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中野晃一氏 講演会「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」(4/28和歌山県民文化会館)のご案内

 今晩(2017年3月18日)配信した「メルマガ金原No.2755」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
中野晃一氏 講演会「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」(4/28和歌山県民文化会館)のご案内

 毎年の恒例行事となっている青年法律家協会和歌山支部による憲法記念行事は、長らく「憲法を考える夕べ」と呼称して開催してきました。毎年、夕刻の午後6時に開演する例となっていたからです。
 ところが、諸般の事情から、一昨年(山本健慈前和歌山大学学長)、昨年(青井未帆学習院大学教授)と2年続いて連休はじめの午後に開催することとなったため、いくら何でも「夕べ」はないだろう、という大方の会員の意見にもかかわらず、伝統を重んずる支部長の強いこだわりから、強引に「憲法を考える夕べ」というチラシが作られました。
 証拠として(?)「九条の会・わかやま」に掲載されたチラシをご紹介しておきます。
 
2015年4月29日(水・祝)13時30分~ 
山本健慈氏「学び続ける自由と民主主義~不安の時代に抗して」

 
 そして、今年です。
 「青年法律家協会」自体は、『七人の侍』や『ゴジラ』や自衛隊(さらに言えば私もそうですが)と同じ1954年に誕生したのですが、和歌山支部の結成は(私はまだ中学に入ったばかりの年です)1967年のことであり、つまり今年が記念すべき支部結成50周年なのです。
 当初は、50周年記念として大がかりなイベントを企画しては?とか、一般市民に訴求力のある著名なゲストを招いた講演会を企画しては?というような声もあったのですが、結局、憲法記念行事については時間切れで、通常モードで行くことになりました。
 その代わり、年内には「青年法律家協会和歌山支部 50周年記念誌」が出来ると思います(多分)。
 
 もっとも、憲法記念行事は通常モードで、と言っても、知っている人にとっては「待望の」と言ってもよいでしょう、素晴らしい講師に来ていただけることになったと自負しています。
 上智大学教授(国際関係学部長・政治学)の中野晃一さんです。
 立憲デモクラシーの会や市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の呼びかけ人としての、この間の中野先生の活躍は、今さらご紹介するまでもないでしょう。私のメルマガ(ブログ)でもたびたびご紹介しています(巻末でその一部にリンクしておきます)。
 
 とはいえ、正直に申し上げて、私が中野晃一さんという上智大学で政治学を講じておられる研究者をはっきりと意識したのは、それほど以前ではなく、2014年10月のことでした。
 その年の10月8日、日本弁護士連合会が主催する「閣議決定撤回!憲法違反の集団的自衛権行使に反対する10・8日比谷野音大集会&パレード」におけるリレートークに、立憲デモクラシーの会を代表して登壇された中野晃一さんのスピーチに感銘を受け、私は思わず全文文字起こしをしただけではなく、「安倍晋三首相の“正気とは思えない”歴史認識と積極的平和主義~第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演から」という大作を書き上げてメルマガ&ブログにアップしたほどでした。
 これは何度でも聴いて欲しい、読んで欲しいスピーチなので、以下に再掲します。
 
2014.10.08「閣議決定撤回!憲法違反の集団的自衛権行使に反対する10・8日比谷野音大集会&パレード」:中野晃一さん【7/18】(6分05秒)

