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「オール沖縄会議」結成(12/14)と同時に進行している地方議会での辺野古新基地建設推進「意見書」採択に警戒を!

 今晩(2015年12月20日)配信した「メルマガ金原No.2310」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「オール沖縄会議」結成(12/14)と同時に進行している地方議会での辺野古新基地建設推進「意見書」採択に警戒を!

 遅ればせであっても、先週のはじめ(12月14日)に宜野湾市沖縄コンベンションセンター劇場棟)で開かれた「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の結成大会を、本メルマガ(ブログ)でも取り上げた方が良いと思いながら、それと「対」にしてご紹介できるものはないだろうか?と考えてみました。
 最初は、同じく先週末に宜野湾市宜野湾市民会館)で開かれた新外交イニシアティブ(ND)主催によるシンポジウム「宜野湾から沖縄の未来を考える―基地・経済・地方自治―」にしようと思ったのですが、シンポ動画(全編)で見つけられたのは、IWJ沖縄によるTwitcasting録画だけでしたので、ご紹介は、公式動画がアップされてからにしようと思います。それまでは、NDの公式Facebookで紹介されていた沖縄タイムス(がシンポを後援)による報道を読んでおいてください。

 結局、私がオール沖縄会議と「対」(というよりも「対極」)になるものとして選んだのは、琉球新報が今日伝えた「全国5議会、辺野古「容認」意見書可決 名護市民ら反発」という記事です。
 記事の伝えるところでは、長崎県佐世保市、東京都豊島区、新潟県糸魚川市佐賀県多久市沖縄県石垣市の少なくとも5自治体が、米軍普天間飛行場代替施設の早期実現を求める意見書を可決したということであり、最初は信じられませんでした。
 日本会議自民党が推進する憲法改正促進意見書を可決する地方議会が相次ぎ、まことに情けない状況であるとは思っていましたが、辺野古移転推進意見書を可決した沖縄県外の地方議会が、少なくとも4つもある(!)というのは、私にとっては衝撃でした。このような意見書に賛成した議員には、何の心の痛みもなかったのでしょうか。
 あとで、その意見書の実例をご紹介します。
 
 さて、まずは、12月14日に開かれた「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」についてです。
 当日採択された設立趣意書を全文引用したかったのですが、ネット上では見当たらず、そもそも「オール沖縄会議」の公式WEBサイトが立ち上がったのかどうかもよく分かりません。
 そこで、結成大会の模様を伝えた全編動画と三上智恵さんによるダイジェスト動画(と記事)をご紹介します。
 結成に至る経緯については、新里米吉さんから説明され(全編動画3分~)、設立趣意書については、山城博治さんによって読み上げられています(全編動画6分~)。
 
全編動画(1時間54分)
 
 

 「オール沖縄会議」結成の意義については、地元紙2紙の社説からの抜粋引用によってご理解いただければと思います。
 
琉球新報 2015年12月16日 社説
オール沖縄会議 新基地反対運動の弾みに

(抜粋引用開始)
 新基地建設問題をめぐり、県は政府との法廷闘争に入っている。今回の会議発足には、県の法廷闘争を支援するとともに、これまで建設反対運動に関わってきたさまざまな組織を糾合して体系化し、幅広い枠組みで新たな取り組みを展開していく狙いがある。
 オール沖縄会議の共同代表には、稲嶺進名護市長、高里鈴代「島ぐるみ会議」共同代表、呉屋守将金秀グループ会長の3人が就任した。政界や経済界、市民団体など、新基地建設に反対するそれぞれの勢力を結集させていこうという決意が込められていよう。
 新基地建設問題ではこれまで、政財界の有志や有識者が共同代表を務める「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」(島ぐるみ会議)や「辺野古基金」などが設立され、市民運動などの基盤となってきた。
 ただ島ぐるみ会議はあくまで個人参加による組織であり、団体単位では加入していない。このため組織的な行動面で課題があった。今後は新たな会議が中心となり、辺野古キャンプ・シュワブ前での反対運動などで、より統一的な対応を図っていくとしている。今後の展開が注目されよう。
(引用終わり)
 
