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「わかやま避難者のWA」が設立されました

 今晩(2014年9月8日)配信した「メルマガ金原No.1842」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「わかやま避難者のWA」が設立されました
 
 大阪でシンポジウム「広域避難者の安定した住宅保障はどうあるべきか~日弁連第57回人権擁護大会プレシンポジウム~」(主催:近畿弁護士会連合会)が開催された一昨日(9月6日)の土曜日、和歌山でも、広域避難者に関する注目すべき動きがありました。
 和歌山県内に避難してきた方々の自助会「わかやま避難者のWA」が設立されたのです。
 その模様を報じた毎日新聞(和歌山版)の記事を引用します。
 
東日本大震災:県内避難者初の自助会「WA」発足 40世帯95人に呼びかけ/和歌山
(抜粋引用開始)
 東日本大震災の県内の避難者の自助会「わかやま避難者のWA」が6日、発足した。東北、関東と避難元が広域にわたる自助会は、県内では初めて。(略)
【中村好見】
 この日は和歌山市有本の和歌山生協病院で健診を受けた後、4人の避難者が発会式に
参加した。NPO法人「全日本企業福祉協会」や、まるっと西日本、和歌山弁護士会など支
援する6団体の担当者も加わった。
 今年8月6日現在、県内の登録避難者は40世帯95人(うち福島県16世帯32人)。近
畿の他の府県には同様の避難者の自助会があるが、これまで県内にだけなかった。まるっと西日本が月1回発行する避難者向けの情報紙を郵送し、月1回交流会を開く。また県や支援
団体とも連携する。
 設立を呼びかけた代表のかわたさんは、福島第1原発事故で、2011年11月に千葉県野
田市から自主避難してきた。和歌山市内で企業が避難者向けに提供した宿泊施設に長男(5)、次男(2)と共に暮らす。夫は仕事のために千葉県内に残った。「帰郷する避難者が増え、孤独を感じて大阪の避難者の自助会に通ううち、和歌山にも必要だと感じるようになった」
という。
 また、11年8月に福島県郡山市から、かわたさんと同じ施設に、3人の子どもと共に避難し
てきた渡辺陽子さん(37)は「避難者にとって情報が命。不安を抱えている人が悩みを話して
発散できる場になれば。要望があれば被災体験を話し、和歌山に恩返しもしたい」と話した。
 第1回目の交流会は、来月19日午前10時~正午、和歌山市中のエス・ティ・ワールド和
歌山センター内で。子どもへの学習サポート会も同時に開かれる。
 問い合わせは、わかやま避難者のWA
wakayamahinan@gmail.com)。
(引用終わり)
 
 実は、9月6日に和歌山で避難者の会が立ち上げられるということは、何日か前に大阪弁護士会の青木佳史さんから教えられ、「大阪のシンポに来て大丈夫ですか?」と心配してもらっていたのですが、幸か不幸か私に声はかかっておらず、和歌山の2人の有能な若手弁護士が関わっているということでしたので、安心して私は近弁連シンポの方に参加したのでした。

 そして、休み明けの今日、「わかやま避難者のWA」設立に関わった和歌山の2人の弁護士に電話インタビューを試みました。
 1人は、2年前の4月に福島県弁護士会から和歌山弁護士会に登録換えされたK弁護士(男性)で、Kさん自身は和歌山市の出身でしたが、3.11当時はいわき市にある事務所で勤務していました。もう1人のY弁護士(男性)は大阪の門真市出身ですが、3.11当時は岩手県大船渡市の事務所に勤務しており、あやうく津波にのみ込まれるのを免れるという体験をし、昨年はじめ、奥さんの出身地である和歌山市で開業されました。
 2人とも、「避難者」ではなく、「支援者」としての参加だそうです(それはそうでしょうね)。
 
 2人から伺った話の概要は、概ね上記毎日新聞の記事が要領良くまとめてくれているとおりなのですが、ただ、「NPO法人『全日本企業福祉協会』や、まるっと西日本、和歌山弁護士会など支援する6団体の担当者も加わった」とあるうち、少なくとも「和歌山弁護士会~の担当者も加わった」とある部分は、やや正確性を欠くようです。
 いきさつは色々あったようですが、少なくとも9月6日の時点では、KさんとYさんの参加は「個人」の資格で、ということでした(9月6日には、Kさんは弁護士会の公務があったため、Yさんだけが参加したようですが)。
 そもそも、和歌山弁護士会には、大阪や兵庫のような災害復興や避難者支援に関する委員会自体が存在しませんからね。
 今や和歌山弁護士会も会員数が140人を超えたことだし(私が登録した1989年には57人しかいなかった)、「災害復興・避難者支援委員会」を、KさんやYさんを中核メンバーにして立ち上げることを考えてはどうかと、執行部に意見具申してみようかな。
 
 ちなみに、毎日新聞の記事を読んで思い浮かんだことを雑感風にメモしておきます。
 
和歌山市有本の和歌山生協病院で健診を受けた後」
 この日(9月6日)、和歌山民医連が主催する「東日本からの避難者検診」が和歌山生協病院で開催されることは、私のメルマガ(ブログ)でもご紹介していました。
 
 
「11年8月に福島県郡山市から、かわたさんと同じ施設に、3人の子どもと共に避難してきた渡辺陽子さん」
 昨年(2013年)私も呼びかけ人の1人となっていた「福島を忘れない!原発ゼロ 和歌山3・10フェスティバル」(和歌山城西の丸広場)で、スピーチをお願いした2人の避難者のうちの1人が渡辺陽子さんだったことを思い出しました。
 
2013年3月10日

「第1回目の交流会は、来月19日午前10時~正午、和歌山市中のエス・ティ・ワー
ルド和歌山センター内で」
 3.11直後から、被災証明を持たない自主避難者(主として関東方面からの母子避難者)を「無償で」受け入れた企業がエス・ティ・ワールド(STW)という旅行代理店でした。
 この会社の和歌山センターは、和歌山市北部の大阪府に隣接する地区にある結構広大な施設なのですが(和歌山大学に隣接、私の自宅から徒歩25分といったところ)、もともとは日本航空が建てた社宅・社員寮だったところで(関西空港開業に合わせて立地したという記憶です)、同社の経営不振により、STWが購入したものの、空き部屋多数という状況でした。
 そこに発生した3.11。企業の社会貢献活動に熱心だった同社が、一定期間、同社和歌山センターの空き部屋を無償開放したのです。
 私も一度、休みの日に自宅から歩いてエス・ティ・ワールドに出かけ、母子避難している方の法律相談に応じ、相談終了後、彼女の娘さん(就学前)と施設の共用部分にあった卓球台などで遊んだことがありました(あの卓球台、今でもあるんだろうか?)。
 
 毎日新聞記事の中で渡辺陽子さんが「避難者にとって情報が命。不安を抱えている人が悩みを話して発散できる場になれば」と言われている目的を達成できるように、情報を必要としている避難者で、「わかやま避難者のWA」が把握できていない人のもとに、同会が設立されたということを伝えられるよう情報拡散に協力することが、当面私に出来ることかなと思い取り上げさせてもらいました。