(以下の文字起こしにおける漢字、送り仮名、句読点などは全て金原の責任で選択しています。ただし、シャングリラ・ダイアローグ演説のみは、首相官邸ホームページから引用しました)
 皆さん、こんばんは。「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人ということで、今日お招きいただきました。実は、青井さんも呼びかけ人なので、私だけがこのタイトルを持ってる訳ではおよそないんですけれども。
 政治学をやっております。政治学をやってる者からすると、日弁連主催のこのような集会にお呼びいただけるっていうのは、ちょっと自分が上り詰めたというような感慨があります(笑)。というのは、法律と政治というのは必ずしもあまり仲がいい分野ではなくって、近親憎悪のようなものがあると思うんですが、どちらかというと、法律というのは、実際のところ、内閣法制局の方が頑張ったり、色々するもんですから、どんな法律でもある程度ソーセージのように、それなりに食べられるものに出来上がっている訳ですね。弁護士の方であるとか法曹の方というのは、食べ物として法律を、一応理に適ったものだということでやってらっしゃるんだと思うんです。政治学というのは、その点、ソーセージができる過程を見るものでありまして、あまり見ない方がいいというようなことが言われています。クズ肉が入ったりスジが入ったり骨が混じったりよく分からない添加物が入ったりというようなことがある訳です。ただ、私のような政治学者であっても、青井さんのような憲法学者、そしてまた日弁連の方たちとこうやって一緒に立ち上がっているというのは、およそクズ肉どころか、入っていてはいけないものが、長靴だとか何だとか、よく分からないものが、今入っている法律が作られようと、そのための閣議決定がなされたということなんではないかと思っております。
 それだけの危機にある訳なんですが、政治学者のはしくれとして、一応、集団的自衛権、そしてその安倍さんがやろうと言っている「積極的平和主義」というのは何なのかということを自分なりに調べてみました。しかし、どのような報告書を見ても「積極的平和主義」といったもののきちんとした定義というのはなされていないようです。私が唯一知っているものというか、見つけることができたものは、日本経済新聞の「経済教室」に昔、北岡(伸一)さんが書いたものなんですけれども、ここで彼は、「積極的平和主義とは、消極的平和主義の逆である」(笑)「消極的平和主義とは、日本が非武装であればあるほど世界は平和になるという考えである」と、憲法を正確に定義しているんですね。どういうことかと言うと、「積極的平和主義というのは、日本が抑止力を高めれば高めるほど、いわば武装すればするほど平和になる」という、「消極的平和主義」と彼らが呼ぶものの真逆の考えであると、そういうことのようなんです。
 で、もうちょっとさらに調べてみて、安倍さんがまさにその与党協議という茶番が行われているときに、外国に行ってぺらぺら「これからこういうことやります」と話していった1つの例であるシャングリラ・ダイアローグという場での5月の30日の演説があります。結構、全文を読むとぞっとするような自己陶酔のたくさん入った気持ち悪いものなんですけども、ここでこんなことを言っています。「国際社会の平和、安定に、多くを負う国ならばこそ、日本は、もっと積極的に世界の平和に力を尽くしたい、「積極的平和主義」のバナーを掲げたいと、そう思うからです。自由と人権を愛し、法と秩序を重んじて、戦争を憎み、ひたぶるに、ただひたぶるに平和を追求する一本の道を、日本は一度としてぶれることなく、何世代にもわたって歩んできました。これからの、幾世代、変わらず歩んでいきます
 正気とは思えないですよね(笑と拍手)。「何世代にもわたって」、「ひたぶるに」って言葉が分かんないんですけども、「歩んできた」と言ってしまうんです。これは、戦争は何だったんだろうかと。あれは、青井さんも仰ってましたけども、せいぜい我々、戦争知らなくなって2世代目ぐらいの40代ぐらいなんですけども、それで一体なんで「何世代にもわたって」っていうことを安倍さんは言ってしまうのかと。
 彼の大好きな靖国神社、そちらで書いてある「靖国Q&A」というのが子ども向けにありまして、そこを見ると、子どもにも分かるように靖国神社を説明しているというものなんですけれども、そこでこんなことが書いてあります。「靖国にまつられている神は誰なんですか?」という問いに対してなんですが、「戦争は本当に悲しい出来事ですが、日本の独立をしっかり守り、平和な国としてまわりのアジアの国々と共に栄えていくためには戦わなければならなかったのです。こういう事変や戦争に尊い命を捧げられたたくさんの方々が靖国神社の神様としてまつられています」そこに平和を祈りに行くのが安倍さんな訳です。恐ろしいですよね。
 私は金曜日にノーベル平和賞を9条を利用(保持)してきた日本国民が受賞するか、どきどきしながら見守っているんですけれども、安倍さん、このままいくと、あの授賞式にのこのこ出て行って、そしてこのシャングリラ・ダイアローグの演説をコピペして、またもう1回読むんではないかと恐れています。必ず閣議決定を撤回させて、我々の手に主権を取り戻せるように一緒に頑張りましょう。
 
