「原発がこわい女たちの会ニュース」第102号が届きました~武藤類子さん講演抄録特集
2017年7月21日配信(予定)のメルマガ金原.No.2880を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
「原発がこわい女たちの会ニュース」第102号が届きました~武藤類子さん講演抄録特集
前号(第101号)は、ことさら「結成30年記念号」とは銘打たれていませんでしたが、松浦雅代さん、梅原清子さん、山本美佐子さんが、「原発がこわい女たちの会」結成30年にあたっての所感を寄稿されていました。
そして、今号は、5月28日に開催された「結成30年のつどい」のゲストとして講演された武藤類子さんの講演抄録特集となっています。特に、武藤さんの講演抄録部分については、松浦さんからお送りいただいたワード文書をそのままお読みいただくのが一番良いと思い、どうしたものかと考えたのですが、「原発がこわい女たちの会」公式ブログを閲覧したところ、講演抄録は別建てのPDFファイルとして掲載されており、私のブログでもそのPDFにリンクさせていただくことにしました。
その上で、私のブログにもテキスト部分だけはそのまま掲載させていただくことにしましたが(技術上の問題から写真は省略)、写真を一緒に見なければ本当に武藤さんが伝えたかったことが伝わらないでしょうから、写真付きのPDFファイルの方も是非お読みください。
なお、「原発がこわい女たちの会 結成30年のつどい」での武藤類子さんの講演については、小谷英治さんがYouTubeに動画をアップしてくださっています。講演抄録と併せて、この動画も是非視聴してください。
武藤類子 福島原発事故7年目の今 20170528(1時間07分)
原発がこわい女たちの会ニュース NO102号・2017年7月15日発行
新ブログはこちら⇒原発がこわい女たちの会ブログ http://g-kowai-wakayama.seesaa.net/
原発を動かすな!
高浜原発4号機再稼働の断念を求めて
関電前で5月15日~17日ハンスト中の中嶌哲演氏。17日松浦も一緒に写真を撮らせていただいた。(池島さんと松浦・マスク)
引き続き18日~19日は福井県庁ロビーでハンスト。
福島原発事故後のドイツ、台湾、韓国、ベトナム、等の国に比べて、福島原発事故は原因がまだわかっていない。誰も責任をとっていない。福島の人たちの避難者を切り捨て、何事もなかったかのように再稼働ありきの日本。4号機は5月17日、3号機は6月6日に原子炉起動。(5月17日は関西21団体・6月6日は16団体で抗議声明を出しました。和歌山は「脱原発わかやま」で連名・声明文同封しています)
(金原注)
2017年5月17日 抗議声明
2017年6月6日 抗議声明
◆7月7日(金)国相手の大飯原発3.4号止めよう裁判がありました。
11:00 第22回法廷:大阪地方裁判所202号大法廷
原告になっているので参加してきました。裁判長が見慣れない人に変わりました。
最高裁から大阪地裁に来られたようです。
裁判の最大の焦点は基準地震動の過小評価の問題です。データー改ざんまでして、地振動の過小評価を覆い隠す国。次回は9月27日です。
原発学習会 和歌山の歴史を知ろう
日高原発について 濱一已氏
日置川原発について 西尾智明氏
お二人がお話します。
★日時:2017年9月24日(日)13:30より
★場所:田辺市民総合センター2階交流ホール
(田辺市高尾1-23-1 電話0739-26-4900)
★主催:脱原発わかやま (連絡先)事務局・田中(080-3034-7598)
5月28日(日)14:00~ 和歌山ビッグ愛9階C会議室
原発がこわい女たちの会結成30年のつどい
福島原発事故から7年目の今
武藤類子さんの講演会(抄録)
福島原発事故の7年目の現状
★放射性物質を含む汚染水が大量に発生し続けている。
(左の写真、1000トンのタンクが増えつづけている。)
★高さ約120メートルの排気筒の鋼材が破断(2013年9月発覚)
