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和歌山弁護士会憲法学習集会9/20「安倍首相の新たな改憲提言について―自衛隊を憲法に書き込む改憲は何をもたらすか―」(講師:青井未帆氏)のご案内

 2017年8月23日配信(予定)のメルマガ金原.No.2913を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
和歌山弁護士会憲法学習集会9/20「安倍首相の新たな改憲提言について―自衛隊憲法に書き込む改憲は何をもたらすか―」(講師:青井未帆氏)のご案内
 
 今日は、和歌山での行事のご案内です。
 昨年(2016年)の4月30日、青年法律家協会和歌山支部が主催する憲法記念講演会において、「違憲無効な安保法制にどう立ち向かうか~法律施行という状況をふまえて~」と題してお話いただいた青井未帆さん(学習院大学大学院法務研究科教授)が、再び和歌山市で講演されます。来る9月20日(水)、和歌山弁護士会の主催(共催:日本弁護士連合会)による「安倍首相の新たな改憲提言について-自衛隊憲法に書き込む改憲は何をもたらすか-」という講演会で講師を務められます。
 青井先生は、5月22日に立憲デモクラシーの会が発表した「安倍晋三首相による改憲メッセージに対する見解」においても、長谷部恭男早稲田大学教授、石川健治東京大学教授とともに、「見解」取りまとめを担われたのだと想像されます(「見解」発表記者会見にも出席して発言されています)。
 その後も、この問題について各地で講演されているようで、去る8月5日には、兵庫県弁護士9条の会の招きにより、「憲法に自衛隊を明記することの意味を考える」と題して講演されています(巻末リンク参照)。
 以下に、9月20日の講演会チラシから文字情報を転記します。
 
チラシから引用開始)
憲法学習集会
安倍首相の新たな改憲提言について
自衛隊憲法に書き込む改憲は何をもたらすか―
 
本年5月3日に安倍首相は、「憲法9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」「高等教育を無償化する」ことなどを内容とする憲法改正を実現し、2020年の施行を目指すと提言しました。そこで、この改憲案の内容を、憲法学的にどのように理解し、解釈することになるのか憲法学者に解説いただき、学習したいと思います。
 
講師 学習院大学大学院 法務研究科 青井 未帆 教授

日時 
201720日(水)
    開演 午後6時30分(~午後8時30分予定) 開場 午後6時
場所 華月殿 5階 八州(やしま)
     和歌山市屋形町2丁目10 (※アクセス
入場無料・予約不要
 
主催 和歌山弁護士会
共催 日本弁護士連合会
お問い合わせ 和歌山弁護士会
〒640-8144 和歌山市四番丁5番地
TEL:073-422-4580 FAX:073-436-5322
(引用終わり) 
 
 華月殿という(昔は結婚式場でした)、和歌山市での講演会会場としてあまりポピュラーとは言えないところでの開催となったのは、日程の都合でやむなくということでしょう。私は、事務所から徒歩約2分という至近の距離でとても便利ですけど。
 
