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閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました

 今晩(2017年3月21日)配信した「メルマガ金原No.2758」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました

 本日(3月21日)午前の閣議において、いわゆる共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)が閣議決定されました。
 報道によれば、今夕にも国会に提出するとされていますが、衆議院のホームページにはまだ掲載に至っていないようです。
 とりあえず今日のところは、今後に備えて基礎資料をチェックするにとどめます(それだけの時間しかないので)。
 
首相官邸ホームページ 閣議 平成29年3月21日(火)定例閣議案件
(抜粋引用開始)
法律案
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(決定)
(法務・外務省)
(引用終わり)
 
 
 「定例閣議案件」記載のとおり、共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)の所管官庁は法務省と外務省です。
 通常、閣法(内閣提出法案)については、所管官庁のホームページに、法案が閣議決定されたその日のうちに掲載されます。
 外務省ホームページには見当たりませんので、法務省ホームページにだけ掲載する方針のようです。
 
 法律案(47頁) 
 理由(1頁) 
 新旧対照条文(64頁) 
 
 新旧対照条文さえプリントアウトすれば、法律案そのものは印刷する必要はないでしょう。ということで、私は、要綱、理由を含めて69頁分をプリントアウトしました。
 以下、目的、要綱(抜粋)、新旧対照条文から「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」改正案第六条の二(及び別表の一部)を引用します。
 
理由 
(引用開始)
 近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴い、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画等の行為についての処罰規定、犯罪収益規制に関する規定その他所要の規定を整備する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
(引用終わり)
 
要綱(抜粋)
(引用開始)
   組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱
第一 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正
一 目的
二 犯罪収益の定義

三 テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画の処罰
1 イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結
合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。以下同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、それぞれイ又はロに定める刑に処するものとすること。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除すること。(第六条の二第一項関係)
イ 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定めら
れているもの 五年以下の懲役又は禁錮
ロ 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年
以下の懲役又は禁錮
2 1イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、1と同様
とすること。(第六条の二第二項関係
四 証人等買収の処罰
五 その他
第二 条約による国外犯処罰
第三 刑法の一部改正
第四 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部改正
第五 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律の一部改正
第六 附則
(引用終わり)
 
法律案(抜粋)
(引用開始)
   
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律
 (テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち
、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処
する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定めら
れているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年
以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。
 
別表第三(第六条の二関係) 略
別表第四(第六条の二関係)
一 別表第三に掲げる罪(次に掲げる罪を除く。) 略
二 第七条(組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等)の罪(同条第一項第一号から第三号までに掲げる者に係る
ものに限る。)又は第七条の二第二項(証人等買収)の罪
三イ 刑法第九十八条(加重逃走)、第九十九条(被拘禁者奪取)又は第百条第二項(逃走援助)の罪ロ 刑法第百六十九条(偽証)の罪
四 爆発物取締罰則第九条(爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等)の罪
五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本
国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第四条第一項(偽証)の罪
六 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第五十六条(組織的な犯
罪に係る証拠隠滅等)又は第五十七条第一項(偽証)の罪
(引用終わり)
 
 以上に引用した条文(第六条の二)には、条の見出しを含めると4箇所で「テロリズム集団その他の」という修飾句が出てきますが、これは、2月28日に政府が自民・公明の両党に法案を示した際にはありませんでした。
 与党から、「なぜ『テロ』という言葉が出てこないのか?」という指摘を受け、急遽、修正して4箇所
に挿入することになったものです。
 その辺のまやかしぶりについては、私が過去15回メルマガ(ブログ)に書いた共謀罪シリーズの中の、
特に3月8日と翌9日に書いた記事をお読みいただければと思います。
 
 なお、修正前の法律案(与党提示版)については、3月1日に、TBSラジオ荻上チキ・Session-22」公式サイトが法案の全文と新旧対照条文のPDFファイルをアップしてくれており、これが裏付資料となります。
 
 
 
 
 最後に、本日(3月21日)時点での大手新聞各社(+NHK)WEB版における本法案の呼称を調べてみました。紙面自体ではなく、WEB版での調査によるものですが、やはり予想したとおりの状況でした。
 
朝日新聞デジタル 2017年3月21日12時51分
「共謀罪」法案を閣議決定 今国会で成立目指す

※この記事は会員登録していなくても全文読めるようです。「「共謀罪」の対象となる法律と罪名一覧」も付いていて便利です。
 
 
 
 
 以上4紙が「共謀罪」派です。
 
 
 
 
 以上、2紙と1局が「テロ等準備罪」(読売は「テロ準備罪法案」とさらに大胆です)派です。
 
 昨日の毎日新聞「<共謀罪>報道、割れる表記」という記事を掲載していましたが、1日経って、いよいよ閣議決定されても、各報道機関のスタンスは不変(当たり前か)でした。
 私たちも、朝日、毎日、日経、東京と同様、本文やスピーチで括弧付きの「テロ等準備罪」という表現を使うのは(批判するためにはどうしても必要なので)仕方がないとして、見出しでは、たとえ括弧付きでも「テロ」などという用語は使うべきではないと思います。
 
 閣議決定当日にお送りする共謀罪シリーズ(第16回)は以上です。

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました

「愛国」二題~山口二郎氏「愛国の作法」と鈴木邦男氏「愛国心スピーチ」

 今晩(2017年3月20日)配信した「メルマガ金原No.2757」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「愛国」二題~山口二郎氏「愛国の作法」と鈴木邦男氏「愛国心スピーチ」

 2月9日の朝日新聞による第一報からまだ一月半も経っていないとは信じられないくらい、めまぐるしい展開を見せる「森友学園」問題については、比較的早い段階の2月17日に私もメルマガ(ブログ)で取り上げたものの、その後、2月26日に続報を1本書いただけで、ほぼお手上げ状態となり、ただ注意深く情勢を見守っているだけという、かなり受け身のスタンスになってしまっており、「これでいいんだろうか?」という疑問が頭をもたげたりもします。
 
 問題の本質(の一つ)は、政治や行政という公的な領域で貫徹されるべき「正義」があまりにも蔑ろにされているという(極めて強い疑い)だろうと思います。従って、学校法人森友学園が運営する塚本幼稚園において、園児に教育勅語を暗唱させるというような「愛国教育」が行われていたことや、森友学園の周辺にいわゆる「愛国者」の群れがぞろぞろ出没していること自体は、もしかすると「本筋」ではないのかもしれません。
 さはさりながら、この機会に、括弧付きの「愛国」のうさんくささを、広く国民が共有することに何程か効果があるのなら、それもまた有意義ではないかと思い、今日は、「愛国」二題をお届けすることにしました。
 
 まずはじめは、昨日(3月19日)の東京新聞「本音のコラム」に掲載された山口二郎法政大学教授(政治学、立憲デモクラシーの会共同代表)による「愛国の作法」です。
 この記事自体は、東京新聞のWEB版では公開されていませんが、もともと山口二郎さんが、ご自身のtwitterで連載(連投というのでしょうか?)したものをまとめたもの、というか、始めからコラムに掲載することを前提にtwitterに連投したのでしょう。
 
愛国の作法1(2017年3月4日)
文科省は学校の道徳で愛国心の教育をするそう。我が国の最高指導者の行状から愛国の作法を導き出せば、こんなことになろうか。
愛国の作法1 自分は愛国者であることを目いっぱい大声で叫びましょう。愛国心の証(し)は日の丸を振りかざし、君が代を歌えばよろしい。教育勅語の暗唱はさらに効果的です。」
→最後の一文は、コラム掲載時に「教育勅語を暗唱できれば愛国心は優等です。」と修正されました。もちろん、「道徳」の教科化を踏まえた変更であることは言うまでもありません。
 
愛国の作法2(2017年3月4日)
「愛国の作法2 自分が純粋で過激な愛国者であることを示せば、周りの人間はみな愛国心に感動し、あなたの望む無理難題を聞いてくれるかもしれません。お父さん、お母さんに小遣いを上げてほしいという時も、自分は愛国者だと大声で言えば効果覿面。何しろ国有地をただ同然でもらった愛国者もいるくらい。」
 
愛国の作法3(2017年3月4日)
「愛国の作法3 愛国者は機を見るに敏でなければなりません。同じ愛国仲間でも、やばそうな奴が愛国をネタに変なことをしていると気づいたら、さっさと裏切り、知らん顔をしましょう。愛国者に節操は不要です。あいつは真の愛国心がわかっていないとうそぶくのも、保身には効果的です。」
 
愛国の作法4(2017年3月4日)
「愛国の作法4 愛国者はなにより自分を愛する人です。愛国教育に熱心な文科省の高級官僚も、法を無視して、退職後の天下りを確保するために組織的に動いていたくらいですから。自分の私利私欲を追求するときにも、愛国だと言えばだれも邪魔しません。(愛国心とはなんと効果的な魔除けでしょう。)」
→括弧した部分はコラム掲載時に削除されました。
 
「愛国の作法5 愛国者は強い者の心中を忖度(そんたく)し、気に入られるよう行動します。政治家の無理難題を実現した財務省の官僚こそ、愛国者の鑑(かがみ)です。」
 
 「愛国の作法」といえば、姜尚中さんが2006年に朝日新書から刊行した著書のタイトルを思い出しますので、それと区別するために、山口二郎さんが書かれたコラムのタイトルは、「愛国の作法2017」とすべきかもしれません(と、私が勝手に変更する訳にもいきませんが)。
 
 そして、「愛国」二題のもう1つは、やはり昨日(3月19日)行われた「『森友10万人デモ』安倍退陣に追い込もう! 緊急集会クライマックス」(国会正門前)での、鈴木邦男さん(一水会最高顧問)によるスピーチです。
 動画はいくつかありますが、比較的音声が聴き取りやすいものを2種類ご紹介します。
 
 
 
2017年3月19日【森友10万人デモ】(森薫)(1時間57分)

鈴木邦男さんのスピーチは36分~48分、制服向上委員会の歌は49分~1時間02分です。
 
 最初は、鈴木さんのスピーチ全文文字起こしに挑戦しようかと思ったのですが、時間の都合と、とても完全に聴き取れる自信がなく断念しました。
 そこで、IWJのダイジェスト動画に収録された鈴木さんのスピーチの一部のみ、以下のとおり文字起こししてみました。これだけでも、なかなか感銘深く読んでいただけるのではないかと思います。
 
愛国心というのはね、全部『自己申告』なんですよ。僕も今まで、『俺は愛国者だ』というのは、1万人以上の人に会ってますよ。でも、ほとんどが全部インチキですね。だって、自分で(愛国心があると)言うんですからね。それと、愛国心を言う人には『愛』はありません。本当に愛国心がある、日本が好きだというならば、この時代が好きだ、この人たちが好きだ、自分はそれに影響されて頑張っていこうというのなら、心の中で思ってればいいわけでしょう?それをわざわざ、『俺は愛国者だ』、『俺は愛国者だ』と言ったら、大体、『でも、あいつは違うんだ』と、誰かを批判するために言いますよね。でまた、他国を攻撃するために使いますよね。だから、NOや反対のために言うならば、それはもう愛国心じゃないだろう。」
三島由紀夫は1970年に自決しましたけれど、その2年前に、実は朝日新聞に、愛国心について文章を書いている。それを僕も読みました。『愛国心という言葉は嫌いだ』と書いてあるんですよ。『これ(愛国心という言葉)は官製のにおいがする。国家が押しつけてる。自分だけが日本からぽっと抜け出して、なんか犬か陶器を愛するように愛してる。そういう思い上がりの心がある。さらに、愛というのは普遍的なもののはずなのに、国境で区切られている愛なんてあるのか』とあって、すごいなと。」
「でも三島由紀夫はね、多分、1968年の人に対して言ったんじゃないんですよ。今の我々に対して言ったんですよ。」
 
 鈴木さんのマガジン9での連載のタイトルは「鈴木邦男の愛国問答」であり、岩波ブックレットから『〈愛国心〉に気をつけろ!』(2016年6月刊)という著作も出されていますので、さらに詳しく鈴木さんの意見を知りたい方は、それらをご参照ください。

※参考サイト
マガジン9「鈴木邦男の愛国問答」バックナンバー
岩波ブックレット『〈愛国心〉に気をつけろ!』


 「愛国」二題、いかがだったでしょうか?
 2015年3月に改訂された「小学校学習指導要領 第3章 道徳」では、その教科の内容を以下のように定めています。
 
(抜粋引用開始)
〔第3学年及び第4学年〕
主として自分自身に関すること。
(1) 自分でできることは自分でやり,よく考えて行動し,節度のある生活をする。
(2) 自分でやろうと決めたことは,粘り強くやり遂げる。
(3) 正しいと判断したことは,勇気をもって行う。
(4) 過ちは素直に改め,正直に明るい心で元気よく生活する。
(5) 自分の特徴に気付き,よい所を伸ばす。
主として他の人とのかかわりに関すること。
(1) 礼儀の大切さを知り,だれに対しても真心をもって接する。
(2) 相手のことを思いやり,進んで親切にする。
(3) 友達と互いに理解し,信頼し,助け合う。
(4) 生活を支えている人々や高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接する。
主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1) 生命の尊さを感じ取り,生命あるものを大切にする。
(2) 自然のすばらしさや不思議さに感動し,自然や動植物を大切にする。
(3) 美しいものや気高いものに感動する心をもつ。
主として集団や社会とのかかわりに関すること。
(1) 約束や社会のきまりを守り,公徳心をもつ。
(2) 働くことの大切さを知り,進んでみんなのために働く。
(3) 父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくる。
(4) 先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合って楽しい学級をつくる。
(5) 郷土の伝統と文化を大切にし,郷土を愛する心をもつ。
(6) 我が国の伝統と文化に親しみ,国を愛する心をもつ
とともに,外国の人々や文化に関心をもつ。
(引用終わり)
 
 来年から、この学習指導要領に基づいて教科化された「道徳」が生徒に教えられるのですが、その中には、しっかりと「国を愛する心をもつ」ことも含まれています。
 瑞穂の國記念小學院の開校はとりあえず頓挫しましたが、全国全ての小学校の生徒たちにこの学習指導要領が適用されるということで、私たちも、「愛国心」に無関心でいるわけにはいきません。
 

放送予告4/30『憲法70年 平和国家の誕生(仮)』(NHKスペシャル)

 今晩(2017年3月19日)配信した「メルマガ金原No.2756」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告4/30『憲法70年 平和国家の誕生(仮)』(NHKスペシャル)

 今年は、日本国憲法施行70周年。普通なら、政府主催の盛大な祝賀大会があっても不思議はない(?)と思いますが、まあ、ないでしょうね。
 私の地元・和歌山では、2014年以来、憲法記念日和歌山城西の丸広場を会場として開催してきたイベントを、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”として今年も開催します。
 そろそろ、その案内も書かなければとは思っているのですが、中身がまだ固まりきっておらず、もう少ししてからにしようかと思います。とりあえず、ほぼ例年通りのチラシが出来上がってきていますので、それだけご紹介しておきます。
 
 ところで、いずれ憲法施行70年をテーマとしてTVのドキュメンタリー番組もいくつか放送されるだろうと思うのですが、今のところ、地上波で目に付いた番組は、以下のNHKスペシャルだけです。
 
日本国憲法の施行から70年を迎える。今、新たな資料の公開で憲法誕生の知られざる舞台裏が明らかになりつつある。
 たとえば「昭和天皇実録」などの公開で浮かび上がった新事実。それは昭和天皇が敗戦直後の昭和20
年9月4日、勅語で「平和国家の確立」を明らかにし、憲法改正の調査を命じていたことである。
 さらに幣原喜重郎首相が戦争放棄マッカーサーに提唱。GHQは戦力不保持の草案を作成する。しか
し、GHQ草案の条文に「平和」の文字はなかった。では、どこから来たのかー。
番組では、近年、発掘された新たな資料をもとに、日本国憲法が誕生していく1年8か月を描く。」
 
 以上の番組案内にある「昭和20年9月4日」の「勅語」というのは、「第八十八臨時議会開院式勅語」というものでしょう。全文引用してみます。
 
第八十八臨時議会開院式ノ勅語(昭和20年9月4日)
(引用開始)
朕茲ニ帝国議会開院ノ式ヲ行ヒ貴族院衆議院ノ各員ニ告ク
朕已ニ戦争終結ノ詔命ヲ下シ更ニ使臣ヲ派シテ関係文書ニ調印セシメタリ
朕ハ終戦ニ伴フ幾多ノ艱苦ヲ克服シ国体ノ精華ヲ発揮シテ信義ヲ世界ニ布キ平和国家ヲ確立シテ人類ノ文
化ニ寄与セムコトヲ冀ヒ日夜軫念措カス此ノ大業ヲ成就セムト欲セハ冷静沈著隠忍自重外ハ盟約ヲ守リ和親ヲ敦クシ内ハ力ヲ各般ノ建設ニ傾ケ挙国一心自彊息マス以テ国本ヲ培養セサルヘカラス軍人遺族ノ扶助
傷病者ノ保護及新ニ軍籍ヲ離レタル者ノ厚生戦災ヲ蒙レル者ノ救済ニ至リテハ固ヨリ万全ヲ期スヘシ
朕ハ国務大臣ニ命シテ国家内外ノ情勢ト非常措置ノ径路トヲ説明セシム卿等克ク朕カ意ヲ体シ道義立国ノ皇謨ニ則リ政府ト協力シテ朕カ事ヲ奨順シ億兆一致愈々奉公ノ誠ヲ竭サムコトヲ期セヨ
(引用終わり)
 
