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日本会議&自民党による改憲促進「意見書」運動を取り上げた朝日新聞のすぐれた調査報道(8/1)に遅ればせながら注目した

 今晩(2014年9月25日)配信した「メルマガ金原No.1859」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本会議自民党による改憲促進「意見書」運動を取り上げた朝日新聞のすぐれた調査報道(8/1)に遅ればせながら注目した

 和歌山県議会、「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」の採択を求める請願(日
本会議和歌山提出)問題の続報です。
 
 まずは、本日(9月25日)の動きから。
 午前中に総務委員会が開かれ、共産党の委員が継続審査を提案したものの、自民党
賛成多数であっさりと採択されたそうです。
 総務委員会委員の高田由一議員(日本共産党)のブログを引用します。
 
がんばれ!高田よしかず 2014年9月25日
総務委員会

(引用開始)
総務委員会で憲法改正を求める請願が議論されました。と言っても発言したのは私だけでし
たが・・・。請願に対して反対や慎重にといった要請が80近い団体や個人から寄せられました。
そのことも述べながら「私自身は請願に反対だが、慎重審議するために継続審査しては」と提案しましたが、結局、請願は賛成多数で採択されました。残念です。
(引用終わり)
 
 結論自体はある程度予想されたことではありますが、「発言したのは私(高田議員)だけ」って何ですか?私は委員会を傍聴した訳ではありませんが、高田議員が書いているとおりだとすれば、傍聴人もいる前で(私の知人が傍聴したと聞いている)、多くの反対・慎重の意見が届いていることを知りながら(大半は自民党県議団事務所にもFAXで届いているはず)、自民党の委員は、形ばかりでも「なぜ請願の趣旨に賛成なのか」を述べた上で採択しようという「誠意」すら示さなかったということはしっかりと記憶しておきましょう。
 
 今日の委員会審議がこのような調子なら、明日26日の9月定例会最終日の本会議で、あのみっともない「意見書(案)」が賛成多数で議決されることはまず確実でしょう。
 「請願書」及び「意見書(案)」は、以下の私のブログでご覧ください。
 
 
 かくなる上は、来年の統一地方選挙を見すえ、明日の本会議において、1人1人の県会議員がどのような投票行動をとったかをしっかりと確認することが最低限必要でしょう(和歌山県議会も、沖縄県議会などを見習って、意見書に対する議員の賛否を直ちにホームページに掲載するように求めるべきですね)。
 
 ところで、今頃になって気がつくのもうかつな話ですが、日本会議自民党がタッグを組んだこのような地方議会工作を、8月1日付の朝日新聞が結構大きく取り上げていたのでした。以下に、そのすぐれた調査報道の一部を抜粋してご紹介しますが、このような記事を今後も読むためにも、今は朝日新聞を擁護すべき時だと心底思いますね(逆に、読売、産経、週刊新潮週刊文春は絶対に買わない)。
 
朝日新聞デジタル 2014年8月1日05時00分
「改憲を」19県議会、自民主導 意見書・請願、「日本会議」提唱

(抜粋引用開始)
 国会へ憲法改正の早期実現を求める意見書や請願が今年に入り19県議会で可決、採択
されたことがわかった。こうした意見書、請願はいずれも初めて。新憲法の制定を掲げる運動団体「日本会議」が昨秋から国民運動として提唱し、自民党本部の要請を受けた同党会派が
各議会で採決を主導した。
(略)
 東アジア情勢が厳しくなるなか、条文に家族観を反映させ、大規模災害などにも対応するた
め「新たな時代にふさわしい憲法」が必要とする内容。文言の違いはあるが、内容は似ている。
 日本会議は昨年11月の全国代表者大会で、全国の都道府県議会などで憲法改正の意
見書の可決を促す運動方針を表明。大会に参加した石川県議が、日本会議の案文をもとに作成し、今年2月の同県議会で初めて可決された。これを受けて自民党本部は3月、「大規模な国民運動が不可欠」として、都道府県連に意見書の可決を促す文書を配布。その際、石川県の意見書を参考にするよう添付した。3月には6県議会で、6、7月には11県議会で可決。兵庫県議会は請願を採択した。他の議会でも秋以降に提出する動きがあり、さらに広
がりそうだ。
 日本会議は、憲法改正によって日本の真の独立をめざすと主張。日本会議を支える国会
議員懇談会の特別顧問である安倍晋三首相の政権下で、党幹部らへの働きかけを強めて
いる。
(略)
 ■憲法改正を求める意見書を可決した県議会
 2月 石川
 3月 熊本、千葉、愛媛、香川、富山、兵庫(請願を採択)、鹿児島
 6月 群馬、栃木
 7月 岡山、大分、宮城、山形、高知、佐賀、埼玉、山口、長崎
(引用終わり)
 
