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福島県の子ども3人に甲状腺がん(7人に“疑い”)との発表に接して

 今晩(2013年2月17日)配信した「メルマガ金原No.1267」を転載します。
 
福島県の子ども3人に甲状腺がん(7人に“疑い”)との発表に接して
 
 ご存知のことと思いますが、福島県に「県民健康管理調査検討委員会」という組織があります。
 その「設置要綱」の内、第1条(設置目的)と第2条(所掌事務)をご紹介しましょう。
 
(抜粋引用開始)
「県民健康管理調査」検討委員会設置要綱
(設置)
第1条 福島第一原子力発電所事故による県内の放射能汚染を踏まえ、福
島県が、県民の健康不安の解消や将来にわたる健康管理の推進等を図ることを目的として実施する「県民健康管理調査」(以下、「調査」という。)に関し、専門的見地から広く助言等を得るために、「県民健康管理調査」検討委員会(以下、「委員会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第2条 委員会は、前条の目的を達成するため、次の事項を所掌する。
(1) 調査の実施方法等の検討に関すること。
(2) 調査の進捗管理及び評価に関すること。
(3) その他、調査の実施に必要な事項に関すること。
(引用終わり)
 
 福島県健康管理調査検討委員会といえば、これまでも、本委員会に先立って「秘密会」を開催し、調査結果に対する見解をすり合わせて「がん発生と原発故の因果関係はない」などを共通認識とし、秘密会の存在も外部に漏らさぬよう口止めをしていたことが発覚するなど、様々な問題を抱えている組織ですが、今のところ福島県民の組織的な健康調査を主導しているところなので、注目せざるを得ません。
 
(参考報道・この問題について熱心に報道している毎日新聞サイトから)
2012年10月3日
福島健康調査「秘密会」 県、出席者に口止め 配布資料も回収
2012年10月4日
福島健康調査で秘密会 県が陳謝
2012年10月6日
<記者の目>福島県の健康管理調査検討委=日野行介
2012年11月14日
県民健康調査、秘密会で重要方針 情報公開、議事録で確認
詳細な健診、対象絞る 「4カ月20ミリシーベルト」案−−県秘密会
東日本大震災:福島第1原発事故 甲状腺検査「県外避難者、後回し」 福島県、秘密会で方針
 http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130209ddm041040143000c.html
2013年2月9日 東日本大震災:福島第1原発事故 甲状腺検査「県外避難
者、後回し」 安斎・立命館大名誉教授の話
 
 去る2013年2月13日、その福島県健康管理調査検討委員会の第10回委員会が開催され、以下の報告が注目を浴びました。毎日新聞(web版)の記事を引用します。
(引用開始)
福島子ども調査:甲状腺がん、新たに2人 他7人に疑い
毎日新聞 2013年02月13日 20時40分
 福島県が行っている子ども(震災時18歳以下)の甲状腺検査で、新たに2人が甲状腺がんと診断されたことが、13日の県民健康管理調査の検討委員会座長・山下俊一福島県立医大副学長)で報告された。昨年9月に判明した1人と合わせ計3人になった。他に7人に甲状腺がんの疑いがあり、追加検査を行う。同検討委は原発事故の影響について否定的見解を示したが、「断定も否定もできない」と話す専門家もいる。
 疑いのある人を含めた10人の内訳は男性3人、女性7人で平均年齢15歳。11年度に受診した原発周辺13市町村の3万8114人の中から見つかり、地域的な偏りはないという。甲状腺がんと判明した3人は手術を終え、7人は細胞検査により約8割の確率で甲状腺がんの可能性があるという。7人の確定診断は今後の手術後などになるため、最大10人に増える可能性がある。
 記者会見した鈴木真一・県立医大教授によると、子どもの甲状腺がんの発生率は「100万人に1人」が通説。今回の検査は大きく上回るが、甲状腺がんは自覚症状が出てから診察する場合がほとんどで、今回のような精度での疫学調査前例がなく比較できないという。さらに、チェルノブイリ原発事故では最短で4年後に発症が増加しているとして、鈴木教授は「元々あったものを発見した可能性が高い。(原発事故との因果関係は)考えにくい」と語った。
 福島県の甲状腺検査は約36万人を対象に実施中。環境省は福島と他地域の子どもたちを比較するため、青森県などで約4500人を対象に検査を進めており、結果は3月下旬に公表予定。【蓬田正志、泉谷由梨子】
(引用終わり)
 
 2月13日開催の委員会資料は、福島県サイト(県民健康管理調査検討委員会)に掲載されており、ダウンロードすることができます。
 
 また、OurPlanet-TVにより、委員会審議(要約版)及び委員会後の記者会見の模様が中継されて公開されています。
 
委員会審議
記者会見
 
 なお、委員会及び記者会見全体の録画映像は、IWJによって期間限定配信されています。
(IWJ会員登録→ http://iwj.co.jp/join/
 
 「みんな楽しくHappy♡いい♪」に、記者会見における山下俊一座長の発言部分の文字起こしが掲載されています。
 
 このメルマガでも何度かご紹介してきた松崎道幸医師(北海道深川市立総病院内科部長、北海道反核医師の会運営委員)が、今回の発表を受けて、「福島の小児甲状腺がんの発生率はチェルノブイリと同じかそれ以上である可能性があります~福島県県民健康管理調査結果に対する見解~」を、「この見解は暫定的なものでありますが、事態が深刻であると考え、多くの人に見ていただき、共に考える材料としたいと思います。広く拡散下さい」というメッセージ付きで公開されています。
 「Peace Philosophy Centre」に掲載された松崎医師の見解をご紹介します。
 
 今回、甲状腺がん発症あるいはその疑いが確認された10人は、平成23年度に検査が実施された38,114人の中から見つかった子どもたち(平均年齢15歳)ということですが、とすればその実施地域は「川俣町飯舘村、浪江町、田村市、南相馬市伊達市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、葛尾村)などの福島第一原発に近い強制避難となった地域及び計画的避難区域の市町村が中心であったはずです。
 
 私は、とりあえずの安全地帯に住む者が(しかも自らに科学的素養がある訳でない者が)、健康障害の発生と原発事故との因果関係について断定的な発言をすることは控えるべきだと思っています。
 しかし、それと矛盾するようではありますが、重大な懸念を抱いていることは発信し続けるべきだとも考えています。
 今回も、そのような趣旨で以上の情報をご紹介しました。