 今年1月4日、朝日新聞がこの勅語の起草過程を、国立公文書館のデジタルアーカイブから跡づけて記事にしています。
 
 
 
 
 なるほど、国立公文書館のデジタルアーカイブで、「第八十八回帝国議会開院式勅語案」というキーワードで検索すると、全部で15枚の画像が出てきます。
 この勅語の修正過程を検証して記事にしたということですね。
 
 けれども、番組案内に「憲法改正の調査を命じていた」とある部分は、昭和天皇実録を読んでいないのでよく分かりません。
 また、「GHQ草案の条文に「平和」の文字はなかった。」ですが、たしかに条文(第8条)には、日本国憲法第9条1項の「国際平和を誠実に希求し」に相当するような表現はありませんでしたが、前文には、既に“all peoples have the right to live in peace”(平和ノ裏ニ生存スル権利ヲ有スル)というような表現が盛り込まれていました。
 
 
 録画して、しっかりと視聴したいと思います。

happybirthday憲法inwakayama2017チラシ 

中野晃一氏 講演会「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」(4/28和歌山県民文化会館)のご案内

 今晩(2017年3月18日)配信した「メルマガ金原No.2755」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
中野晃一氏 講演会「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」(4/28和歌山県民文化会館)のご案内

 毎年の恒例行事となっている青年法律家協会和歌山支部による憲法記念行事は、長らく「憲法を考える夕べ」と呼称して開催してきました。毎年、夕刻の午後6時に開演する例となっていたからです。
 ところが、諸般の事情から、一昨年(山本健慈前和歌山大学学長)、昨年(青井未帆学習院大学教授)と2年続いて連休はじめの午後に開催することとなったため、いくら何でも「夕べ」はないだろう、という大方の会員の意見にもかかわらず、伝統を重んずる支部長の強いこだわりから、強引に「憲法を考える夕べ」というチラシが作られました。
 証拠として(?)「九条の会・わかやま」に掲載されたチラシをご紹介しておきます。
 
2015年4月29日(水・祝)13時30分~ 
山本健慈氏「学び続ける自由と民主主義~不安の時代に抗して」

 
 そして、今年です。
 「青年法律家協会」自体は、『七人の侍』や『ゴジラ』や自衛隊(さらに言えば私もそうですが)と同じ1954年に誕生したのですが、和歌山支部の結成は(私はまだ中学に入ったばかりの年です)1967年のことであり、つまり今年が記念すべき支部結成50周年なのです。
 当初は、50周年記念として大がかりなイベントを企画しては?とか、一般市民に訴求力のある著名なゲストを招いた講演会を企画しては?というような声もあったのですが、結局、憲法記念行事については時間切れで、通常モードで行くことになりました。
 その代わり、年内には「青年法律家協会和歌山支部 50周年記念誌」が出来ると思います(多分)。
 
 もっとも、憲法記念行事は通常モードで、と言っても、知っている人にとっては「待望の」と言ってもよいでしょう、素晴らしい講師に来ていただけることになったと自負しています。
 上智大学教授(国際関係学部長・政治学)の中野晃一さんです。
 立憲デモクラシーの会や市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の呼びかけ人としての、この間の中野先生の活躍は、今さらご紹介するまでもないでしょう。私のメルマガ(ブログ)でもたびたびご紹介しています(巻末でその一部にリンクしておきます)。
 
 とはいえ、正直に申し上げて、私が中野晃一さんという上智大学で政治学を講じておられる研究者をはっきりと意識したのは、それほど以前ではなく、2014年10月のことでした。
 その年の10月8日、日本弁護士連合会が主催する「閣議決定撤回!憲法違反の集団的自衛権行使に反対する10・8日比谷野音大集会&パレード」におけるリレートークに、立憲デモクラシーの会を代表して登壇された中野晃一さんのスピーチに感銘を受け、私は思わず全文文字起こしをしただけではなく、「安倍晋三首相の“正気とは思えない”歴史認識と積極的平和主義~第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演から」という大作を書き上げてメルマガ&ブログにアップしたほどでした。
 これは何度でも聴いて欲しい、読んで欲しいスピーチなので、以下に再掲します。
 
2014.10.08「閣議決定撤回!憲法違反の集団的自衛権行使に反対する10・8日比谷野音大集会&パレード」:中野晃一さん【7/18】(6分05秒)

(以下の文字起こしにおける漢字、送り仮名、句読点などは全て金原の責任で選択しています。ただし、シャングリラ・ダイアローグ演説のみは、首相官邸ホームページから引用しました)
 皆さん、こんばんは。「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人ということで、今日お招きいただきました。実は、青井さんも呼びかけ人なので、私だけがこのタイトルを持ってる訳ではおよそないんですけれども。
 政治学をやっております。政治学をやってる者からすると、日弁連主催のこのような集会にお呼びいただけるっていうのは、ちょっと自分が上り詰めたというような感慨があります(笑)。というのは、法律と政治というのは必ずしもあまり仲がいい分野ではなくって、近親憎悪のようなものがあると思うんですが、どちらかというと、法律というのは、実際のところ、内閣法制局の方が頑張ったり、色々するもんですから、どんな法律でもある程度ソーセージのように、それなりに食べられるものに出来上がっている訳ですね。弁護士の方であるとか法曹の方というのは、食べ物として法律を、一応理に適ったものだということでやってらっしゃるんだと思うんです。政治学というのは、その点、ソーセージができる過程を見るものでありまして、あまり見ない方がいいというようなことが言われています。クズ肉が入ったりスジが入ったり骨が混じったりよく分からない添加物が入ったりというようなことがある訳です。ただ、私のような政治学者であっても、青井さんのような憲法学者、そしてまた日弁連の方たちとこうやって一緒に立ち上がっているというのは、およそクズ肉どころか、入っていてはいけないものが、長靴だとか何だとか、よく分からないものが、今入っている法律が作られようと、そのための閣議決定がなされたということなんではないかと思っております。
 それだけの危機にある訳なんですが、政治学者のはしくれとして、一応、集団的自衛権、そしてその安倍さんがやろうと言っている「積極的平和主義」というのは何なのかということを自分なりに調べてみました。しかし、どのような報告書を見ても「積極的平和主義」といったもののきちんとした定義というのはなされていないようです。私が唯一知っているものというか、見つけることができたものは、日本経済新聞の「経済教室」に昔、北岡(伸一)さんが書いたものなんですけれども、ここで彼は、「積極的平和主義とは、消極的平和主義の逆である」(笑)「消極的平和主義とは、日本が非武装であればあるほど世界は平和になるという考えである」と、憲法を正確に定義しているんですね。どういうことかと言うと、「積極的平和主義というのは、日本が抑止力を高めれば高めるほど、いわば武装すればするほど平和になる」という、「消極的平和主義」と彼らが呼ぶものの真逆の考えであると、そういうことのようなんです。
 で、もうちょっとさらに調べてみて、安倍さんがまさにその与党協議という茶番が行われているときに、外国に行ってぺらぺら「これからこういうことやります」と話していった1つの例であるシャングリラ・ダイアローグという場での5月の30日の演説があります。結構、全文を読むとぞっとするような自己陶酔のたくさん入った気持ち悪いものなんですけども、ここでこんなことを言っています。「国際社会の平和、安定に、多くを負う国ならばこそ、日本は、もっと積極的に世界の平和に力を尽くしたい、「積極的平和主義」のバナーを掲げたいと、そう思うからです。自由と人権を愛し、法と秩序を重んじて、戦争を憎み、ひたぶるに、ただひたぶるに平和を追求する一本の道を、日本は一度としてぶれることなく、何世代にもわたって歩んできました。これからの、幾世代、変わらず歩んでいきます
 正気とは思えないですよね(笑と拍手)。「何世代にもわたって」、「ひたぶるに」って言葉が分かんないんですけども、「歩んできた」と言ってしまうんです。これは、戦争は何だったんだろうかと。あれは、青井さんも仰ってましたけども、せいぜい我々、戦争知らなくなって2世代目ぐらいの40代ぐらいなんですけども、それで一体なんで「何世代にもわたって」っていうことを安倍さんは言ってしまうのかと。
 彼の大好きな靖国神社、そちらで書いてある「靖国Q&A」というのが子ども向けにありまして、そこを見ると、子どもにも分かるように靖国神社を説明しているというものなんですけれども、そこでこんなことが書いてあります。「靖国にまつられている神は誰なんですか?」という問いに対してなんですが、「戦争は本当に悲しい出来事ですが、日本の独立をしっかり守り、平和な国としてまわりのアジアの国々と共に栄えていくためには戦わなければならなかったのです。こういう事変や戦争に尊い命を捧げられたたくさんの方々が靖国神社の神様としてまつられています」そこに平和を祈りに行くのが安倍さんな訳です。恐ろしいですよね。
 私は金曜日にノーベル平和賞を9条を利用(保持)してきた日本国民が受賞するか、どきどきしながら見守っているんですけれども、安倍さん、このままいくと、あの授賞式にのこのこ出て行って、そしてこのシャングリラ・ダイアローグの演説をコピペして、またもう1回読むんではないかと恐れています。必ず閣議決定を撤回させて、我々の手に主権を取り戻せるように一緒に頑張りましょう。
 
 このスピーチが行われたのは、市民連合が立ち上げられる1年以上前のことでしたが、近時の中野さんの社会的活動の中心は、立憲デモクラシーの会から市民連合の方に比重がシフトしているように見えますが、目指すところは同じということでしょう。
 今年の青法協和歌山支部憲法を考える夕べ」(岡正人支部長念願の午後6時開演となって堂々と名乗れます)での中野先生の講演の演題は「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」というものであり、近年の中野先生の社会的活動を凝縮したような良い演題だと(主催者の一員ながら)思います。
 ちなみに、演題のうち、メインテーマは、中野先生の共著書のタイトルを主催者から提案して同意いただいたもの、サブテーマは中野先生から提案いただいたものです。
 それでは、チラシ記載情報を転記します。

チラシから引用開始)
青法協憲法記念行事
憲法を考える夕べ
 
2017年4月28日(金) 
 開場 午後5時30分
 開演 午後6時00分
 
和歌山県民文化会館 小ホール
 和歌山市松原通1丁目1 電話:073-436-1331
 
入場無料 予約不要
 
講演 中野晃一氏(上智大学国際教養学部長、教授)
市民の力で立憲民主主義を創る
~他者性を踏まえた連帯の可能性~
 
講師プロフィール
1970年東京生まれ。政治学(日本政治、比較政治、政治思想)。
東京大学(哲学)および英国オックスフォード大学(哲学・政治学)の両校を卒業ののち、米国プリンストン大学にて政治学の修士号および博士号。
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、立憲デモクラシーの会などの呼びかけ人。
著書に『つながり変える私たちの立憲政治』(大月書店)、『右傾化する日本政治』(岩波新書)、『戦後日本の国家保守主義-内務・自治官僚の軌跡』(岩波書店)など。
 
主  催 青年法律家協会和歌山支部
連絡先 和歌山市岡山丁50番地2 電話:073-436-5517
      岡本法律事務所(弁護士 岡 正人)
(引用終わり)
 
 昨年夏の参院選和歌山県選挙区においては、市民連合わかやまが野党に推薦を呼びかけ、日本共産党社民党生活の党と山本太郎となかまたちの3党から推薦を得、民主党民進党)も推薦こそしなかったものの、擁立予定であった予定候補者を衆院選に回すという事実上の協力を行い、市民連合、関西市民連合からの推薦も得て、ゆら登信さんを無所属の野党統一候補として闘ったものの、残念ながら自民党現職に及びませんでした。
 市民連合わかやまは、参院選終了後も「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める」活動を継続することを確認しており、この中野晃一さんが講演のために和歌山を訪れる機会を逃さず、県下各地域で活動の中心となっている方々に、是非中野さんのお話を聴いて欲しいと呼びかけるはずです。
 また、市民連合わかやまの活動にこれまで直接関与していなかった方も、中野先生のお話に刺激を受け、活動の輪の中に入ってくれればいいな、などと期待したりしています。
 別に青法協和歌山支部と市民連合わかやまが提携した企画という訳ではありませんが、まさに時宜にかなった講演会だと確信しますので、是非お誘い合わせの上、ご参加くださいますようお願いします。
 
(参考動画)
2015年9月21日(月)
日本カトリック「正義と平和」全国集会東京大会
基調講演「東アジアにおける平和と社会正義のために今」(1時間40分)
2016年11月19日
自由の森学園・第32回公開教育研究会
教育講演会「壊れゆく世界を変える個人の勇気について」(2時間9分)
 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2014年10月10日
日弁連が集団的自衛権行使に反対する集会とパレードを主催する意義 
2014年10月11日
安倍晋三首相の“正気とは思えない”歴史認識と積極的平和主義~第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演から
2015年8月28日
動画紹介「100大学有志共同行動記者会見」&「日弁連・学者の会合同記者会見」(8/26)
(中野晃一氏発言文字起こし)
「あの、もういい中年なんですけども、この場にいると若輩者という感じが否めないので、あえて今日お越しくださった報道陣の方たちに向かってお話をさせていただきます。私は、この部屋に入ってくる時に、戦(おのの)くような思いがありました。なぜならば、ここはまさに、全法曹、法曹三者の日弁連の会長、そして元最高裁判事、そして元(内閣)法制局長官、さらには憲法学者の、綺羅星のような、最高権威の先生方が並び揃って、そしてまた、全学界、学者の会、立憲デモクラシーの会、そういった後ろに座ってらっしゃる方々も含めて、このような場というのは、今まで私は見たことがない、聞いたことがない。本を読んだり、テレビで見たり、新聞で読んだりしたことがある人たちが、こんなに揃っている場所っていうのは見たことがないです。これは、日本の法の支配、そして人権の擁護、あるいは学問、教育、そういったことがいかに今危機にさらされているのかということを示している以外の何ものでもないと思います。そうでなければ、こんな総結集は考えられない。そうなってくると、全報道はどこにいるんだということになるんだと思うんです。全法曹がある、全学界がある、(拍手)全報道はどこにあるんですか?自由や民主主義、立憲主義、そういった、あるいは平和。それがあって初めて人権が擁護できて、学問ができて、教育ができる。報道も同じじゃないですか?報道の自由が今危機にあるということも言われています。(拍手)おいでになってくださっている皆さま方は、本当は私はこちら側に一緒に座って、一緒に安倍政権に向かって対峙をせよと、安保法案、これは違憲であるからこんなものは認められないということを言う側にあるんだという風に信じております。山口(二郎)さんの方からもありましたけれども、今後さらに、我々の抵抗は国会の内外で続いていきます。(8月)30日には、総がかり行動ということで、10万人を目指して大結集を行おうということで各団体連携しています。これをきちんと伝えてください。若者も立ち上がりました。お母さんたちも立ち上がった。中年の会だってできた。報道はどこにいるんだということを投げさせていただきたい。これはあなたたちの問題でもあるんです。よろしくお願いします。(拍手)」
2015年10月26日
動画紹介10/25シンポジウム「岐路に立つ日本の立憲主義・民主主義・平和主義―大学人の使命と責任を問い直す」(安全保障関連法に反対する学者の会)
2015年11月24日
『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』(日本再建イニシアティブ)の刊行について

2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年2月2日
中野晃一上智大学教授ふたたび~秋田で語った「憲法九条の力-立憲主義を守る 市民運動のこれから-」
2016年4月6日
中野晃一氏が獨協大学で語った「安倍政権の押しつける『自発的服従』」(1/29)
2016年8月2日
中野晃一上智大学教授(市民連合)による「参議院選の結果と今後」に耳を傾ける(7/29自治体議員立憲ネットワーク)
(一部文字起こし)
「私もいろんなところで、みんなイライラしているな、気持ちがささくれ立っているなという風に正直感じております。それはやっぱり、すっきりして、「ああ、やったやった」というような結果がですね、参議院選挙で収めることが出来れば良かったんですけれども、そういうことにはならなかったということで、どうしてもやっぱり今は、しばらくのところは、何て言うんですか、やや内ゲバモードになりがちなところもあるので、そういうのは避けてですね。私は、根本的には喧嘩っ早い人間なんですけれども、やっぱり、1つポイントかなと思って自分に言い聞かせてるのは、黙ってた方がいいことは黙ってる、っていうことですね。やっぱり、一言余計なことを言いたくなるっていう時はあって、一言余計っていうのはやっぱり「余計」なんで。(笑)余計だけど一言言わせてくださいというのは、余計だから言わない方がいいって、やっぱり多いんですね。それは、ちょっと我慢すれば、そのあとどうでもよくなることが多々ありますけど、言っちゃうと、それ自体がその次にさらに反応を惹起するっていうことがありますんで、非常に当たり前の話なんですけども、辛抱するところは辛抱するっていうことがやっぱり大事かなという風に思っております。」
2017年2月11日
杉尾秀哉参議院議員と中野晃一氏が語る長野の闘いと野党共闘の今後(2017年2月7日@東京)

