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憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

憲法記念日に届いた“西谷文和さん”と“はちようび”からのメッセージ(和歌山城西の丸広場にて)

 今晩(2014年5月3日)配信した「メルマガ金原No.1715」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
憲法記念日に届いた“西谷文和さん”と“はちようび”からのメッセージ(和歌山城西の丸広場にて)
 
 例年とは比較にならないほど日本国憲法が危機に見舞われている中で迎えた今年(2014年)の憲法記念日和歌山市では、憲法9条を守る和歌山弁護士の会と9条ネットわかやまが主催し、多くの団体、個人がブースを出展し、ステージ企画に出演してくださった“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”が、好天の下、和歌山城西の丸広場で開催され、
成功裡に終了しました。
 出展、出演された皆さん、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
 
 両主催団体の共同代表を兼ねる藤井幹雄弁護士が、早速、Facebook にレポート(お礼の挨拶)を送信していましたので、引用したいと思います。
(引用開始)
和歌山城西の丸広場で開催したHappyBirthday憲法inWakayama!!
天候にも恵まれ、たくさんの人に来ていただき、無事終わりました♪
舞台では、粉河高校軽音楽部のバンドやアカペラ、フラ、どじょうすくいなど楽しい企画がたくさん。お店も焼き鳥やビール、かすうどん、たこ焼き、スーパーボールすくいなどあって子どもさんから大人まで1日楽しく憲法の67回目の誕生日をお祝いしました。最後のもちまきは、参加者の殺気まで感じられるくらい!!
準備をしてくれた9条ネットわかやま、憲法9条を守る和歌山弁護士の会のみんなご苦労様でした。そして参加者の皆さん、本当にありがとうございました。物騒なことが議論されている昨今、これからの子どもたちに残す日本を考えるきっかけになれば幸いです♪
(引用終わり)
 
 普段、憲法平和運動などと接点のない人たちに、どうすれば私たちの声を届けることができるのか?ということは、ほとんど「永遠の課題」であり続けるかもしれないという「あきらめの気持ち」にとらわれることもしばしばでしたが、今は「あきらめる余裕などない」段階であり、「子ども連れでも楽しく過ごせる(特注風船+ヘリウムガスも用意)」、「和歌山県民の大好きな“餅まき”大会を実施(豪華景品付き)」という企画内容も、そのような問題意識からでした。

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 今まで憲法について考える機会のなかった人たちに、少しでも憲法について考えてもらう機会になればということで、餅まき大会の景品にも、
 伊藤真弁護士DVD『憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?』 8枚
 赤塚不二夫、永井憲一著『「日本国憲法」なのだ!』 8冊
 小学館版(「写楽」編)『日本国憲法』 15冊
などを用意しました。
 そのような初期の目標は、かなりの程度達成できたのではないかと思います。
 さらに多くの人に来て欲しかったなど、言い出せばきりがありませんが、それは来年以降の課題(来年もやるかどうかなど何も決まっていませんが)として、とにかく向こう1年間、これ以上政権の好き勝手を許さず、憲法を守り抜く覚悟が必要であることを再認識した機会にもなったと思います。
 
 なお、本来であれば、イベントの詳細についてのレポートが出来れば良いのですが、朝8時過ぎに会場入りしてから立ち通し、歩き通しの8時間以上は流石に疲れました(座れたのは、日教組和歌山春駒保存会のかすうどんを食べていた時だけ)。
 ステージ出演者の演奏については、おいおい Facebook でご報告するとして、今日は、私がとりわけ感銘を受けた2つのメッセージをご紹介したいと思います。
 
 まず1つ目は、会場にはご本人は来られていないものの、フリージャーナリスト西谷文和さんから寄せられたメッセージです。
 ブース企画の1つとして、憲法9条を守る和歌山弁護士の会では、若手会員によって構成されたプロジェクトチームが企画し、西谷さんが、戦場となった海外(アフガニスタンシリアなど)を取材した際に撮影された写真のデータを提供していただき、小規模な写真展を行ったのですが、西谷さんにお願いしてメッセージを送っていただき、それをプリントアウトして会場に掲示していました。
 皆さんにも是非お読みいただきたく、西谷文和さんの「メッセージ」をご紹介します。

