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国民投票に勝ち抜く言葉を獲得するために~石川健治さん「自衛隊を憲法に書き加えるとどうなるのか?」(2018年1月7日)講演テキストを読む

 2018年11月8日配信(予定)のメルマガ金原No.3325を転載します。
 
国民投票に勝ち抜く言葉を獲得するために~石川健治さん「自衛隊憲法に書き加えるとどうなるのか?」(2018年1月7日)講演テキストを読む
 
 自衛隊の高級幹部会同(9月3日)及び自衛隊記念日観閲式(10月14日)での訓示、さらには臨時国会冒頭(10月24日)での施政方針演説において、自民党総裁安倍晋三氏は、「内閣総理大臣」としての立場において、事実上、自衛隊憲法に明記する憲法「改正」への強い意欲を明らかにしました。
 
 このような、憲法尊重擁護義務(日本国憲法99条)を一顧だにしない内閣総理大臣が主導する改憲への動きにどう対峙するかということが、差し迫った課題として私たちに突き付けられています。
 
 来年夏の参議院議員通常選挙では、6年前の民主党が惨敗した選挙で当選した議員が改選期を迎えるため、野党の闘い方次第では、与党が議席を減らす可能性も十分あり、そうなると、今でさえ与党だけでは2/3を超えず、日本維新の会などの協力が必要な状況なのに、いよいよ改憲発議が困難となります。
 このような状況下で「何としてでも改憲を実現する」と決意した内閣総理大臣が打ってくるであろう手立てを素直に予想してみれば、来年夏の参院選挙と憲法「改正」国民投票の同時実施だろう、ということが容易に推測されます。
 来年改選期を迎える参議院議員の任期は7月28日までですが、公職選挙法32条、国会法10条により、最も遅い日曜日として8月25日を投票日とすることも可能です。
 改憲発議から国民投票までには最低60日の期間を空けねばなりませんから、6月20日ころまでに衆参両院で2/3以上の賛成を得て改憲発議すれば、参院選国民投票との同時投票が可能となります。
 首相らが同日投票を考えるであろうと推測する根拠としては、①参院選の結果、改憲派が2/3を割り込む可能性を考えると、現有議席を保持しているうちに国民投票を実施すべきである、ということだけではなく、②改憲派が選挙で少々議席を減らすとしても、過半数割れの可能性は低く、国民投票過半数改憲成立なのだから、選挙運動と連動して国民投票運動を戦った方が有利ということがあるでしょうし、③公職選挙法によって厳しく規制されている選挙運動と、野放しに近い国民投票運動とが同時実施されることによる混乱や萎縮効果は、改憲反対派の方により影響が大きいだろう(改憲派は資金力に物を言わせられるが、反対派はそうではないので)ということがあると思われます。
 さらに、これ以上の「最悪のシナリオ」としては、衆議院も解散して衆参同日選挙とし、野党の選挙協力を分断する、つまり、トリプル投票を仕掛けるということもあり得ない訳ではありません。
 「まさか」と思われるでしょうか?そう考える人には、今まで安倍内閣がやってきた「まさか」という事例を指折り数えていただきたいと思います。
 
 さて、以上のような情勢認識を基に、我々が何をしなければならないかということですが、改憲発議を阻止するための活動はもちろん重要ではあるものの、国民投票はある、ということを前提とした取組にも力を注ぐべき時期ではないかと思います。
 和歌山では、来る2019年1月19日(土)午後1時30分から、和歌山県民文化会館大ホールにおいて、「安倍改憲阻止!和歌山県民集会(仮称)」を開催すべく準備中ですが、第1部の基調講演を小林節先生(慶應義塾大学名誉教授、弁護士)にお願いするとともに、第2部では、「国民投票運動を勝ち抜くために」をテーマとしたいと内容を練っているところです。   
 もっとも、誰もやったことのない「国民投票運動」を、どうすれば勝ちぬ抜くことができるのか、即効性のある処方箋があれば誰も苦労はしない(改憲派も是非知りたいと思っているでしょう)のですけどね。
 ただし、運動の目標はかなり明確だと思います。つまり、①もともと改憲に反対もしくは消極的な人には、絶対に棄権せずに投票所に足を運んで「反対」に〇をしてもらうこと、②態度未定の人を1人でも多く、「反対」に引き入れるための説得力ある言葉を持ち、これを有効に伝えること、でしょう。改憲派も、この逆をやろうとしているはずです。
 
