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「特定秘密保護法と原子力-隠される原子力情報」(講師:海渡雄一弁護士)を受講する

 今晩(2013年11月20日)配信した「メルマガ金原No.1549」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
特定秘密保護法と原子力-隠される原子力情報」(講師:海渡雄一弁護士)を受講する
 
 昨日(2013年11月19日)、東京神田駿河台の連合会館において、「特定秘密護法と原子力-隠される原子力情報」という演題で海渡雄一弁護士が講演されました。
 これは、11月中に3回行われる「脱原発連続学習会」(主催:再処理とめたい!首都圏市民のつどい/原水爆禁止日本国民会議)の第2回として開催されたものです。
 
 事前予告の内容を引用します。
 
(引用開始)
 国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」に配慮するとの記述を加えて特定秘密保護法案が国会に提出されようとしています。曖昧な表現で国民 の「知る権利」を押さえ込もうとするこの法案は、原子力の分野にも大きな影響を与えるものです。これまでも原子力は秘密のベールに包まれてい ます。さらに厚く覆われる原子力情報-この危険性について弁護士の海渡雄一さんに伺います。
(引用終わり)
 
 この講演の模様は原子力資料情報室(CNIC)によってUSTREAM中継されました(1時間23分56秒)。
 
 原子力資料情報室サイトから当日の資料等がダウンロードできます。
 
当日配布資料
※全20頁のレジュメというには詳し過ぎる資料ですが、是非プリントアウトして一読する価値があると思います。
 
プレゼンテーション資料
※全部で99枚のボードが見られます。20頁の上記資料を読む時間がないという方は、このボードをざっと読むだけでもためになると思います。1時間以上の時間を作れる方は、海渡弁護士の講演を聴きながらこのボードを読めば、さらによく理解できるでしょう。
 
「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)」日本語全訳(日本弁護士連合会訳)
 
“The Global Principles on National Security and the Right to Information (Tshwane Principles)”
 
 海渡雄一さんは、日弁連秘密保全法制対策本部副本部長として、連日、講演に飛び回っておられるだけあって、法案の問題点を実に分かりやすく要領よく解説してくれています。
 20頁の資料の目次は以下のとおりです。
 
第1 真の対立軸は何か
第2 究極の基本的人権侵害としての福島原発事故
第3 原子力と軍事技術-原子力基本法改正と安全保障-
第4 福島原発事故では何が隠されたのか
第5 秘密保全法制との闘い
第6 秘密保全法制は戦争遂行のためのもの
第7 外交は秘密が当然か
第8 テロ対策とスパイの防止 公安警察情報も特定秘密に
第9 スノーデン氏が明らかにしたプリズム=秘密にされていたアメリカの世界盗聴システム
第10 憲法・平和主義と表現の自由の危機に抗して
第11 秘密保護法案はツワネ原則に照らして、全面的に見直さなければならない
1 ツワネ原則の制定の経緯
2 ツワネ原則と特定秘密保護法案との比較
(1)何を秘密としてはならないかを明確にしなければならない
(2)公衆に対する監視システムと監視のための手続を秘密にしてはならない
(3)秘密指定は無期限であってはならない
(4)公開の裁判手続において、秘密の内容を議論することを保障しなければならない
(5)安全保障部門にはすべての情報にアクセスできる監視機関が設置されるべきである
(6)バランスのとれた内部告発者の告発は法的に保護され、報復されてはならない
(7)情報漏えい者に対する訴追は、情報を明らかにしたことの公益と比べ、大な損害を引きおこす場合に限って許される
(8)ジャーナリストと市民活動家を処罰してはならず、情報源の開示を求めてはならない
自由権規約19条とツワネ原則
4 ヨーロッパ人権裁判所判例理論とツワネ原則
5 ツワネ原則の法規範性と秘密保護法案の今後の取扱について
参考文献(報告に関連するもののみ)
 
 もちろん、時間的制約もあり、昨日の講演では「資料」の一部が語られただけですが、「新聞などで問題のある法案だと書いてあるが、一番問題なのはどういうところか、分かりやすく教えて欲しい」という人がいれば、そしてインターネットにアクセスできる環境の人なら、是非この映像を紹介していただきたいですね。
 ユースト録画とプレゼンテーション資料を1時間23分間(それと何回かのCMは我慢しなければならないですが)併せ視聴すれば、特定秘密保護法案の問題点の勘所が容易に理解できるのではないかと思います。
 
 なお、講演の終わりの方で「ツワネ原則」についてやや詳細に説明されていますが、そもそも「ツワネ原則」とはという部分を「資料」から引用します。
 
(引用開始)
 安全保障と国民の知る権利との対抗関係を規律する国際原則としては、1995年に策定されたヨハネスブルグ原則が著名である。ヨハネスブルグ原則はその全文が翻訳されており、田島泰彦教授による簡単な解説がある。
 ヨハネスブルグ原則を、その後の国際機関の活動成果を織り込み、問題の本
質に則し、さらに精緻に実際に法制度を策定する担当者に対する指針・ガイドラインとして起草されたのが、ツワネ原則である。両原則を比較すると、基本的な考え方には共通する部分が多いが、ツワネ原則の方が明らかに詳細であり、実務的である。ツワネ原則の正式名称は、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(Global Principles on National Security and the Right to Information: Tshwane Principles)である。ひとことでいえば、この原則は自由権規約19条、ヨーロッパ人権条約10条をふまえて、国家安全保障分野において立法を行い、制度を構築する際に国家安全保障への脅威から人々を保護するための合理的な措置を危険にさらすことなく、政府の情報への公的アクセスをどう保障するかという問題について、関連法令の起草に関わる人々への指針を提供するために作成されたものである。この原則は、Open Society Justice Initiative の呼びかけに応じ、国際連合、人及び人民の権利に関するアフリカ委員会、米州機構、欧州安全保障協力機構の特別報告者を含む、世界70か国以上の500人以上の専門家により、計14 回の会議を経て作成された。2013年6月12日に南アフリカ共和国の首都・ツワネで公表されたため、ツワネ原則と呼ばれる。
(引用終わり)
 
 「ツワネ原則」の存在を知ってから私が気になっていたのは、「世界70か国以上の500人以上の専門家により、計14 回の会議を経て作成された」という、その経費はどこが支出したの?ということでした。
 海渡さんも少し触れておられますし、11月9日付の東京新聞こちら特報部掲載されていたようなのですが、ハンガリー生まれの米国の(元?)投資家ジョージ・ソロス氏が設立した「オープンソサイエティー財団」が支援したということでした。
 2、3年前に投資からの引退を表明したというニュースに接したような記憶があるのですが(調べてみると2011年1月のダボス会議においてでした)、「ツワネ原則」策定への支援は、ソロス氏の公益活動の一環ということなのでしょうか。
 

 

 みんなの党に続き、日本維新の会も与党と修正合意したとの報道に接し、事態がここまで切迫すると、「学習」などしている場合ではないと焦る気持ちになるのももっともですが、気持ちだけ焦っても仕方がないので、現状を正しく分析・認することもまた重要だと思い、この映像をご紹介することとしました。どうか活用されすように。