1号機、2号機の排気塔に損傷が見つかっていたが、又新たな損傷が見つかった。10シーベルト~25シーベルト(ドローンで測定しようとしたが、そのドローンも放射線が強いため排気塔に落ちてしまい回収不能)と高汚染のために近寄ることが出来ない。まだ対策がはっきりしていない。2013年10月以降、東電が4回にわたって規制委から求められている、倒壊に係わるリスク評価は未だ提出されていない
★過酷な被ばく労働
事故の原発に6000人ぐらいの人が過酷な被ばく労働に携わっている。2号機格納容器内の空間で650シーベルト毎時(推定)。100%死亡する線量が7シーベルトと言われるため、数十秒で死に至る線量となる。ロボットを投入しても放射線が強くてロボットがだめになってしまう。(ロボットの行方不明は想定内・東電)
★増え続ける除染廃棄物
フレコンバッグは全部で2200万個。仮置き場がなければ家の庭に埋める。埋める庭がなければ容器に保管する。私たちの日常に常にあるフレコンバッグ。窓を開ければそこに放射性廃棄物。下の容器(写真)はリング状のコンクリートを重ねた中に除染土が保管される商品名「除染太助」
中間貯蔵施設はまだちゃんと整備されていないので、公園などに埋められている。仮仮置き場から仮置き場へ、いたるところでフレコンバッグ。
飯館村にある仮設の減容施設(焼却炉)
3年~5年の仮設の焼却炉。一基300億円~500億円と言われている。三菱マテリアル、日立造船、神戸製鋼、石川島播磨という原発利権が関わっている。飯館村だけではなく各地に建てられている。仮設の焼却炉のため、環境にどのような影響があるのか環境影響調査もきちっとされていない。住民にも詳しく説明されていない。フィルターのついた仮設の焼却炉。終われば焼却炉自体が放射性廃棄物。
除染をすると汚染土がたまり続ける
環境省が、汚染土壌再利用の基本方針をまとめる(各地にばらまく)
・除染による汚染土壌の最終処分量を減らすために再利用量を増やしたい。
・道路や防潮堤など全国の公共事業で使用する。
・井上環境副大臣「国民の信頼の醸成が重要だ」
★帰還政策
福島県は2020年までに避難者ゼロにするために
◎法で定められていた年間1ミリシーベルトまで放射線量が下がっていないのに避難区域を解除し20ミリシーベルトまでに。福島だけがなぜなのか。その上、その区域の住民に対する精神的損害賠償や、避難先の住宅無償提供は打ち切られてしまう。(3月末で住宅無償提供は打ち切られた)安全であるから帰ってね。ではない。我慢して暮らしてね。ということです。
◎帰還困難区域の本格的な除染が始まる。線量の高い地域の除染。防護服で労働者の被曝が心配。
大熊町に
3000人の町を作ろうとしている。
1000人の町民。
1000人の労働者。
1000人の研究者。
◎飯館村 復興拠点の道の駅の建設。
道の駅にセブンイレブンが入るが働く人が見つからないので時給1250円に上げたそうだ。飯館村には村民が帰ってもすぐ農業をするわけなく、田んぼや畑があったところに見渡す限りフレコンバッグが置いてある。こんなところに人が帰される。
◎2017年3月、来年戻る予定の学校(写真)。何回も除染したが、これ以上はどうしても下がらない。
◎「帰町しない職員は昇給させない」
楢葉町の松本町長が、住居を町内へ戻さない町職員を「昇格・昇給させないようにしたい」と発言。明らかに言ってはいけない言葉です。楢葉町に帰還した町民は818人(11%)、町職員約100人のうち、既に帰町しているのは35人。飯館村の村長も同じことを言い出した。自治体職員も町と町民の間で苦しんでいる人が沢山いる。自殺する方も多い。仮設住宅は昨年解除になっているが、まだ行き先が決まっていない人も追い出される。今後どうしたらよいのか。避難年月が経つことで疲れてくる、くたびれてくる。うつ状態が蔓延している。「2014年から福島県での自殺率が急激に上がっている」という論文もある。
被害者の立場は困難である。県に申し入れや交渉をしてきたが、責任の取り方、問題の解決に時間が掛かりすぎている。日常的に被害者が、沢山の人が亡くなっている。非情を感じます。それを待っているのかな、と考えてしまう。
★福島のデマ撲滅キヤンペーン。プロパガンダ
◎「紀伊民報」の記事