 自民党改憲4項目の焦点は、何といっても自衛隊明記(緊急事態条項も重要ですが)です。
 様々な団体が、「自衛隊憲法に明記することによって何が変わるのか?」をテーマとした講演会やシンポジウムを企画・実施しているのも、そのような問題意識からでしょう。
 この間、憲法研究者を中心とした多くの識者の皆さんから、とても有益なお話をたくさん伺ってきました。
 今日ご紹介しようと思う(実は2度目のご紹介です)、今年1月7に行われた石川健治東京大学教授(憲法学)による講演は、中でも目を開かれるところが多く、注目していました。
 その講演が行われたのは、今年の1月7日、東京都北区の北とぴあ・さくらホールにおいて開催された「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(共催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)においてでした。
 その「つどい」については、実に多くの動画がアップされていましたが、音声レベルが聴きやすいものを中心に、複数の動画を私のブログでご紹介しました。
 
2018年1月9日
「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(2018年1月7日)の動画紹介~石川健治教授(東京大学憲法学)の講演を是非聴講しましょう
 
 そのように、一度ご紹介した石川健治教授の講演を、あらためてご紹介することにしたのは、安倍首相が自民党総裁選挙で三選され、その後、冒頭で書いたように、「内閣総理大臣」の立場から、自衛隊明記の改憲に号令をかけるという異常事態を迎え、いよいよ私たちの理論武装も待ったなしであるということもありますが、そのための非常に有力なツールを提供してくれているサイトがあることが分かったことによります。
 
 1月7日に行われた「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」については、多くの動画サイトが録画をアップしてくれており、私は翌々日の1月9日にそれらの動画をブログでご紹介したのですが、それらのチャンネルよりもずっと遅れ、1月17日に石川健治教授の講演部分のみをアップしてくれたところがありました。
 それが「映像ドキュメント」です。
 
自衛隊憲法に書き加えるとどうなるのか? 石川健治(38分26秒)
 
 一見すると、他のサイトにアップされた動画と変わりはないように思えるかもしれませんが、画面埋込のブログで読んでおられる方は、まず、画面上段にある「自衛隊憲法に書き加えるとどうなるのか? 石川健治」という文字列をクリックしてください。これで、YouTubeサイトで動画を視聴できるようになります。
 次に、画面右下にある4個並んだアイコンの内、一番左のものをクリックしてください。これが「字幕」を表示させる機能であり、石川教授の発言部分に、きっちりとした「字幕」が現れます。その内容は、要約というようなものではなく、ほぼ正確な文字起こしに近いもので、私は感動してしまいました。
 「映像ドキュメント.com」の配信ページを閲覧してみると、
  WEB&YouTube配信 2018年1月17日
  字幕版 8月13日
  テキスト 8月15日
と記載されていました。
 
 上記のテキストというのは、字幕版を作るための前提として行った講演全体の文字起こしの結果をテキスト化してアップしたものです。
 
憲法の考え方
自衛隊憲法に書き加えるとどうなるのか? 石川健治さんの講演
文字起こしテキスト
 
 ここまでやっている動画サイトが(ことに憲法問題などを多く取り上げている動画チャンネルで)他にあるのか、寡聞にして私は知りません。もしかしたら他にもあるのかもしれませんが、珍しいことは間違いないでしょう。
 まあ、ここまでやる以上、主催者及び講演者ご本人の承諾は当然得ているはずだと思い、私もリンクさせてもらっているのですが。
 
 石川教授の講演文字起こしには、以下のような見出しが付されています。
多分、「映像ドキュメント.com」のスタッフによって付けられたのでしょうが、適切なものだと思います。これによってお話の大体の構成をのみ込んでいただけるでしょう。
 
石川健治さんの講演はじまる)
1.明治維新から150年の歴史のなかの憲法
 ◎文明国になるために必要だった「憲法
 ◎2つの魂を持った明治憲法
 ◎文明国として認められたのだが、葬られた立憲主義
 ◎立憲主義を根づかせた日本国憲法
 ◎改憲論が起こるのは
2.9条に関する戦後の議論
 ◎カントの「定言命法
 ◎悪評にさらされてきた憲法学者
3.9条加憲論が通るとどうなるのか
 ◎9条がはたした役割のひとつ、軍事力統制
 ◎軍事力統制─ドイツの場合
 ◎軍事力統制─日本の場合
 ◎9条の光と影
 ◎軍事力統制─ひとつのやり方
 ◎加憲論の問題点
 ◎9条方式をやめて軍事力統制をするなら必要な大前提
 ◎現状追認にならない加憲論
4.外国から攻撃されたら─という批判に対して
 ◎ニーチェの言葉
          
