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白浜町の井澗(いたに)誠町長が使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを議会で表明(2018年9月6日)

 2018年9月8日配信(予定)のメルマガ金原No.3264を転載します。
 
白浜町の井澗(いたに)誠町長が使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを議会で表明(2018年9月6日)
 
 「パンダと温泉の町」和歌山県西牟婁郡白浜町に、ふってわいたような(事情を知る住民の間では、ずっと前から予想・懸念されていたことですが)関西電力による使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設計画(関電は公式には何も発表していません)については、私のブログでも、今年の1月以来、折に触れて取り上げてきたところです。
 中でも、注目されてきたのが、白浜町の井澗誠(いたに・まこと)町長の態度でした。
 
 長らく井澗町長は、「まだ中間貯蔵施設が白浜町にどうのこうのという話は全くありませんし、今現在もございません。ですから、それについては、今後、そういった国や県から、あるいは事業者さんから話し合いの申し出があれば、当然、それは話をするのが、私は町としての立場だというふうに思っております。」(2017年12月14日・白浜町議会で丸本安高議員の質問に答えて)という見解を繰り返すのみでしたが、その町長の姿勢に変化が生じたのでは?と思われたのが、今年の6月定例会での以下のような答弁でした(紀伊民報の記事から引用します)。
 
紀伊民放 2018年6月14日
使用済み核燃施設受け入れない 白浜町長が表明
(抜粋引用開始)
 和歌山県白浜町の井澗誠町長は14日の町議会で、原子力発電所から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設について「受け入れることは考えていない」と述べた。これまでの発言から踏み込み、初めて否定的な姿勢を示した。
 溝口耕太郎議員(無)が一般質問でこの話題を取り上げた。「昨年から『白浜に中間貯蔵施設ができるかもしれない』と集会を開いたり、チラシを作ったりして活動している方々がいる」として、井澗町長の考えを聞いた。
 井澗町長は「町民の中には不安を感じている方もいると思う。国や事業者(電力会社)からコンタクトや申し入れがない中で、施設を受け入れることは考えていない」と答えた。「電力会社や国からは非公式にも打診や申し入れはない」「施設の確保は国や事業者が責任をもって進めていくべきだ」とも述べた。
(引用終わり)
 
 この町長の答弁で、安心した方もおられたかもしれませんが、会議録の公開までに時間がかかったことや、発言自体に曖昧さが拭えないこともあり、注意深く見守る必要があるという状況でした。
 
 そのような中、4日に開会した白浜町議会9月定例会の実質的な審議初日の9月6日、井澗誠町長が、6月議会よりもずっと踏み込んで、「将来的に(電力)事業者などから申し入れがあったとしても協議をする考えはない」と述べたと報じられました。
 私もまだ地元紙・紀伊民報の記事をインターネットで読んだだけですが、町議会のホームページで会議録や録画がアップされるまでにはまだ相当の期間を要しそうなので、とりあえず速報として、紀伊民報が伝えたところをお知らせしようと思います。
 
紀伊民報 2018年9月6日
核燃施設「協議する考えない」 白浜町長が表明
(抜粋引用開始)
 和歌山県白浜町の井澗誠町長は6日、原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の受け入れについて「将来的に(電力)事業者などから申し入れがあったとしても協議をする考えはない」と述べた。これまでの議会で「申し入れがない中で受け入れは考えていない」などと述べていたが、拒否する姿勢を明確にした。
 施設を巡っては、県外を含む複数の住民団体から「受け入れないことの表明」を求める要望書が町に出ていた。
 井澗町長は、町議会9月定例会で、提出した案件を説明する前に「これまでも受け入れる考えはないと申し上げてきたが、不安を感じている方もいらっしゃると聞く。この際、真意を伝えるのが責務と考え、改めて私の考えを申し上げる」と切り出した。
 井澗町長は「白浜町は観光産業を中心に発展してきた。町の将来は観光産業の進展にかかっている」とした上で「町が目指すのは私のスローガンでもある『世界に誇れる観光リゾート白浜』の実現であり、豊かな自然環境や資源を後世に引き継ぐ責務が私にはある」と話した。
(略)
(引用終わり)
 
 これまでは、議会での議員からの質問に答えてということであったのに対し(6月定例会では、質問者との事前打合せがあったかもしれませんが)、今回は、町執行部からの「提案理由の説明」(※平成30年第3回定例会日程)を行うに先立ち、町長自ら進んで見解を述べたということですから、それなりの決意をもって表明したものと想像できます。
 