中野晃一氏講演会(青法協)チラシ

共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました

 今晩(2017年3月17日)配信した「メルマガ金原No.2754」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました

 1週間ぶりの共謀罪シリーズです(第15回)。
 今週は、日本弁護士連合会が、3月14日(火)に「いわゆる共謀罪に関する法案の上程に反対する市民集会」弁護士会館)を、ついで昨16日(木)には「いわゆる共謀罪に関する法案の上程に反対する院内学習会」参議院議員会館)を連続して開催しています。
 また、昨日(16日)は、日弁連の院内学習会(12時30分~13時30分)と併行して、共謀罪
案に反対する法律家団体連絡会が主催する「共謀罪法案に反対するデモ&院内集会」(12時~/日比谷公園霞門~衆議院第二議員会館)が開かれるなど、法律家団体の活動が目立ちました。
 この内、「共謀罪法案に反対するデモ&院内集会」については、UPLANによる動画がアップされていましたのでご紹介します。
 
20170316 UPLAN 共謀罪法案に反対するデモ&院内集会(2時間07分)
 
 
 さて、今日、「最新ニュース、動画、声明」としてご紹介しようとするのは、立憲デモクラシーの会が、一昨日(3月15日)発表した「共謀罪法案に反対する声明」です。
 立憲デモクラシーの会は、「今必要なことは、個別の政策に関する賛否以前に、憲法に基づく政治を取り戻すことである。たまさか国会で多数を占める勢力が、手を付けてはならないルール、侵入してはならない領域を明確にすること、その意味での立憲政治の回復である。そして、議会を単なる多数決の場にするのではなく、そこでの実質的な議論と行政監督の機能を回復することである。」(
設立趣旨)と宣言し、2014年4月に結成された大学教員等を中心とした研究者のグループですが、呼びかけ人の内、法学専攻者では圧倒的に憲法研究者が多く、刑事法学研究者は、京都大学高山佳奈子教授くらいだったでしょうか(※呼びかけ人)。
 
 その高山教授らが中心となり、去る2月1日には、「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」が出されており、既に私のメルマガ(ブログ)でもご紹介済みです。
 
 今般、立憲デモクラシーの会として声明を出すことになった経緯については、記者会見の冒頭、山口二郎共同代表が述べられたとおり、「この法案が憲法の定める基本的人権の尊重や政府権力の暴走を防ぐという立憲主義の観点から大いに問題があるということで、何等かの反対の意思表示をすべきではないかと内部で議論を」した結果として発表されたものです。
 共謀罪を考える上で、刑事法学的観点からだけではなく、憲法学的観点や政治学的観点からの考察は欠かせません。その意味から、今回の立憲デモクラシーの会からの声明は貴重なものだと思います。
 以下、新聞報道、声明、記者会見の動画(及び文字起こし)の順にご紹介します。
 
(その1 ニュースの部)
朝日新聞デジタル 2017年3月15日23時22分
共謀罪法案に反対声明 学者ら「政府の説明は不十分」

(抜粋引用開始)
 法学や政治学などの専門家で作る「立憲デモクラシーの会」が15日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案に反対する声明を発表した。「国際条約の批准やテロ
対策のために法案が必要だとする政府の説明は不十分で、納得いくものとは言いがたい」と批判した。
 同会共同代表の山口二郎・法政大教授(政治)や長谷部恭男早大教授(憲法)、高山佳奈子・京都大
教授(刑法)ら5人が都内で記者会見した。
 声明は、人権を制約しかねない刑事罰は必要最小限度にとどめるという原則や、「犯罪行為は既遂の場合に処罰する」といった刑事法の基本原則を揺るがしかねないと指摘。「数の力で無理やり押し通せば、
日本の議会制民主主義に対する国民の信頼をますます損なう」と主張している。
 長谷部教授は「立憲主義の観点から、刑事法の基本原理を動かすには十分な理由が必要だが、必要性も合理性も立証されていない」と話した。高山教授は「(批准のために法案が必要と政府が説明する)国際組織犯罪防止条約の目的はマフィア対策。テロ対策という別の目的を結びつけて法案を作るのは、国民を
欺く行為だ」と述べた。
(引用終わり)
 
(その2 声明の部)
 立憲デモクラシーの会が3月15日に発表した「共謀罪法案に反対する声明」の全文です。
 
(引用開始)
共謀罪法案に反対する声明
 
2017年3月15日
立憲デモクラシーの会
 
 政府は、広範囲にわたる犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の今国会での成立を図っている。同法案は、対象とする数が当初案より絞られたとはいえ、277もの罪を対象とするもので、刑事罰の謙抑性の原則(人権を制約しかねない刑事罰は必要最小限に留めるという原則)や、犯罪行為が既遂の場合に処罰するという原則など、刑事法の基本原則を揺るがしかねないとして、刑事法研究者からも広く、懸念や批判の声があがっている。
 
 政府は、国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約(以下「国際的組織犯罪防止条約」という)を批准する上で同法案が不可欠であると説明している。しかし、この条約は、Convention against Transnational Organized Crimeという英語名からも分かる通り、国境を超えるorganized crimeの活動防止を目的とするものである。
 
 organized crimeとは、マネーロンダリング、違法薬物・銃器の密輸・密売、売春目的での人身取引等の犯罪を、利得を目的として継続的に行う集団を指す(日本で言う「暴力団」、外国で言う「マフィア」)。organized crimeを「組織的犯罪」と訳すこと自体、妥当性に疑念があるが、277もの罪につき、共同で行う目的を持つ人の集まりを包括的に「組織的犯罪集団」とし、その活動を計画段階で処罰対象とする共謀罪法案と、国際的組織犯罪防止条約とでは、そもそもの趣旨・目的が異なる。各国に立法対応の余地を広く認める条約の文言(*)が、条約の本来の趣旨を超えて、異なる目的のために濫用されている疑いがある。同条約の公式「立法ガイド」も、各国の刑事法の諸原則に基づく法整備を求めるのみで、共謀罪の導入を必須とはしていない。
 
 また、政府は東京オリンピックを控えたテロ対策を、同法案が必要な理由として挙げているが、テロ対策を目的として、爆弾テロ防止条約、人質行為防止条約、航空機不法奪取防止条約等、数多くの条約がすでに締結されており、それらと国際的組織犯罪防止条約とは体系をそもそも異にしている。
 
 以上で述べた通り、国際的組織犯罪防止条約を批准するために、あるいはテロ対策のために、共謀罪法案の成立が必要であるとの政府の説明はきわめて不十分であり、納得のいくものとは言い難い。刑事罰の謙抑性、既遂処罰の原則等の刑事法の基本原則を揺るがしかねないものである以上、なおさら、立法の合理性・必要性は厳密に立証されるべきである。
 
 同法案については、法務大臣の指示で法務省が、正式の法案提出を待って国会で議論すべきだ(つまり、それまでは議論すべきでない)との文書をマスコミ各社に配付した後、撤回・謝罪にいたるなど、政府による説明の内容のみならず、審議に向けた政府の姿勢にも疑問がある。立法の合理性・必要性に深い疑念の残る法案を十分な説明もないまま、数の力で無理やり押し通せば、日本の議会制民主主義に対する国民の信頼をますます損なうこととなろう。
 
* 国際的組織犯罪防止条約は、犯罪集団(organized criminal group)を、3人以上からなる継続的集団で、4年以上の拘禁刑で処罰されるべき犯罪の実行を目的とし、金銭その他の物質的利益を直接または間接に獲得することを目的とするもの、と広く定義している。
(引用終わり)
 
(その3 動画の部)
 3月15日(水)午後2時から、衆議院第1議員会館第3会議室で開かれた記者会見の動画は、今のところ、IWJによるものだけしか見つけていません。
 全編動画を見るためには会員登録(有料)が必要です(是非登録をお願いします)。
 ハイライト動画と併せてご紹介します。
 
 
 
 ところで、この記者会見の模様については、「立憲デモクラシーの会」ホームページに、質疑応答部分も含めた文字起こしが掲載されており、非常に便利です。
 是非、全文をお読みいただければと思います。
 以下に、出席された5人の方の発言の一部(といってもやや長いですが)をご紹介します。
 
山口二郎氏(法政大学教授・政治学・共同代表)
「ご承知の通り、今の日本の国会は議会の体をなしていない。およそ為政者、権力者が野党の質問さらにはメディアの批判に対して説明責任を果たしていないという現状であります。このような国会において、このような憲法上極めて疑義の多い法案を審議し、通過させるというようなことはありえないと私は思います。今の高山先生のお話でございますけれども、まさにこの安倍政権の政治は「かこつけの政治」でありまして、オリンピックにかこつけて共謀罪を出す。働き方改革にかこつけて残業代ゼロを可能にする。あるいは南スーダンの平和にかこつけて自衛隊を出して武器使用を可能にする。いろんなかこつけがあるわけです。それはまさに国民が一見もっともらしい理屈で「そうかなあ」と思えるような状況をつくっておいて、まったく違う中身の危険極まりない政策、法律を提出し、これを実現するという手法です。国民を欺いて権力にとって都合のいいような法律をどんどんつくっていく。そういうかこつけの手法が今の政
治の特徴でして、この共謀罪法案はその典型例だと思うわけであります。
 それからもう一つ、その濫用の件については各先生から指摘があった通りなんですけれども、日本の政府が基本的人権をどのように考えているかというのは、やはり今、目の前にある具体的事例から大体想像がつくわけですよね。沖縄における山城博治氏に対する誠に不当とも思えるような長期勾留。警察・検察はもとより裁判所さえ基本的人権を守るという砦にはなっていないという感じがするわけです。そのような状況で共謀罪法案ができれば、警察・検察に対してますます人権を抑圧する大きな武器を与えることに
なってしまうということも憂慮しているところであります。
 以上の観点から、やはりこの共謀罪法案を本国会に提出する。まして通過させるということはあっては
ならないと思っているところであります。」
「治安関係、法務官僚、警察官僚には持続する志がやっぱりあるんだなあということを、今回感じています。これは「いつかやりたい」と思っていたわけですね。今、安倍政権のもとで次々と強行採決によって憲法上疑義のある法案が通るという状況ですから、そういう官僚にとってはいわば大きな機会が広がったということでしょう。今まで共謀罪を邪魔していた障害が取り払われて道が広がったということで、こう
いうタイミングで出してきているのではないかなというふうに思うわけですよね。だから、この2,3年間の国会の空洞化というか国会の劣化が、官僚をして「今がチャンス」と思わしめたんじゃないかと私は考えます。」
 
長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)
刑事罰は、これは権力行使が最も先鋭な形で表れるところであることは皆さんご承知の通りでして、その刑罰権の行使を抑制する刑事法の基本原則、異本原理。これを揺るがせにすることは、立憲主義の観点からしても、座視をすることはできないことだろうと思います。少なくともこうした刑事法の基本原則、基本原理。これを動かすには、それを支える十分な理由が必要であるはずですが、本日の声明は、その十分な理由が立証されていないのではないか。そういう疑念を示すものであります。今の声明のなかにもあります通り、そもそもこの法案が成立しなければ締結できないと言われている国際的な組織犯罪防止条約。この条約の趣旨と今回の法案の内容の間には、見過ごしがたい乖離、ズレがあるように見受けられる。そのことからしても、この刑事法の基本原則を動かすに足る十分な理由、必要性、合理性というものが示
されているとは言い難いのではないかと私は考えております。」
「例えば刑事罰の謙抑性というのは、むしろ憲法の個々の条文の前提になっているものの考え方で、もちろんそれが揺るがせにされたときに、例えば憲法31条に反しているのではないか等々と議論することはできるんですけれども、むしろそういう憲法解釈学者がやるようなちまちました議論よりも、もっと根幹にある刑事法に関する基本原則が今、壊されようとしてるんじゃないのか、そちらのほうがむしろ私は重大な問題なのではないかなという、そういう意識を持っております。」
 
千葉 眞氏(国際基督教大学特任教授・政治学)
共謀罪法案は、稀代の悪法と言われました、戦前戦中の1925年制定の治安維持法を思い起こさせる面があります。もし制定されれば「平成の治安維持法」になる大きなリスクを持っている。そういう法案ではないかと思って、大変憂慮しております。とりわけ2013年には特定秘密保護法が制定され、さらに自民党改憲草案には97条において緊急事態条項が記されておりますし、こういうものが三点セットになると戦前戦中に猛威をふるった治安維持法の再来となる危険性があるように思います。今後どんな勢力が政権を担当するかわかりません。そういうなかでこの法律を利用し誤用しようとする政権が現れないとは限らな
い。私はそのあたりを大変憂慮しております。
 治安維持法は思想犯の取り締まり、集会結社の取り締まりという二つの標的、ターゲットを持っておりました。最初は無政府主義者共産主義者日本共産党員に限定されておりましたけれども、数次の大きな改定を通じまして数多くの団体や人びとを逮捕し、また投獄するという歴史的背景をもった法律でした。その結果、例えば、非戦・反戦キリスト者たち、ホーリネス系、プレズレン系、燈台社の人たち。数多くの人たちが逮捕されておりますし、さらに大本教への弾圧は過酷なものでありました。当時、不敬罪であるとか、疑似宗教であるとか、そういう新しい概念を使って、このような戦争政策に反対する団体や諸個人に対する非常に厳しい施策が採られたわけであります。そこでやはり顕著なのは、拡大解釈が権力担当者によって自由になされたということ、そして当時「草木もなびく」と言われた絶対的権力の行使の手段に、治安維持法が使用されたという事実です。」
 
五野井郁夫氏(高千穂大学教授・政治学)
「先ほど千葉先生からもお話があった通り、やはり治安維持法におけるさまざまな状況をわれわれは想起せざるを得ない。特に1941年、昭和16年の治安維持法改正時に「国体を変革することを目的として結社を組織したる者」、「結社を支援することを目的として結社を組織したる者」そして「結社の組織を準備することを目的として結社を組織したる者」という条文を創設しています。この条文を根拠に、準備行為を行ったと官権によって判断されれば検挙してもよいということが実際にあったわけです。警察の側、捜査機関の側が判断した場合には、外形的にどうであるかではなくて「内面がこうに違いない」と判断すれば、事実行為なしでも誰でも犯罪者として捕まえられることになります。今回、閣議決定されるということになっている共謀罪とほぼ変わらないことが、昭和16年の治安維持法改正のときにも掲げられているわけ
です。
 では、この結果どうなったのかということですけれども、こういうことがまかり通ったことで、戦中には悲惨な事件が起きました。とりわけ本件に関連して想起したいのは横浜事件です。共謀罪が通ってしまうと、現在でも争われている横浜事件の二の舞になるのではないかと思うわけです。横浜事件は、改造社の雑誌、中央公論社岩波書店朝日新聞社など、さまざまな言論・出版関係者が逮捕されて拷問を受け、4名の方が獄死し、戦時中最大の言論弾圧であり冤罪事件であります。これによって『改造』と『中央公論』が廃刊させられています。同様の要件として「準備行為」というものが、今回の共謀罪には見え隠れしております。過去の悲劇をもう二度と繰り返さないためにも、共謀罪は絶対に容認できないものと考えます。そしてこの共謀罪を定めたテロ等準備罪は、人々が自己の内面で自由に物事を考えるという民主主義の営みを根幹から揺るがすような、大変危険な法案です。従いまして、このような法案は、廃案が妥当であろうと考える次第です。」
 