沖縄タイムス 2015年12月16日 社説
[オール沖縄会議]辺野古阻止の受け皿に

(抜粋引用開始)
 オール沖縄会議を結成する目的は、三つだ。現地辺野古での抗議行動を強化する、県と国の法廷闘争で翁長知事を支援する、国内・国際世論を喚起する-ことである。
 なぜいまなのか。
 結成を促したのは、現地辺野古で監視と抗議活動を続ける市民らの声である。日によって参加人数のばらつきが大きく、各種団体と交渉するパイプ役が必要だとの要望が出たからである。その役目をオール沖縄会議が担うことになったわけである。
 辺野古では毎週水曜日を「議員総行動」の日と決め、野党国会議員や県議会与党会派、市町村議員、市民ら数百人が抗議している。
 米軍キャンプ・シュワブゲート前での座り込みが500日を迎えた11月18日の水曜日には約1200人が抗議集会を開いた。工事車両は基地内に入れず、機動隊は排除することができなかった。
 その後の議員総行動の日でも、工事車両の進入を事実上阻止している。座り込みの参加者にはゲート前にもっと人が集まれば、作業を止めることができるという思いがある。それは政府が恐れていることでもある。
 新基地建設阻止という県民大多数の願いをどう実現していくか。そのためにはオール沖縄会議結成の目的の三つを同時並行的に、しかも切れ目なく取り組む必要がある。
(略)
 辺野古の陸で、海上で反対する市民を警察や海上保安官が力ずくで排除している現状を、全都道府県でシンポジウムをしたり、大小の県民集会を開いたりして世論に訴えるのも世論喚起の方法の一つではないだろうか。
(略)
 傘下団体をたばねる組織ができた。ただ埋め立て本体工事の関連作業が進んでいることを忘れてはならない。
 オール沖縄会議が新たな県民ぐるみの運動の受け皿になれるのかどうか、これからの取り組みにかかっている。
(引用終わり)
 
 さて、後半は、私が衝撃を受けた琉球新報記事のご紹介からいきましょうか。
 
琉球新報 2015年12月20日 05:03
全国5議会、辺野古「容認」意見書可決 名護市民ら反発

(引用開始)
 長崎県佐世保市議会は、19日までに「米軍普天間飛行場代替施設の早期実現を求める意見書」を賛成多数で可決した。意見書では沖縄を「国益を守る上で地政学的に不可欠の存在」と位置付け、現在名護市辺野古沖で計画が進む新基地計画を容認する内容となっている。佐世保のほか東京都豊島区、新潟県糸魚川市佐賀県多久市石垣市の少なくとも5自治体が意見書を可決した。名護市民らから批判が上がっている。専門家も「過重な沖縄の基地負担の現実をきちんと理解した上で、意見書を可決したのか疑問だ」と指摘している。
 佐世保市議会は、名護市議会野党会派の礎之会(岸本直也会長)とあけみおの会(吉元義彦会長)が全国の地方議会議長宛てに送付した陳情を受け、18日に採択した。
 意見書は「普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去することと、基地負担の軽減が原点だ」と強調し、日本政府の従来の見解に沿っている。辺野古への移設をめぐり国と沖縄県の対立が続いていることに触れ「飛行場の固定化につながる恐れがある」としている。
 「防衛拠点としての沖縄は、安全保障上極めて重要な位置にある。『わが国自身の主権・独立を維持し、領域を保全し、わが国の平和と安全を維持し、その存立を全うすること』という国益を守る上で地政学的に不可欠の存在」と言及。意見書は辺野古、豊原、久志の3区が「移設を条件付きで進めてきた経緯がある」とも指摘した。
(引用終わり)
 
 まずは、裏付けを取ってみなければということで、琉球新報の記事で名前のあがった地方議会の公式WEBサイトを調べてみました。その結果を以下に掲載します。
 
長崎県 佐世保市議会
 12月18日が12月定例会の最終日なので、この日に意見書が採択されたのではないかと思いますが、まだホームページには反映されていないようです。
 
 
新潟県 糸魚川市議会
 平成27年第5回(12月)定例会の審議結果はまだホームページに反映されていませんでした。
 
佐賀県 多久市議会
 12月18日に「沖縄の米軍普天間飛行場代替施設の早期実現、沖縄米軍基地の整理縮小および負担軽減を求める意見書」が可決されていますが、意見書本文は見つけられませんでした。
 
 
 意見書が読める豊島区と石垣市のどちらを引用しようかと考えたのですが、ここは、豊島区議会「意見書」を読んでみる方が意義が大きいと判断しました(糸魚川市でも多久市でも良かったのですが、まだ読めないので)。これが豊島区の「意見」だと言われては、豊島区の住民の中にも、さぞ驚く人が多いでしょう(そうであって欲しいと思いますが)。
 ちなみに、豊島区議会では、各議案についての会派ごとの賛否の状況がホームページに掲載されています。
 それによれば、この「意見書」に賛成したのは、
  自民党豊島区議団(14人)
  公明党(8人)
 反対したのは、
  日本共産党(6人)
  民主ネット(5人)
  刷新の会(1人)
  無所属元気の会(1人)
  社民党(1人)
だったそうです。
 