 地元白浜町や近隣の住民はもとより、県内外の多くの団体・市民から寄せられた「白浜町を核のゴミの捨て場にしないよう」という要望が、町長の態度を受け入れ拒否に導いたという評価が可能かと思います。
 
 もっとも、関西電力やその関連会社が、白浜町日置地区に広大な土地を所有していることに変わりはない訳で、これからも気を緩めることなく注視を続けなければならないことはもちろんでしょう。
 
 なお、上記9月6日の井澗誠町長による表明が、会議録や動画でアップされましたら、あらためてブログでご紹介しようと思いますので、いましばらくお待ちください。
 
 以下には、今回の井澗町長による受入拒否声明の前触れとなった、6月14日、6月定例会(平成30年第2回定例会)での溝口耕太郎議員からの質問とそれに対する井澗町長による答弁を、同会議録から引用しておきます。
 
平成30年白浜町議会第2回定例会 会議録(第2号)
1.開会 平成30年6月14日 白浜町議会第2回定例会を白浜町役場議場において 9時30分開会した。
(引用開始)
○議長
 日程第1 一般質問を行います。
 通告順に従い、順次、質問を許可します。
 13番溝口君の一般質問を許可します。溝口君の一般質問は一問一答形式です。まず、1点目の中間貯蔵施設についての質問を許可します。
 13番 溝口君(登壇)
○13番(溝口耕太郎)
 13番溝口であります。通告に従いまして、6月議会の一般質問をしてまいりたいと思います。
 本日は、3点の一般質問を予定しております。それでは、早速でございますが、質問に入りたいと思います。
 第1点目といたしましては中間貯蔵施設についてでございます。この中間貯蔵施設につきましては、昨年から政党の関係者の方であるとか、それとまた市民団体の方々がこの中間貯蔵施設の計画が白浜町で進んでいるのではないかと、そういった危惧等から集会等や、またチラシなどの啓蒙活動をしているというような状況であるかと思います。
 そういった中で、私も先の3月の議会議員選挙活動の際に、数名の町民の方、2名か3名だったと思いますが、そういった方から中間貯蔵施設がこの白浜町にできるのかとか、そんな計画があって進んでいるのかと、そういった質問を二、三の方から聞きました。私はそのときには、その町民の方々に、そんな計画を私自身も聞いたこともありませんし、そういったことを把握もしていませんよと。しかし、現状から考えてそれを簡単につくるどうこうというのは、そういうふうな形で簡単には進まないのではないですかと、そういったような答弁をした記憶がございます。先の白浜町議会でも一般質問にも取り上げられました。しかし、このことについては、電力会社とかまた国が公式的に、中間貯蔵施設の建設についての申し入れとか、それは今現在そういったことはないと、そのように私も承知をしております。しかし、余りにも降って沸いたようなという言い方は表現が合っているのかどうかわかりませんが、そういった話を聞きますので、ひょっとしたら非公式にでも打診があったのかどうかを聞いてみたいと思います。
 先の議会の一般質問の答弁でも、町長が、電力会社や国からもこの中間貯蔵施設に関する申し入れ等であるとかそんなのは一切ありませんと、そういった答弁であったと思いますが、再度町長の答弁を求めたいと思います。よろしくお願いします。
○議長
 溝口君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 番外 町長 井澗君(登壇)
○番外(井澗誠町長)
 ただいま議員より、使用済核燃料の中間貯蔵施設についてご質問いただきました。
 中間貯蔵施設につきましては、先の議会におきましてもご質問をいただき、答弁したところでございますが、ご質問にありました中間貯蔵施設の建設につきましては、電力会社や国から公式及び非公式におきましても打診や申し入れはございません。
○議長
 13番 溝口君(登壇)
○13番
 そういたしましたら、この中間貯蔵施設については、今の日本の現状から私が判断しまして、どこかに中間貯蔵施設の建設をしなければならないことであると、そういうふうに私は把握をしておるんですけれども、しかしこのことについては、やはり電力会社や国が責任を持って進めていくべきものであると、そういうふうに私としては把握をしております。しかし、白浜町としては、中間貯蔵施設については、今町長から答弁がありましたけども、公式な申し入れ、そしてまた非公式な申し入れも一切ありませんが、それだったら一体白浜町としてどういうふうに考えておられるのかと、そうした基本的な考え方について聞いてみたいと思います。それでは、町長の答弁を求めます。
○議長
 番外 町長 井澗君
○番外(町長)
 これまでも中間貯蔵施設に関する質問を何度かいただいておりますが、改めて私の考えを正確にお伝えしたく思います。
