読んで、非常に感銘を受けました。
 
優さんメルマガ 第203号 2013.2.23発行
□◆田中 優より◇■
『おカネにも、電力会社にも頼らない暮らしを~「オフグリッド」生活~』
 
 誰でも今すぐ田中優さんと同じことができるとは思いませんが、目指すべき未来を「実践」してくれている人がいるということには、心から勇気付けられます。