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【西谷文和さんからのメッセージ】
 写真を提供させていただいたフリージャーナリストの西谷文和です。「Happy birthday
憲法 in Wakayama」のご盛会、おめでとうございます。
 私は毎年アフガンやシリアを取材しておりますが、戦争で破壊された街や、辛うじて生
き残った人々を見ていると、「一番大切なのは平和だ」と痛感します。
 アフガンでは、両親を失った子どもが多数いて、その多くが学校に行っていません。文
字の読み書きが出来るのは、ほぼ半数くらいではないかといわれています。冬のカブールは大変寒くて、ビニールシート一枚の難民キャンプでは、風邪⇒肺炎⇒死亡というパターンで簡単に子どもが亡くなります。あまりに寒いので、パン焼き釜に近づく⇒落ちて大やけど⇒死亡というパターンもあります。どちらも日本ではありえないケースが、戦争による貧困で多発しています。
 シリアでは今も空爆が絶えません。たった一発のミサイルが団地に飛び込んできて約
150人が殺された現場に立ちました。当たれば終わり。防空壕など何の役にも立ちません。ミサイルはアサド軍が首都ダマスカスから撃ったもので、約35㌔離れたアレッポの「団地にピンポイントで命中していました。ミサイルにはGPSが付いているのです。
 ロシア製のスカッドミサイルやアメリカ製のトマホークミサイルは、一発数千万円もします。戦争になれば、こういう武器が大量に消費されます。ちなみに劣化ウラン弾は一発50~100万円、オスプレイは一機56億円です。
 私は「戦争は儲かるので、戦争を続けたい人々がいる」と考えています。原発が儲かる
ので止めたくない政治家や電力会社の人々がいるのと同じように。
 そんな人々が忌み嫌っているのが平和憲法です。逆にいえば、いったん憲法が変えら
れてしまうと、日本は元の平和国家に戻れません。原発の再稼働を1基でも認めると、原発ゼロがはるか彼方に遠のくのと同じです。両者は強力な利権によって成り立っているので、マスコミもグルになって騙そうとします。学校でも、平和の大切さを教えてくれなくなってしまいます。そうなる前に、憲法を守り切ることが大事です。
 本日の集会を契機として、和歌山のみなさんの平和運動が大きく花を咲かせてくれる
ことを祈念しております。
                                        西谷文和
 
 なお、西谷文和さんは、明日(5月4日)、和歌山県田辺市で開催されている「紀南ピースフェスタ2014~つながるいのちのために~」の2日目に登場されます。
 私も参加するつもりです。
 
2014年5月4日(日)午後1時30分~
紀南文化会館4階研修室
平和のための講演会
「日本を“戦争する国”にさせないために-アフガン・シリア等の取材を通して見える世界情勢ときり結んで」
講師 西谷文和さん
入場無料
企画 紀南9条交流ネット
 
 そして、もう1つのメッセージは、ステージ企画の「とり」を務めたロックバンド「はちようび」からのメッセージです(彼らの公式ホームページはこちら)。
 演奏終了後に行われる「餅まき」に備えた場所取りのために前の方に座り込んで陣取った老若男女にとって、「はちようび」の大音響による演奏がどのように受け止められたのか、なかなか想像するのは困難ですが、演奏の最後の方では、最前列の年配の女性が、手拍子を打ち鳴らしながら演奏を楽しんでおられる様子が目に止まり(そういう人もちらほらとおられました)、ほっとしたものでした。
 場所取り陣のすぐ後ろでは、私を含めたマニア(?)が、演奏のあいだ中、身体を揺らしながら演奏に同化していました。
 