 このスピーチが行われたのは、市民連合が立ち上げられる1年以上前のことでしたが、近時の中野さんの社会的活動の中心は、立憲デモクラシーの会から市民連合の方に比重がシフトしているように見えますが、目指すところは同じということでしょう。
 今年の青法協和歌山支部憲法を考える夕べ」(岡正人支部長念願の午後6時開演となって堂々と名乗れます)での中野先生の講演の演題は「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」というものであり、近年の中野先生の社会的活動を凝縮したような良い演題だと(主催者の一員ながら)思います。
 ちなみに、演題のうち、メインテーマは、中野先生の共著書のタイトルを主催者から提案して同意いただいたもの、サブテーマは中野先生から提案いただいたものです。
 それでは、チラシ記載情報を転記します。

チラシから引用開始)
青法協憲法記念行事
憲法を考える夕べ
 
2017年4月28日(金) 
 開場 午後5時30分
 開演 午後6時00分
 
和歌山県民文化会館 小ホール
 和歌山市松原通1丁目1 電話:073-436-1331
 
入場無料 予約不要
 
講演 中野晃一氏(上智大学国際教養学部長、教授)
市民の力で立憲民主主義を創る
~他者性を踏まえた連帯の可能性~
 
講師プロフィール
1970年東京生まれ。政治学(日本政治、比較政治、政治思想)。
東京大学(哲学)および英国オックスフォード大学(哲学・政治学)の両校を卒業ののち、米国プリンストン大学にて政治学の修士号および博士号。
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、立憲デモクラシーの会などの呼びかけ人。
著書に『つながり変える私たちの立憲政治』(大月書店)、『右傾化する日本政治』(岩波新書)、『戦後日本の国家保守主義-内務・自治官僚の軌跡』(岩波書店)など。
 
主  催 青年法律家協会和歌山支部
連絡先 和歌山市岡山丁50番地2 電話:073-436-5517
      岡本法律事務所(弁護士 岡 正人)
(引用終わり)
 
 昨年夏の参院選和歌山県選挙区においては、市民連合わかやまが野党に推薦を呼びかけ、日本共産党社民党生活の党と山本太郎となかまたちの3党から推薦を得、民主党民進党)も推薦こそしなかったものの、擁立予定であった予定候補者を衆院選に回すという事実上の協力を行い、市民連合、関西市民連合からの推薦も得て、ゆら登信さんを無所属の野党統一候補として闘ったものの、残念ながら自民党現職に及びませんでした。
 市民連合わかやまは、参院選終了後も「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める」活動を継続することを確認しており、この中野晃一さんが講演のために和歌山を訪れる機会を逃さず、県下各地域で活動の中心となっている方々に、是非中野さんのお話を聴いて欲しいと呼びかけるはずです。
 また、市民連合わかやまの活動にこれまで直接関与していなかった方も、中野先生のお話に刺激を受け、活動の輪の中に入ってくれればいいな、などと期待したりしています。
 別に青法協和歌山支部と市民連合わかやまが提携した企画という訳ではありませんが、まさに時宜にかなった講演会だと確信しますので、是非お誘い合わせの上、ご参加くださいますようお願いします。
 
