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改憲4項目の危険性を知り 改憲阻止の闘いを展望する~和歌山障害者・患者九条の会学習会(2019年2月11日)レジュメ

 2019年2月11日配信(予定)のメルマガ金原.No.3406を転載します。
 
改憲4項目の危険性を知り 改憲阻止の闘いを展望する~和歌山障害者・患者九条の会学習会(2019年2月11日)レジュメ
 
 本日(2月11日)午後1時から、和歌山市ふれ愛センター3階研修室1において開催された和歌山障害者・患者九条の会学習会で、「改憲4項目の危険性を知り 改憲阻止の闘いを展望する」というテーマでお話させていただきました。
 同会からご依頼があったのが昨年12月半ば頃で、2か月近い準備期間があるので、お話する内容の構成も、一から考えられるのではないか、などと考えて安請け合いしたものの、それから1月19日の「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」までの1か月間は、「つどい」の準備に明け暮れ、なかなか一からレジュメを書くどころではなくなっていきました。
 それに、同会でお話する際には、視力障害者用にレジュメを点字訳する必要があるため、通常よりも主催者にレジュメの原稿をお送りする締切が早いという事情があったものですから、過去の学習会で使ったレジュメの増補改訂版でいくしかないなと、1月に入ってからは覚悟していたのですが、そこに降って湧いたような左気胸による緊急入院で、もしも手術というようなことになったら、学習会の講師を誰かに代わってもらうしかないだろうが、誰に頼もうか?Y先生なら手堅いけれど、日程が空いているかな?もっともY先生は、昨年も、和歌山障害者・患者九条の会で講師を務めているが・・・とか、いろいろ思い悩んだのですが、幸いにも手術をせずに退院できて、今日の学習会の講師を無事務めさせていただいたという次第です。
 もっとも、退院したのがレジュメ締切の前日であったため、いかに増補改訂版とはいえ、翌日に送るのは無理で、主催者のご理解を得て何日か遅れでお送りしたレジュメが、参加者のために用意されていました。
 
 今回のレジュメのベースとしたのは、昨年(2018年)10月21日に和歌山県伊都郡かつらぎ町のかつらぎ体育センターで開かれた憲法9条を守る伊都・橋本連絡会が主催する第10回 伊都・橋本9条まつりにおいて、「これからの9条改憲NO!の闘い」と題してお話した際のレジュメです。
 時間もなかったため、基本の骨格はそのままで、何箇所かに手を入れたというようなものなので、わざわざブログでご紹介するほどのものではないのですが、私自身の備忘録代わりにアップしておきます。
 
 なお、基本的にはレジュメの記載に従ってお話させていただきましたが、最後の〆として、「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」の最後に、9条ママnetキュッとの笠松美奈さんに朗読・提案していただいた「つどい」からのメッセージを私が朗読しましたので、以下にも該当箇所にメッセージを挿入しておきます(レジュメのPDFファイルにはメッセージはありません)。
 

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日時:2019年2月11日(月・祝) 
会場:和歌山市ふれ愛センター 3階 研修室1
主催:和歌山障害者・患者九条の会
 
              改憲4項目の危険性を知り 改憲阻止の闘いを展望する
 
         弁護士 金 原 徹 雄
 
1 安倍晋三首相による改憲メッセージ(改憲提言)
 2017年5月3日
 ◎読売新聞朝刊インタビュー
 ◎改憲派の集会(公開憲法フォーラム)へのビデオメッセージ
  ①9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込む
  ②高等教育無償化
 
2 自民党改憲4項目」に集約
(1)2017年10月の衆議院総選挙における自民党の「公約」
 「自衛隊の明記」、「教育の無償化・充実強化」、「緊急事態対応」、「参議院の合区解消」という4項目を明示した上で、「初めての憲法改正を目指します」とした。
(2)2018年3月22日 自民党憲法改正推進本部「とりまとめ」
   3月25日 自民党第85回党大会
   3月26日 自民党憲法改正推進本部「憲法改正に関する議論の状況について」で「条文イメージ(たたき台素案)」を公表。
 
⇒[自衛隊の明記について]
第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 (※第9条全体を維持した上で、その次に追加)
 
⇒[緊急事態対応について]
第七十三条の二 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
② 内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
 (※内閣の事務を定める第73条の次に追加)
第六十四条の二 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の三分の二以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
 (※国会の章の末尾に特例規定として追加)
 
⇒[合区解消・地方公共団体について] 
⇒[教育の充実] 
 