高山佳奈子氏(京都大学教授・刑事法学)
「まず、先ほど長谷部教授からお話がありました通り、国連条約を締結するための法案であるという説明がなされているわけですけれども、この条約はマフィア対策の条約でありまして、テロ対策は国際法上もうまったく別体系になっているということでございます。テロというのは、政治目的や宗教的目的で行われる。そして、一人でも行うことができる攻撃でございます。しかしこの国連条約のほうは、マフィアのような利益を得ることを目的とし継続的に存続する集団をターゲットとしているものですので、この目的の点からも、またその継続する集団が要件になっているかどうかという点からも、マフィア対策とテロ対
策というのは違ったものであるわけです。テロ対策ということを持ち出して、国連条約とそれを結び付けようというのは、内容的にやはり無理がある。これは国民を欺く情報提供がなされてきたと言わざるを得ません。
(略)
 第二番目に、オリンピック開催のために共謀罪法案が必要であるという説明もなされたことがあります
が、これもまやかしであるということができます。なぜかというと、今まで提出されて廃案になっておりました共謀罪法案が最後に国会にかかっていたのは、2009年の夏でございます。この段階ですでにオリンピックの準備は始まっていたのです。もしそのオリンピック招致のために、このような共謀罪処罰が必要であるということであれば、その時点ですでに議論を始める時間的な余裕が十分にありました。それにもかかわらず、そのときにはまったく議論をせずに、最近になってオリンピックを持ち出すというのは、後付けの理由であって、これもやはり国民の目をごまかすものに他ならないと言えます。」
 それから三番目に今般の法案の新しい点は、対象犯罪の数が多く絞り込まれているということでございます。これは、新しい点なんですけど。確かに過失犯ですとか、もともと予備罪が重く処罰されているような類型について、それと別に共謀罪を考えるということは難しいですから、それらの犯罪類型が除かれているのはわかるんですけれども、ではそれ以外の犯罪類型200数十が絞り込まれているんですが、どういう観点から絞り込まれているのか。これはちょっとわからないんですね。それでどういう犯罪が含まれていてどういう犯罪が除かれているのかを見ていきますと、いくつか目につくところがあります。例えば、
特別公務員職権乱用罪とか暴行陵虐罪、それから公職選挙法違反の罪、政治資金規正法違反の罪、政党助成法違反の罪、地方自治法上の署名運動者等に対する妨害罪、最高裁判所裁判官国民審査法の各種の妨害罪などのような、公の権利を私物化する犯罪類型がかなり多く除かれております。また民間の領域で考えてみましても、会社法上の収賄罪、あるいは金融商品取引法上の収賄罪など10ぐらい民間賄賂罪が、共謀罪の対象犯罪から除かれているわけです。しかしこのような汚職や公権力の私物化というのは、マフィア対策条約である国連条約がターゲットにしているはずの内容の犯罪でございますので、これらをわざわざ除いているというのは一体どういう観点なのか、これがまったく理解できないところでございます。
 最後に、先ほど五野井先生がもうおっしゃっていたんですけれども、刑事法的な観点からの法案自体の問題点をまとめて申し上げます。政府は3点から、処罰範囲が限定されていると言っておりますけれども、これは全然限定になっていないのであります。まず、その適用対象となる集団・グループについては、継続して存在していたこととか、過去に違法行為を行ったというようなことは必要ありませんし、いわんや指定や認定はもちろん不要。何の限定もないわけでして、組織的犯罪処罰法に関する最高裁判例でも、もともと普通の目的で、何の違法な目的もなく組織されているグループであっても、客観的に犯罪行為を行っているのであれば、それはその対象となる団体として認められる。ですから、ある時点から一般的集団だったものが組織的犯罪集団として認められるようになるというのが最高裁判例、組織的詐欺罪に
関する判例として出ております。文言上も制限がなされていないということですね。
 それから準備行為。これも法案には例が挙がっているわけですけれども、「その他」というように書い
てあるので全部含まれるということです。しかも、今まで日本法で処罰してきたような予備罪、準備罪とか、あるいは各種の危険物の取り扱いなどの持っているような危険性が実質的に要件となっていませんので、客観的な行為であれば何でも当たりうるということになってしまって、これも無限定です。そして、犯罪の合意がなされたかどうかということですけれども、これも文言上限定がありませんので、従来の最高裁判所判例による共犯の処罰に係る考え方がそのまま妥当すると考えられ、目配せでも該当しますし、確定的な認識がなくても当たる。暗黙の共謀で足りるということにそのままならざるを得ないように思うわけでして、結局その3点のどの点でも限定になっておりません。とりわけその主体の適用対象のところに「テロリズム集団その他」というのが付け加えられたというのが最新の法案の内容になっているかと思いますが、「その他」が入っているので何の限定にもなっていないばかりでなく、そこにその「テロリズム集団その他」をつけただけなので、あとの部分はまったく変更されていません。すなわち、テロ対策を内容とする条文はただの1か条もこの法案のなかには含まれていないということでございます。全体として「テロ対策、オリンピックのためならば法案が必要なんじゃないか」という世論を巻き起こすために嘘の情報を流して国民を騙したことになっているという観点からも、非常に問題があると考えております。」
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで

司法に安保法制の違憲を訴える意義(12)~東京・国家賠償請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告(田島諦氏ほか)による意見陳述

 今晩(2017年3月16日)配信した「メルマガ金原No.2753」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
司法に安保法制の違憲を訴える意義(12)~東京・国家賠償請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告(田島諦氏ほか)による意見陳述

東京地方裁判所(民事第一部) 
平成28年(ワ)第13525号 安保法制違憲・国家賠償請求事件
原告 堀尾輝久、辻仁美、菱山南帆子ほか454名
被告 国
(第2次提訴)
平成28年(ワ)第39438号 安保法制違憲・国家賠償請求事件(第2次)
原告 池田香代子ほか860名
被告 国
※第3回口頭弁論期日において、第2次提訴事件が先行事件に併合されました。訴訟関係資料は「安保法制違憲訴訟の会」ホームページに集積されています。
 
 昨年4月26日、東京地方裁判所に提訴された2件の安保法制違憲訴訟のうち、国家賠償請求訴訟の第3回口頭弁論が、去る2017年3月3日(金)午前10時30分から、東京地裁103号法廷で開かれました。
 今日は、昨日ご紹介した3人の原告訴訟代理人弁護士による陳述(「準備書面」の説明)に続き、以下の3人の原告の方々による意見陳述をご紹介します。
 
  田島 諦(たじま・たい)さん(作家)
  飯田能生(いいだ・よしき)さん(元NHKチーフプロデューサー)
  岡本達思(おかもと・たつし)さん(パレスチナ難民里親支援)
 
 これまでご紹介してきた原告の方々と同様、当たり前のことですが、安保法制違憲訴訟の原告となった経緯は、お一人お一人みんな違います。そのような違いをしっかりと踏まえ、これを裁判所に伝える努力を通して、安保法制の違憲を司法の場で確認するという共通の目的を達成すべく努力されていることが、原告の皆さんの陳述に耳を傾けるたびに、ひしひしと伝わってきます。
 
 昨日に続き、三輪祐児さん(UPLAN)によって撮影された事前集会・記者会見・報告集会の動画をご紹介します。
 
20170303 UPLAN【前集会・記者会見・報告集会】安保法制違憲訴訟国賠第3回期日(2時間23分)

冒頭~ 入廷前集会(東京地裁正門前)
21分~ 裁判終了後の記者会見
50分~ 報告集会(司会 杉浦ひとみ弁護士)
 51分~ あいさつ 寺井一弘弁護士
 1時間03分~ 伊藤 真弁護士
 1時間25分~ 橋本佳子弁護士
 1時間35分~ 杉浦ひとみ弁護士
 1時間38分~ 原告・田島 諦(たじま・たい)さん(作家)
 1時間44分~ 原告・飯田能生(いいだ・よしき)さん(元NHKチーフプロデューサー)
 1時間51分~ 原告・岡本達思(おかもと・たつし)さん(パレスチナ難民里親支援)
1時間57分~ 全国弁護団交流会・国家賠償訴訟の現状について 福田 護弁護士
2時間14分~ 飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)
2時間19分~ 杉浦ひとみ弁護士
 

原告陳述要旨  田 島   諦(たじま たい)
 
 1945 年の夏、わたしの生涯は終ってしまいました。たかだか中学1年にすぎない 12 歳の少年にそんなことがあるものかと言われるかもしれません。しかし、このわたしにとってそれはまぎれもない真実だったのです。なぜか?
 それ以前のわたしには明確な生きる目的がありました。「大東亜戦争」に勝利することです。「大日本帝国」という名を自称し、「東洋平和」のためという大義名分のもとにあの大戦争をはじめたその国家の目的が、そっくりそのまま、このわたしの生きる目的であり生きる支えになっていたのでした。それが一挙に失われてしまったのです。
 そればかりではありません。「大東亜戦争」の目的そのものが正義に反するものであり、その不正な目的のために、この国家は、三千万人ものアジアのひとびとを殺し、三百万人もの自国民をも殺したのだという事実を、認めざるをえなくなってしまったのでした。
 この「大日本帝国」の植民地で敗戦を迎えたわたしは、この国家の保護を一挙に失っただけでなく、この帝国に抑圧されてきた民族からの報復をも受けなければなりませんでした。なぜ、このわたしまでがこんな目にあわなければならないのか?まったくわからなかった。けれど、やがて、すこしずつ、その理由も理解していきます。
 戦後のわたしの生涯は、このわたしが、なぜ、あのような愛国少年につくりあげられてしまったのか、その原因を探り、わたし自身のそのようなありようを克服して、人間としてまっとうなありかたを取りもどしていく、といういとなみに捧げられてきました。
 戦前戦中のわたしには、自分の頭で考え自分で判断して自発的・自主的に行動するなどおもいもよらないことでした。いえ、あの当時は、大人たちも含めて、だれもが、国家が望むように考えることを、いえ、国家が望むように感じることをさえ、直接にであれ間接にであれ、強制されていました。
 和の尊重。一億一心。これに同調できない者は異分子すなわち非国民として、国家が排除する。みんながおなじようなことを、みんなとおなじように、みんなといっしょにやらなければならなかった。そのような「期待される人間像」へと、わたしは、この国家によって純粋培養されたのでした。
 そこから、全生涯をかけて脱却し、自己変革をとげてきた、いまのこのわたしにとっては、ですから、自分の頭で考え、自分で判断し、自発的・自主的に行動できるということ、言いかえれば、みんなとおなじようなことを、みんなとおなじように、みんなといっしょにやりなさいと言われたとき、いやです、と拒否できること、これが、このわたしが生きていくうえで欠くこのできない条件になっているのです。
 この条件を、これまでは、日本国憲法がわたしに保障してくれていました。それが、いま、安保法制の施行によって脅かされようとしています。日本国民はかくあるべしと、日本国という名の国家が、具体的には安倍政権が、規定し、この規定に従えない、あるいは同調できない者を、異分子すなわち非国民として、国家が、実質的には安倍政権が、排除する、といった状況が、安保法制の施行によって、杞憂ではなくなっているのです。
 このわたしがわたしとして生きることを、この日本国という国家の独裁的支配権力を握った安倍政権が、いまや、不可能にしてしまった。
 すくなくとも、きわめて困難にしてしまったのです。安保法制は日本国憲法に違反している、とりわけその根本理念である基本的人権を侵害している、と、わたしが考えるのは、以上の理由によってです。
 

原告意見陳述 飯 田 能 生(いいだ よしき)
 
 私は去年5月まで NHK で報道記者として働いていました。「チーフプロデューサー」という肩書きでニュース制作の現場の管理職を務めていました。番組としては「ニュース7」、「おはよう日本」といったニュース番組の制作、「BSニュース」では編集責任者も務め、最後は「首都圏放送センター」のニュース制作に関わりました。一昨年、安倍内閣集団的自衛権容認し、安保法制の成立を強行させたことが、私の運命を変えました。
 私の父母はともに昭和9年生まれです。父は東京で東京大空襲に遭い家を失い、母は戦時中は山形市内に疎開するなど、戦争の被害を受けました。異なる地で敗戦を迎えた両親ですが、2人が共通して体験したのは教科書の墨塗りでした。きのうまで「天皇陛下は神様だ」「最後は日本軍に神風が吹く」と教えていた教師が、何の謝罪も釈明もせず「昨日まで教えていたことは誤りだった」と言って教科書の記述を次々と墨で潰させたといいます。軍国主義に染められた子どもたちは、それまでの価値観を全面的に否定され、天皇以下、教師に至るまでの大人たちに対する不信感を抱かざるを得ない衝撃的な体験だったと何度も聞かされました。そんな両親にとって「民主主義」は新鮮で理想的な価値観であり、日本国憲法の「平和主義」の理念は戦争体験者としてとても腑に落ちるものだったのでしょう。親からは「民主主義」や「平和主義」の大切さを教えられ、かけがえのない価値観として吸収し成長しました。大学の法学部に学ぶ中で、自分自身でこの価値観を見直す機会がありましたが、この理念はますます私の揺るぎない確信となりました。やがて87年4月にNHKに記者として就職しました。「憲法の精神が行政、立法、司法の場でどのように実現されているのか、何より国民が憲法の恩恵を享受しているのか、すべてこの目で見てやろう!」というのが大きな動機でした。また、おかしいと感じた事を指摘するのがジャーナリストの使命であり、権力には屈しないというのが仕事上での信条でした。しかし、私の人生に予期せぬ事態をもたらしたのが安保関連法案でした。
 そもそも公共放送たる NHK の報道は、不偏不党・公正中立の立場を守り、情報の送り手の主観的な判断を交えず客観報道に徹することが原則です。余計な論評を一切しないのは“行政府も立法府も民主主義が貫かれている”からであり、ありのままを客観的に報道することこそ、重要だと考えるからです。しかしながら安保関連法の成立は、あれほど憲法違反だという指摘を受けながら、審議も尽くされず、数の横暴による「多数決」により成立させられたのです。他方、ジャーナリズムに対して政府・与党からのあからさまな圧力が相次ぎました。テレビ朝日のコメンテーターへの批判、TBSの放送内容に対する非難、沖縄の地方紙に対する暴言、さらには電波管理法に基づくテレビ局の免許更新をちらつかせ政府批判の報道の自粛を迫るかのような総務大臣発言。NHK 前会長が就任記者会見で「政府が右というものを左とは言えない」という発言も、その流れを象徴するものでした。
 徹頭徹尾、民主主義と平和主義を生かしたいと選んだ仕事が、この安保法制法の成立という決定的な出来事でその存在基盤を失いました。私はこれ以上今の報道体制に従事していくことはできなくなったのです。私がぼんやりと想像していた穏やかな人生の流れは、安保法制という大きな波によって流れを変えられました。民主主義の危機を目の当たりにして、家庭にいても職場にいてもまるで大波に飲み込まれて息が詰まるような毎日が始まりました。そして、昨年5月に依願退職を余儀なくされたのです。最早「政府を信じ、国会を信じ、この国の民主主義を信じよう」と無責任に口にすることができなくなったからです。戦後日本に構築された民主主義が目の前で破壊されているときに、この破壊行為に疑問を呈することすら「不偏不党」の大義名分の下では慎重に検討せざるを得ない職場で、できることは限られています。
 私は、残り数年の安泰なサラリーマン人生と、自分の信念を曲げてまで仕事を続けることとの苦しい選択でしたが答えは明瞭でした。この社会の中で私自身はとても小さな存在に過ぎませんが、この濁流から孤独でも一人で抜け出さなければ自分の信念を貫き通すことはできないと思いました。民主主義社会に落とされた影が漆黒の闇に変わる前に、NHK という寄らば大樹を失おうとも職場の仲間との連帯をかなぐり捨てようとも妻子を背負って一人で立ち上がらなければならないと決意しました。それは、私の50余年培ってきた自らの価値観と、これからの子どもたちの未来のために、傷つけられたままではいられないからです。民主主義の時計の針を後戻りさせるのではなく、前に進める司法判断を切に希望いたします。
 

原告意見陳述 岡 本 達 思(おかもと たつし)
 
 1950年に東京に生まれ、66歳に至る私の人生に、大きな影響を与えたのは中学2年の時に読んだ島崎藤村の『破戒』でした。「被差別部落」という存在を初めて知り、それが社会の構造の中で、権力の側が作った制度による差別であると知り、激しい怒りを覚えたのです。
 さらに、それが権力の手による差別にとどまらず、同じ庶民の間での差別として根付く時、人の尊厳はあっけなく失われることを知り、強者が弱者を抑圧する構図に対して反発する気持ちが強くなり、やがてはそうした正義感が私の最も重要な価値観となり、その後の生き方の根幹に据えられたように思います。
 1980年代後半から、私はレバノンパレスチナ難民キャンプの子どもたちを支援する里親運動に参加しました。欧米列強国がそれぞれの思惑から、パレスチナの地にイスラエルを建国させ、一方的に祖国を分割させられたパレスチナ人は、その後もイスラエルの圧倒的な軍事力により、家族や親族を虐殺され祖国から追い出され今に至る悲惨な歴史は、私の正義感に火をつけたのでした。
 そして、いたいけな子どもたちが空爆や虐殺などの暴力に怯え、本来享受しなければならない教育や遊びから置き去りにされた現状に、じっとしていられなかったのです。私たちの里親運動は、現地の子どもに対して 16 歳までの生活や学資の援助をしています。そのほか、幼稚園や図書館の建設援助や教材支援、歯科検診、シリアからの避難民に対する緊急支援、等も行っています。
 パレスチナの人びとは総じて日本人や日本という国に特別の親しみを寄せ、信頼を抱いています。
 欧米諸国も同様の支援をしていますが、特に彼らの日本人に対して寄せる親愛の度は明らかに強いのです。
 その理由は、日本が唯一の被爆国として悲惨な形で敗戦を経験しながらも、見事に立ち直り発展したことに対する尊敬と、なによりもその敗戦から今日まで「非戦」を誓い、平和外交を貫いているからです。
 他の大国が、中東諸国に軍事介入する中で、憲法9条のもと武器を持たず平和外交や NGO による人道支援を続けてきた日本に対しては、パレスチナに限らず中東諸国の多くの人々は絶大な信頼を寄せてくれました。これは中東諸国で人道支援や取材活動を続けてきた日本人なら、誰もが感じているはずです。
 ところが、自公政権による安倍内閣が誕生して以来、彼らの日本に対して抱く信頼は徐々に薄れてきました。如実に変わったのは、2015年1月に安倍首相が中東諸国を歴訪して以降です。なかでも1月18日にイスラエルを訪問し、サイバーテロや軍用無人機などの安全保障関連分野での提携を深める演説は、中東諸国に対して挑発的な言動となり、私はそのニュースを見て全身に戦慄が走ったのを今でも忘れることができません。
 昨年7月1日にバングラデシュの首都ダッカで、武装集団によるレストラン襲撃事件がありました。この事件で私が最もショックを受けたのは、人質の一人の日本人が銃を突きつけた犯人に向かって「I am Japanese.」と言い殺されたことでした。かつては私たちの身を守る言葉だった「I am Japanese.」が、今や何の力もないこと、むしろ日本人が攻撃の対象として変わってしまったことに、私は深い悲しみを感じました。
 安倍政権が成立させた安全保障関連法は、中東諸国の人々の日本に対する不信感をさらに決定付けました。日本国憲法を蹂躙し強行採決によって成立されたこの法律は、彼らにかつてない衝撃を与え、これまでの日本のイメージを大きく塗り替えさせてしまったのです。
 この法律が成立するや、私は中東の多くの友人から「安倍は正気なのか?」「日本は戦争をするのか?」「いつから日本は好戦国になったんだ?」といったメールを受け取りました。安倍政権による安全保障関連法の制定は、“非戦”を誓った日本への世界の信頼を壊したのです。
 私や私の仲間がこれまで積み上げてきた中東の人々との信頼に基づいた取り組みを、中東の子どもたちへの支援を大きく侵害されたことを、この場で強く訴えたく思います。
 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2016年9月3日
東京・安保法制違憲訴訟(国賠請求)が始まりました(2016年9月2日)
※過去の安保法制違憲訴訟関連のブログ記事にリンクしています。
2016年9月6日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(1)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年9月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(2)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年10月4日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(3)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年10月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(4)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年12月9日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(5)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告代理人による意見陳述