(参考動画)
2015年9月21日(月)
日本カトリック「正義と平和」全国集会東京大会
基調講演「東アジアにおける平和と社会正義のために今」(1時間40分)
2016年11月19日
自由の森学園・第32回公開教育研究会
教育講演会「壊れゆく世界を変える個人の勇気について」(2時間9分)
 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2014年10月10日
日弁連が集団的自衛権行使に反対する集会とパレードを主催する意義 
2014年10月11日
安倍晋三首相の“正気とは思えない”歴史認識と積極的平和主義~第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演から
2015年8月28日
動画紹介「100大学有志共同行動記者会見」&「日弁連・学者の会合同記者会見」(8/26)
(中野晃一氏発言文字起こし)
「あの、もういい中年なんですけども、この場にいると若輩者という感じが否めないので、あえて今日お越しくださった報道陣の方たちに向かってお話をさせていただきます。私は、この部屋に入ってくる時に、戦(おのの)くような思いがありました。なぜならば、ここはまさに、全法曹、法曹三者の日弁連の会長、そして元最高裁判事、そして元(内閣)法制局長官、さらには憲法学者の、綺羅星のような、最高権威の先生方が並び揃って、そしてまた、全学界、学者の会、立憲デモクラシーの会、そういった後ろに座ってらっしゃる方々も含めて、このような場というのは、今まで私は見たことがない、聞いたことがない。本を読んだり、テレビで見たり、新聞で読んだりしたことがある人たちが、こんなに揃っている場所っていうのは見たことがないです。これは、日本の法の支配、そして人権の擁護、あるいは学問、教育、そういったことがいかに今危機にさらされているのかということを示している以外の何ものでもないと思います。そうでなければ、こんな総結集は考えられない。そうなってくると、全報道はどこにいるんだということになるんだと思うんです。全法曹がある、全学界がある、(拍手)全報道はどこにあるんですか?自由や民主主義、立憲主義、そういった、あるいは平和。それがあって初めて人権が擁護できて、学問ができて、教育ができる。報道も同じじゃないですか?報道の自由が今危機にあるということも言われています。(拍手)おいでになってくださっている皆さま方は、本当は私はこちら側に一緒に座って、一緒に安倍政権に向かって対峙をせよと、安保法案、これは違憲であるからこんなものは認められないということを言う側にあるんだという風に信じております。山口(二郎)さんの方からもありましたけれども、今後さらに、我々の抵抗は国会の内外で続いていきます。(8月)30日には、総がかり行動ということで、10万人を目指して大結集を行おうということで各団体連携しています。これをきちんと伝えてください。若者も立ち上がりました。お母さんたちも立ち上がった。中年の会だってできた。報道はどこにいるんだということを投げさせていただきたい。これはあなたたちの問題でもあるんです。よろしくお願いします。(拍手)」
2015年10月26日
動画紹介10/25シンポジウム「岐路に立つ日本の立憲主義・民主主義・平和主義―大学人の使命と責任を問い直す」(安全保障関連法に反対する学者の会)
2015年11月24日
『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』(日本再建イニシアティブ)の刊行について

2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年2月2日
中野晃一上智大学教授ふたたび~秋田で語った「憲法九条の力-立憲主義を守る 市民運動のこれから-」
2016年4月6日
中野晃一氏が獨協大学で語った「安倍政権の押しつける『自発的服従』」(1/29)
2016年8月2日
中野晃一上智大学教授(市民連合)による「参議院選の結果と今後」に耳を傾ける(7/29自治体議員立憲ネットワーク)
(一部文字起こし)
「私もいろんなところで、みんなイライラしているな、気持ちがささくれ立っているなという風に正直感じております。それはやっぱり、すっきりして、「ああ、やったやった」というような結果がですね、参議院選挙で収めることが出来れば良かったんですけれども、そういうことにはならなかったということで、どうしてもやっぱり今は、しばらくのところは、何て言うんですか、やや内ゲバモードになりがちなところもあるので、そういうのは避けてですね。私は、根本的には喧嘩っ早い人間なんですけれども、やっぱり、1つポイントかなと思って自分に言い聞かせてるのは、黙ってた方がいいことは黙ってる、っていうことですね。やっぱり、一言余計なことを言いたくなるっていう時はあって、一言余計っていうのはやっぱり「余計」なんで。(笑)余計だけど一言言わせてくださいというのは、余計だから言わない方がいいって、やっぱり多いんですね。それは、ちょっと我慢すれば、そのあとどうでもよくなることが多々ありますけど、言っちゃうと、それ自体がその次にさらに反応を惹起するっていうことがありますんで、非常に当たり前の話なんですけども、辛抱するところは辛抱するっていうことがやっぱり大事かなという風に思っております。」
2017年2月11日
杉尾秀哉参議院議員と中野晃一氏が語る長野の闘いと野党共闘の今後(2017年2月7日@東京)

中野晃一氏講演会(青法協)チラシ