和歌山の地方新聞「紀伊民報」が浪江町の山火事の記事を「これは問題ではないか」と書いた。浪江町の帰還困難区域の深い山の中の12日間の山火事。地元の消防士や自衛隊の方が20キロの水を背負って2時間歩いて手押しポンプで消火や延焼を防ぐために作業した。最終的には雨で消えたのだが。私たちも消火作業の被曝なども心配したが、福島県は山火事は何も放射能の影響はない、とキャンペーンを張った。「紀伊民報」の記事に対して知事の記者会見の場で福島の記者から知事に対して、こんなデマを書かれた。風評被害だとして謝罪を求めるべきだと進言したそうです。(結果「紀伊民報」は謝罪はしたが記事は取り消さないことにした)
(金原注)
紀伊民報がコラム・水鉄砲に掲載した「山火事と放射能」(2017年5月1日)
「陳謝した」とされたコラム・水鉄砲「福島の火事」(2017年5月8日)
◎福島県環境創造センターが三春町に建設された。
福島県・日本原子力研究開発機構・国立環境研究所の3つの団体が運営。除染の研究・廃棄物処理の研究を行う。国際原子力機関(IAEA)の出先機関「緊急時対応能力研修センター」も設置。(IAEAは国際的な原子力の推進機関)
交流棟(コミュタン福島)は福島の子どもたちに対して放射能の教育をするところ。小学校5年生は必ず受けなければならないことになっている。放射能についてきちっと学ぶのであればいいことだが「ベータ線をチョキで防ぎましょう!!」等のゲーム感覚のものもあり、放射線防護の教育が出来ているかどうか福島県と交渉しているが余り反映されていない。
◎高校生が福島第一原発構内を見学
昨年11月18日、県立福島高校の1・2年生13人が原子炉建屋や免震重要棟などを見学。東電は事故後、視察入構の条件を「18歳以上」としていた。物理学の特別授業を受け持つ東大教授が年齢制限に法的根拠があるのか追及したところ、「労働基準法に準じた内規」であり法律による規制ではないことから、東電は見学を認めた。高校生の見学は原発事故後初めて。保護者の同意などを条件に許可された。東電によると、今回の視察による被ばく線量は最大で10マイクロシーベルト。18歳以下は働いてはいけない原発。原発に高校生が興味を持つことはいいことですが、若い人を高線量のところに参加させることの必要性が問われる。
学生が村内で地域おこしに取り組む
・特産品のかぼちゃを使った饅頭の商品化
・郷土料理を提供する村民食堂の開設
・学生が聞き取りを行う、村民の「自分史」制作
中川勝巳学長「若い人で村内を闊歩することで活気が生まれてほしい」
菅野典雄村長「村民の安心や愛の深まりにつなげたい」
若い人たちの中では何とか福島を復興させたいとの思いが強いとか、そうした人たちの思いをうまく利用して線量の高いところに若い人や子どもたちを使う。うまくつけ込んで、安全の宣伝に使ってしまうのではないかと憤りを感じる
★小児甲状腺がん190人
福島県は「経過観察」2500人の未発表データーに悪性と診断されるケースがありながら、データを発表せずに来たことが「3.11甲状腺がん子ども基金」が事故当時4歳の男児に経済支援を行っている事実を公表し、明らかになった。重大なのは、未公表症例に、事故当時4歳の子供がいたことだ。小児甲状腺がんの多発は「放射線の影響とは考えにくい」その理由の一つが「事故当時5歳以下からの発見がない」というものだった。福島医大では半年以上前に4歳児の甲状腺がんが見つかっていたのである。「事故当時5歳未満がいない」事が注視されている中、医師やスタッフがその事実を黙殺していたことは非常に重い問題だ。
「3.11甲状腺がん子ども基金」設立は、小児甲状腺がんは「放射線の影響とは考えにくい」と言われ、段々見えなくするのではないかという気持ちがあって、甲状腺がんの子供たちが孤立したり、経済的に困窮しでいるなどの状況もあり、甲状腺がんの子供たちに療養費給付事業「手のひらサポート」をはじめた。ヨウ素131のプルーンが通過した1都15県に公募して今までに81名に一人10万円の給付を行った。RI治療の10名には一人10万円追加給付した。福島県民(避難者も含む)58名、県外23名、福島県民で、県県民健康調査以外での発見が5名。福島県がこれまでに発表してきた悪性疑いのある甲状腺がんの患者数は185人(うち1人は良性と確定)だが、これまでみたように184人+1人(4歳児)+5人=190人が福島県の小児甲状腺がんの患者数になる。私たちはきちっとしたデーターが欲しい。と県に申し入れている。