 是非1人でも多くの方にご参加いただき、青井教授によるシャープな分析に耳を傾けていただきたいと願っています。
 
 最後に、5月22日に行われた立憲デモクラシーの会「見解」発表記者会見での青井未帆教授の発言の一部を引用します。
 
(引用開始)
青井未帆(学習院大学憲法学)
 学習院大学の青井と申します。憲法学を専攻しております。少しお時間をいただいて、私のほうからは9条を中心に意見を申し上げたいと思います。一言で今日申し上げたいことを表すならば、それは軍、軍事力といったものを扱う態度として危険極まりないということでございます。二点に絞ります。一つ目としましては「9条1項、2項を残した状態で自衛隊を書き加えるだけ」という説明がされておりますけれども、もたらされるであろう効果、結果というのは一見するよりも大きい。この点について、まず述べたいと思います。それから二つ目につきましては、軍、軍事力というものをどう制御するかということは、我が国が明治の開国以来ずっと課題としてきたであろうこと。これに鑑みるならば、今の憲法をめぐる態度というのはあまりにも恥ずかしい内容ではないか。こういう内容を二点目として申し上げます。
 まず一点目でございますけれども、「すでに存在する自衛隊を書き込むだけであるといったような言説」が報道等でもされている。一部の報道等では、これを積極的に評価する論者も紹介しておりますけれども、しかしながら、2014年、2015年に9条、集団的自衛権を認めないというような解釈を変更したことで、わたくしは箍(たが)がはずれたと思っておりますけれども、箍(たが)がはずされたとはいえ、現在においてもなお条文としてそこに存在しているからこそこれはじゃまになっているわけで。別の言い方をすると、9条1項、2項というのは、まだ法としてみなされている。この法であったものが、法であるにふさわしいような規範としての力を持たなくなる。論理破綻をするというのが、自衛隊を書き込むことの意味です。なぜかというと、これまでの2014年の政府解釈の変更を含めてもなお、今なおある9条の解釈というのは、武力行使は原則できないということです。政府解釈は二つのラインからなっています。一つは、例外的にできる武力行使があるということと、もう一つは、武力行使に当たらないからできるという、これら二つの理屈で政府解釈というのは作られております。自衛隊がその例外的な「武力行使できる」組織としてあり、武力行使でないからできるという理屈で、例えば海外での活動など枠づけられてきました。こういう面倒な説明が必要になる根本的な理由をなくすのが、憲法に「自衛隊」を書き込むことの意味です。「例外的にできる」ということを消去して、自衛の活動ができるということが原則になるに他ならないわけですので、結局これまでの二本柱、「大原則ができないけれども、武力行使ができる場合がある。それとは別に武力行使に当たらないからできる活動がある」等々の説明が破たんするということになります。
 このことは実は、米艦防護などにおいて非常にクリティカルな問題を提起しておりまして、安保法制懇の報告書では、「あれは集団的自衛権になる」との批判があったわけですけれども、結局、「武力行使に当たらないからできる。警察権の行使だ」と説明されているわけです。このようにぐちゃぐちゃっとなったところで、さらに自衛隊について書き込むとなると、武力行使の違法化、限界がもともとなくなったものとして、戦力不保持について定める2項も無効化すると言わざるを得ないと考えます。
 そしてまた二つ目ですけれども、改めてここで私たちが考えなくてはならないのは、近代国家成立以来、軍、軍事力の統制というのが、私たちにとって大変大きな課題であったはずである点です。薩長の兵権を統制するということから始まりまして、統帥権の独立、軍人勅諭による動員を経て、最終的には軍の統制に失敗してしまった。その失敗したことが日本国憲法の出発点である。この点に鑑みたときに、今の扱い、9条1項2項に加えて3項を加えるというのは、あまりにも軽い扱いなのではないか。基本的に軍の論理というのは、市民社会に最終的にはぶつかりあう部分があります。だからこそ、細心の注意を持って制度設計しなければならないはずである。私はこの9条というのは、そういう意味で非常に斬新な方法であり、今なお邪魔になっているということからも、この規定を設けることによる軍事力の統制というのはなかなか評価に値する試みであると思っておりますが、仮にこれを変えるべきであるとしても、たくさんの命が失われたという過去を背負いながら、これを真面目に議論するべきであって、書き込むならば、9条1項、2項に3項を加えるだけではなく、統治機構全般にわたる一つのパッケージとして議論を真面目にするべきであると、このように考えております。先ほども申し上げましたけれども、一言で申し上げるならば、もっと真面目に、この軍について取り扱わなくてはいけないところ、「軽すぎる」という点を、大変危機感を持って申し上げたいと思います。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/安倍改憲メッセージ関連)
2017年5月24日
2017年6月16日
2017年6月22日
2017年6月27日
2017年6月30日
2017年7月9日
2017年7月12日
2017年7月18日
2017年7月20日
2017年8月2日
2017年8月9日
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/青井未帆氏関連)
2014年10月4日
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