3 本命は9条
 憲法には、軍事組織を前提とした規定が全く存在しない。それは、日本国憲法制定時にそもそも軍事組織が存在しなかったからであるが、その後、日本が独立を回復し(1952年)、さらに自衛隊が発足(1954年)してからも、9条はそのまま維持され、自衛隊は「憲法外」の存在に置かれ続けた。言い換えれば、憲法は、自衛隊憲法上の「正統性」を与えないということによっ て、その立憲主義的統制を及ぼしてきた。
 その結果、自衛隊の存在や行動が「合憲」であることを、政府の側で常に立証(説明)しなければならないということになる。
 伝統的な自民党政権下の論理は以下のとおり。
 ①我が国に対する急迫不正の侵害が生じ
  ②これを排除するために他に適当な手段がなく
  ③我が国に対する武力攻撃を排除するために必要最小限度にとどまる実力の行使は「武力の行使」にあたらない。(旧3要件)
 自衛隊は、そのような必要最小限度の実力の範囲内にとどまるので、「陸海空軍その他の戦力」にあたらず合憲である。(2014年6月までの政府解釈) 
(2)ところが、2014年7月「閣議決定」、15年9月「安保法制」制定
 ①我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において
 ②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに
 ③必要最小限度の実力を行使することは合憲である。(新3要件)
 ⇒安保法制型自衛隊
  集団的自衛権の否定と一体であった自衛隊合憲論の根拠が崩れてしまった。
(3)自衛隊明記の真の目的とは
 ①「後法は前法を破る」(ローマ法以来の法格言)
  9条をそのまま残しても、それと矛盾する9条の2が新設されれば、9条は上書き消去されることになる。
 ②自衛隊憲法上の「正統性」を付与することにより、従来、自衛隊を「憲法外の存在」とすることによって及ぼしてきた統制のくびきから脱し、世界中で、自由に軍隊としての自衛隊を活動させることを目論んでいる。
 ③もちろん、安保法制についても、国民投票での支持を取り付けることにより、違憲のレッテルをぬぐえるということになる。
(4)「必要最小限度」に惑わされてはならない
 自民党憲法改正推進本部が9条についての「条文イメージ(たたき台素案)」をとりまとめるにあたり、最後まで有力であった別案がある。
 
「九条の二① 我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つための必要最小限度の実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」
 
 同党憲法改正推進本部は、「「条文イメージ(たたき台素案)」をたたき台とし、衆参憲法審査会や各党・有識者の意見や議論を踏まえ、「憲法改正原案」を策定し国会に提出する。」と明言している。ここで言う「各党」が、主に公明党日本維新の会を念頭に置いていることは疑いなく(今なら、国民民主党の一部もか)、上記別案が、「各党」とのネゴシエーションの末に(「落としどころ」として)、「憲法改正原案」として復活する可能性はあり得る。
 ちなみに、「必要最小限度の」という文言が入ったとしても、「何のための」必要最小限度なのかが問題であって、「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つため」では何の限定にもならない。
   
4 緊急事態条項は不要であるばかりか有害で危険
(1)濫用への歯止めがなく、全ては「法律で定めるところにより」
(2)自然災害に限定されていない
(3)国会議員の任期延長は無用かつ有害
(4)自然災害への備えは法律で十分
(5)世界中の憲法に「緊急事態条項」があるというけれど、「緊急事態条項」は戦争をするためのもの
 
5 合区解消と教育について
 
6 草の根「改憲に向けた動き」
(1)「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の1000万人「署名」
 彼らの署名用紙には、住所だけでなく郵便番号や電話番号を書く欄がある。
(2)「憲法おしゃべりカフェ」
 和歌山でも開催されている(実行委員会の所在場所は県神社庁内)。
(3)全国の神社が改憲派の拠点に
 神社本庁神社庁の指示で神社が改憲署名集め。
 
7 発議させないための闘い
(1)「改憲派」とは何か?
 公明党は?日本維新の会は?国民民主党は?単純で一色の「改憲派」がある訳ではない。共闘できる可能性のある者を、「改憲派」だとレッテル貼りをして、わざわざ「あちら側」に押しやる(排除する)愚は避けねばならない。
(2)世論喚起のために
 ①3000万人署名の達成を
 ②今まで話しかけたことのない層への働きかけ
 ③SNS活用の抜本的強化
  2017年総選挙における立憲民主党の公式Twitter戦略は見習うべき。
 