 それで、「はちようび」からの「メッセージ」は何か?ということですが、1つはボーカルとベースの2人が首に巻いているスカーフです。

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 ご存知の方もおられるでしょうが、4月16日に沈没した韓国の旅客船「セウォル号」の行方不明者の帰還を祈るメッセージとして、黄色いリボンを身につけるキャンペーンが韓国で広がっています。
 「はちようび」のメンバーが身につけた黄色いスカーフは、それと無関係ではないでしょうが、全く同じという訳でもないのかもしれません。
 終演後、メンバーから直接伺ったところでは、事故の直前に彼ら2人は済州島を訪問しており、そこで知り合った韓国人の女性歌手から送られたのが、今日のステージで身につけた黄色いスカーフだということでした。
 そもそも、彼らが済州島を訪問したのは、同島に建設中の軍事基地に反対する「カンジョン村」の人々と交流することが目的だったのです。
 「はちようび」ブログに「済州島カンジョン村ほーこく。ノブチャン&ヤンチャン」という記事が載っていました。豊富な写真とともに掲載されたレポートを一読されれば、彼らの真摯な思いがじかに伝わることと思います。
 この記事をブログにアップしたのが4月13日。そのわずか3日後に、済州島を目指していた修学旅行中の高校生らを乗せたセウォル号が沈没したのでした。
 沈没から既に2週間以上が経過し、生存者の発見に至らず、いずれ捜索も打ち切られるだろうと言われているこの状況下、国家から見捨てられる人々に連帯して欲しいというのが、済州島から黄色いスカーフが送られてきた理由であり、これを首に巻いている「はちようび」の「ノブチャン&ヤンチャン」の思いなのだと私は理解しました。
 
 そして、このことは、私がご紹介しようと思うもう1つの「はちようびからのメッセージ」、新曲『ヤンバルの森』に込められた思いとも共通するものだということも、すぐにご理解いただけるのではないかと思います。
 この『ヤンバルの森』は、やはりステージで演奏された韓国曲のカバー『日照り』とともに、レコーディング途上(たしかにまだ音が「薄い」)の暫定版CD-Rに収録され500円で会場販売されていたものを入手し、帰宅後すぐに聞きながら文字書き起こしをしました。
 西谷さんのメッセージもそうですが、歌詞全文を勝手に引用するのは著作権法上問題がないこともないのですが、いずれも著作者から抗議されることはないという信頼関係(?)を前提に、是非皆さんにお読みいただきたく、ご紹介することにしたものです。
 
 西谷文和さんと「はちようび」、どちらのメッセージも共通しているものを感じませんか?
 私は、それは「共感」だと思います。
 西谷さんの場合、戦場になるということ、戦争をするということはどういうことなのか、危険を冒して現地を見ておられる訳ですが、「はちようび」には、そのような体験はなくとも(私たちにもありませんが)、確かで誠実な「想像力」があります。
 そして、犠牲を強いられる人々に対するあふれるばかりの「共感」が、西谷さんからも、「はちようび」からも、私には伝わってきます。
 だからこそ、彼らのメッセージは私たちの心を打つのだと思います。

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【はちようび『ヤンバルの森』歌詞書き起こし】
大きな音をたてて 戦闘機が飛んでく
大きな音をたてて オスプレイが飛んでく
  僕の払った税金が 殺人兵器になり
  畑仕事のオバアの 頭の上飛んでく
大きな音をたてて 戦闘機が飛んでく
大きな音をたてて オスプレイが飛んでく
  森の木陰でヤンバルクイナの雛のいたち
  今朝も待って鳴いている 山壁にひびけ笑い声
大きな音をたてて 戦闘機が飛んでく
大きな音をたてて オスプレイが飛んでく
  憲法9条「改正」 僕はノー、ノン、ノノン、ノノーン
  憲法9条「改正」 君はどう?ど、どっど、どー?
僕も君も あなたの可愛い子どもたちも
このままじゃあ お国のため戦場送り
  同じ過ちを 何度も繰り返す ノー!
  ウォー、ウォー、ウォー ウォー、ウォー、ウォー、ウォー
壊した命の森に 降る雨はいつの日か
悲しみになり 僕らの瞳からこぼれるよ
  日本政府の下(もと) 戦後の痛み押し付けた島
  大きな輪 東村(ひがしそん)高江、普天間辺野古まで 
  ひびけ NO BASE ヘイ 
大きな音をたてて 戦闘機が飛んでく
大きな音をたてて オスプレイが飛んでく
ピースサインの上を MV22が飛んで行く
 

(付録)

『労働歌』 はちようび
『日照り(가뭄)』『民衆の歌 People's Song』 はちようび&パギやん(趙博)