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進めるとともに、正確な情報発信を丁寧に行うことを求める意見書
(引用開始)
 
米軍普天間飛行場名護市辺野古移設については政府と沖縄県知事の意見が対立しています。普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという考えは一致しておりますが、移設場所が名護市辺野古なのか、県外移設が可能なのかという点が一致しません。
 我が国の安全保障上の問題がない範囲で、在日米軍施設・区域(専用施設)が集中している沖縄の負担軽減は極力図られるべきです。しかしながら、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンにも近いなどの沖縄の地理的特徴を踏まえ、緊迫している東アジア情勢に鑑み、普天間飛行場名護市辺野古移設が不可避であるという結論に日米政府でいたっております。これらの検討過程では県外移設を含めて可能性を探っていますが、東アジアの安全保障環境に不安定性・不確実性が残る中、我が国の安全保障上きわめて重要である在日米軍の抑止力を低下させることはできないという判断がありました。
 また、普天間飛行場の移設は、沖縄の負担軽減にもつながるものとなっています。これまで同飛行場が担っていた米海兵隊の航空能力の一部の移転にとどまるほか、代替施設建設のために必要な埋立て面積は、普天間飛行場の3分の1以下となり、滑走路も大幅に短縮されます。さらに飛行経路についてですが、代替施設では海上へ変更され、騒音および危険性が軽減されます。例えば、普天間飛行場では住宅防音が必要となる地域に1万数千世帯の方々が居住しているのに対し、代替施設ではこのような世帯はゼロとなります。
 これまでの日米政府間の交渉では、沖縄の負担軽減について何度も議題となり、平成23年6月の日米安全保障協議委員会(通称「2+2」。日本の外務大臣防衛大臣+米国の国務長官、国防長官)会合などで、沖縄に所在する第3海兵機動展開部隊の要員8,000人とその家族約9,000人が沖縄からグアムに移転すること。この移転および、その結果として生じる嘉手納以南の土地の返還については、普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことも、平成24年4月の日米安全保障協議委員会共同発表で決定しています。現在検討に入っている全ての返還が実現すれば、沖縄本島中南部の人口密集地に所在する米軍基地の約7割が返還されることとなります。
 このように、政府としても沖縄の負担軽減に全力で取り組むという基本方針のもとで、日米間の協議は行っております。
 地方自治体は協議会などを通じて、また地方議会は意見書などを通じて、それぞれ政府に対して意見を伝えることはできますが、沖縄の在日米軍の問題は外交や国家の安全保障に関わる問題であり、最終的に責任をもつのは政府の役割です。政府には沖縄における負担の軽減には引き続き最大限取り組むとともに、米軍と連携した安全保障の体制構築に万全を期して頂きたいです。
 以上を踏まえ、国または政府は、米軍普天間飛行場辺野古移設を着実に進めるとともに、在日米軍と連携をしつつ沖縄の負担軽減策について最大限取り組んで行くこと、これまでの経緯を含めた辺野古移設や沖縄の在日米軍施設・基地の返還などの他地域を含めた情報の周知活動に取り組んで頂きたいです。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
  平成27年12月4日
   豊島区議会議長 村上 宇一
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
防衛大臣
外務大臣
沖縄及び北方対策担当大臣あて
お問い合わせ
区議会事務局議会総務課 
(引用終わり)
 
 この「意見書」の内容について、普天間「移設」以外の「閉鎖・返還」という選択肢を全く度外視しているのはおかしいとか、地政学上の必要性は森本敏元防衛相が離任会見時(2012年12月25日)に明確に否定していたではないかとか、普天間基地の全面積と辺野古の埋立面積だけを比較するのは詐術ではないかとか、反論すべきことは次から次に出てきますが、その内容の「非論理性」もさることながら、私はその「非倫理性」をこそ問いたいと思います。
 この「意見書」に賛成した自民党公明党の豊島区議会議員は、本当にこの「意見書」の内容に自ら責任をとる覚悟で賛成したのですか?名護市議会の議場や辺野古のテント村の前で、「意見書」に書かれた内容を「自らの意見」として語る覚悟があって賛成したのですか?
 
 琉球新報の記事に書かれている「名護市議会野党会派の礎之会(岸本直也会長)とあけみおの会(吉元義彦会長)が全国の地方議会議長宛てに送付した陳情」の現物を読んでみたいと思って探してみましたが、ネット上では(今のところ)見つけられませんでした。
 私やあなた方の町の議会にもこの「陳情」が届いているかもしれませんから、親しい議員を通じて調査する必要があると思います。
 そしてもしも届いていれば、このような恥ずべき「意見書」が自分の町の議会で採択されぬよう、全力で議会各会派・各議員に働きかけましょう。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)