今晩(2013年10月25日)配信した「メルマガ金原No.1523」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
伊勢﨑賢治さんが日本人に問う“リスクを引き受ける覚悟”(マガ9の動画)
東京外国語大学大学院地域文化研究科教授の伊勢﨑賢治(いせざき・けんじ)さんは、9条ネットわかやま、憲法9条を守る和歌山弁護士の会共催の講演会のために和歌山に来ていただいたこともあるお馴染みの方ですが、過去、NGO・国際連合職員として世界各地の紛争現地での紛争処理、武装解除などに当たった実務家としての経歴の持ち主であることはよく知られていると思います。
それに、伊勢﨑さんの公式Twitterのプロフィールには「ジャズ トランぺッターです。プロとして演らせてもらってます」とありますし、公式Facebookのタイトルは「伊勢崎賢治 ジャズ・トランペッター」です。
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その伊勢﨑賢治さんに対して「マガジン9」が行った特別インタビューの映像が公開されていますのでご紹介したいと思います(10月9日に公開されていたようですが、気がつくのが遅くなりました)。
公開にあたって「マガジン9」が付した説明文は以下のようなものです。
(引用開始)
「集団的自衛権の行使容認」を掲げる安倍政権。一方、それに対して「アメリカと一緒に戦争をする国になっ てしまうのでは」との懸念の声も強まっています。日本の外交は、そしてその中で重要な位置を占める日米関係は、ここからどうなってい くべきなのか?伊勢崎賢治さんにインタビューしてきました。
【収録:2013年9月12日/東京外国語大学伊勢崎研究室にて】
(引用終わり)
インタビューは、5本に分割されてアップされています。全部で90分近い長時間インタビューですが、是非全編視聴して欲しいですね。
1 今後の日米関係(19分58秒)
2 「国益」と集団的自衛権(16分24秒)
3 米軍基地と日米地位協定(25分32秒)
「日米関係を深化させる」というときに、米軍基地の問題、また日米地位協定の不平等性の問題をどう考えますか?
4 読者からの質問(20分35秒)
シリアのような人道危機に対して、9条を持つ日本には何ができますか?
5 おわりに(4分24秒)
私は全編視聴しましたが、インタビュアーと伊勢﨑さんとの間の「問題意識のミスマッチ」が目立つ、また、そうであるからこそ興味深い、刺激的なインタビューになっていると思いました。
そもそも、「マガジン9」が付けたこのインタビューの総タイトルは「伊勢﨑賢治さんに聞く『集団的自衛権と日米関係』」というものですが、正直言って、見終わった後の印象とはかけ離れたタイトルとしか思えませんでした。
私がこの記事のタイトルを「伊勢﨑賢治さんが日本人に問う“リスクを引き受ける覚悟”」としたのは、少しでもインタビューの実態に近づけたいと思ったからですが、皆さんならどんなタイトルにしますかね?
伊勢﨑さんの発言は多岐にわたり、とても一言二言で要約できるようなものではありませんので、皆さんお1人お1人がインタビューの映像を視聴して考えていただきたいと思うのですが、私の雑駁な印象を記せば、5本の映像の内、1から3までは、伊勢﨑さんの「現実主義者」としての側面が強く出ているのに対し、4と5は、伊勢﨑さんのもう一つの側面である「理想主義者」としての顔が前面に出ていると思いました。
普通の「護憲論」に浸っている者には相当に耳の痛い言説が(かなり意図的に)伊勢﨑さんから語られますが、そこを堪えてその主張を理解しようとすることによって、伊勢﨑さんの意見に全面的に賛同するのではなくとも、自らの考えを深めることができると思いました。