8 もしも改憲が発議されたら?
(1)国民投票運動は誰でもできる。
(2)公職選挙法は適用されず、「買収」以外はほとんど罰則もない。
(3)投票期日前14日間はテレビやラジオのCMは流せないが、それ以外の広告は金 さえあれば何でも出来る。
 2016年7月10日の参議院通常選挙の当日、自民党が新聞に掲出した大きな広告を想起して欲しい。同党は全国紙5紙全てに「今日は、日本を前へ進める日。」という広告を出した。
(4)日本会議神社本庁青年会議所など、改憲を強力に主導している団体は言うに及ばず、各種業界団体や企業なども、政党などからの強い要請により、改憲運動のお 先棒をかつぐと見なければならない。
(5)仮に「自衛隊明記」が発議されたら、改憲派は「もしも改正案が否決されたら自衛隊が無くなってしまう。それでもいいのか?」と国民を脅しにかかると見なければならない。従って、我々も、否決した後の自衛隊についてのイメージをしっかりと持つべきである。
[第1案]2014年7月1日「閣議決定」の前(従前の自民党政権民主党政権時代の「専守防衛自衛隊」に戻る。
[第2案]湾岸戦争(1991年)、PKO協力法(1992年)の前、自衛隊の海外派遣を一切認めていなかった時代の自衛隊に戻る。
[第3案]国境警備隊並みに戦力を低下させ災害救助隊機能を強化する。
(6)改憲案は「内容において関連する事項ごとに区分」(国会法68条の3)されており、その改憲案に「賛成」か「反対」かが問われる。そして、1票でも「反対が「賛成」を上回れば改憲を阻止できる(無効票は棄権と同じ扱いとなる)。
 選挙では野党共闘がうまくいかない地域であっても、結論として「安倍改憲に反対」であれば、その理由は問うところではない。立憲的改憲論者の国民民主党支持者であろうが、自衛隊違憲論者の共産党支持者であろうが、専守防衛自衛隊に共鳴する立憲民主党支持者であろうが、投票所に足を運んで「反対」票を投じてくれれば良いのである。
 「改憲阻止」の共闘が不要ということではなく、その共闘の仕方が、選挙などとは大きく異なるということである。
(7)4項目まとめて改憲発議される事態となったら、「自衛隊明記」と「緊急事態条項」に絞って反対運動に注力するという選別が必要になるかもしれない。
(8)「発議させないための運動」は、基本的に「発議された後の運動」にとっても有効である。
(9)それぞれが得意な分野・方法で訴える。従来型の護憲運動にも自信を持つべき。その上で、新たな工夫を積み上げる。例えば、大坂都構想にNOの審判をくだした住民投票や、中央からの金・人・物の大量投入に抗し、様々な立場の住民の意思を結集して勝利を勝ちとった沖縄県知事選などから学ぶことも多いだろう。
 
(参考として)
      「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」
                                 からのメッセージ
 
 私たちは、この「つどい」で、子どもたちや会場の皆さんと一緒に歌うために、「あの青い空のように」という曲を選びました。この曲の歌詞の1行目は、歌う者が自由に替え歌にして、自分たちの思いを歌い上げることが広く行われています。今日私たちが選んだことばは、「力を合わせよう」と「心をつなげよう」でした。
 
 今、私たちが大事にしてきた日本国憲法が、何だかよく分からない理由で変えられようとしています。私たちが、戦争のない平和な暮らしを子どもたちに手渡すことができるのか、その瀬戸際にあるということも学びました。
 私たち1人1人の力はとても小さいけれど、力を合わせれば、きっとできる。必ず子どもたちに私たちの宝物をひきつぐことができる。そのために「力を合わせよう」というメッセージを送ります。
 
 今は幼い子どもたちも、やがては自分で周りを見わたし、自分で考え、自分の足で歩き出します。
 私たちがみんなで力を合わせるためにも、お互いを理解し合い、心を通わせること、世代を超えて心をつなぐことがとても大切です。
 私たちの思いを子どもたちにつなぎ、成長した子どもたちが、平和を願い、そのために自ら行動する人となるように、「心をつなげよう」というメッセージを送ります。
 
 この「つどい」に集まった私たちは、老いも若きも、女性も男性も、互いに1人1人の人格を尊重し、平和を願い、公正を尊ぶという日本国憲法の理念を守り、より良い世界の実現のために全力を尽くすことを誓います。
 
  2019年1月19日 
 
      「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 
       1・19和歌山県民のつどい」 参加者一同
 