2016年12月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(6)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告による意見陳述
2017年1月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(7)~寺井一弘弁護士(長崎国賠訴訟)と吉岡康祐弁護士(岡山国賠訴訟)の第1回口頭弁論における意見陳述
2017年1月7日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(8)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年1月8日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(9)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告(田中煕巳さんと小倉志郎さん)による意見陳述

2017年2月14日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(10)~東京「女の会」訴訟(第1回口頭弁論)における原告・原告代理人による意見陳述

司法に安保法制の違憲を訴える意義(11)~東京・国家賠償請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告代理人による陳述

 今晩(2017年3月15日)配信した「メルマガ金原No.2752」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
司法に安保法制の違憲を訴える意義(11)~東京・国家賠償請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告代理人による陳述
 
東京地方裁判所(民事第一部) 
平成28年(ワ)第13525号 安保法制違憲・国家賠償請求事件
原告 堀尾輝久、辻仁美、菱山南帆子ほか454名
被告 国
 
(第2次提訴)
平成28年(ワ)第39438号 安保法制違憲・国家賠償請求事件(第2次)
原告 池田香代子ほか860名
被告 国
 
 昨年4月26日、東京地方裁判所に提訴された2件の安保法制違憲訴訟のうち、国家賠償請求訴訟について、同年9月2日、12月2日に続く第3回口頭弁論が、去る2017年3月3日(金)午前10時30分から、東京地裁103号法廷で開かれました。
 原告訴訟代理人3名による陳述(原告「準備書面(4)」~同「(6)」の概要をそれぞれ説明するもの)の他に、3名の原告による意見陳述が行われました。
 今日は、そのうち、原告代理人3名による陳述をご紹介します。
 伊藤真弁護士が「立法不法行為と新安保法制法制定過程の違法性」について(原告「準備書面(4)」)、橋本佳子弁護士が「憲法改正・決定権の侵害」について(原告「準備書面(5)」)、杉浦ひとみ弁護士が「被害論(2)」(原告「準備書面(6)」)について論じています。
 特に、前二者で論じられたところは、この安保法制違憲訴訟(国賠訴訟)の中核をなす論拠であり、法律家ならざる一般市民の方が、いきなり準備書面を読んでも理解が困難かもしれませんので、まず、以下の陳述書原稿をお読みいただき、報告集会での発言を視聴していただくことをお勧めします。
 いつものように、三輪祐児さん(UPLAN)撮影による記者会見と報告集会の動画がアップされています。
 
20170303 UPLAN【前集会・記者会見・報告集会】安保法制違憲訴訟国賠第3回期日(2時間23分)

冒頭~ 入廷前集会(東京地裁正門前)
21分~ 裁判終了後の記者会見
50分~ 報告集会(司会 杉浦ひとみ弁護士)
 51分~ あいさつ 寺井一弘弁護士
 1時間03分~ 伊藤 真弁護士
 1時間25分~ 橋本佳子弁護士
 1時間35分~ 杉浦ひとみ弁護士
 1時間38分~ 原告・田島 諦(たじま・たい)さん(作家)
 1時間44分~ 原告・飯田能生(いいだ・よしき)さん(元NHKチーフプロデューサー)
 1時間51分~ 原告・岡本達思(おかもと・たつし)さん(パレスチナ難民里親支援)
1時間57分~ 全国弁護団交流会・国家賠償訴訟の現状について 福田 護弁護士
2時間14分~ 飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)
2時間19分~ 杉浦ひとみ弁護士
 
 以下に、報告集会資料に掲載された3人の代理人による陳述をそのまま転載しますが、一点お断りしたいことがあります。それは、報告会資料では、参考のために準備書面目次を掲載しているのは伊藤真弁護士だけだったのですが、残るお2人についても、説明された準備書面の目次を掲載した方が理解がより深まると判断し、私の責任で追加させていただきました。
 
 最後に、報告集会での福田護弁護士からの報告で分かったことを2点追加します。
 1点目は、当初の第1次提訴(平成28年(ワ)第13525号)に、第2次提訴(平成28年(ワ)第39438号)が併合されたということ、そして2点目は、国が「準備書面(1)」を出してきたけれど、あいかわらず、原告による新安保法制法の違憲性についての主張、集団的自衛権の行使の違憲性についての主張、新安保法制法の制定過程において立憲主義が否定され、国民の憲法改正決定権が侵害されているという主張、そして後方支援活動・協力支援活動の違憲性についての主張のいずれについても、「事実の主張ではなく、争点とも関連しないので、認否の要を認めない」としていた答弁書での立場を変えず、「具体的権利性の不存在」「権利侵害の不存在」について強調しているということでした。
 私も、この被告「準備書面(1)」をざっと読みしました。全部で39頁ある準備書面のうち、「第1 いわゆる平和安全法制の概要」に17頁を費やしているものの、制定過程を国の立場から淡々と叙述したもので、わざわざ準備書面で書く必要もないようなものでした。
 

原告ら訴訟代理人 弁護士 伊 藤  真
「立法不法行為と新安保法制法制定過程の違法性」について
※参照 原告「準備書面(4)」
 
準備書面目次(参考)
第1 新安保法制法の制定行為の違法性
1 昭和60年判決及び平成17年判決による判断枠組み
(1) 総論・昭和60年在宅投票制度廃止違憲訴訟上告審判決
(2) 平成17年在外邦人選挙権制限違憲訴訟上告審判決の論理
(3) 平成17年判決と昭和60年判決との関係について
(4) ハンセン病訴訟熊本地裁判決の考慮要素について
(5) 本件は国家賠償が認められるべき例外的な場合であること
(6) 立法不作為と立法行為(作為)の違法性の評価基準の違い
2 人権規範以外の憲法規範に違反する立法の制定行為の違法性
(1) 平成17年判決の射程
(2) 立法行為の違法性を判断する枠組み
(3) 平成27年判決の判断枠組み
(4) 新安保法制法制定の場合
3 改めて昭和60年判決の判断枠組みの意味
(1) 職務行為基準説の意味
(2) 新安保法制法の場合
4 憲法適合性の判断順序について
(1) 法規の憲法適合性を先に判断すべきこと
(2) 平成27年夫婦同姓規定合憲判決
(3) 平成27年再婚禁止期間違憲判決
(4) 原告の損害との関係
(5) 裁判所の職責
第2 憲法9条に関する憲法解釈の変遷の歴史的・具体的事実
1 クーデターともいえる憲法違反の閣議決定と新安保法制法の国会成立
2 憲法9条の解釈の変遷の歴史的・具体的事実
(1) 憲法制定時
(2) 朝鮮戦争サンフランシスコ平和条約
(3) 自衛隊創設から安保条約改訂
(4) ベトナム戦争と72年政府見解
(5) 78年ガイドライン
(6) 湾岸戦争
(7) 97年ガイドライン
(8) テロとの戦い
(9) 改憲論議と国民運動
(10) イラク戦争イラク特措法
(11) 2005年「日米同盟:未来のための変革と再編」
(12) 第2次安倍政権
3 クーデターと評される憲法破壊行為
第3 明白に違憲違法な憲法破壊の国会審議
1 国会審議の異常性、違法性
2 新聞記事
3 憲法審査会における憲法学者の指摘
4 6月4日以降の国会審議と世論
5 不十分な国会審議
(1) 衆議院における審議
(2) 国民運動
(3) 参議院における審議
(4) 参議院審議中の国民運動
(5) 山口繁元最高裁長官の発言
(6) 立法事実がないことが明らかになる
6 強行採決に至る経緯
(1) 野党の結束
(2) 国民運動
(3) 参考人質疑
(4) 公聴会と市民の声
(5) 採決強行前夜
(6) 世論調査
(7) いよいよ採決強行
(8) 本会議による「成立」
7 その後
8 結語
第4 新安保法制法による重大な権利侵害
1 はじめに
2 平和的生存権・人格権に対する侵害の明白性
(1) 集団的自衛権の行使による侵害
(2)「戦闘地域」での後方支援による侵害
(3) 国連平和維持活動(PKO)による侵害
(4) 結語
3 国会審議と新聞記事
(1) 国会審議の不十分さ
(2) 国会審議
(3) 新聞記事
(4) 結語
 
 本準備書面においては、国務大臣国会議員の新安保法制法制定過程における行動(閣議決定、法案提出、立法行為等)が国家賠償法上の違法性を満たしていることを主に論じる。まず第1に、違憲の内容の法律を立法する行為が、国家賠償法上の違法性を満たすための判断枠組みを論じ、第2に、これまでの憲法9条をめぐる政府の憲法解釈の変遷の事実を踏まえて、憲法9条の規範が形成されてきた経緯を概観しながら、新安保法制法の違憲性を明らかにする。
 なお、この新安保法制法の違憲性に関しては、理論面からの主張を別途準備書面で主張する。
 第3においては、新安保法制法の制定過程自体が、国務大臣国会議員の行動としての行為規範ないし職務義務に違反し違法であることを論じる。そして、第4において、新安保法制法が、原告らの権利、主に平和的生存権、人格権を明白に侵害するものであることを論じる。以上を通じて、新安保法制法制定行為の国家賠償法上の違法性を主張することとする。

1 立法不法行為の判断枠組み
 この点について、在宅投票制度に関する訴訟の最高裁判決(以下、「昭和60年判決」という。)は、「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合」には、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けることを認めている。
 この判決を受けて、いわゆる在外邦人選挙権制限違憲訴訟上告審判決(以下、「平成17年判決」という。)において、最高裁は、「立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」に国家賠償法上の違法性が認められることを明らかにした。この判断枠組みは、その後、再婚禁止期間に関する最高裁大法廷平成27年12月16日判決(以下では「平成27年判決」という。)においても援用され、「法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず」という判断枠組みとして踏襲されている。
 これらの「憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」とか「憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白」という表現は、昭和60年判決がいうところの「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」場合の例示であり、立法内容が、憲法の人権規範に違反するときの判断枠組みとしてこのような表現になっているものと考えられる。また、仮に立法内容が人権規範以外の憲法規範に違反するときには、「憲法の規定に違反するものであることが明白な場合」という判断枠組みによって判断することが可能と考える。
 なぜなら、立法内容が、憲法13条のような人権規範に違反するときであろうが、憲法9条のように人権規範以外の憲法規範に違反するときであろうが、憲法規範に違反することが明白な内容の立法行為が許されるはずもなく、いずれも昭和60年判決がいうところの「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」場合にあたるといえるからである。こうした立法行為によって、原告の「権利又は法律上保護される利益」(民法709条)が侵害されたのならば国家賠償法上の違法性が認められ、これによって生じた損害は、国家賠償として認められなければならない。
 さらに、国務大臣は、重大な違憲の疑義が生じているような法案を国会に提出する閣議決定に同意してはならないし、国会議員は、当該法案に、重大な違憲の疑義が生じている場合には、そうした違憲の疑いを払拭するべく審議を重ね、少なくとも国民の多くが違憲の疑いを持たない程度には法案の修正などによって対応するべき職務義務があるといえる。国務大臣国会議員憲法尊重擁護義務を負っているからである。
 そして、審議を通じて、なぜそのような法律が必要なのか、その立法事実を丁寧に検討し、当該立法の必要性、相当性を十分に明らかにすることで、国会議員として国民の疑問に誠実に応えるべきという国会議員としての行為規範がある。
 
2 新安保法制法の制定過程の違法性
 今回の新安保法制法の制定過程はどうであろうか。準備書面(4)第2、第3で詳述するように、憲法尊重擁護義務を負う国会議員として、国民に誠実な態度で立法行為を行ったとはとてもいえないものであった。
 立法内容に関して、憲法9条2項の交戦権否認、戦力不保持規定という一義的文言によって、解釈上、集団的自衛権の行使は認められず、海外での武力行使は許されないとされてきたものに、違反することは明白である。
 そして、準備書面(4)第2で論じるとおり、これまで歴代政府は、アメリカからの強い要請があっても、一貫して、憲法上、集団的自衛権の行使は認められず、海外での武力行使は許されないとしてきた。これは確立された憲法規範といってよいものであり、新安保法制法の制定はそれに違反するものである。
 しかも、元最高裁長官をはじめとして歴代法制局長官、元裁判官、日弁連憲法学者などの法律関係者のほとんどが、これら内閣、国会の行為が違憲であり、立憲主義に反すると反対していた。そこでは第3で述べるように国民・市民から大きな反対の声が絶え間なく上がっていた。
 こうした状況であるにもかかわらず、国民が納得するような立法事実を提示しての十分な審議もなされず、米軍支援法という本質を持った新安保法制法を強引に成立させた行為は、明らかに国会議員として遵守すべき行為規範に違反し、国会議員として負う職務義務違反であるといわざるをえない。これらは、内閣構成員である国務大臣の国会答弁などの行為にも該当する。
  新安保法制法の立法行為は、国家賠償法上、違法の評価を免れることはできない。
 
3 憲法判断の順序と裁判所の職責について
 平成27年再婚禁止期間違憲判決では、まず民法733条1項の憲法適合性を判断した上で、当該立法不作為の国家賠償法上の違法性の有無についての判断枠組みを提示してあてはめをし、国家賠償法上の違法の評価を受けるものではないとして請求を棄却しており、原告の損害については一切検討していない。このように最高裁も法規の憲法適合性の判断を先行させている。
 本事案もこれと同様に、新安保法制法の違憲性について先行させて判断をするべき事案である。
 安全保障政策における判断の誤りは国民の生命、自由、財産に甚大な損害を与え、取り返しのつかない結果を招来することになる。だからこそ、憲法は、こうした国家の安全保障政策に対して、憲法9条、前文の平和的生存権などの規定によって、多数派による政治的決定に制限を加えたのである。
 安全保障政策に関する国民の意思は多様である。具体的な安全保障政策の実現や外交交渉の内容などは政治部門の判断に委ねられているとしても、内閣、国会が最低限遵守しなければならない大きな枠組みは憲法によって規定されている。政策の当不当の判断ではなく、こうした大きな枠組みを逸脱した立法か否かの判断こそは司法の役割である。
 本件訴訟は、新安保法制法の安全保障政策上の当否の判断を裁判所に求めているのではない。
 あくまでも、新安保法制法が、憲法が許容している枠組みを逸脱しているか否かの判断を求めているだけである。にもかかわらず、この問題を政治の場で解決するべき問題であるとして、政治部門にその判断をゆだねてしまい、裁判所が憲法判断を避けることは決して許されることではない。
 アメリカでは、2017年2月、トランプ大統領のイスラム7ヶ国市民の入国を一時禁止した大統領令に対して、ワシントン州などの連邦地方裁判所がその執行を停止する判断を下し、司法が人権、憲法、民主主義の擁護者としての職責を果たしている。もちろん、連邦制などの日米の制度の違いはあるものの、アメリカ憲法を範として導入された日本の違憲審査制においても、司法が権力分立を維持し、政治部門の目に余る暴走を止めるため、その権限を正当に行使しなければならない場面は存在するのである。
 今がそのときと考える。
 この違憲の法律に基づいて、現実に南スーダン自衛隊が派遣され、原告らへの権利侵害がより高まっているのみならず、自衛隊員の生命等の侵害の危険も極めて高いものとなっている。
 今後も、この法律を放置することによって、原告らの重要な人権が侵害され続けるのみならず、自衛官を含む、原告以外の国民・市民の被害も拡大を続けることになる。こうして憲法規範そのものが毀損された状態が続き、さらに事態は悪化し続けるのである。
 裁判所が、今回の新安保法制法の違憲性についての判断を避け、自らその存在意義を否定するようなことがあってはならない。
 

