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参院選比例区(比例代表選出議員の選挙)の基礎知識をおさらいしましょう

 今晩(2016年5月25日)配信した「メルマガ金原No.2467」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
参院選比例区比例代表選出議員の選挙)の基礎知識をおさらいしましょう

 全国32の1人区で、(「事実上の」という冠付きの選挙区も含め)「野党統一候補」がほぼ出揃うと
いう状況となりました。
 民進党岡田克也代表のお膝元・三重県選挙区でも、民進党現職の芝博一氏と「市民連合みえ」との間で取り交わされた「政策協定書」の内容を「支持し」「芝博一さんを応援します」という政策協定書を、社民党共産党が個別に「市民連合みえ」との間で締結するという、ブリッジ方式による共闘が成立しま
したので、三重県は冠なしの「野党統一候補」とまずは言って差し支えないでしょう。
 しかし、芝博一氏の経歴や所属議員連盟を見ると、「市民連合みえ」との政策協定書に書かれた「安全保障関連法を廃止する」「安倍政権による憲法改悪を阻止する」といった合意事項との整合性にやや違和感を覚えるとともに、日本共産党三重県委員会の「芝博一さんを応援します」にはほとほと感心します。より大きな大
義の前には、少々のことには目をつぶろうということでしょう。
 それにしても、和歌山県以外の1人区で、「事実上の」という冠付きの「野党統一候補」っているのでしょうか?香川県と佐賀県くらいかな。もしかすると、和歌山は冠が取れない最後の選挙区になるかも?
 
 さて、選挙区での調整が進む中、比例区はどうなっているんだ?ということが、小林節さんと「国民 怒りの声」の動きなどを見るにつけ、気になりますよね。
 しかし、参議院比例区(正確に言うと「(比例代表選出)議員の選挙」)の投票方法をいまだに正確に理解していない人もいたりしますので、まずこの基本は押さえておきましょう。「選挙に行こうよ」と呼びかける以上、投票方法はしっかりと理解しておかなければね。
 日本の選挙制度を定めている基本法公職選挙法です。
 
公職選挙法(昭和二十五年四月十五日法律第百号)
参議院比例代表選出議員の選挙における当選人の数及び当選人となるべき順位並びに当選人)
第九十五条の三
 参議院比例代表選出)議員の選挙においては、各参議院名簿届出政党等の得票数(当
参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者(当該選挙の期日において公職の候補者たる者に限る。第百三条第四項を除き、以下この章及び次章において同じ。)の得票数を含むものをいう。)を一から当該参議院名簿届出政党等に係る参議院名簿登載者の数に相当する数までの各整数で順次除して得たすべての商のうち、その数値の最も大きいものから順次に数えて当該選挙において選挙すべき議員の数に相当する数になるまでにある商で各参議院名簿届出政党等の得票数(当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者の得票数を含むものをいう。)に係るものの個数をもつて、それぞれの参議院名簿届出政党
等の当選人の数とする。
 前項の場合において、二以上の商が同一の数値であるため同項の規定によつてはそれぞれの参議院名簿届出政党等に係る当選人の数を定めることができないときは、それらの商のうち、当該選挙において選
挙すべき議員の数に相当する数になるまでにあるべき商を、選挙会において、選挙長がくじで定める。
 各参議院名簿届出政党等の届出に係る参議院名簿において、参議院名簿登載者の間における当選人となるべき順位は、その得票数の最も多い者から順次に定める。この場合において、その得票数が同じである者があるときは、それらの者の間における当選人となるべき順位は、選挙会において、選挙長がくじで
定める。
 参議院比例代表選出)議員の選挙においては、各参議院名簿届出政党等の届出に係る参議院名簿登載者のうち、前項の規定により定められたそれらの者の間における当選人となるべき順位に従い、第一項及び第二項の規定により定められた当該参議院名簿届出政党等の当選人の数に相当する数の参議院名簿登載者を、当選人とする。
 
 1項・2項がいわゆる「ドント式」を文章で表したものですが、これは各政党に割り当てるべき議席を決める方式です。
 そして、各政党の獲得議席数が確定した後、その政党の候補者のうちの誰が当選人となるかを定めた規
定が3項・4項です。
 1項・2項に比べればまだましかもしれませんが、それでも分かりにくい?
 ということで、参考までに、練馬区役所のホームページに載っていた説明を引用します。
 
比例代表選出議員選挙の当選人の決定方法について教えてください。
(抜粋引用開始)
参議院議員選挙における非拘束名簿式について教えてください。
 お答えします
 非拘束名簿式とは、政党等があらかじめ名簿順位を決めず、有権者の投票数によって名簿順位を決める
方法をいいます。
 参議院議員選挙比例代表選挙においては、投票用紙に「候補者名」または「政党名」を記入して投票
し、各政党の総得票数に応じてドント式により議席数が決定します。
※注釈:参議院議員選挙の場合は、「選挙区選出」と「比例代表選出」の重複立候補はできません。
1 各政党が当選順位をつけないで候補者名簿を提出します。
2 有権者は投票用紙に「候補者名」または「政党名等」を記入して投票します。
3 政党に属する候補者の得票数と、政党名の得票数の合計が、政党の総得票数になり、総得票数に応じ
てドント式により議席数を決定します。
4 各政党に配分された議席数の中で、候補者の氏名による得票数の多い順に当選人が決定します。
(引用終わり)
 
 例えば、3人の比例候補(A、B、C)を名簿に登載したX党の得票数が、
   X党    500票
   A候補  300票
   B候補  200票
   C候補  100票
であったとすると、同党の総得票数は計1,100票ということになります。そして、これにドント式をあてはめて計算した獲得議席数が1
議席であれば、A候補だけが当選人となり、B候補とC候補は落選ということになります。
 ここまでかみ砕いた説明なら分かりますよね?
 そして、1人を当選させるのに必要な得票数が仮に600票だったと仮定すると、事実上500票分が「死票」となりますから、小政党ほど効率が悪くなるということで、「オリーブの木」とか「桜の木」と
か言われる「統一名簿」という戦略は、この「死票」を極力減らすことが大きな利点だと言われています。 
 
 さて、私自身、比例区でどの政党に(またはどの候補者に)投票するかは決めておらず、注意深く情勢を見守っているというところです。
 ということで、参院選比例区を考える上での最低限の基礎知識を確認した上で、5月19日に行われた
注目の「国民 怒りの声」小林節代表による記者会見の模様を動画で振り返っておきましょう。
 やっぱり、まだ一波乱も二波乱もありそうですね。
 
小林節 記者会見 「国民怒りの声」2016年5月19日(52分)
 
 

(付録)
『糸』 作詞・作曲:中島みゆき 演奏:さつきのあき