 以前から申し上げていますように、この件に関しましては国や事業者から施設に関する申し入れなどは一切ございません。中間貯蔵施設の確保につきましては、議員がおっしゃったように、国や事業者が責任を持って進めていくべきものだと考えております。これまで国や事業者から中間貯蔵施設に関する申し出等は一切なく、何ら具体的な話がない中で、中間貯蔵施設を受け入れることは考えておりません。
 古き時代から先人が築き上げていきた白浜町は観光産業が中心となって発展してまいりました。町の将来は観光産業の進展にかかっていると考えています。それは議員各位も同じだと思います。白浜町の目指すところは、私の公約、スローガンでございます、世界に誇れる観光リゾートの実現であります。これまでもご質問をいただきまして、私の考えを説明してまいりましたが、町民の中には不安を感じておられる方もいらっしゃるかと思います。不安の声も聞いております。国や事業者から何のコンタクトも申し入れがない中で、繰り返しの答弁となりますが、中間貯蔵施設につきましては受け入れることは考えておりません。
○議長
 13番 溝口君(登壇)
○13番
 ただいま町長のほうから明確な答弁というか話がございましたけれども、私は今回の一般質問に際して、本来でありましたらこういった仮定の話での一般質問というのは控えるべきではないかと、そのように判断をしていたわけでありますけども、降って湧いたようにといいましょうか、ここのところ昨年ぐらいから、この中間貯蔵施設について、ある町民の方から聞いたときには、さも計画の話が非公式に進んでいて、あとここ1年もたてば表舞台に上がってきて、こういった話で町内でわいわいなるのかなと、そういった危惧をした話を何回も聞きましたので、ここはやはり仮定の話ではありますけども、基本的な考え方について、白浜町として、いま一度町長のほうから聞いて、発言、発信をしていただいたほうが、少しでも町民の方が安心するのではないのかなと、そのような思いで今回一般質問をしました。
 本来でありましたら、このような仮定の話を一般質問の場で取り上げて、聞かれる町当局の方も大変だと思うわけであります。これは白浜町だけが進めていくとか反対であるとかそういうわけではありません。先ほども言いましたように、こういった大変重要で、そしてまたシビアな案件でありますので、本来なら先ほども言いましたように、こういった案件につきましては、電力会社や国が一歩一歩進めていくのであるならば、進めていくべきであって、そこの地元の市町村がまず先もってどうこう言うべきものではありません。また、答弁もなかなかしづらいものであろうと思うわけですけども、先ほど町長のほうから基本的な考えについて発信がございました。
 この問題については、私は、政争の具にしようという形で動いている方もいるよう把握をするわけでありますけども、そんなことはすべきではないという思いで、今回あくまで、私ははっきり申し上げますが、あくまで仮定の話です。仮定の話を一般質問で取り上げるというのはいかがなものかと思いましたけど、そういった思いで一般質問をいたしました。
それでは、議長、1点目の質問については終わりたいと思います。
○議長
 以上で、1点目の中間貯蔵施設についての質問は終わりました。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/白浜町・中間貯蔵施設関連)
2018年1月8日
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会」(2018年1月20日)のご案内
2018年2月3日
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!」(講師:小山英之美浜の会代表)が和歌山市でも開催されます(2/18あいあいセンター)
2018年2月4日
吉原毅氏を招いて/「原発ゼロ法案」と「核のゴミ」を考える~白浜に核のゴミ(中間貯蔵施設)は来るのか!?~(2/23田辺ビッグ・ユー)のご案内
2018年2月25日
白浜町長に県内8団体が要望書を提出~使用済核燃料の中間貯蔵施設は受け入れないとの意思の表明を求める(2018年2月23日)
2018年2月26日
パンダの町・白浜町関西電力の中間貯蔵施設を受け入れるのか?~白浜町議会2017年12月定例会会議録を読む
2018年4月17日
白浜町長への要望書「(略)白浜町を核のゴミの捨て場にしないよう使用済核燃料の「中間貯蔵施設」は受け入れないとの意思をあらかじめはっきりと表明してください」を読む http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51852204.html
2018年7月31日
「核のゴミはいらん日置川の会」が結成されました~松浦雅代さんからの報告