原告ら訴訟代理人 弁護士 橋 本 佳 子
憲法改正・決定権の侵害について
※参照 原告「準備書面(5)」
 
準備書面目次(参考)
第1 はじめに .
第2 憲法改正・決定権の法的性質
1 主権者である国民(人民)が国政のあり方を決定する最終的権限を有している
2 国民の有する憲法制定権から派生する憲法改正についての最終決定権である
3 国家のあり方を決める国民の政治への参加権(参政権)という性質も有する
4 憲法改正・決定権の権利内容
5 憲法改正・決定権の具体的権利性
第3 国民に憲法改正・決定権が認められる法的根拠
1 憲法前文の規定(前文第1段)の存在
2 憲法改正の手続規定(96条)の存在
3 公務員の憲法尊重養護義務規定(99条)の存在
第4 憲法改正が許されるための要件
1 明文改正における正当性要件
(1)多数の国民が憲法改正について強い要求を有しているといえること
(2)国会(衆・参両議院)において、正当に選挙された代表者によって、多くの国民の要求・意見を取り入れた討議が慎重かつ十分になされた後に憲法改正の発議がなされたものであること
(3)憲法の基本原理を根底から破壊する条項等の改正でないこと
2 非明文改正(憲法解釈の変更)における手続的要件
(1)政府によって長年にわたって確立した憲法解釈の変更でないこと
(2)憲法解釈の変更に依拠した法案上程の正当性について国会において合理的な説明がなされること
第5 内閣(政府)及び国会の憲法破壊行為による原告らを含む国民の憲法改正・決定権の侵害
1 硬性憲法下における憲法改正手続の有する意味
2 憲法9条の従来の政府解釈が有する規範的意味内容
(1)憲法9条集団的自衛権の行使に関する政府解釈
(2)集団的自衛権の行使が認められないことは確立した憲法規範
(3)確立した憲法規範の変更は憲法改正手続を経ずに行うことはできない
3 憲法改正手続の潜脱による憲法破壊行為
(1)96条の憲法改正手続の潜脱の経過
(2)憲法違反が露わになった南スーダンへの自衛隊派遣
(3)十分な情報提供の必要性と政府の情報隠蔽
(4)立憲主義・法の支配の破壊
4 被告の「憲法の条文を改正するものではない」との反論は許されない
第6 憲法改正・決定権の侵害による原告ら国民各人の被害内容
1 憲法改正・決定権の侵害とこれによる被害
2 原告らの被害の具体的内容
3 憲法改正・決定権及びその侵害の具体性・個別性
第7 結論
 
1 憲法改正・決定権について原告らの主張
 原告らは、国民各人は、国民主権及び民主主義の担い手として、憲法を最終的に決定する権利として憲法改正・決定権を有する、と主張し、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定及び新安保法制法の制定が、96条の憲法改正手続を経ることなく、解釈で、憲法9条を実質的に改変してしまったことにより、原告ら国民各人の憲法改正・決定権を侵害されたと主張しています。
 
2 憲法改正・決定権の法的性質と具体的権利性
 主権者である国民が国政のあり方を最終的権限を有しており、憲法制定権は国民にあります。
 憲法制定権は、改正手続を経て憲法を改正する最終的決定権を含むものであります。これが、国民の憲法改正・決定権です。すでに憲法改正手続法が制定され、96条の国民投票権について具体的に定められています。国民各自が96条の手続に従って最終的な意思決定をする権利である憲法改正・決定権は明らかに具体的権利として保障されております。
 重要な憲法改正問題が生起していない間は、「憲法改正・決定権」は潜在しているにすぎません。しかし、重要な憲法改正問題が浮上した場合、確立した憲法規範が変更されようとしている場合は、国民にとっては、「自分たちの国民投票なしに憲法改正が行われることがあってならない」という「憲法改正・決定権」が具体的問題として浮上します。
 
3 明文改憲だけでなく確立した憲法規範の改変にも憲法改正手続を要する
 明文改憲だけではなく、すでに解釈として確立した憲法規範の内容を変更することも憲法の改正です。長年にわたる政府解釈が有権解釈として定着し、現に機能している場合は、明確性と安定性を備えた不文の憲法規範になっており、憲法として行政府・立法府の権力行使を制約し、立憲主義を支えてきたのです。
 従って、内閣及び国会が、解釈で、確立している憲法規範を変更することは、96条に定める憲法改正手続によって個々の国民の最終的意思を確認する手続を潜脱するものであり、許されません。
 
4 憲法改正手続の潜脱による憲法破壊行為
 憲法9条に関しては、「憲法上、個別的自衛権は認められるが、集団的自衛権は認められない」との解釈が、長年にわたって内閣法制局や歴代内閣によって表明され、政府解釈として定着し、不文の憲法規範として確立していました。その解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することは、憲法規範を変更し、国の有り方、憲法秩序の基本を変更することであり、96条の改正手続なしに行うことは許されません。
 ところが、政府は、この政府解釈を変更して集団的自衛権の行使及び自衛隊の海外出動を容認する閣議決定を行い、新安保法制法を成立・施行しました。こうして重要な憲法問題として浮上したのであるから、閣議決定の時点で、96条の憲法改正手続きなしに進めることはできないはずであり、原告ら国民各人の「憲法改正・決定権」が具体化していたのです。
 実際に、圧倒的多数の憲法学者、歴代法制局長官、元最高裁長官らが9条違反との意見を表明し、多くの国民の反対表明が国会前を中心に全国各地で繰り広げられる歴史上まれにみる状況にあったのです。にもかかわらず、96条の改正手続を潜脱して9条の実質的改変を行ったのであり、原告ら国民の憲法改正・決定権を侵害したのです。
 
5 憲法改正・決定権の侵害による原告ら国民各人の被害内容
 原告らは、「9条があるから日本の平和が守られている」と思い、自らが最も誇りとする平和を守り通さければならないと強く決意し、これまでの人生を送ってきました。そのため多くの原告らは、違憲閣議決定直後から、国会前集会や地域の集会やデモなど、あらゆる場面で反対の声をあげてきました。
 ところが、違憲の新安保法制法の強行採決によって、戦争のできる憲法に実質的に改変されてしまい、現に南スーダンには、隠蔽されていた日報で明らかとなった戦闘地域に自衛隊が派遣されているのです。しかも稲田防衛大臣憲法上問題になるから「衝突」という言葉を使ったと憲法違反を自白しております。
 こうして原告らは、96条の改正手続を通じて自ら意見表明する機会を一切与えられないまま、意に反する受忍状態を強いられることになったのです。これ程理不尽なことはありません。
 憲法改正に関わる個人としての価値を根底から否定され、怒り、絶望感、さらには悲愴感などにさいなまれるに至ったのであり、原告らの精神的苦痛は図り知れません。
 

原告ら訴訟代理人 弁護士 杉 浦 ひとみ
「準備書面( 6) 被害論2」について
※参照 原告「準備書面(6)」
 
準備書面目次(参考)
第1 はじめに
第2 原告らの被害
1 70余年前のアジア・太平洋戦争により被害を受けた原告ら
(1)戦争により被害を受けた原告らに共通する被害
(2)それぞれの被害者の実情
2 障害児教育に35年関わってきた原告●●●●の場合
(1)被害の概要............................................................................................12
(2)原告●●●●の被害(原告番号381)(甲D381)
3 海外での活動に携わる者の被害
(1)海外でNPOや個人で、海外の支援活動などに携わる者
(2)それぞれの被害の実情
4 信念や生き方を害された原告
(1)信念や生き方を害された原告らに共通する被害
(2)それぞれの被害の実情
5 テロが発生する高い蓋然性を持った危険に恐怖を感じその平穏な生活と精神を脅かされる原告ら
(1)現に米軍基地や自衛隊基地の周辺に居住している原告
(2)それぞれの被害の実情
 
1 原告らは、新安保法制法の成立によって平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権を侵害されたと訴えています。そもそもこの裁判は、あれほど多くの学者が憲法違反だといったこの新安保法制法が成立させられ、多くの市民国民は「裁判所は人権の砦」「司法は違憲立法審査権がある」ということを小学校の頃から信頼してこの国で暮らしてきました。裁判所がこのような事態を、形式的な理由で早期打ち切り、知らぬ存ぜぬは許されないだろうというのが、原告らの主張の根底に横たわるものです。
 原告らは、この新安保法制によってどんな被害を受けているのだろう、私たち代理人は真摯に原告らの声に耳を傾けました。第1 回、第2回口頭弁論で原告らが陳述し代理人が法的に主張してきたように、その被害は法制度成立当時には思いもよらない程の大きな被害を受けていることが分かってきました。裁判所にもその事実や心情が正確に伝わっていますでしょうか。
 代理人が準備書面の概略をこうやって陳述している重要な要旨はそこにあります。先回被害論1 に続いて、概略を申し述べます。
 
2 戦争被害を受けた中で今回は、長崎の原爆被害者が負っている被害を何人か記載しました。
 原爆投下直後、小学生の原告は弟に覆いかぶさって爆風から弟を守り、その手を引いて約束の防空壕に逃れ身を守りました。買い出しに出ていた若い母は日見トンネルをとおり乳飲み子を背負い必死で子どもたちの元に戻りましたが、トンネル内で見たその様子は生涯何も語りませんでした。1 歳半で被爆した原告は、通った小学校に「原爆学級」があり被爆した子どもたちは実験材料にされたことを子ども心に気づいていました。友人を白血病でも失いました。他の原告は皮膚のめくれた被害者の様子が湯剥きトマトのようだと、トマトを見ることを今も苦痛に感じています。また、赤ちゃんを抱いたまま黒焦げになっていた女性の死骸、馬が半分黒焦げ半分は形を残している様子など、その心の中には忘れることのできない映像が、今も生々しくあり、戦争や人を殺し合うというこの法制と分かちがたく結びついているのです。
 障がい児への教育に生涯をささげてきた女性は、障がいのある子どもたちにこそ、この社会の中での光を教えられているといいます。そんな障がいを持つ子たちが、人を殺し殺されることを許す社会では真っ先にその命を奪われること、そうであっていいという意識がすでに巻き起こっていることを、過去の歴史の事実に照らして感じ、心を痛めています。
ある宗教家の原告は、信仰による心の平穏は社会の平和と一致しなければ意味はないと気づき、50 歳にして牧師になった方でした。今の国の動きは、まさに彼の信仰的心情を引き割くものであり、人格そのものを打ちのめすものです。
 基地周辺の住民である原告は、今もその爆音や大きな機体、空母の存在の威圧感を知っていることから、基地が狙われ巻き込まれることの恐怖がどれほどのものかは、すでに現実的に感じており、恐怖を感じています。
 また、今回の準備書面では、先の戦争中に、国を挙げて戦うために、子どもたちがどれほどゆがんだ価値観を押しつけられ、考える自由も考える意欲も力も奪われた状態にあったか、まさに人格を形成ずる段階で大きな侵害を与えられた事実を語る者が複数いました。新安保法制法の成立により、まさにこの心の侵害が始まっているのであり、過去被害を受けた者はその頃の喪失感、絶望感を蘇らせているのです。
 
3 裁判所には、この安保法制法及びこの法ができたこの社会が、国民にすでに与えている人権侵害と、今後人権侵害が起きているかさえも自覚できないような暗黒の社会になることを防ぐために、司法権をになう立場であることを自覚していただきたいという思いが各原告の主張に込められていることまでを読み取っていただきたく、準備書面を咀嚼して陳述しました。
 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2016年9月3日
東京・安保法制違憲訴訟(国賠請求)が始まりました(2016年9月2日)
※過去の安保法制違憲訴訟関連のブログ記事にリンクしています。
2016年9月6日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(1)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年9月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(2)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年10月4日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(3)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年10月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(4)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年12月9日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(5)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告代理人による意見陳述
2016年12月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(6)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告による意見陳述
2017年1月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(7)~寺井一弘弁護士(長崎国賠訴訟)と吉岡康祐弁護士(岡山国賠訴訟)の第1回口頭弁論における意見陳述
2017年1月7日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(8)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年1月8日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(9)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告(田中煕巳さんと小倉志郎さん)による意見陳述
2017年2月14日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(10)~東京「女の会」訴訟(第1回口頭弁論)における原告・原告代理人による意見陳述

植松健一立命館大学教授(憲法学)講演のお知らせと「情勢分析2016-2017」(守ろう9条 紀の川 市民の会)

 今晩(2017年3月14日)配信した「メルマガ金原No.2751」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
植松健一立命館大学教授(憲法学)講演のお知らせと「情勢分析2016-2017」(守ろう9条 紀の川 市民の会)

 3日連続の「和歌山ネタ」です。しかも、私自身が運営委員を務めている地域9条の会(守ろう9条 紀の川 市民の会)の総会での記念講演のお知らせと、総会議案書のうちの「情勢分析」のパートのご紹介をまとめてお届けしようというものです。
 
 2005年1月に設立総会を開いた「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、紀の川北岸に居住する和歌山市民で構成する地域9条の会であり、このところ、毎年春に総会(と記念講演)、秋(11月3日の前後)に憲法フェスタを開催しています。
 しかも、小さな地方の9条の会にしては信じられないくらい贅沢なラインナップの講師陣をお招きして
講演会を開催してきました。憲法研究者に限定しても、以下のような方々に講演していただいています。
 
吉田栄司先生(関西大学教授)→2012年 憲法フェスタ
森 英樹先生(名古屋大学名誉教授)→2014年 総会
清水雅彦先生(日本体育大学教授)→2014年 憲法フェスタ
高作正博先生(関西大学教授)→2015年 憲法フェスタ
石埼 学先生(龍谷大学法科大学院教授)→2016年 総会
 
 そして、来る4月1日(土)に開催する第13回総会における記念講演をお願いしたのは、植松健一先生(立命館大学法学部教授・憲法学)です。
 立命館大学ホームページ掲載の教員情報から一部ご紹介します。
 
(抜粋引用開始)
■研究テーマ
 ■「象徴的立法」の研究
 ■ドイツ・ワイマール期の議会制民主主義
 ■治安・安全法制の憲法学的考察
■研究概要
立法における市民の「安心感」と民主主義の憲法規範的考察
 現実の害悪の除去・予防よりも、市民の「安心感」の維持向上を重視する「象徴的立法」(symbolische
Gesetzgebung)が増進される現象(「立法の象徴化」現象)の現状分析に基づき、①立法に対する民主的正統性の付与と②立法に対する法治国家的統制という、2つの憲法的要請の緊張と補完の関係を踏まえた「あるべき立法」の指針となる憲法規範論の構築可能性を探っている。この目的のために、当該問題に関する議論蓄積を有するドイツの法状況をさしあたりの対象としながら、日本の法状況や学説状況への示唆
を獲得したいと考えている。
 そのための具体的な法領域として、さしあたり治安関連の法領域において、「安心感」を求める住民の規範意識と、それに対応しようとする民主政治の在り方、およびその結果として制定された治安立法に対する司法的統制という重層的な構造を捉えながら、憲法の観点から何が問題で、何を論じるべきかを明ら
かにしていく作業に取り組んでいる。
(引用終わり) 
 
 「象徴的立法」と聞いて、何のイメージもわかないという人もいるでしょうから、もう少し具体的な説明がないかと思って探してみました。
 すると、「科研費(KAKENHI)」サイトに、植松先生の「「市民の安心感」を手掛かりとした「立法の象
徴化」現象の憲法的考察」という研究についての「研究成果報告書」が掲載されていました。
 それによると、「典型的な例としては、環境保護法、刑事法における厳罰化、そして「テロ対策」の名目で強化される治安・公安関連立法の拡大など」「こうした立法、とりわけ刑事法や治安・公安関連立法の多くは、市民的自由に大きな影響を及ぼすものであり、本来は市民にとって忌避されるべきものであろう。ところが、近時では、市民の多くがこうした刑事法の厳罰化・拡大化や治安立法の拡大による警察の早期的対応を歓迎しており、このような市民感情がこうした立法の制定を支えている。ドイツでは法律の実効性を十分に検証することなく、市民の立法要求を重視して制定された立法を象徴的立法(symbolosche
Gesetzgebung)と呼んでいる。」ということです。
 ここまで読めば、たしかにこれはドイツだけのことではなく、日本でも進行している状況に違いないと思い当たりますし、政府が、過去3度廃案になった共謀罪に、テロ等準備罪という新たな衣装を着せて成
立を目指そうとしていることも、この文脈の中に置けば理解が深まるかもしれません。
 もっとも、主催者が植松先生に提案して決まった演題は、「安倍首相はなぜ憲法を変えたいのか~私た
ちの生活はどうなるのか~」というものなのですが。
 とりあえず、チラシの文字情報を転記します。
 