 冒頭、石川先生が、「タイトルも私が決めたわけではなくて、高田(健)さんがつけちゃったタイトルです。〈笑い〉(元タイトルは憲法講演「安倍9条改憲の危険性」)私は基本的に、学問的な話しかできない人間ですので、こういうセンセーショナルなタイトルは、困ったものだなあというふうには思わないではないんですけども」と仰っているとおり、アカデミックなお話には違いないのですが、この種の集会での基調講演も数を重ね、石川先生としても、そのような「学問的な話」を、いかに普通の聴衆に理解できるように語りかけるかということに、かなり慣れてこられたのではないかと推測します。
 実際、文字起こしされたテキストを通読してもらえれば、難し過ぎるということはないのではないかと思います。
 
 是非、「映像ドキュメント.com」サイトで全文をお読みいただきたいのですが、とりわけ私たちの運動において参考となる「3.9条加憲論が通るとどうなるのか」の重要部分を抜粋してご紹介したいと思います。
 
(1/7石川健治さんの講演文字起こしテキストから抜粋引用開始)
3.9条加憲論が通るとどうなるのか
◎9条がはたした役割のひとつ、軍事力統制
 その問題というのはですね、日本国憲法の9条が果たしてきた役割の一つ、あくまでも一つとしての軍事力統制という役割であるわけです。日本の憲法9条っていうのは、先ほど申しましたように、日本の政治社会を初めて非軍事化することに成功したと。そして、立憲主義を実現することになりましたし、それが、戦後の自由な空気を作ってくれたわけなんですが、それだけではなくて、あくまで日本の統治機構の一環をなしていたということです。ここをまあ強調しておきたいわけなんですね。
◎軍事力統制─ドイツの場合
 ここでまあ、しばしば対比されるのが戦後の西ドイツのあり方であるわけですが、戦後、西ドイツはとにかく動かない軍隊を憲法につくる、刻んだわけです。普通の国よりも面倒臭い規定を憲法に書き込んで、いろんなコントロールコントラ・ロールを用意して、で、使えない軍隊、弱い軍隊、動かない軍隊をつくりました。
 緊急事態条項についても同様で、これも非常に激しい反対運動があったんですけれども、ぎりぎり成立した緊急事態条項というのは動かないものになっていて、現在でも動いていません。
 ただあの軍事の方はですね、緊急事態条項とは違いまして、動き始めちゃったわけです。
最後の歯止めになっていた憲法裁判所というのが、このドイツ軍の域外派兵を合憲だと言ってしまったために、現在ではアフガニスタンとかですね、いろんなところに「平和維持」のために軍隊が飛んでいるということになってしまいました。
 で、まあとにかく、これが一つの行き方ですね。動かない軍隊をつくるということです。
◎軍事力統制─日本の場合
 日本の場合は、もうすでに軍隊がないという前提のもとで、それを永続させようというように考えたわけで、それが9条だったということです。軍隊というものから正統性っていうのを剥奪した。つまり軍隊は本来ないことになっている、というかたちで軍事組織からですね、その理由を奪ったわけです。存在理由を奪ったわけです。
 で、この存在理由を奪う、難しく言えば、正統性を剥奪するというやり方というのは、これは権力統制の一つのやり方ではあるんですね。たとえば、明治憲法の場合を考えてみますと、明治憲法ができる前に内閣という制度はもうできあがっていまして、初代の内閣総理大臣伊藤博文であったわけです。ところが、明治憲法の中に内閣という存在はないんですね。明治憲法は内閣というものを認めなかった。内閣から憲法上の正統性を剥奪したんです。 憲法上存在理由はないということになって、書かれているのは個々の国務大臣だけです。でまあ、いろいろな説明が可能で、これを話すと何時間もかかっちゃうんですけども、まあ、当時言われた言い方としては、幕府をつくってしまうのを恐れたんだと。
内閣を認めてしまうと、これがまた江戸幕府に替わる新しい「明治幕府」になってしまうのではないかとかですね、いろいろな説明がありますが、とにかく内閣というものを認めなかった。これがまあ明治憲法下の統治機構の弱点にもなっていったわけです。統治がですね、常に不安定であったと、で、その内閣という憲法上認められていない場を巡って、軍部と、それから宮中と官界と政界とですね、いろんな人たちが、権力ゲームを繰り返す、いうことになっちゃったわけです。
 そこで、戦後日本国憲法は内閣に正統性を付与した、正当性を与えたわけで、戦後の日本国憲法には内閣というのがちゃんと書いてあります。それと入れ替わるように今度はですね、軍隊についての規定がなくなっちゃった。というわけですね。
 ですから、こうやってこの既存のものから正統性を剥奪するというのは、一つの権力統制のかたちであるわけです。で、期せずして9条はそういう機能を果たすことになってきたということ、これはまあ、強調しておく必要があります。
(略)
◎加憲論の問題点
 時間がありませんので、いくつか端折ってお話をさせていただきますけれども、まず第1にですね、加憲案の問題というのは、構成だけあって統制がないということです。
