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放送予告3/10&3/11原発事故被災地への「帰還」をテーマとした2本のNHKスペシャル

 今晩(2017年2月19日)配信した「メルマガ金原No.2728」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告3/10&3/11原発事故被災地への「帰還」をテーマとした2本のNHKスペシャ

 間もなく6回目の3.11がやって来ます。例年、この時期には、震災関連のドキュメンタリー番組が
各局で放送されます。
 けれども、東京電力福島第一原発事故による被災者、避難者、被災自治体にとって、6年目の春は、4年目や5年目とは大きく異なった意味を持っています。
 
平成27年6月12日 原子力災害対策本部
「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」改訂

(抜粋引用開始)
 こうした観点から、事故から6年を超えて避難指示の継続が見込まれる帰還困難区域以外の区域、すなわち避難指示解除準備区域・居住制限区域については、各市町村の復興計画等も踏まえ遅くとも事故から6年後(平成29年3月)までに避難指示を解除し、住民の方々の帰還を可能にしていけるよう、除染の
十分な実施はもとより、インフラや生活に密着したサービスの復旧などの加速に取り組む。
(引用終わり)
 
 東京電力福島第一原発が立地する大熊町双葉町は、帰還困難区域以外の区域を含めて全町避難指示が続くものの、それ以外は上記方針通り、浪江町、富岡町、飯舘村の帰還困難区域を除く全域と、川俣町山木屋地区の避難指示を解除する方針であると伝えられています(河北新報)。
 福島県等からの自主避難者に対する災害救助法に基づく住宅支援の今年3月末での打ち切りが、上記方針と一体のものであることは言うまでもありません。
 
 6回目の3.11をどう切り取るか、各局のドキュメンタリー番組の制作スタッフは色々と悩んだことと思いますが、どう考えても、6年目の今年、国の「帰還」政策を抜きにした番組は作れないでしょう。
 先日、ご紹介した関西ローカルの番組、MBSドキュメンタリー映像'17『消去される自主避難者(仮)』もその一例でしたが、今日ご紹介するNHKスペシャル2本も「帰還」がテーマです。
 そのうち、3月11日放送分の番組案内に書かれた一節放射能で汚染された広大な地域を除染し、人が戻るという世界でも先例のない“帰還政策”」を念頭に置きながら、今年の3.11ドキュメンタリーに注目したいと思います。
 
原発事故後、福島の若者の間で広まったある行為がある。15歳の誕生日を迎えた記念に、震災以来帰ることのなかった故郷を初めて訪ねるというものだ。安全への配慮から今も避難指示区域への一時帰宅は大人しか認められず、子どもは一切許されていない。許可が下りるボーダーラインとなるのが「15歳」なのだ。その年齢になるのを待ちすでに多くの若者が故郷へと向かってきた。今も時間がとまったままの街。毎日通った学校、馴染みのお菓子屋、友人と遊んだ公園、そして自宅。それぞれの場所に立ち止まって言葉をなくす者もいれば、歩いているうちに自然に涙があふれてきたという者もいる。未曾有の原発事故により尋常ならざる生活を送ることになった彼らにとって、短い故郷への旅は、失われた時間を見つめ、自分が歩んできた道のりを整理しこれからの生き方に思いを馳せる、いわば大人へと成長する旅でもある。
 番組では、故郷を目指す福島の若者たちに密着する。この6年はいったいどんな歳月だったのか。帰郷により、彼らのなかで何が変わり、どう新しい1歩を踏み出してゆくのか。困難を乗り越え懸命に生きてきた福島の10代の姿を通して、人間の普遍的な成長の物語を描く。」
 
福島第一原発事故から6年。避難指示が出されていた地域は大きな転機を迎える。“帰還困難区域”を除く大部分の地域で、避難指示が一斉に解除される計画なのだ。「住民が帰るための環境が整った」と国が判断したためで、これにより原発事故で立ち入りが制限された区域の7割が地図上から消えることになる。
 しかし、現場では様々な問題が取り残されたままだ。今回、避難指示が解除されるのは、これまでと比べて格段に放射線量が高かった地域。未だ点在するホットスポット、営農再開を阻む除染廃棄物の山、にも関わらず打ち切られていく東京電力からの賠償・・・。帰る条件が整っていないと訴える住民も少なくない。一方の自治体は、これ以上避難が続くと帰還意欲が失われ、町が消滅するという危機感から避難指示解
除を急いでおり、両者の溝が深まっている。
 また、既に避難指示が解除された自治体も復興への道は見通せていない。住民の帰還は思うように進まず、コンパクトタウン建設など、復興の切り札としてきた事業も大幅に遅延している。その原因を探ると
原発に依存してきた地域が抱える構造的な問題が見えてきた。
 放射能で汚染された広大な地域を除染し、人が戻るという世界でも先例のない“帰還政策”。いま現地
で何が起きているのか。原発事故からの復興に苦闘する現場を見つめる。」