【資料1】自民党改憲4項目」条文素案全文(2018年3月26日付・自由民主党憲法改正推進本部「憲法改正に関する議論の状況について」より)
自衛隊の明記について]
第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
(※第9条全体を維持した上で、その次に追加)
 
[緊急事態対応について]
第七十三条の二 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
② 内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
(※内閣の事務を定める第73条の次に追加)
第六十四条の二 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の三分の二以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
(※国会の章の末尾に特例規定として追加)
 
[合区解消・地方公共団体について]
第四十七条 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる。
② 前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第九十二条 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
 
[教育の充実]
第二十六条 ①・②(現行のまま)
③ 国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。
第八十九条  公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
 
自民党憲法改正推進本部は、この「憲法改正に関する議論の状況について」の末尾(憲法改正の発議に向けて)において、以下のように述べている。
憲法改正は、国民の幅広い支持が必要であることに鑑み、4テーマを含め、各党各会派から具体的な意見・提案があれば真剣に検討するなど、建設的な議論を行っていく。
 現在議論中の「条文イメージ(たたき台素案)」は、完成された条文ではなく、この案をもとに衆参の憲法審査会で党の考え方を示し、憲法審査会で活発な議論が行われるよう努める。
 「条文イメージ(たたき台素案)」をたたき台とし、衆参憲法審査会や各党・有識者の意見や議論を踏まえ、「憲法改正原案」を策定し国会に提出する。そのため、衆参憲法審査会では、これまでの丁寧な運営方針を継承し幅広い合意形成を図るとともに、国民各層への幅広い理解に努める。」
 
 
【資料2 現行憲法
[9条]
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
[緊急事態条項]
現行規定なし
 
参院選「合区」解消等]
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
 
[教育の充実]
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
 
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の 国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
 
 
【資料3 国会法】
  第六章の二 日本国憲法の改正の発議
第六十八条の二 議員が日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)の原案(以 下「憲法改正原案」という。)を発議するには、第五十六条第一項の規定にかかわらず、衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。
第六十八条の三 前条の憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。
第六十八条の四 憲法改正原案につき議院の会議で修正の動議を議題とするには、第五十七条の規定にかかわらず、衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。
第六十八条の五 憲法改正原案について国会において最後の可決があつた場合には、その可決をもつて、国会が日本国憲法第九十六条第一項に定める日本国憲法の改正(以下「憲法改正」という。)の発議をし、国民に提案したものとする。この場合において、両議院の議長は、憲法改正の発議をした旨及び発議に係る憲法改正案を官報に公示する。
2 憲法改正原案について前項の最後の可決があつた場合には、第六十五条第一項の規定にかかわらず、その院の議長から、内閣に対し、その旨を通知するとともに、これを送付する。
第六十八条の六 憲法改正の発議に係る国民投票の期日は、当該発議後速やかに、国会の議決でこれを定める。 
 
  第十一章の二 憲法審査会
第百二条の六 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するため、各議院に憲法審査会を設ける。
第百二条の七 憲法審査会は、憲法改正原案及び日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案を提出することができる。この場合における憲法改正原案の提出については、第六十八条の三の規定を準用する。
2 前項の憲法改正原案及び日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案については、憲法審査会の会長をもつて提出者とする。
第百二条の八 各議院の憲法審査会は、憲法改正原案に関し、他の議院の憲法審査会と協議して合同審査会を開くことができる。
2 前項の合同審査会は、憲法改正原案に関し、各議院の憲法審査会に勧告することができる。
3 前二項に定めるもののほか、第一項の合同審査会に関する事項は、両議院の議決によりこれを定める。
第百二条の九 第五十三条、第五十四条、第五十六条第二項本文、第六十条及び第八十条の規定は憲法審査会について、第四十七条(第三項を除く。)、第五十六条第三項から第五項まで、第五十七条の三及び第七章の規定は日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案に係る憲法審査会について準用する。
2 憲法審査会に付託された案件についての第六十八条の規定の適用については、同条ただし書中「第四十七条第二項の規定により閉会中審査した議案」とあるのは、「憲法改正原案、第四十七条第二項の規定により閉会中審査した議案」とする。
第百二条の十 第百二条の六から前条までに定めるもののほか、憲法審査会に関する事項は、各議院の議決によりこれを定める。
※102条の9の準用規定が重要
 特に、56条2項本文「議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。」が準用されながら、同項ただし書「但し、特に緊急を要するものは、発議者又は提出者の要求に基き、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。」を準用していないことは重要。これにより、憲法改正原案が提出された後、議長は必ず憲法審査会への付託を行わなければならず、憲法審査会での審査を省略することはできないことになっている。
 また、102条の9第2項により、会期不継続の原則は、憲法改正原案の審査については適用されない。
 