 これまではですね、9条の例外として自衛隊を位置づけるという論法が、自衛隊の合憲性を支えてきたんです。もちろん違憲論は有力なんですが、政府筋では自衛隊に例外をつくる、失礼、9条に例外をつくると。
 この例外というのは常にあるわけですね。たとえば人を殺したら殺人罪なんですけれども、その例外として、正当防衛の場合は違法でない。少なくとも処罰はされないということになっています。そうやって、この例外をつくる論理というのがあって、その例外をつくる論理によって自衛隊を正当化していると。
 だから逆にいうと、「正当防衛の場合には人を殺していい」という規定はいらないわけですね。「人を殺したるものはこれこれの刑に処す」という条文だけで足りるわけで、それを、その例外の論理によって正当化すると、そういうことをやってきたと、こういう話であるわけです。
 ですから、現在はあくまで例外としておかれている。例外であるということによってコントロールされているということ、これをまあ考えていただきたいわけですね。
 ところが、これをその正面から認めると、自衛隊というものに憲法上の正統性を与えると。これは、すでに法律上の正統性は与えられているのですけれども、憲法上の正統性を与えることになりますと、原則と例外がひっくり返ってしまうわけですので、今度は、正面からいろいろなかたちでコントロールシステムを憲法に盛り込まなきゃいけないということになります。
 まあドイツに倣って、非常に面倒臭い規定を設けていくというのが、一つのプランということになるわけですが、今回の9条加憲案というのは、そもそも統制する気がないわけですね。
 この、3項なのか、9条の2か分かりませんが、加憲だけしておいて、それに対するコントロールシステムを用意しようとしていない。ここに現在の改憲論の地金が自ずと現れているというふうに考えていただきたいと思います。構成だけしていく。そうすると何が起こるかというとですね、これまではコントロールされてきたのに、そのコントロールがなくなっちゃうわけですね。もちろん、それは政府がコントロールしているんだと言いたいかもしれませんけれども、この点は必ずしも期待できるものではないというふうに思います。
◎9条方式をやめて軍事力統制をするなら必要な大前提
 と申しますのはですね、なんかだんだん時間もおしているので、慌ててるんですけれども、もしこうやって、いわば9条方式をやめて、普通のコントロール方式に切り替えるということになるとすればですね、そこには必要な前提条件というのがあるわけですが、その前提条件が現在まったく整っておりません。
 まずですね、普通の方式ってのは、いわば市民社会と、そして軍隊を切り離すというところから始まります。あるいは、市民的な統治システム、いわば政府と、それから軍隊を切り離すところからスタートするわけです。そして、切り離したうえで、今度は市民的な権力の方を軍隊よりも上位に置くということをやります。そして上位に置いたうえで、この上位にある、まあ市民的な権力が軍事的権力を統制する、コントロールするという、そういう順序をとるわけです。これがシビリアンコントロールという風にいわれる方式で、逆に言えばシビリアンコントロールの前提は政・軍の分離なんですね。政・軍の分離があり、政の優位がありですね、そして政による統制があると、こういう順序になりますので、シビリアンコントロールの前提には政・軍の分離っていうのは、大前提としてなくてはいけないわけです。
 が、まあ辞めちゃった人の発言を、あれこれあげつらうのは、あまりよくないかもしれませんが、たとえば、稲田元防衛大臣は、選挙において防衛省の立場からも自衛隊の立場からも応援したいというかたちで政・軍の分離を無視していたわけです。つまり、シビリアンコントロールを語る前提がないんですね。前提がないところに自衛隊を正統化してしまったら、何が起こるかっていうことです。つまり、まっとうな軍事力統制を語る前提がまだ成立していない。で、また、そういう前提を持っていない人たちが、改憲を動かしているということになります。
 冒頭に申しましたが、これは結局近代的な意味でのコンスティテューションを知らない人たちがやっているからそうなるわけです。これまではやはりその、まず慎み深い、まあ、いろいろ問題がなかったといえないとしても、慎み深い軍隊として国民に受け入れられるように努力してきた、これが自衛隊だというふうに思いますが、大手を振って憲法上正統化されて、で、なおかつ、その統制がまったくないということになった状態で、あとからですね、果たして政治がそれをコントロールできるのだろうか、ということがあるわけです。
 大前提として、やはりいくつかの条件が整っていないこの段階で、この9条の加憲をするというのは、最も危険な提案だということになるわけですね。
現状追認にならない加憲論
 現状を追認するわけではないんです。現状を追認するのではなくて、むしろ無統制状態をつくっていくという提案を、しかもこともなげにやろうとしているということなわけで、まあ結局、真面目に憲法のことを考えてくれていないということなんだろうと思います。
真面目に憲法のことを考えてくれていないということは、真面目に自由のことを考えてくれていないということになるわけですね。
(引用終わり)
 