チラシから引用開始)
守ろう9条 紀の川 市民の会 第13回 総会
 
 安倍政権は昨年11月、自衛隊に「戦争法」に基づいて武器の使用も可能な「駆け付け警護」の任務を付与し、南スーダンに派遣しました。戦後71年間、戦争でたった一人の外国人も殺さず、たった一人の戦死者も出さなかった平和国家・日本に「殺し、殺される」現実の危機が差し迫っています。
 また、安倍首相は今年の年初に、「新しい時代にふさわしい憲法はどんな憲法か。今年はいよいよ議論を深め、私たちが形づくっていく年にしていきたい」と、改憲への意欲を示しています。昨年7月の参院選改憲勢力が、改憲発議が可能な3分の2の議席を衆参両院で占めたことと相まって、明文改憲の危険
も迫っています。
 安倍政権の「戦争する国」への暴走をくい止め、安倍政権を退場させるために、「市民連合」などの多くの市民と立憲4野党との、来るべき総選挙に向けた「野党共闘」の話し合いが進められています。私た
ちにも安倍首相が狙っていることは何かを多くの人たちに語っていくことが求められています。
 安倍首相はなぜ憲法を変えたいのか、そして憲法が変えられたら私たちの人権や暮らしはどうなるのかを学び、みんなで力を合わせて「戦争法廃止」「立憲主義回復」「安倍政権退場」を実現しようではありませんか。
 
※総会は会員でなくても参加できます。もちろん無料です。多くの方にご参加いただきたいと願っています。
 
日時:2017年4月1日(土)午後2時~4時30分
場所:河北コミュニティセンター 2F 多目的ホール
 和歌山市市小路192-3(Tel:073-480-3610)
 南海本線紀ノ川駅」下車徒歩3分(改札口を左折120m、左折し踏切を越え180m、右側)
 和歌山バス・六十谷線(川永団地⇔南海和歌山市駅)「梶取東バス停」前
 
◎第1部 記念講演 14:10~15:45
「安倍首相はなぜ憲法を変えたいのか
~私たちの生活はどうなるのか~」
  講師 植松 健一(うえまつ・けんいち)氏
         立命館大学法学部教授(憲法学)
 
◎第2部 総会議事 15:50~16:30
 
※補聴器を使用されている方がよりクリアな状態でお聞きいだけるように、会場に『磁気ループ』を設置します。使用できる補聴器は「Tモード」「MTモード」の補聴器です。
 
主催:守ろう9条 紀の川 市民の会   お問合せ先:073-462-0539 原 通範
(引用終わり)
 
 植松先生がお話されてる動画がないかと探してみましたが、とりあえず見つけたのは、大阪弁護士会が2015年8月8日に開催した「日本はどこに向かうのか?PartⅣ ~各界から上がる安保法案への反対の声~」の後半に行われたリレートークでのスピーチでした(ちなみに、前半は早稲田大学水島朝穂教授による基調講演でした)。
 実は、このリレートークには、関西の大学で憲法を講じておられる以下の4人の研究者の皆さんが登壇
されています。
  石埼 学龍谷大学法科大学院教授
  高作正博関西大学法学部教授
  塚田哲之神戸学院大学法学部教授
  植松健一立命館大学法学部教授
 そう、4人の内、植松先生を含めて3人まで「守ろう9条 紀の川 市民の会」はお呼びしているのです

 もっとも、このリレートークでは1人の持ち時間が5分しかなく、はなはだ物足りないですけどね。短
い時間の中で、植松先生は、なぜ多くの大学人が安保法案反対に立ちあがったのか?ということについてお話されています。
 
大阪弁護士会】「日本はどこに向かうのか?Part4」 後編 リレートーク 2015.8.8(41分)

冒頭~ 石埼 学氏
6分~ 高作正博氏
11分~ 塚田哲之氏
17分~22分 植松健一氏
(以下略)
 
 正直、私自身、4月1日の植松先生のお話がどのような内容になるのか、全然見当がついていないのですが、かえって当日の聴講が楽しみだと思っています。
 多くの方のご参加をお待ちしています。
 
 さてここからは、「守ろう9条 紀の川 市民の会」第13回総会のための議案書の中から、「情勢分析」のパートをご紹介します。
 「守ろう9条 紀の川 市民の会」では、何年か前から、総会議案書は運営委員による分担執筆とい
うシステムで作成することになっており、私はずっと「情勢分析」のパートを担当してきました。そして
、過去3年、議案書のために書いた「第1稿」をそのままメルマガ(ブログ)に掲載してきました。
 だいたい、私の文章は長くなり過ぎる傾向があり、議案書の原稿も、第1稿のまま確定することなどな
く、他の運営委員の意見も取り入れた上で、大幅に減量作業を施すのが常でした。
 ところが、今年はなかなか「情勢分析」が書けず、他のパートの原稿が出そろっているのに私のパート
だけが抜けているという体たらくであり、「もう間に合わない」ということで思い切って何とかひねり出して書き上げたところ、分量的にはまことに適当な量に収まっていました。そして、昨日の運営委員会で何カ
所か修正意見が出され、議論の結果、第2稿が確定しました。
 過去3年は、私が1人で書いた第1稿をご紹介してきましたが、今日ご紹介するのは、私が書いた初稿
を運営委員会で議論し、その結果に基づいて他の運営委員が修文したものです。
 そういうわけで、今年の議案書(情勢分析のパート)をメルマガ(ブログ)でご紹介するかどうか迷ったのですが、憲法をめぐる激動の1年を振り返るという作業の成果を継続して記録にとどめるという意義
を重視し、今年も掲載することにしました。
 なぜ、私が今年の議案書を書きあぐねたのか、それなりの理由を思いつかないこともありませんが、冗
長になり過ぎるので省略します。
 それでは、「ある地域9条の会「総会議案書」の内「情勢分析2016-2017」」をお読みください。
 
(引用開始)
2017年度 第13回総会 議案書
Ⅱ.2017年度の活動方針
1.【私たちを取り巻く情勢】
(1)安保法制(戦争法)が施行された
 歴代の内閣法制局長官や元最高裁長官、元防衛省高官を含む広汎な国民各層の反対にもかかわらず、安
倍晋三内閣が提出したいわゆる安保法案は、2015年9月19日、自民・公明両党などの賛成多数で国
会を通過し、同法案は翌2016年3月29日に施行された。
 これにより、我が国は、内閣が「存立危機事態」と判断すれば、我が国が武力攻撃を受けていないにも
かかわらず、自衛隊に防衛出動を命じて海外派兵できる法体系を持つ国となった(集団的自衛権)。
 また、周辺事態や非戦闘地域というしばりがなくなり、世界中どこででも、アメリカ軍や多国籍軍のた
めの後方支援、協力支援という名の兵站活動に自衛隊が従事できることとなった。
(2)新任務を付与されて自衛隊南スーダンに派遣された
 新安保法制に基づく自衛隊への最初の発令は、PKO協力法に基づいて南スーダンに派遣している陸上自衛隊に対し、いわゆる「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」という新任務を付与するという形で実施されることになり、2016年12月、第10次隊と交替した第11次隊から新任務を帯びての活動とな
った。
 南スーダン現地は、「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」というPKO派遣のための大前提自体が大きく揺らぎ、たびたび戦闘が発生していると報じられている。このような中、昨年、現地派遣部隊が首都ジュバで大規模戦闘が起きていると報告した日報の存在が発覚し、政府・防衛省の根深い隠蔽
体質が露呈している。
 安倍内閣南スーダンPKOに派遣している自衛隊を5月末に撤収させることを表明したが、派遣部隊
が戦闘行為に及ぶような事態に陥らぬうちに、即刻の撤退を実現することが求められる。
(3)参院選における市民と野党の共闘
 2012年12月の第46回総選挙以来、衆議院では自民・公明の与党が総議席の3分の2以上の多数
を保持し続けており、2016年7月に行われる参議院議員通常選挙の結果、改憲勢力参院でも、改憲
発議に必要な3分の2以上の議席を確保するかどうかが注目された。
 2015年9月の安保法制成立直後、日本共産党が提唱した国民連合政府構想に対し、野党第一党である民主党(その後民進党)の反応は芳しくなく、このままでは参院選での野党の惨敗が避けられないという危機感を抱いた有力な市民組織有志が、2015年12月に「市民連合(安保法制の廃止と立憲主義
回復を求める市民連合)」を結成し、立憲野党に共闘を呼びかけることとなった。
 そして、この動きは瞬く間に全国に広がり、特に全国32の1人区の全てにおいて、「野党統一候補
の擁立が実現したことは特筆すべきことであった。
 和歌山においても、市民有志が「安保法制の廃止を求める和歌山の会」(後に「市民連合わかやま」と改称)を結成し、県内野党に参院選和歌山県選挙区への統一候補の擁立を要請した。紆余曲折の末、「市民連合わかやま」が推薦した由良登信弁護士を、日本共産党社民党生活の党と山本太郎となかまたちが推薦し(政党以外では「市民連合」「関西市民連合」などからも推薦を得た)、民主党民進党)は、
推薦こそしなかったものの、独自候補の擁立は取り下げるという事実上の協力を行った。
 結果は、自民党現職に届かなかったものの、幅広い市民各層が由良候補の支援に立ち上がった経験は、
今後の市民が主体的に政治に関わっていく端緒を開いたものと評価すべきである。
 参院選の結果、東日本を中心に、11の1人区で野党統一候補が勝利するという成果はあげたものの、非改選議席と合わせると、自民・公明の与党に改憲に前向きな大阪維新の会などの一部野党を加えた改憲勢力が3分の2を上回る議席を確保し、日本国憲法施行後初めて、改憲発議が現実的に可能な議席状況が
生まれた。
 改憲勢力は、この状況を最大限に活かし、早期の改憲発議を実現しようという攻勢を強めてくることが
予想される。
(4)改憲を目指す動きから目を離してはならない
 日本会議神社本庁などの改憲勢力は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を結成し、改憲発議がなされた際の「後援会名簿」として活用することを主要な目的とした1000万人賛同署名に取り組んでいる。また、「おしゃべり憲法カフェ」と称する草の根改憲ミーティングを各地で積極的に開催するなど
(和歌山でも実施されている)、改憲勢力の一般市民への働きかけはあなどれない。
 また、ひとたび改憲発議がなされた場合、国民投票運動に対する法的規制は、公選法に比べればなきに等しく、投票日前2週間のスポットCM禁止規定を除けば、金さえあれば広告もやりたい放題に行える(
昨年7月10日参院選投票日当日の自民党などによる意見広告を想起せよ)。
 安倍首相は3月、自らが会長を務める「創生日本」という団体の会合で、「憲法改正に向かって総力を挙げて頑張ろう」「必ず憲法改正をしたい」と述べ、自民党大会でも、「自民党憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それが自民党の歴史的使命だ」と強調している。改憲の危機はますま
す大きくなっている。
 このような改憲勢力の動向に常に注意を払い、彼らが当面の改憲重点目標として掲げている緊急事態条
項、家族保護規定などへの対抗策を用意することが肝要である。
(5)共同のたたかいをより一層推し進める動き
 安保法案(戦争法)反対の取組の中から生まれた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」による共同の取組は、中央だけではなく、全国各地に広がり、和歌山においても、2017年の共謀
罪反対闘争に至るまで、「総がかり」の枠組みが機能し続けている。
 2016年夏の参院選における市民と野党の共闘も、「総がかり行動実行委員会」方式による共同の闘
いが下地となったことを見逃すべきではない。
 そして、改憲勢力から国会の議席を奪い返すため、さらにこの共同の闘いを進めるべく、全国でも和歌
山でも、様々な模索がなされている。
 また、そのような市民の運動と連動する形で、2017年3月はじめの時点で、全国15の地方裁判所に19件の安保法制違憲訴訟が提起されており、また、これとは別に、自衛隊員の家族が原告となった南
スーダンPKO派遣差し止め訴訟などが提訴されている。
 戦争する国づくりの総仕上げと言われる現代版治安維持法共謀罪法案に反対するたたかいも全国で大
きく広がり、和歌山でも市民と野党の共闘でたたかいが進められている。
 これらは、安倍政権の暴政によって大きく傷ついた憲法の力を回復しようという同じ目標に向かった、
政治の場での、司法の場での、また社会の隅々での活動ということができる。
(引用終わり)
 
 

Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」

 今晩(2017年3月13日)配信した「メルマガ金原No.2750」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」