朝日新聞デジタル 2014年8月1日05時00分
地方から改憲の声、演出 日本会議が案文、議員ら呼応

(抜粋引用開始)
 今年に入り、早期に改憲を実現するよう求める地方議会の動きが目立ってきた。議決まで
の過程をたどると、安倍政権の足元で勢いづく改憲勢力の姿が見えてくる。
(略)
 こうした動きのきっかけは、昨年11月13日に決まった日本会議の運動方針だ。東京で開
かれた日本会議全国代表者大会。「憲法改正への国民運動を一層強化し、国民投票適正に判断できるよう、国民の啓発に努めなければならない」。国会議員や地方議員ら約8
00人を前に、会長の三好達最高裁長官があいさつした。
 「全国に志を同じくする人が多数いる、そんな連帯意識を代表者大会で感じ取った」。運動
の発火点は2月の石川県議会。その中心的な役割を担った中村勲県議はこう振り返る。大
会に参加した後、日本会議が作成した案文を参考に意見書づくりを進めたという。
 ■自民、国会発議めざしムード作り
 はじめは自民党本部と呼応したわけではなかった。が、本部もすぐにこの動きに乗る。石川が
意見書を可決した後、日本会議国会議員懇談会の副会長を務める高市早苗政調会長は、憲法について(都道府県連に)お願いできませんか」と党の担当者に依頼した。党本部は3
月13日付で要請書を都道府県連に配布し、石川の意見書も添付した。
 日本会議は安倍首相の長年の「政策的ブレーン」でもある。首相の反東京裁判史観や教
育、安全保障などの主張は、日本会議が掲げる政策と重なり合う。幹部の一人はこう打ち明ける。「我々の活動を中心的に実践してきた一人が安倍首相だ」。衆院では自民党をはじめ改憲勢力が発議に必要な3分の2を超え、参院でもそれに迫る。こうした政治状況は戦後初
めてだ。
 自民党は4月から全国各地で党の憲法改正草案を党員らに説明する会合を頻繁に開い
ている。その場で船田元憲法改正推進本部長らは、2年後の16年夏の参院選前までに
国会発議を行いたいと強調する。
 日本会議熊本の多久善郎理事長は、今回は過去の運動に増して意味は大きい、と主張
する。「意見書を通じ、議員や支援者の方にこの問題の理解を深めていただく。仲間が千人
いるなら千人が本気にならないと、国民投票は勝利できない」
 日本会議が仕掛けているのは意見書運動にとどまらない。来春の統一地方選を見据え、改
憲への大規模集会を各地で開く予定だ。朝日新聞が入手した内部資料には、意見書や請願の書き方、運動への質問に答える「Q&A」などの資料も盛り込まれている。憲法改正
意義を説明するDVDや、ポケットティッシュもつくった。
 「戦後、ずっと改憲を叫び続け、ようやく最大、最高のチャンスに巡り合った。こんな時代に
巡り合ったのは幸せなんです」。6月16日、宮城県議会における自民党会派の勉強会。講
師役の百地章日大教授はこう呼びかけた。
 日本会議はこの秋、全国3分の2を超える都道府県議会で、意見書の可決を目指してい
る。
(略)
(引用終わり)
 
 
 集団的自衛権をめぐる「解釈改憲」に目を奪われ、明文改憲を目指す日本会議自民党タッグチームが進める「国民運動」に対する備えが(少なくとも私は)お留守になっていたという反省しきりであり、そのツケが回った結果を、明日の和歌山県議会本会議で確認しなければならないというのは情けない限りですが、今後の闘争心をかきたてるためにも、明日の県議会の様子はインターネット中継で絶対に視聴しようと思います(傍聴に行ったりライブ中継を視聴する時間はないので、3日おくれの録画視聴になりますが)。
 
 最後に、上記朝日新聞が紹介していた、全国の先陣を切り、自民党本部が「見本」として全国地方組織に参考送付したという石川県議会「意見書」と、おそらく明日の和歌山県議会本会議で採決されるであろう「意見書(案)」の双方を引用します(和歌山の方は修正があるかもしれませんが)。
 この双方を読み比べてみれば、自民党和歌山県議団が「何も自分で考えていない」ことが一目瞭然です。今日の総務委員会で自民党委員から発言がなかったということもうなずけます。自分たちで考えたものでもなければ、県民のことを考えたものでもなく、ひたすら、日本会議自民党本部の方だけ向いて採決することしか考えていないのでしょうから、「自分の言葉」が出てくるはずがありません。
 
2014年2月21日 石川県議会
国会に憲法改正の早期実現を求める意見書

(引用開始)
 日本国憲法は、昭和 22年5月3日の施行以来、今日に至るまでの約70年間、一度の
改正も行われていない。
 しかしながら、この間、我が国を巡る内外の諸情勢は劇的な変化を遂げている。
 すなわち、我が国を取り巻く東アジア情勢は、一刻の猶予も許されない事態に直面している。さらに、家族、環境などの諸問題や大規模災害等への対応が求められている。
 このような状況の変化を受け、様々な憲法改正案が各政党、各報道機関、民間団体等
から提唱されている。国会でも、平成19年の国民投票法の成立を機に憲法審査会が設置
され、憲法改正に向けた制度が整備されるに至った。
 よって、国におかれては、新たな時代にふさわしい憲法に改めるため、憲法審査会において
憲法改正案を早期に作成し、国民が自ら判断する国民投票を実現するよう強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(引用終わり)
 
2014年9月26日 和歌山県議会で採決される公算が強い意見書(案)
国会に憲法改正の早期実現を求める意見書(案)

(引用開始)
 日本国憲法は、昭和22年5月3日の施行以来、今日に至るまでの約70年間、一度の改
正も行われておりません。
 しかしこの間、わが国を巡る内外の諸情勢は劇的に変化を遂げています。すなわち、わが国
を取り巻く東アジア情勢は、一刻の猶予も許されない事態に直面しています。さらに、家族、
環境などの問題や大規模災害等への対応が求められています。
 このような状況変化を受け、様々な憲法改正案が各政党、各報道機関、民間団体等か
ら提唱されております。国会でも、平成19年の国民投票法の成立を機に憲法審査会が設
置され、憲法改正に向けた制度が整備されるに至りました。
 新たな時代にふさわしい憲法に改めるため、国会は憲法審査会において憲法改正案を早
期に作成し、国民が自ら判断する国民投票を実現することを求めます。
 以上、地方自治法第98条の規定に基づき意見書を提出します。
(引用終わり)
 

(付録)
『いつのまにか』 作詞:山内清 作曲:中川五郎 
演奏:中川五郎