 いかがでしょうか。書いていないということに意味がある(正統性の剥奪)という重要なポイントも、1889年に発布された大日本国憲法に、1885年から施行されていた「内閣」制度を書き込まなかったことと対比して説明されており、とてもよく分かりました。
 とはいえ、これを改憲について「態度未定の人」に読んで欲しいと言ってもね・・・。
 このような識者の見解に学んだ後は、これを短い自分のことばに翻訳する作業が必要でしょう。それが、安倍改憲反対の運動に関わっている者にとっての課題です。
 
 
(参考法令)
公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)
 (通常選挙
第三十二条 参議院議員通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。
2 前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。
3 通常選挙の期日は、少なくとも十七日前に公示しなければならない。
 
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)
第十条 常会の会期は、百五十日間とする。但し、会期中に議員の任期が満限に達する場合には、その満限の日をもつて、会期は終了するものとする。
 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/石川健治さん関連)
2015年6月8日
憲法学者の矜恃~佐藤幸治氏、樋口陽一氏、石川健治氏(6/6「立憲デモクラシーの会」シンポジウムにて)
2016年1月25日
「立憲デモクラシーの会シンポジウムin岡山」(1/22)中継動画を視聴して今後の企画に期待する
2016年2月6日
立憲デモクラシーの会・公開シンポジウム「緊急事態条項は必要か」を視聴する
2016年5月2日
憲法記念日を前に~「憲法学者石川健治・東大教授に聞く」(毎日新聞・特集ワイド)を読む
2016年5月3日
憲法記念日石川健治氏(東大教授)の論考「9条 立憲主義のピース」(朝日新聞)を読む
2016年11月4日
ダブル講演(11/3)「混迷する南スーダンの情勢と自衛隊の派兵:栗田禎子氏」と「立憲主義の破壊と『戦後』の終わり:石川健治氏」を視聴する
2017年1月3日
「BSフジLIVE プライムニュース」テキストアーカイブから識者の発言を読む~石川健治氏、伊勢﨑賢治氏など
2017年5月5日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第6回・石川健治東京大学教授「天皇と主権 信仰と規範のあいだ」のご紹介
2017年6月16日
書き起こしで読む立憲デモクラシーの会「安倍晋三首相による改憲メッセージに対する見解」発表記者会見(5/22)
2017年6月29日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第7回・島薗進上智大学特任教授&石川健治東京大学教授「教育勅語―なにが問題か:天皇・軍隊・人間」のご紹介
2018年1月9日
「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(2018年1月7日)の動画紹介~石川健治教授(東京大学憲法学)の講演を是非聴講しましょう
2018年3月14日
YouTube版・立憲デモクラシー講座に石川健治東京大学教授(憲法学)が登場~しかも3回分(第4回~第6回)の「大河」講義
2018年7月22日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第7回・特別企画「ポスト真実時代における学問の自由-講演と討論」のご紹介
2018年9月24日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第8回・日比嘉高氏(名古屋大学准教授)&石川健司氏(東京大学教授)「学問・芸術の〈中立性〉とポスト真実の時代」のご紹介