 昨日(3月12日)、和歌山城西の丸広場で開催された「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」の写真レポートをお送りします。
 内容は、昨日のうちにFacebookに投稿した写真アルバム(全部で16)のテキスト部分を転載し、必要な修正・補充を行い、さらにブログ版には、各アルバムごとに写真を1枚ずつセレクトして掲載するというものです。なお、オリジナルのアルバムには、原則として複数の写真を掲載していますので、そちらの方も閲覧していただけるように、Facebookアルバムにもリンクしてあります(ブログ版をお読みの方は、各テーマごとのタイトル部分をクリックしてください)。Facebookのアルバムや個々の写真には、色々参考となるコメントも寄せられていますので、是非そちらの方にも目を通していただければと思います。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/開会】
 好天に恵まれた3月12日(日)午前10時から、和歌山城西の丸広場において、今年で5回目を迎える「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」が開催され、多くの方にお越しいただくことができました。ご来場いただいた皆さま、出演、登壇していただいた皆さま、ブース出展(店)にご協力いただいた皆さまに、実行委員の一人として、心よりお礼申し上げます。
 後片付けが一段落した午後4時過ぎに会場から歩いて自分の事務所に戻り、撮影した130枚近くの写真を整理した上で、順次、Facebookに写真レポートをアップし、あわよくば今晩中に、それをメルマガ&ブログに転載できればいいなと考えています。果たして、要領良く作業がはかどるでしょうか(結局、ピックアップした写真のトリミング作業に時間がかかり過ぎたのが原因か、時間切れで翌日回しになりました)。
DSCN1060 まずアルバム第1弾は「開会」を宣言する司会の松永久視子さん(子どもたちの未来と被ばくを考える会)です。もっとも、正式の「開会宣言」は、オープニングの紀州五十五万石の演奏が終わった後に行われたような気もしますが、ご紹介する写真は、松永さんによる最初の(?)開会宣言の模様です。
 ところで、松永さんの後ろに何やら怪しげなギタリストが立っていますが、この後すぐオープニングで演奏することになっていた紀州五十五万石のメンバーで、ステージネームは「ベム」だそうです。もっとも、ステージを降りると、某環境NGOの代表理事和歌山大学システム工学部教授です。
 あと2枚の写真は、開会前に撮影したスナップで、1枚はミニ機関車が果たして運行できるかどうか悪戦苦闘中の小谷英治さん。もう1枚は共謀罪反対を訴える日本国民救援会和歌山県本部と国賠同盟和歌山県本部の合同ブースです。
 なお、当日の来場者に配布されたプログラムをPDF化しましたのでご覧ください。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/オープニング(紀州五十五万石)】
 今年のオープニングを飾ったのは、「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2015」以来2年ぶりの登場となった紀州五十五万石です。怪しいギタリストのステージネームが「ベム」だということは先ほどご紹介しましたが、残る2人にもちゃんとステージネームがあり、女性ヴォーカリストは「ベラ」、男性パーカッション奏者は「ベロ」だそうです。うーん、どこかで聞いたような。
DSCN1066 演奏されたのは、スリーマイル島原発事故が起きた1979年、マジソン・スクエア・ガーデンで開催された「NO NUKES」コンサートでジョン・ホールらが歌った“Power”。この曲が、英語原詞と日本語詞の両方で歌われました。来場者に配布された歌詞カードもPDF化しておきます。
 なお、私がこの3人のステージネームを知ったのは、5月28日(日)にライブハウスOLDTIMEで開かれる「第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート~」のチラシに書かれた出演者紹介欄を読んでのことでした。「平和を祈るコンサート」については、昨日(3月12日)のメルマガ(ブログ)でご紹介していますので(速報・第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート(5/28@ライブハウスOIDTIME))、是非ご参照ください。
 それにしても、開会草々、来場者全員に「Power」を注入しようというメンバーの気合いは凄かったですね。
(付記)
 歌詞カードには書かれていませんでしたが、“Power”の日本語詞を書かれたのは、メンバーの「ベラ」こと「歌舞」こと「にしでいづみ」さんだそうです。歌舞さんから歌詞カードの文書ファイルを送っていただきましたので、その日本語詞をご紹介します。
【POWER】(日本語バージョン)
太陽の チカラと
絶え間ない 水の流れを
 (2:寄せては返す波のチカラを)
生きとし生けるもので 分かち合おう
 (2:溢れる恵みをみんなで 分かち合おう)
吹き続ける 風のチカラ
燃える薪の炎のぬくもり
原子力の毒のチカラなンて要らない
 (2:もう迷わず…いま すぐ 原発止めよう
   太陽と風 水と大地
   自然のチカラでともに生きてゆこう)
誰だって 必要だよ
暗やみや寒さの中では
何かのチカラを借りて生きている
鳥たちが 歌う森
虫たちが 息づく大地
魚たちの 泳ぐ水
みな 未來へとつなごう
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/実行委員会あいさつ(西郷章さん)】
DSCN1071 東日本大震災及び福島第一原発事故による犠牲者に対して「黙祷」を捧げた後は実行委員会からの開催あいさつです。昨年は私が務めましたが、毎年交替した方が良いだろうということで、今年は西郷章さん(憲法を生かす会 和歌山)にお願いしました。西郷さんは、東京電力福島第一原発事故から6年が経過した現時点で、なお解決のめどがつかない問題の数々を指摘しながら、私たちがどのような心構えで何に取り組んでいかねばならないかを、原稿も手に持つことなく(偉い!)表明されました。
 なお、開会した10時過ぎには、既に会場には多くの方が詰めかけてくださっていました。間違いなく、昨年よりは多かったと思います。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/全体集会(松本佳充さん)】
 今年の全体集会のメインスピーカーにお招きしたのは、原発事故当時、福島県立双葉高校に勤務しておられた元高校教諭の松本佳充(まつもと・よしみつ)さんでした。
DSCN1076 松本さんは、スピーチの時間も限られていることから、ご自身の原発事故直後の体験と、高校の生徒たちが原発事故によってどのような影響を被ったのかという2点に絞ってお話されました。
 ここで、私が拙い要約をするよりも、本部テント横の展示ブースに、松本さんが撮影された数々の写真とともに掲示された「福島第一原発事故6日間の検証 大混乱 必死の脱出 3月11日(金)~16日(水)」(松本さん自身が書かれたもの)を撮影しましたので、それをお読みいただければと思います。
 ただ一つだけとても心に残った言葉をご紹介するとすれば、「仮設住宅や仮設校舎という言葉があるが、そこで生活し、学んだ者にとって『仮』ということはない」でした。
 また、そのブースには、松本さん自身が書かれた文章が3点、印刷されて自由に持ち帰れるようになっていました。この3点も、松本さんのご許可をいただいた上でPDF化しましたので、是非お読みください。
「迷犬タロの物語」
「学校を返せ ふる里を返せ」
「原発ゼロの未来を」
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/アピール・パレード】
DSCN1090 全体集会終了後、いつものようにアピールパレードに出発です。もちろん、西の丸広場を空にして出かける訳にはいきません。デモ隊が帰ってくれば、すぐにブース(模擬店)を開いて飲食サービスを提供できるようにしなければなりませんし、本部の留守番要員も必要、午後すぐにステージ本番のある出演者はリハーサルをしなければならないとかもありますので。私がカウントしたところでは、300人近くの方々が約1時間のアピールパレードを歩き通されました。行程は、いつものように、西の丸広場→砂の丸広場横→追廻門→県庁前交差点(左折)→三年坂→関西電力和歌山支店前→屋形町交差点(左折)→三木町交差点(左折)→けやき大通り→西の丸広場です。全体スケジュールから考えると、もう少し短めのコースにしたい気持ちもありつつ、関西電力前を行進しない訳にはいかないだろうということで、ずっとこの1時間コースになっているのだと思います。
 ちなみに、今年のコーラーは、松永久視子さんと服部亮平さんが務めてくださいました。例年よりややアップテンポだったでしょうか・・・と私がFacebookに書いたのは、スタート早々のコールを聞いて「早い!」と思った印象からのことで、その後、断続的に聞いていたコールは、当初のように「早い!」とは思わなくなりましたので、すぐにコーラーの方で軌道修正されたのかもしれません。それに、「早い」とか「遅い」というのは、慣れや年齢によって受け取り方が相当違いますからね。
 なお、なぜ「断続的」かというと、適当な撮影ポイントに先回りするため、デモ隊から離れて近道を走ることが何度かあったからです。公式記録員(?)もなかなか大変です。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/昼休みは模擬店が大繁盛】
DSCN1116 デモ隊が西の丸広場に帰り着いたら、模擬店その他のブースが営業スタートです。皆さん、1時間も歩き通し、コールし通しで、ちょうどお腹がぺこぺこ。まずはお腹がふくれそうなものを提供するお店の前に列が出来たのも当然でしょう。どんなお店が出ていたのかは、プログラムの中のブース配置表をご覧ください。
 ちなみに、私の昨日の昼食は、自ら予算1000円以内と設定した上で、熟慮の末(?)「梅乃や」のお好み焼き(500円)、和歌山地区労の水餃子(5個200円)、和教組のおでん(3個200円)、フィニッシュはけいじん舎のコロッケ(1個100円)でした。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/お隣はフリーマーケット】
DSCN1118 ところで、今日、西の丸広場の西隣りでは、和歌山城の「おもてなし忍者」隊員も呼び込みに精を出すフリーマーケットが開かれていました。私は西の丸広場の実行委員で、自分のところの催し物を見るのに忙しく、隣のフリーマーケットをのぞきにいくような時間はありませんでしたが(それでも写真は撮ってきた)、どうやらフリマ目当てに来られたお客さんの一部は、紀北農芸高校の和太鼓演奏や、円香さんの素晴らしい歌声に引きつけられ、結構、西の丸広場の方にも足を運んでくれたのではないかと思います。そういう人たちがどれほど原発問題について関心を持ってくれたかは分かりませんが、これは「怪我の功名」以上だったかもしれません。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/昼休みに輪投げに挑戦】
DSCN1123 12時半から紀北農芸高校の和太鼓演奏が始まると聞いていましたので、大急ぎでお腹を満たしつつ、いくつかのブースに顔を出した中に、私も世話人の一人に名前を連ねている(と思う)「子どもたちの未来と被ばくを考える会」のブースで、1回50円の輪投げに挑戦しました。同会が輪投げで出展するたびに私も挑戦するのですが、今回は3つも的中!しました。これはなかなかの成績ですね。
 なお、あと2枚の写真は、コーナーリングを断念し、直線コースだけでの営業運転を目指すSL運行係の小谷さんの奮闘ぶりです。もっとも、煙が濛々と舞い上がり、近くで食事をしていた人たちはさぞ迷惑だったことでしょう。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/紀北農芸高校和太鼓部】
 和歌山県下の高校の中でも、その和太鼓部の技倆が群を抜いていることで知られる紀北農芸高校。今年は「フクシマを忘れない!」に同校和太鼓部が出演してくださいました。
DSCN1133 出演する都度、メンバーの人数も変動するようで、今日は数名という比較的小規模の編成での演奏でしたが、人数なりにしっかりとした迫力をかもしだし、多くの観客を引きつけていました。実際、西隣りで行われていたフリーマーケットのお客さんも、この和太鼓の演奏に引きつけられて、西の丸広場に入ってきた人が結構いたのではないでしょうか。
 なお、次に紀北農芸高校和太鼓部が西の丸広場に登場するのは、5月3日に開催される“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”だと聞いています。その出来たばかりのチラシが、「フクシマを忘れない!」のプログラムに挟み込んで配布されていましたので、これもPDF化しました。5月3日の演奏も楽しみです。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/円香(まどか)】
DSCN1142 西の丸広場の歌姫といえば「ナツオ」さんにとどめをさすと私は思っていますが、今年の「フクシマを忘れない!」には、新星「円香(まどか)」さんが登場してくれました。昨年3月に紀美野町のりら創造芸術高等専修学校(昨年4月からりら創造芸術高等学校)を卒業したばかりの19歳。お父さんがギター伴奏を務めてのステージです。何より、その透き通るような清浄な声質と確かな音程に驚かされます。これからますます表現力に磨きがかけられていくと思いますので、今後が楽しみですね。
 なお、演奏した6曲の正確な曲名を、演奏終了後、円香さん本人に教えてもらいました。
 公式YouTubeチャンネルに、今年1月26日のライブで演奏した6曲がアップされており、昨日も演奏された曲については、YouTubeでの演奏にリンクしておきますので、是非お聴きください。
1 飛行機雲
2 しあわせの歌

3 500マイル

4 声


5 The Water Is Wide

6 Prey for Love
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/コント&絵本の読み聞かせ】
 今年のステージ企画は、新機軸として、コントと絵本の読み聞かせをプログラムに盛り込みました。
DSCN1153 まず、コントは「子どもたちの未来と被ばくを考える会」から、3人の共同代表の内、松永久視子さんは司会、芝野絢子さんは後の1分間アピールに登場するからということでしょうか、松浦雅代さん(共同代表)、松浦攸吉さん(事務局長)という熟年ご夫婦が、高浜原発美浜原発に扮して登場するという意表をつく出し物で、予備知識がなかった聴衆はさぞ驚いたことでしょう(私は、ある程度心の準備がありましたけど)。
 しかし、全ての原発廃炉を目指さねばならないという気迫は間違いなく伝わったことでしょう。
 あと、読み聞かせの方ですが、読まれた絵本は、昨年の全体集会のゲスト・吉沢正巳さんの「希望の牧場」を題材とした、その名も『希望の牧場』で、子どもたちが熱心に聴き入っていました。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/ついにミニSLが走った!】
DSCN1163 3年前にも西の丸広場にミニSLがやってきたのですが、とうとう動かず、実際に子どもたちを乗せて走ったのはミニ新幹線でした。
 今年も、試運転の段階で脱線が続き、「これは走らせるのは無理では?」という悲観論が流れたのですが、小谷英治さんの執念か、直線コースを往復するということに運行計画を縮小し、どうにかこうにか西の丸広場でミニ蒸気機関車が子どもたちを乗せて走りました!営業距離(?)は短かったものの、間違いなく走りました。ということで、その証拠の写真をお届けします。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/なつおmeets南風】
 西の丸広場のイベントになくてはならない歌姫「ナツオ」さんが今年も帰って来ました。しかも、昨年に続き、田辺から笠松美奈さん、南健二さんの来援を得て、「なつおmeets南風」としての登場でした。
DSCN1171 プログラムは、1曲目だけはナツオさん1人での演奏、2曲目以降は3人のユニットでの息の合った演奏でした。ところで、ナツオさんは一家でアピールパレードに参加していましたが、いつリハーサルをやったんだろう?まさかぶっつけ本番では?
 演奏された5曲は以下のとおりです。Facebookにアップする際は、4曲目だけ、ナツオさんから「沖縄の歌」という紹介があっただけで、「たしかに聴いたことがある」と思いながら、曲名が思い出せなかったのですが、松永久視子さんがコメント欄で、Coccoさんの『ジュゴンの見える丘』だと教えてくださり、「そうだった」と思い出しました。
 上関原発に反対する祝島を訪問して笠松美奈さんが作った『スナメリ泳ぐ海』の次に『ジュゴンの見える丘』を歌うことにしたのは、ナツオさんだけではなく、3人の共通した思いでしょうし、その思いは私たちも共鳴するものであるはずです。
 昨日のメルマガ(ブログ)で、三木久美夫さんが企画された「第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート」をご紹介したところですが、2011年だったか2012年だったか、私自身、ごく親しい人たちに「『ジュゴン・スナメリ音楽祭』をやりませんか?」という提案をしたことがありました。もっとも、単なる思いつきの域を出るものではありませんでしたけど。今なら、もう少し具体的な相談ができるかもしれない、などと思ったりします。
 なお、昨日演奏された曲目のうち、「なつおmeets南風」の演奏がYouTubeで聴ける2曲にはリンクしておきました。
1 至福の日
2 そろそろ

3 スナメリ泳ぐ海

4 ジュゴンの見える丘
5 サンシャイン
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/1分間アピール】
DSCN1178 いよいよプログラムも最後に近づき、実行委員会構成団体からの1分間アピールです。もっとも、とても1分間で収まっているとは思えない人がいるのもいつものことですが。
スピーチされたのは以下の団体でした。
1 原発を止めよう和歌山市民の会(古梅敏彦さん)
2 子どもたちの未来と被ばくを考える会(芝野絢子さん)
3 楠見子連れ9条の会(馬場潔子さん)
4 原水爆禁止和歌山県協議会(白井春樹さん)
5 原発をゼロにする和歌山県民の会(東山邦夫さん)
※東山さんの写真を取り損なって失礼しました。東山さんは、アピールパレードの先頭3人の向かって右側に写っています。
 
【フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017/フィナーレ】
 10時から始まった「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」も、午後3時前には全てのプログラムが滞りなく終了し、フィナーレは「うたごえオールスターズ」とともに『故郷(ふるさと)』を歌いました。楽譜と歌詞はプログラムに印刷されています。
 2014年に飯舘村からの避難者が暮らしておられる仮設住宅を訪問し、ドジョウスクイを披露した西郷章さんから、アコーディオンで『故郷』の伴奏をした際、皆さん、3番の「志を果たして いつの日にか帰らむ」が歌えなかったという話を伺ったことがあります(参照「西郷章さんの『私はなぜ福島でドジョウスクイをすることになったのか~3.11反原発福島行動’14への参加報告記~』」/2014年3月22日)。
 そのような思いも踏まえた上での『故郷』だと思い、私も一緒に歌いました。
 ところで、「うたごえオールスターズ」が歌うステージの前でポーズをとる少女が1人。私は、この子が20年後に、何代目かの「西の丸広場の歌姫」となることは間違いないのではないかと思っているのです(Facebookには、彼女のママからのコメントが載っています)。
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速報・第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート(5/28@ライブハウスOIDTIME)

 今晩(2017年3月12日)配信した「メルマガ金原No.2749」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
速報・第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート(5/28@ライブハウスOIDTIME)
 
 今日(3月12日)、和歌山城西の丸広場で「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」が開かれ、好天の下、多くの方が参加してくださいました。実行委員の1人としてあつくお礼申し上げます。

 当初の計画では、イベント終了後、すぐに私の事務所にとって返し(会場から徒歩約10分)、写真を整理した上で、Facebookに写真レポートをアップし、それをまとめる形で今日のブログに出来ればいいなと思っていました。
 イメージとしては、昨年の「Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2016」(2016年3月13日)を踏襲するということでした。
 
 しかしながら、今年は作業がやや手間取り、Facebookへのアップが終わったのが夜の9時を回っており、それからブログの仕上げをするだけの十分な時間はないと判断せざるを得ませんでした。
 そこで、今日のところはFacebookでレポートをお読みいただければと思います。
 
 今日は、上記Facebook写真レポートでも少し触れていますが、会場でもお会いした三木久美夫さん(津軽三味線の名手)が企画され、実現にこぎ着けられた「第一回 ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート」(5/28@ライブハウスOIDTIME)をご紹介します。
 日時、場所、チャージは以下のとおりです。
 
2017年5月28日(日)開演13:00~
ライブハウス OLDTIME
〒640-8002 和歌山市北新5丁目70 TEL:073-428-1950
入場料 2000円(ワンドリンク付)
 
 それでは、チラシに掲載された出演者のラインアップをご紹介します。
 
紀州五十五万石
〈ベム/Gt ベラ/VO ベロ/Perc
Kinya
ディジュリドゥ
Crowfield
〈アコースティックバンド〉
素和歌
〈上前喜彦/Vo,Key 実理/Vo 南健二/Perc
なつおmeets南風
〈ナツオ/うた,ウクレレ 笠松美奈/Pf 南健二/Perc
ツナ・ヒッキーズ
〈ゆかわただひこのポップスユニット/うたとギター〉
ハラケイジ
〈和太鼓〉
福山ひでみ
〈朗読〉
祈りの歌の会 みかんこ
三木久美夫
津軽三味線
 
 「みかんこ」だけ〈ユニット説明〉がないのは、まだこれから中身を決めるからということのようです。
 
 少なくとも、和歌山では、これは、文句なしに「豪華ラインナップ」です。私は、当日OLDTIMEに出かけても、果たして入場できるかどうかを心配しています。
 
 ところで、発案者兼プロデューサーの三木久美夫さんに、この企画にかけた思いを送っていただきたいとお願いしたら、早速、以下のコメントを送ってくださいました。
 この素晴らしい企画に心からの拍手を送るとともに、1回だけで途絶えることなく、第二回、第三回とますます発展していって欲しいですね。そのためにも、皆さん、この企画に共感する人の輪をどんどん広げることにご協力ください。
 
(三木久美夫さんからのコメント)
和歌山県内 の
平和を願う 熱い心の
ミュージシャン
アーティスト
パフォーマー 達で
平和を祈るコンサートを
行うことになりました。
 
原発
憲法改正反対 や
戦争反対 の
平和主義のメンバーばかり
で ライブをやります。
 
これを やることで、
和歌山県内の
一人でも多くの方々に
目覚めて欲しい と
願う 想いから
みんなが 集結し
ラブ&ピースライブを
やることになりました。
 
金原先生、また、
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
 
津軽三味線
三木久美夫
 

『そろそろ』 作詞・作曲:嶋田奈津子 演奏:なつおmeets南風
 

「第一回ラブ&ピースライブ和歌山」チラシ