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「ツタヤ図書館」を通じて「図書館」そのものを学ぶために~「武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会」設立趣旨を読む

 2017年12月2日配信(予定)のメルマガ金原.No.3004を転載します。
 
「ツタヤ図書館」を通じて「図書館」そのものを学ぶために~「武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会」設立趣旨を読む
 
 昨日(12月1日)配信した「和歌山市民図書館が「ツタヤ図書館」に!?~市民の皆さん、嬉しいですか?」は、最近の私のブログとしては異例の(?)アクセス数を記録しつつあり、市民の皆さんの関心の高さを示すようで(挑発的なタイトルにした甲斐があったかも)良かったかなと思います。
 
 和歌山市民図書館の指定管理者をカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社とする件については、11月29日(水)から12月15日(金)までの日程で開会中の和歌山市議会(平成29年12月議会)に承認が求められると報道されていますが、私が11月29日に行われた市議会での提出議案に目を通し、インターネット録画をざっと視聴したところでは、当初議案には含まれていないようです。和歌山市が選定結果を公表したのが11月30日ですから、当然かもしれません。
※平成29年度議会提出議案 平成29年12月議会
和歌山市議会 議会中継 平成29年12月定例会 11月29日 議案説明
和歌山市民図書館に係る指定管理者候補者の選定結果について
 
 だからでしょうか、11月29日までに提出された「一般質問通告表」を読んでも、市民図書館指定管理者について質問通告をした議員は、6月定例会で「和歌山市民図書館条例」改正案(指定管理を導入する)に反対した日本維新の会日本共産党を含め、1人もいませんでした。
 おそらく、追加議案として提出されるのだろうと思いますが、議員の誰1人としてこの問題について質問せず、最終日の15日に賛成多数で承認というようなことだけはないようにお願いしたいものです。
 
 私たち和歌山市民も、図書館の運営を支えるスタッフの雇用問題をはじめ、公立図書館に指定管理者制度を導入することによって生じる多くの問題点を、まことに遅ればせながらではありますが、継続的に学びつつ、少しでも「ましな」図書館にするための努力が必要ということでしょうね。
 そのためには、先人に学ぶことも重要だと思い、「武雄市図歴館・歴史資料館を学習する市民の会」の設立趣意書を全文読んでみようと思いました。
 佐賀県武雄市図書館といえば、いわゆる「ツタヤ図書館」を全国的に宣伝する広告塔としての役割を(当時の樋渡啓祐市長の個性もあり?)担った図書館ですが、この「学習する市民の会」が立ち上げられたのは、市長のトップダウンで打ち上げられた指定管理者制への移行を、市議会が追認する直前という時期であったようです。
 それから5年。武雄市議会の12月定例会に第67号議案「武雄市図書館・歴史資料館の指定管理者の指定について」が提出されているのは、当初の指定期間5年間が来年の3月で満了するので、さらに5年間、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)を指定管理者とするということのようです。
 「武雄市図歴館・歴史資料館を学習する市民の会」は、この5年の間もたゆみなく活動を続けてこられたようですが、さぞ苦しい闘いであったろうと想像されます。
 さて、和歌山市民も武雄市の皆さんを見習って、学び続け、行動し続けることができるのでしょうか?
 
武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会』設立趣旨
(引用開始)
 武雄市図書館歴史資料館の指定管理者への移行について、5月に東京で記者発表され、6月の市議会7月に予定されている臨時市議会で、その流れは加速していくようです。その政治的なスケジュールについて、私たち市民レベルでその流れを止めるような事はできません。そして、余りにも時間がありません。ただ、その流れを傍観していいのか、については大いに疑問があります。
 その状況の中で、私たちは私たち市民の共有財産である、図書館歴史資料館そのものについて、さらに、そのような文化教育施設の運営が、全国的にどのように変わろうとしているのか、そのことについても十分に情報を持っているわけではありません。
 そのような流れの中で、今回市民有志に呼びかけ「武雄市図書館歴史資料館を学習する市民の会」を立ち上げることにしました。迂遠なようですが、先ず、図書館歴史資料館を知ることから始めよう!ということです。
 私は、あの図書館歴史資料館が大好きです。御船山の借景を活かし、謙虚に佇む外部デザインが好きです。歴史資料館の企画展や市民レベルの絵画展など、保育園児を連れていつも訪ねていましたが、昔の武雄に出会える薄暗い常設展示ゾーンや、安心して本に出会える静かな図書ゾーン、この二つの要素がコラボしたコンパクトな室内空間が大好きです。このような雰囲気を幼児期に刷り込むことが、子どもたちの“学ぶ力”の原点になると思ってきました。子どもたちからお年寄りまで、図書館歴史資料館へのアプローチは多種多様であり、その全てに応えていくためには、市民と図書館とのパートナーシップが欠かせません。そのような“育ち育てられる”ことについても、原点に立ち戻り学習していきたいと思います。
 今回の指定管理者移行への武雄市行政手続きについて、多くの市民が疑問に思っています。そのことについては、市長提案の最終決定機関である武雄市議会の皆さまに『公開質問状』という形で、回答をいただくことにしました。
 いただいた回答については、今後、私たちの学習資料として活用させていただきたいと思います。
 この会は「学習する会」で、政治的な目的で立ち上げるものではありません。市民各位の自由な参加・自由な学習を、最大限担保してまいりたいと思います。
 どうぞ、みなさまのご理解と、ご参加を心からお待ちしています。
平成24年7月2日
武雄市立図書館歴史資料館を学習する市民の会
代表世話人  武雄芳輔  井上一夫
(引用終わり)
 
(参考サイト)
 今年に入ってから、ネットで発表された「ツタヤ図書館」についての報道・論説の中から、否定的、肯定的の双方から1つずつご紹介しておきます。
 もっとも、後者の貞包英之立教大学准教授による「なぜ地方都市に「TSUTAYA図書館」が次々とつくられているのか?人口減少と消費社会化のなかで…」は、必ずしも「ツタヤ図書館」肯定の立場で書かれたとも言い切れず、また、タイトルの「次々とつくられている」というのは明らかにミスリードではないか(編集者が付けたタイトルかもしれませんが)とか色々言いたいこともあるのですが、とりあえずこのような視点もあり得るということでご紹介しておきます。そういえば、これまで「ツタヤ図書館」が進出した地方都市は、いずれも人口減少に悩む地方都市でしたし、「中核市では初めて」の和歌山市も、人口減少に悩むということでは、先輩自治体のお仲間であることは間違いありません。
 
ビジネス・ジャーナル 2017.03.18
ツタヤ図書館、ダミー本3万5千冊に巨額税金…CCC経営のカフェ&新刊書店入居
日向咲嗣/ジャーナリスト
 
現代ビジネス 2017.04.13
なぜ地方都市に「TSUTAYA図書館」が次々とつくられているのか?人口減少と消費社会化のなかで…
貞包英之立教大学准教授
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/図書館問題関連)
2017年8月12日
新しい和歌山市民図書館(2019年10月開館予定)に指定管理者制度が導入される
2017年9月16日
「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(9/30山本健慈さん&渡部幹雄さん/和歌山市勤労者総合センター)のご案内
2017年10月1日
「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(2017年9月30日)大成功!
2017年12月1日
和歌山市民図書館が「ツタヤ図書館」に!?~市民の皆さん、嬉しいですか?