 
【資料4 日本国憲法の改正手続に関する法律】
  第二章 国民投票の実施
   第一節 総則 
国民投票の期日)
第二条 国民投票は、国会が憲法改正を発議した日(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第六十八条の五第一項の規定により国会が日本国憲法第九十六条第一項に定める日本国憲法の改正の発議をし、国民に提案したものとされる日をいう。第百条の二 において同じ。)から起算して六十日以後百八十日以内において、国会の議決した期日に行う。
2 内閣は、国会法第六十五条第一項の規定により国民投票の期日に係る議案の送付を受けたときは、速やかに、総務大臣を経由して、当該国民投票の期日を中央選挙管理会に通知しなければならない。
3 中央選挙管理会は、前項の通知があったときは、速やかに、国民投票の期日を官報で告示しなければならない。
投票権
第三条 日本国民で年齢満十八年以上の者は、国民投票投票権を有する。
 
      第七節 国民投票運動
(公務員の政治的行為の制限に関する特例)
第百条の二 公務員(日本銀行の役員(日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第二十六条第一項に規定する役員をいう。)を含み、第百二条各号に掲げる者を除く。以下この条において同じ。)は、公務員の政治的目的をもって行われる政治的行為又は積極的な政治運動若しくは政治活動その他の行為(以下この条において単に「政治的行為」という。)を禁止する他の法令の規定(以下この条において「政治的行為禁止規定」という。)にかかわらず、国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日までの間、国民投票運動(憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為をいう。以下同じ。)及び憲法改正に関する意見の表明をすることができる。ただし、政治的行為禁止規定により禁止されている他の政治的行為を伴う場合は、この限りでない。
(投票事務関係者の国民投票運動の禁止)
第百一条 投票管理者、開票管理者、国民投票分会長及び国民投票長は、在職中、その関係区域内において、国民投票運動をすることができない。
2 第六十一条の規定による投票に関し、不在者投票管理者は、その者の業務上の地位を利用して国民投票運動をすることができない。
(特定公務員の国民投票運動の禁止)
第百二条 次に掲げる者は、在職中、国民投票運動をすることができない。
一 中央選挙管理会の委員及び中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員並びに選挙管理委員会の委員及び職員
二 国民投票広報協議会事務局の職員
三 裁判官
四 検察官
五 国家公安委員会又は都道府県公安委員会若しくは方面公安委員会の委員
六 警察官
(公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止)
第百三条 国若しくは地方公共団体の公務員若しくは行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。第百十一条において同じ。)若しくは特定地方独立行政法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。第百十一条において同じ。)の役員若しくは職員又は公職選挙法第百三十六条の二第一項第二号に規定する公庫の役職員は、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用して、国民投票運動をすることができない。
2 教育者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に規定する幼保連携型認定こども園の長及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用して、国民投票運動をすることができない。
(投票日前の国民投票運動のための広告放送の制限)
第百五条 何人も、国民投票の期日前十四日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、次条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない。
 
  第三章 国民投票の効果
第百二十六条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第九十八条第二項に規定する投票総数の二分の一を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第九十六条第一項の国民の承認があったものとする。
2 内閣総理大臣は、第九十八条第二項の規定により、憲法改正案に対する賛成の投票の数が同項に規定する投票総数の二分の一を超える旨の通知を受けたときは、直ちに当該憲法改正の公布のための手続を執らなければならない。
※投票総数=憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数
 
 
【資料5 衆参両院の会派状況】
衆議院(2019年2月5日現在)]
 定数 465人
 欠員 2人
  自由民主党            282人
  立憲民主党・無所属フォーラム  68人
  国民民主党・無所属クラブ    38人
  公明党                29人
  日本共産党              12人
  日本維新の会             11人
  社会保障を立て直す国民会議   7人
  社会民主党市民連合        2人
  希望の党                  2人
  未来日本                  2人
  無所属                    10人
 ※現在の総議員463人の2/3は309人
 
参議院(2019年2月10日現在)]
 定数 242人
 欠員   1人
  自由民主党・国民の声      125人
  国民民主党・新緑風会       27人
  立憲民主党・民友会・希望の会  27人
  公明党                    25人
  日本維新の会希望の党      15人
  日本共産党                14人
  無所属クラブ                 2人
  沖縄の風                   2人
  各派に属しない議員           4人
 ※現在の総議員241人の2/3は161人