★6月30日 いよいよ刑事裁判が始まる
世界中を震撼させた福島原発事故
多くの住民が避難を強いられ、その途中で命を落とし、元の土地に戻れずにいます。国会の事故調査委員会は、この原発事故が人災であると指摘しました。原発を襲った津波も想定外ではなく、東電が予測していながら対策を怠っていたことが明らかになりました。これだけの被害を引き起こした当事者が罪に問われなくてもよいのか。福島原発告訴団は刑事告訴を行い、検察庁が不起訴としたものの、市民からなる検察審査会がそれを撤回し、2015年7月東電元会長と元副社長2人を強制起訴とする議決を発表しました。ようやく原発事故の責任の所在が刑事法廷の場で明らかにされます!(福島原発刑事訴訟支援団パンフより)
最後に武藤類子さんの言葉
私は小さな喫茶店を開いていました。太陽の熱を使ったり、まきでエネルギーを使い、どんぐりを食べたり、こんな暮らしをしてきたんですね。事故によりまきは使えない、どんぐりも食べられない。いろんなことがダメになってしまうんですね。原発事故は私たち人類だけではなく沢山の生きものたちを巻き込んだ事故でした。私たちは人類として考えないといけないのはなんだろうと今思います。
私の自分の中での3つの言葉は
◇あきらめない
◇つながる
◇自分の頭で考えよう
昨年の夏20歳で亡くなった愛犬みちこちやんが、時々私に云うのですね。自分の頭で考えろ。
福島原発事故は福島だけの問題ではなく一人一人に与えられた問題なのかと思っています。(終)
お知らせ 9月18日(月)敬老の日に
さようなら原発さようなら戦争全国集会が
代々木公園B地区で開催されます。
(引用開始)
ともに生きる未来を!さようなら原発 さようなら戦争全国集会
安倍政権の暴走が止まりません。秘密保護法、戦争法、共謀罪の新設に続き、憲法9条の改悪を打ち出しています。私たちを戦争の泥沼に引きずり込もうとする動きで、決して許すことはできません。さらに沖縄の辺野古新基地建設、原発再稼働や核燃料サイクルの推進、福島原発事故被災者の切り捨てなど、民意を無視し、人権をないがしろにする暴走政権に「NO!」の声をあげましょう。
2011年3月の福島原発事故から6年を迎えたいまも、8万人近い人々が苦しい避難生活を余儀なくされ、補償の打ち切り、帰還の強制など、被災者の切り捨てともいえる「棄民化」が押し進められています。一方で廃炉作業は困難を極め、廃炉費用も約21.5兆円にも膨れ上がり、原発事故の重いツケが残されています。
と き:2017年9月18日(月、祝)
ところ:代々木公園B地区
司会:木内みどりさん
うた:趙博(チョウ・パギ)さん
主 催:「さようなら原発」一千万署名 市民の会
協 力:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
連絡先:さようなら原発1000万人アクション事務局
5月27日(土)久しぶりに鈴木静枝さんを訪ねました。
日高町のケアハウスにお住いです。99歳です。
お元気でした。教え子が定期的に本を持って来てくれるそうです。おおきな虫眼鏡が机の上に置かれていました。
鈴木静枝さん「安倍さんどうするつもりかな」
私「憲法変えたいだけですよ」こんな会話を覚えています。
私の写真の撮る角度が悪かったので目がはっきりしていません。(鈴木さんスミマセン)
(金原注)
鈴木静枝さんの講演録『女から女への遺言状』(1993年)は、私のメルマガやブログで何度かご紹介したことがありますが(『原発を拒み続けた和歌山の記録』にも収録されました)、ここでは、2014年8月31日に配信した「映画『シロウオ 原発立地を断念させた町』と鈴木静枝さん『女から女への遺言状』」をご紹介しておきます。
【記】
みなさん、暑くて、蒸し暑くて大変ですね。安倍政権のあまりにもひどい態度にあきれ、怒っていました。時々竹中平蔵という名前が出てきました。権力者はうまいこと規制緩和をして国民の財産と税金を使い、都合よく金儲けができるのだと金との縁のなかった私でも分かりました。権力の集中は危険極まりない。
◆◆女たちの会は会費とカンパで成り立っています。会費未納の方は納入お願いします。